闇の声

闇の声

血の雨が降り注ぐ悪夢に悩まされる奈美が体験した恐怖を描く「血をすする闇」、まったく面白くないのになぜか観客が全員笑い出してしまう奇妙な女性お笑いコンビ「黄昏キントキ」にまつわる短編「ゴールデンタイムの幽霊」など、7つのエピソードを収録したホラー短編集。「ネムキ」2002年7月号~2003年7月号に掲載された。

概要・あらすじ

奈美は失恋をきっかけに始めた無理なダイエットがたたって、摂食障害になってしまう。やせ細った彼女は血の雨が降り注ぐ悪夢に悩まされるようになり、目が覚めるといつも枕元には血の跡が。やがて奈美は、同じ学校に通う谷一也から告白される。奈美の無理なダイエットをやめさせるために、自身もダイエットでひどくやせ細った一也の家に招待されると、その天井は無数の吸血コウモリで覆いつくされていた。

驚く奈美に、一也は驚愕の事実を告げる。(エピソード「血をすする闇」)

登場人物・キャラクター

奈美

エピソード「血をすする闇」に登場する。女子学生。モデルのような体型になって、自分を捨てた元彼を見返してやると、無理なダイエットを始める。やせ細ってもダイエットをやめず、食べた物を吐きすぎて血を吐くほど。やがて血の雨が降り注ぐ不気味な夢に悩まされるようになり、その頃、同じ学校に通う青年・谷一也と出会う。

慶介

エピソード「ゴールデンタイムの幽霊」に登場する。浮かない顔をした青年。友人の次雄から、「生きててもめったに笑わない奴」と言われるほど。次雄に誘われてお笑いの舞台を見に行くが、そこでも笑わない。じつは霊を見ることができ、「黄昏キントキ」という奇妙な芸人によって会場内が謎の爆笑に包まれている時も、1人笑わず恐れていた。

正樹

エピソード「轟音」に登場する。訪れた山で幻影の洪水に出くわす青年。両親の行方は知れず、子供の頃に親類の家をたらい回しにされ、孤児院で育った。幼い頃は水を極端に恐れ、風呂に入れられるのが怖くて毎晩大暴れした記憶だけが残っている。

光一

エピソード「お化け屋敷の謎」に登場する。田舎で暮らす少年。村に突然オープンした入場料1万円のお化け屋敷に興味を持ち、深夜に友人と2人で忍び込むが、そこで恐ろしい秘密を知ってしまう。

エピソード「グリセリド」に登場する。実家が焼肉屋を営む少女。父と、2つ年上の兄・五郎と3人で暮らしている。自宅の1階が父の経営する焼肉屋で、店内の換気が悪いせいで油交じりの煙が家中に漂い、柱や壁、家具に至るまで油がベットリ付着した家で育つ。家に引きこもって油を飲み続ける兄にいじめられている。

浅野

エピソード「地縛者」に登場する。NPO法人「青空の会」でボランティア活動をする女性。地縛者(じばくしゃ)を助けるために熱心にサポートをする。実は数年前、夜中に強盗に押し入られ乱暴されたことがあり、その時の恐怖から逃れるため住所を転々としている。

小和 典子

エピソード「死刑囚の呼鈴」に登場する。両親と兄、弟と幸せに暮らしていたが、家族5人でドライブ中、暴走族に襲撃されて父と弟を亡くし、母と兄も重傷を負う。犯行グループの主犯格・古橋は死刑を宣告されたものの、夜な夜な古橋の生霊のような存在による訪問を受け、悪夢の日々を過ごす。

谷 一也

エピソード「血をすする闇」に登場する。奈美と同じ学校に通う男子生徒。無理なダイエットでやせ細った奈美を心配して、声をかけてくる。最初は相手にされなかったが、奈美のダイエットをやめさせるために自身もダイエットを始めてやせ細り、交際が始まる。自宅で無数の吸血コウモリを飼っている。

次雄

エピソード「ゴールデンタイムの幽霊」に登場する。慶介の友人の青年。めったに笑わずいつも仏頂面の慶介を笑わせるため、お笑いの舞台鑑賞に誘う。そこで見た、まったく面白くないのになぜか観客全員が身をよじるほど笑ってしまう「黄昏キントキ」に興味を持つ。

ササゲちゃん

エピソード「ゴールデンタイムの幽霊」に登場する。お笑いコンビ「黄昏キントキ」のツッコミ担当。黒髪のロングヘアーで関西弁を話す。デビューしてまだ1年ほど。相方のアズキちゃんとの漫才はまったく噛み合っておらず、ちっとも面白くないのだが、なぜか最後には会場が爆笑の渦に包まれる。

アズキちゃん

エピソード「ゴールデンタイムの幽霊」に登場する。お笑いコンビ「黄昏キントキ」のボケ担当。ショートヘアだが襟足だけを伸ばしている。相方のササゲちゃんよりも背が低い。関西弁でダジャレを含めたつまらないギャグを連発し、会場をしらけさせるが、最後には観客全員が笑い出す。

五郎

エピソード「グリセリド」に登場する。唯の兄。父のいないところで唯をねちねちといじめる陰湿な性格。厨房のサラダ油を盗んでゴクゴクと飲む奇妙な嗜癖を持つ。そのせいか年頃になると顔中にニキビができ、周囲の学生からは活火山野郎と呼ばれ、いじめられている。

古橋

エピソード「死刑囚の呼鈴」に登場する。小和典子の家族を襲った犯行グループの主犯である20歳の青年。裁判の場でも薄ら笑いを浮かべていた残忍な性格。死刑判決を受けたあと、小和家に謝罪の手紙を送り続け、さらには直接会って謝罪したいと電話してくる。拘置所にいるはずなのに、夜な夜な小和家の呼び鈴を鳴らす。

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