塾生★碇石くん

塾生★碇石くん

荒木光の『ヤンキー塾へ行く』の続編。宇宙飛行士になりたいという夢を持った不良少年の、塾での出会いと恋愛模様を描く。不良少年が主人公でありながらケンカのシーンはほとんどなく、塾での勉強や試験対策などのシーンが多く描かれている。「週刊ヤングマガジン」2014年9号から2015年10号にかけて連載された作品。

正式名称
塾生★碇石くん
ふりがな
じゅくせい いかりいしくん
作者
ジャンル
教育・学習
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あらすじ

第1巻

偏差値が低く、不良生徒も多い益垣高校に通う碇石は、ヤンキーでありながら将来宇宙飛行士になる事を夢見ていた。その夢をかなえるため、碇石は塾に通って勉強にいそしんでいたが、ある日、そこに二人の中学生・羽川茶子と上条壮太が入塾してくる。そして碇石は、共に高校受験を控えた二人に対し、塾で英語の個人授業をする事となった。そんな中、同じ塾に通う対馬比呂奈は、思うように成績が上がらない自分に対して苛立ちを募らせ、投げやりになって塾をさぼり昔の仲間たちと遊び歩いていた。碇石はそんな比呂奈を見かねて塾に戻ってくるように説得し、彼女に対しても英語の指導をするようになる。

第2巻

中間テストの時期がやって来た。碇石の説得で勉強を始めた対馬比呂奈だったが、テストについて自信を持てずにいた。碇石はそんな比呂奈に中学生レベルの英語の参考書とCDを渡し、ひたすら反復するように伝える。碇石の言葉を信じて勉強に励む比呂奈は、図書館で同級生の野口と出会い、いっしょに勉強をするようになる。こうしてモチベーションを高めた比呂奈は、中間テストの英語で、思わぬ高得点を取る事に成功する。一方、比呂奈の指導をするばかりで自分にまったくかまってくれない碇石に腹を立てた羽川茶子は、自身が受験する志望校の桜並高校の見学に連れて行ってほしいと碇石にせがむ。やむなく茶子を連れて桜並高校を訪れた碇石は、そこでかつての知人である宮本奈津美と再会する。

第3巻

かつて宮本奈津美碇石と共に桜並高校を受験する約束をしていたが、碇石は桜並高校の入試を受けず益垣高校へと進学していた。ずっと碇石の事が気になっていた奈津美は、碇石に自分の連絡先を渡す。碇石と奈津美とのただならぬ関係を知った対馬比呂奈は苛立ちをつのらせるが、そんな彼女に対し碇石は、ずっと勉強に付き合うと約束するのだった。一方、奈津美は自分の携帯電話を親に見られ、碇石と連絡をとっていた事を知られてしまう。益垣高校という低偏差値の学校に通う碇石と、そんな男と付き合いのある奈津美を見下す母親に対し、碇石は全国統一模試で300位以内に入る事を宣言する。

第4巻

全国統一模試で275位という成績をおさめた碇石は、その成績を持って宮本奈津美の自宅を訪問、彼女の母親にその成績を突きつける。同時に、自分との大きな差を見せつけられる事となった奈津美は、碇石に感謝しつつも彼のもとを去っていくのだった。塾へ戻った碇石は、羽川茶子から碇石の通う益垣高校に連れて行ってほしいと頼まれる。茶子はそこで碇石の先輩である室田大河宇都宮利晃と出会い、なし崩し的に合コンをする事になる。合コンの席で碇石は、対馬比呂奈に無茶振りをする室田を注意し、比呂奈の事が好きだと伝える。しかし比呂奈はそれには応えず、ふられたと思った碇石は放心状態となり、塾にも顔を出さなくなってしまう。茶子はそんな碇石を心配して再び益垣高校を訪れ、自分の気持ちを伝えながら碇石を激励するのだった。

登場人物・キャラクター

碇石 (いかりいし)

