あらすじ
魔人形
いじめられていた麻子に同情的だった宮坂は、麻子をいじめていた3人の少女が連続で不審死を遂げた原因が、麻子が持っていた不気味な人形「ミレニア」にあるのではないかと考えていた。その後、転校した先で自身も理不尽ないじめの標的となってしまった宮坂は、ある夜、黒ずくめの女性から「ミレニア」を渡される夢を見る。夢から目覚めると、彼女の部屋には見覚えのある「ミレニア」の箱が置かれていた。そしてその日から、宮坂をいじめていた女子学生が次々と亡くなる。
地獄家族
立ち入った者が二度と戻らないとされる樹海に自殺目的で入った女子学生のちづるは、樹海の真ん中で生活する家族に出会う。4人家族はどことなくおかしな雰囲気で、さらに飼い犬のポチだと紹介されたのは、ちづるとそう歳の変わらない青年だった。父はちづるに対し、明らかに中年の正彦の姉にならないかと提案する。不審に思い周囲を探索したちづるは、食事として出されたものが樹海に迷い込んだ人の肉だと知ってしまう。耐え切れずに家族のもとから逃げようとするちづるだったが、道に迷ったところを再び連れ戻されるのだった。
不死人の里
学生の美咲は、教師の木里に好意を寄せられていた。千寿村という奇怪な風習を守る隠れ里の出身である木里は、病気で入院した際、美咲を呼び出して木偶人形の写真を見せる。木里は、自身のルーツである千寿村には不死人の伝説があり、村人は写真の木偶人形に魂を移して永遠に生き続けると語り、村に連れ戻されることを恐れていた。そんな話をした直後、木里は行方不明になってしまう。噂を聞きつけた美咲の通う学校の「学園ジャーナル」のメンバーである高梨、南沢、立花は、美咲に千寿村へ取材旅行に行くことを持ちかける。彼女たちが到着した千寿村には異様に立派な寺院があり、その中に入った一行は次々と何者かに襲われることとなる。
死の女神
女子学生の良絵は思ったことをはっきり言えず、きつい性格の香崎や島村といったクラスメイトの女子にいじめられていた。小学校時代からの友人で同じクラスの里沙と麻澄はそんな良絵を見るに見かねて、「おまじない」をしてみないかと提案する。本屋で見つけた黒魔術入門の本を参考に、3人は軽い気持ちで「死の女神」を呼び出し、いじめっ子が良絵へのいじめをやめるよう願うが、呪文を間違えたうえに怖くなって、途中で儀式をやめてしまう。その翌日、香崎は何者かに惨殺され、左足を持ち去られた姿で発見される。さらに3日後、今度は島村が惨殺死体で発見され、右腕を何者かに持ち去られていた。最初の殺人が起きた時から、里沙らは不気味な3人の少年たちをよく見かけるようになり、彼らのことを「弟」だと説明する良絵も日を追うごとに様子がおかしくなっていく。良絵のために何かできないかと、麻澄を学校に呼び出した里沙は、そこで自分たちを死の天使だと語る3人の少年に惨殺される麻澄を目撃し、事件の真相を知ることとなる。
悪夢の教室
3人のクラスメイトの女子からいじめを受けていた沙川は、クラスメイトの矢城麻莉に助けられたことを感謝し、友だちになりたいと麻莉に申し出る。その夜、麻莉は見慣れない教室で沙川とともに授業を受けている夢を見る。そこでは沙川をいじめていた3人の女子が糾弾されていた。バットで骨を砕く刑を執行するよう教師に告げられた沙川と麻莉は、強要されるままに彼女らを殴打する。翌朝、麻莉はいじめの加害者3人が暴漢に襲われ、全身の骨を砕かれて入院したことを知る。
登場人物・キャラクター
宮坂 (みやさか)
エピソード「魔人形」に登場する。いじめられているが見つめ返す程度で反抗もしない、おとなしい女子学生。家庭の事情で今秋に引っ越して来たが、前に通っていた学校ではいじめられていた麻子に同情していた。今通っている学校ではクラスメイトの佐川と片岡に、前に通っていた学校で起きた連続自殺事件の犯人と決めつけられていじめられている。
ちづる
エピソード「地獄家族」に登場する。肩下まで届くストレートの黒髪の女子学生。両親は離婚に際して親権を押し付け合っており、ちづるをお荷物扱いしている。そのことを気に病み、樹海まで自殺目的で1人でやって来た。
美咲 (みさき)
エピソード「不死人の里」に登場する。2年C組に所属する、ストレートの黒髪ロングヘアの女子学生。はっきり物事を拒否できず、頼まれると嫌と言えない控えめな性格。学校の教師である木里から靴箱に頻繁にラブレターを入れられるなど、一方的に好意を寄せられている。入院中の木里から病院に呼び出され、不思議な身の上話を聞かされた直後に木里が蒸発。 それを同じ学校の「学園ジャーナル」のメンバーである立花に知られ、木里の話の中に出てきた千寿村の取材旅行に付き合わされる。
