二月の勝者 -絶対合格の教室-

二月の勝者 -絶対合格の教室-

『おとりよせ王子 飯田好実』他で知られる、高瀬志帆の連載作品。東京・吉祥寺の中学受験塾「桜花ゼミナール吉祥寺校」を舞台に、新校長として着任した黒木蔵人が、実績に乏しい同校の立て直しに挑む物語。問題を抱えた生徒たちとの関わりを通じて、中学受験における塾講師、生徒、保護者の三者関係が展開されていく。本作は中学受験を題材にした教育マンガであり、中学受験の年間スケジュールに沿ったストーリー展開と、受験を取り巻く社会構造の詳細な描写を特徴とする。統一合格判定テストから入試までの流れ、御三家と呼ばれる最難関校の存在、塾の経営システム、保護者の経済状況など、中学受験の実際をリアルに描いている。小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」で2018年1号から2024年25号まで連載。2022年に第67回「小学館漫画賞」一般向け部門を受賞。2021年10月から12月にかけてテレビドラマが放送された。

正式名称
二月の勝者 -絶対合格の教室-
ふりがな
にがつのしょうしゃ ぜったいごうかくのきょうしつ
作者
ジャンル
教育・学習
レーベル
ビッグ コミックス(小学館)
巻数
既刊21巻
関連商品
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作品の概要

基本情報

『おとりよせ王子 飯田好実』他で知られる、高瀬志帆の連載作品。

要旨と舞台設定

東京・吉祥寺の「桜花ゼミナール吉祥寺校」という中学受験塾が舞台。業界トップの受験塾「フェニックス」を辞職したスーパー講師・黒木蔵人が、テコ入れのために桜花ゼミナールの新校長に就任。すべての生徒を第一志望校に合格させると宣言する。

ストーリー展開

黒木は「学習塾は、子供の将来を売る場所」と、冷徹に言い放つ一方で、小学校で逆学歴差別を受ける女子生徒・前田花恋や父との関係に苦しむ男子生徒・島津順など、生徒たちに対しては深い理解を示して適切な指導を行い、温厚な一面も見せる。

ジャンル的特徴と位置づけ

本作は、中学受験という特殊な環境における人間ドラマを描いた教育マンガである。塾講師と生徒、保護者の三者関係を軸に、教育における価値観の対立や葛藤が描かれる。

作品固有の表現技法と特徴

中学受験の1年間の流れをリアルに描いている点が本作の特徴である。2月の統一合格判定テストから始まり、春期講習、夏季講習、夏季合宿、冬期講習、正月特訓などを経て入試に至るまで、実際の受験スケジュールに即した形で物語が進行する。

世界観の構築と設定

中学受験を取り巻く環境が詳細に設定されているのが本作の特徴である。御三家と呼ばれる最難関校をはじめ、中堅校、併願校といった学校のランク分け、塾の経営システム、講師の待遇、保護者の経済状況など、中学受験に関わる社会構造が具体的に描写される。

連載状況

小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」2018年1号から2024年25号まで連載。

受賞歴

2022年第67回「小学館漫画賞」一般向け部門。

メディアミックス情報

テレビドラマ

2021年10月から12月まで日本テレビ系にて放送。佐倉麻衣を井上真央、黒木蔵人を柳楽優弥、灰谷純を加藤シゲアキが演じる。

あらすじ

主人公である佐倉麻衣は、中学受験塾「桜花ゼミナール吉祥寺校」で研修中の新米講師。東京受験開始から2日目、麻衣が出勤すると、桜花ゼミナールトップの成績である少年・松村くんが、塾の職員室で泣き崩れていた。緊張のせいで、電車で吐いたため、保健室受験になったのだという。そのせいで受験がうまくいかず、このままだと「全落ち」だと落ち込む姿を見て、麻衣は胸を痛めるのだった。

麻衣は、まだ1つも合格が取れていない木下くんの受験応援に立候補する。木下くんは、少し前に個人的に勉強を見てあげたことがある子どもで、彼の合否が気になっていたのだ。翌朝、雪の中、試験場に向かう麻衣。同行予定だった塾講師は、電車が遅れて来れなくなっていた。気持ちがはやって、7時に到着したため、誰もいないだろうと考える麻衣だったが、試験場には先客がいた。