有数の不良校として知られる益垣高校に通う男子で、将来の夢は宇宙飛行士になる事。不良の巣窟である益垣高校でも周囲から恐れられるほどケンカが強い。全国統一模試でも300位以内に入るほど学力が高く、得意科目は英語。塾では講師を務める事もあり、他人に勉強を教える時は「ブライアンくん」というぬいぐるみを使って腹話術で話す。

対馬 比呂奈 (つしま ひろな)

塾で碇石と出会った女子高校生で、碇石とは異なる高校に通っている。1年留年しているため、その事を気に病んでいる。碇石の指導を受けて英語の偏差値が上がり、将来通訳になりたいという夢を抱くようになる。留年している事から高校での友達は少なかったが、野口と出会い、少しずつ周囲にも心を開き始める。

羽川 茶子 (はがわ ちゃこ)

碇石が通う塾に、新たに入って来た女子中学生。受験を控えており、偏差値の高い桜並高校の入試対策として碇石から英語を教わる事になる。不良にからまれていたところを碇石に助けられてから、彼に恋心を抱くようになり、碇石と仲のいい対馬比呂奈に嫉妬したりする一面も見せる。将来の夢はアナウンサーになりプロ野球選手と結婚する事。

上條 壮太 (かみじょう そうた)

碇石が通う塾に、新たに入って来た男子中学生。受験を控えており、偏差値の高い桜並高校の入試対策として碇石から英語を教わる事になる。成績はかなり上位にあるものの、斜に構えた性格からトラブルを引き起こす事も多い。将来の夢は官僚になって世の中を動かす事。

野口 (のぐち)

対馬比呂奈と同じ高校に通う女子。成績は決して悪くはないが、取り立てて優秀というわけでもなく、クラスでは周囲とうまくなじめずにいる。最初は留年していた比呂奈に対して距離をおいていたが、勉強するために訪れた図書館で比呂奈と会い、打ち解けてからはよき友人となる。

室田 大河 (むろた たいが)

益垣高校に通う男子高校生で、碇石の1年先輩。碇石とは中学からの知り合い。ケンカが弱く、益垣高校の中では使い走りばかりさせられている。器も決して大きいとはいえないものの、、後輩からはそれなりに人望があり、碇石からも尊敬されている。

宇都宮 利晃 (うつのみや としあき)

益垣高校に通う男子高校生。碇石とは中学の入学式から面識があり、中学時代は幾度となくケンカをしていた間柄。だが、高校受験当日に碇石が宇都宮利晃を守るために戦った事があり、以降は友人づきあいをするようになった。ケンカが強く、益垣高校内では一目置かれる存在。

宮本 奈津美 (みやもと なつみ)

桜並高校に通う女子高校生。中学時代に碇石と同じ学習塾に通っていた事がある。碇石と共に桜並高校に合格する事を目標としてきたが、結局桜並高校を受験しなかった碇石に対し、愛憎入り混じった複雑な感情を抱いている。DVを繰り返す両親と優秀な兄という複雑な家庭環境で育っているせいか、自分の気持ちを表現する事が苦手なところがある。

場所

益垣高校 (ますかきこうこう)

碇石が通っている高校。偏差値が非常に低く、不良生徒が多い。生徒の中には宇都宮利晃のように高校内部でケンカでトップになる事を目指す者も多く、校内ではつねにケンカが絶えない。そのため、真剣に進路指導をする教師も少なく、ほとんどの生徒が教師から見捨てられている状態となっている。

桜並高校 (さくらなみこうこう)

宮本奈津美が通う高校で、上條壮太や羽川茶子の志望校でもある。県内でも有数の進学校で、卒業生の多くが大学へと進学する。偏差値が高いエリート校で、生徒たちは成績を落とさないようつねにプレッシャーを感じている。かつて碇石もこの高校に願書を提出したが、結局入試を受ける事はなかった。

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