里沙 (りさ)
エピソード「死の女神」に登場する。肩上で切りそろえた髪型の女子学生。良絵と麻澄とは小学校時代からの友人。クラスメイトにいじめられている良絵のことを心配しており、どうにかして助けたいと思っている。いじめっ子たちを黒魔術で呪おうとする麻澄の提案に対し、当初はやめさせようとしたものの、結局その誘いに乗ってしまう。
矢城 麻莉 (やしろ まり)
エピソード「悪夢の教室」に登場する。長いストレートの黒髪の女子学生。3人のクラスメイトの女子からいじめられていた沙川をかばう発言をしたことで、仕返しに靴を傷つけられてしまう。助けてくれたことを感謝する沙川から友達になろうと言われ、それを承諾する。
麻子 (あさこ)
エピソード「魔人形」に登場する。宮坂が以前通っていた学校で、クラスメイトからいじめられていた口数の少ない女子学生。いじめられていることに同情してくれた宮坂に恩を感じている。麻子をいじめていた3人が謎の自殺を遂げた後、本人も学校の屋上から飛び降り自殺した。
佐川 (さがわ)
エピソード「魔人形」に登場する。ショートカットの女子学生。連続して自殺事件の起こった学校から転校して来た宮坂をその事件の犯人と決めつけている。片岡ともう1人のクラスメイトで、宮坂に牛乳をかけるなどしていじめている。
片岡 (かたおか)
エピソード「魔人形」に登場する。ポニーテールの女子学生。連続して自殺事件の起こった学校から転校して来た宮坂をその事件の犯人と決めつけている。佐川ともう1人のクラスメイトで、宮坂をいじめていた。
ミレニア
エピソード「魔人形」に登場する。両手の先が鉤爪になっている少女型の人形で、古風な黒いロングドレスをまとっている。人の膝丈くらいの大きさ。手先の鉤爪は伸縮自在の鎖の先についており、人を引っかけて投げ飛ばせるほどに強力。棺桶型のケースに入っている。
父 (ちち)
エピソード「地獄家族」に登場する。禿頭で口の周りにひげを蓄えている中年の男性。目を血走らせて大口を開けてしゃべる。自殺の名所である樹海の真ん中で、祖母、母、正彦、飼い犬のポチと暮らしている。家に迷い込んだちづるを、正彦の姉として迎えようとした。独断と偏見で家族の役割を決めているが、自分が父役なのは譲らない。
母 (はは)
エピソード「地獄家族」に登場する。常に和装を着こなし、髪をきちんと結い上げている。言葉の端々で「おほほほ」「うふふふ」などと上品に笑っているが、目だけは笑っていない不気味な女性。息子扱いしている正彦と並ぶと母の方が若く見える。祖母と父と正彦、飼い犬のポチと樹海の真ん中の家で暮らしている。
祖母 (そぼ)
エピソード「地獄家族」に登場する。ひっつめ髪でふくよかな体形の、家の中でもずっと丸いサングラスをかけている老女。常に口の端からヨダレを垂らしている。樹海の真ん中の家で、父、母、正彦、飼い犬のポチとともに暮らしている。正彦の姉役を割り振られたちづるが逃げ出して連れ戻された際には、料理にしてしまおうかと不気味な言葉を吐く。
正彦 (まさひこ)
エピソード「地獄家族」に登場する。どう見ても中年の男性だが、鍔付きの帽子を逆さまに被って短パンを着用する、少年風の装いをしている。樹海の真ん中の家で、父、母、祖母、飼い犬のポチと暮らしている。家に迷い込んだ女子学生のちづるを姉と呼び、家族として迎えることを両手を上げて喜ぶなど、子供のように振る舞っている。
ポチ
エピソード「地獄家族」に登場する。ちづると同じ位の年頃の青年。樹海の真ん中の家で暮らす父、母、祖母、正彦の家族の飼い犬役を割り振られ、「ポチ」と呼ばれて犬小屋に繋がれている。実は2年前までは家族の中で正彦の弟役を割り当てられていたが、格下げされて犬役になった。
木里 (きさと)
エピソード「不死人の里」に登場する。美咲の通っている学校で教師を務める、顔色の悪い痩せた青年。美咲の靴箱にラブレターを入れ、自宅に電話し入院先まで呼び出したりするなど、美咲に一方的に好意を寄せている。千寿村という隠れ里の出身で、その村に伝わる人形を使った不気味な不死信仰を恐れ、父親の代から村を逃げ出して暮らしている。 美咲に助けを哀願するほど、村の不死信仰の因習を恐れている。
高梨 (たかなし)