雪の中、直立して生徒を待つその青年は、バケモノ級の合格率を誇るエリート塾「フェニックス」の講師だった。やがて、やってきた木下くんは、焦った様子で、麻衣に問題集のわからないところを質問する。理科は専門外なので答えられない麻衣の様子に、木下くんはますます焦り、泣きだした。

すると、横にいたフェニックスの講師が、解答をあっさり答え、さらに「その問題はこの学校ではほとんど出ない」と言い放つ。安心して礼を言う木下くんを見ながら、麻衣は己の未熟さ、無力さを痛感するのであった。約1か月後、麻衣は研修を終え、正式に講師として桜花ゼミナールに務めることになった。桜花ゼミナールの校長は、合格実績が悪くて飛ばされ、新校長が就任したという。

出勤してきた新校長は、あの雪の日、木下くんにアドバイスしたフェニックスの元講師だった。彼の名は黒木蔵人。私立中学都内御三家の合格者数がゼロという、桜花ゼミナール吉祥寺校のテコ入れのためにやってきたのだ。「受験塾」は「子どもの将来」を売る場所であり、受験生を「顧客」、親を「金脈」とい言い放つ黒木に、麻衣は面食らうばかりであった。

こうして、黒木新体制のもと、麻衣の講師としての生活が始まった。

登場人物・キャラクター

佐倉 麻衣 (さくら まい)

中学受験塾「桜花ゼミナール吉祥寺校」に新卒で就職した新米講師。ショートカットの女性。空手経験者で、空手で子どもを指導した時に、やりがいを感じて受験塾講師になった。指導教科は算数をメインに、将来的には全教科を希望する。やる気と情熱に満ちているが、経験不足で落ち込むことも多い。黒木蔵人塾長の冷徹な方針や、暴言に近い発言に戸惑いを感じる。

黒木 蔵人 (くろき くろうど)

中学受験塾「桜花ゼミナール吉祥寺校」に新しく就任した校長。長身の若い男性。エリート塾「フェニックス」の元講師。成績が悪い、桜花ゼミナール吉祥寺校のテコ入れが目的だと言うが、真意は不明。受験生の親子を「新規顧客」「金脈」と呼び、徹底した合理主義と独自の理論で塾経営を行う。勤務以外のプライベートでは、ボサボサの髪やパーカーなどが特徴の、典型的な若者といった風貌をしている。

松村くん (まつむらくん)

中学受験塾「桜花ゼミナール吉祥寺校」でトップの成績だった男の子。東京受験初日に麻布中学校を受験するが、体調不良で保健室受験に。その結果、すっかり自信を無くし、桜花ゼミナールの職員室で泣きじゃくった。

木下くん (きのしたくん)

中学受験塾「桜花ゼミナール吉祥寺校」の生徒だった男の子。短髪に黒縁メガネが特徴。成績面ではめだたないが、真面目で勉強熱心。小学大附属中学校に入ることを心から望んでおり、3回目の受験にチャレンジする。その姿勢に打たれた佐倉麻衣は、彼の受験当日、応援に行く。

書誌情報

二月の勝者 ー絶対合格の教室ー 21巻 小学館〈ビッグ コミックス〉

第1巻

(2018-02-09発行、978-4091897923)

第2巻

(2018-06-12発行、978-4091898852)

第3巻

(2018-10-12発行、978-4098600885)

第4巻

(2019-02-12発行、978-4098602179)

第5巻

(2019-06-12発行、978-4098603114)

第6巻

(2019-10-11発行、978-4098604173)

第7巻

(2020-02-12発行、978-4098605392)

第8巻

(2020-06-30発行、978-4098606412)

第9巻

(2020-08-07発行、978-4098606917)

第10巻

(2021-01-12発行、978-4098608027)

第11巻

(2021-04-12発行、978-4098610372)

第12巻

(2021-08-11発行、978-4098611201)

第13巻

(2021-10-12発行、978-4098611782)

第14巻

(2021-12-10発行、978-4098612031)

第15巻

(2022-04-12発行、978-4098612703)

第16巻

(2022-09-12発行、978-4098614097)

第17巻

(2023-02-07発行、978-4098615773)

第18巻

(2023-06-12発行、978-4098617234)

第19巻

(2023-10-12発行、978-4098625376)

第20巻

(2024-02-07発行、978-4098627035)

第21巻

(2024-07-11発行、978-4098627745)

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