光が死んだ夏

光が死んだ夏

モクモクれんの代表作にして商業誌デビュー作。舞台は三重県の山間部をモデルとした田舎の集落。主人公のよしきは、山で行方不明になったものの1週間で戻ってきた親友の忌堂光が、何か別の存在に入れ替わっていることに気づく。同時に、集落では不可解な現象が起こり始め、伝承として語り継がれる「ノウヌキ様」という存在の秘密が明らかになっていく。それでもよしきは、親友を失った現実から目を背けて光の姿をした「ナニカ」との友人関係を続けるが、次第に周囲の人々が巻き込まれ、危険な状況が拡大していく。本作は、ホラー、サスペンス、青春物語が融合した作品であり、人間と人外の存在との関係性を軸に展開される物語。田舎の閉鎖的な環境と、「ノウヌキ様」と呼ばれる超常的存在を中心とした独自の世界設定が構築されている。墨の濃淡を活かした美術表現が本作の大きな特徴で、コミックスでは特色インクを用いたグラデーション表現が施されている。KADOKAWA「ヤングエースUP」2021年8月31日から連載。2022年に「次にくるマンガ大賞」Webマンガ部門Global特別賞、「このマンガがすごい!2023」オトコ編第1位を獲得。テレビアニメが2025年7月から放送。舞台が2026年1月から上演。

正式名称
光が死んだ夏
ふりがな
ひかるがしんだなつ
作者
ジャンル
ホラー
 
青春
レーベル
角川コミックス・エース(KADOKAWA)
巻数
既刊7巻
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作品の概要

基本情報

モクモクれんの代表作にして商業誌デビュー作。

要旨と舞台設定

舞台は三重県の山間部をモデルとした田舎の集落。よしきの親友で幼なじみの忌堂光は、山で行方不明になり1週間後に戻ってきたものの、何か別の存在に入れ替わっていた。よしきはその事実に気づきながらも、光の姿をした「ナニカ」との関係を続けるが、やがて集落では次々と不可解な現象が起こり始める。

ストーリー展開

物語は、光を装った「ナニカ」とよしきの共存関係から始まり、集落に伝わる「ノウヌキ様」という存在の秘密が徐々に明らかになっていく。よしきは親友を失った現実から目を背け、「ナニカ」とかかわり続けるが、次第に周囲の人々が巻き込まれ、危険な状況が拡大していく。「ナニカ」の存在によって、現実世界と異界の境界が崩れていく危機に直面する中で、よしきは重大な決断を迫られることになる。

ジャンル的特徴と位置づけ

本作は、ホラー、サスペンス、青春物語が融合した作品で、人間と人外の存在との関係性を軸に展開される。田舎の閉鎖的な環境と伝承が生み出す恐怖が独自の世界観を形成しており、恐怖表現においては、直接的な描写よりも心理的な不安や違和感を重視し、徐々に異常性が顕在化していく構成が特徴となっている。

作品固有の表現技法と特徴

墨の濃淡を活かした美術表現が本作の大きな特徴となっており、コミックスでは特色インクを用いたグラデーション表現が施されている。さらに、内面描写においてはよしきのモノローグが多用され、読者の感情移入を促す構造となっている。また、地方色を強調するために三重県の方言が積極的に取り入れられており、独特の雰囲気を醸し出している。

世界観の構築と設定

世界設定として、集落に伝わる「ノウヌキ様」と呼ばれる超常的な存在の伝承が重要な役割を果たしている。ノウヌキ様は「忌堂家には手出ししない」という契約関係にあるとされ、人間を異界に連れ去る代わりに「代用品」を送り込む性質を持つ。また、現実世界と異界を繋ぐ「穴」の存在や、光に成り代わった「ナニカ」の生態など、独自の世界法則が構築されている。

連載状況

KADOKAWA「ヤングエースUP」2021年8月31日から連載。

受賞歴

2022年「次にくるマンガ大賞」Webマンガ部門Global特別賞。

2022年「このマンガがすごい!2023」オトコ編第1位。

メディアミックス情報

テレビアニメ

第1期:2025年7月から9月まで日本テレビ系列にて放送。アニメーション制作はCygamesPictures。よしき(辻中佳紀)を小林千晃、ヒカルを梅田修一朗が演じる。

舞台

『舞台「光が死んだ夏」』:2026年1月9日から18日まで上演。よしき(辻中佳紀)を本島純政、ヒカルを今牧輝琉が演じる。

あらすじ

ごくふつうの男子高校生、よしきは、禁足地の山で1週間行方不明になった幼なじみの忌堂光が、まったく別人のヒカルに変わっていることに気づき、ヒカルに指摘する。ヒカルはそれを肯定したうえで、これからも友人でいて欲しいと懇願し、よしきもまた光を失った悲しみを埋めるため、その申し出を了承する。しかしヒカルの正体が、得体の知れない未知のナニカだと理解してから、よしきの周囲では怪死事件や、不気味な出来事が起こり始めていた。そんなある日、よしきは買い物中の主婦、暮林理恵から、今すぐ身近にいるナニカから離れるべきだと忠告を受ける。