エピソード「不死人の里」に登場する。美咲と同じ学校に通う、眼鏡をかけたセンター分けの男子学生。「学園ジャーナル」という学園内の読み物を編集するグループに所属している。木里が入院先の病院から消えた直前の話を美咲から聞き出してマスコミに売れるかもと発言するなど、スクープネタに執心している。木里の捜索と、不死信仰の取材を兼ねて、南沢、立花、美咲とともに千寿村へ向かう。
南沢 (みなみざわ)
エピソード「不死人の里」に登場する。美咲と同じ学校に通う、長髪で髪色を変えている軽薄そうな外見の男子学生。「学園ジャーナル」という学園内の読み物を編集するグループに所属している。入院先の病院から消えた木里の捜索と、不死信仰の取材を兼ねて、高梨、立花、美咲とともに千寿村へ向かう。
立花 (たちばな)
エピソード「不死人の里」に登場する。美咲と同じ学校に通う、肩に届くくらいの外はねの髪型をしている女子学生。「学園ジャーナル」という学園内の読み物を編集するグループに所属している。学内の噂に精通しており、入院先から失踪した木里と最後に会話した相手であることを聞きつけ、美咲にインタビューを申し込んだ。入院先の病院から消えた木里の捜索と、不死信仰の取材を兼ねて、高梨、南沢、美咲とともに千寿村へ向かう。
香崎 (かざき)
エピソード「死の女神」に登場する。派手な外見にきつい目つきの女子学生。クラスメイトのおとなしい女子良絵を、島村ともう1人の女子と一緒にいじめていた。惨殺されたうえに左足を持ち去られてしまう。
島村 (しまむら)
エピソード「死の女神」に登場する。派手な外見にきつい目つきの女子学生。クラスメイトのおとなしい女子良絵を、香崎ともう1人の女子と一緒にいじめていた。惨殺されたうえに右腕を持ち去られてしまう。
良絵 (よしえ)
エピソード「死の女神」に登場する。三つ編みを二つ括りにして両肩から下げている女子学生。思ったことをはっきりと言えない性格のために、香崎、島村ともう1人の女子の3人に足蹴にされるなど暴力を受けている。里沙と麻澄とは小学校時代からの友人。
麻澄 (ますみ)
エピソード「死の女神」に登場する。カチューシャを付けた長い黒髪の女子学生。良絵と里沙とは小学校時代からの友人。いじめられている良絵を見かねて、おまじないをしてみないかと、黒魔術を試すことを提案した。儀式の最中にまごつく良絵をせっつくなど、積極的な性格。
沙川 (さがわ)
エピソード「悪夢の教室」に登場する。ウエーブのかかった長い黒髪の女子学生。3人のクラスメイトからいじめられているが、黙って言い返しもしないため、ますます相手の神経を逆撫でしている。自分をかばってくれた矢城麻莉に執着し、ずっと友人でいて欲しいと告げる。家に大きな本棚があるほどの読書家で、魔術の本も持っており、それを使って気に食わない相手を次々に夢の世界で痛めつけ、その夢の内容通りに現実でも相手に怪我を負わせている。 自己中心的な性格で、当初はいじめの復讐から始まったもののその行動はエスカレートし、ついには延滞した学校図書館の本を返すよう忠告した図書委員長にまで牙をむく。
舟井 (ふない)
エピソード「悪夢の教室」に登場する。短髪で小太りの眼鏡をかけた中年の男性教師で、担当教科は理科。生徒があからさまに嫌がるカエルの解剖を、さっさとするように授業中にきつい口調で急かし、手を止めた沙川の手に無理矢理メスを握らせて解剖させた。さらに居残りまでさせたことで、沙川の恨みを買ってしまう。その後、矢城麻莉と沙川が見た同じ夢の中で、身体をカエルそっくりに変えられて沙川に腹を割かれてしまう。 現実では、翌朝割腹自殺未遂を起こし入院したと校内で噂になる。
図書委員長 (としょいいんちょう)
エピソード「悪夢の教室」に登場する。ショートヘアで、委員会活動に熱心な女子学生。矢城麻莉と沙川が連れ立って廊下を歩いている時、沙川に借りっぱなしになっている本をきちんと返すようにと声を掛けた。それを屈辱と感じた沙川に、夢の世界で手足を切り落とされてしまう。現実では、翌日手足が急に動かなくなってしまう。
集団・組織
死の天使 (しのてんし)
エピソード「死の女神」に登場する。同じ顔をした3人組の少年。眉も頭髪もなく、白目部分と黒目部分が反転した目をしており、いつも同じ柄の長袖カットソーとハーフパンツを着用している。香崎と島村が殺された後、良絵をいじめていたもう1人の女子学生が惨殺された現場近くで血まみれの顔を覗かせていたのを、里沙に目撃されている。