登場人物・キャラクター

よしき (つじなか よしき)

とある高校に通う男子。黒髪のショートヘアで前髪が長い。クールな性格で、何事にも達観した考えを持つ。中学1年生で不登校気味の妹、かおるがいる。同居する両親は、夜中に近所中に聞こえるほどの声でケンカするほど険悪な関係。忌堂光が山で1週間行方不明になったあと、まったく別人のヒカルが光を演じていることに気づき、指摘した。その後、ヒカルの望みに応じて友人として過ごしている。

ヒカル

忌堂光の姿と人格、記憶を完全に模倣した未知のナニカ。白髪をベリーショートヘアにしている。八重歯が特徴。よしきに正体を見破られた際には、説明しがたいドロドロとした何かがあふれ出した。その際、よしきを殺したくないから誰にも言わないで欲しいと懇願している。もともと生きていたことがないと話しており、はっきりとした自我を持ったのも、光の模倣をしたのがきっかけだと語っている。光の記憶は残っているものの実感は持っておらず、ヒカルが初めて見たモノ、味わったモノには強く感動する。痛覚がほとんどなく、ひどいすり傷ができてもまったく気づかない。自分で腹部を縦に裂く大きな裂け目を作り、その中に手を入れると「タレに漬けた鶏肉に似た感触」がする。松浦からは「ノウヌキ様」、ヒカルの親族からは「ウヌキ様」と呼ばれている。

忌堂 光 (いんどう ひかる)

よしきの通う高校の男子。クラスメイトで幼なじみでもある。白髪のベリーショートヘアにしている。高校を卒業して祖父の椎茸農園を継ぐことになっている。ある日、禁足地になっている山に行くと、よしきに話していたが、その理由は話していない。その後に行方不明となり、ヒカルが山で忌堂光に遭遇した時には、すでに虫の息になっていた。ホラー映画を見て2時間気絶していたほど、ホラーを苦手としている。かつて親族から、好きな人とはすぐに結婚しないと、その相手がウヌキ様に山に連れて行かれてしまうと聞かされていた。また、ウヌキ様は忌堂家の人間には手を出さないという、約束を交わしているとも聞かされている。

松浦 (まつうら)

よしきとヒカルが、学校の帰路で遭遇した老齢の女性。ヒカルを一目見て「ノウヌキ様が下りて来ている」と叫び、非常に怯(おび)えた様子を見せていた。その日の夜中、宅配便を装う何者かが松浦の自宅を訪れている。

(まき)

よしきの通う高校の男子。坊主頭のクラスメイト。友人グループの中で唯一「アシドリ」という場所から登校している。ふだん使っている通学路が工事で使えず、一時的に登校に使用した林道は、林の中を見ようとしても気づいたら道を見ているような不気味な違和感を覚えるものだった。そのあまりの不気味さに、よしきたちにいっしょに帰って欲しいと願い出た。

ユウキ

よしきの通う高校の女子。クラスメイトでもある。肩下までの黒髪を低い位置でツインテールにしている。よしきに好意を持っている様子がある。ヒカルに対しては多少の違和感を抱いているものの、忌堂光と別人であることには気づいていない。朝子からは「ゆーちゃん」と呼ばれている。

朝子 (あさこ)

よしきの通う高校の女子。クラスメイトでもある。ハネ癖のある茶髪をショートヘアにしている。ヒカルが忌堂光ではないことに気づいている様子があり、さらにヒカルが人間ではないことにも勘づいているが、口には出していない。ユウキからは「あーちゃん」と呼ばれている。

暮林 理恵 (くればやし りえ)

よしきがスーパーで出会った中年の女性。長い茶髪をうなじでまとめている。人には見ることのできないさまざまなモノが見えると話しており、よしきのそばによくないナニカがいることや、このままではよしきも人間ではいられなくなると警告した。そして、よしきの事情を察し、話したくなったら連絡して欲しいと、よしきと連絡先を交換している。

書誌情報

光が死んだ夏 7巻 KADOKAWA〈角川コミックス・エース〉

第1巻

(2022-03-04発行、978-4041122730)

第2巻

(2022-10-04発行、978-4041129609)

第3巻

(2023-06-02発行、978-4041137000)

第4巻

(2023-12-04発行、978-4041143391)

第5巻

(2024-06-04発行、978-4041149973)

第6巻

(2024-12-04発行、978-4041156087)

第7巻

(2025-07-04発行、978-4041156827)

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