概要・あらすじ
読書好きな主人公とも子とその娘きん子は、科学書の並ぶ「科学の本棚」を前にして、もし自分たちが学生寮を営んでいて、そこに「科学する人たち」が住んでいたら、と空想を始める。空想に登場する学生寮ドミトリーともきんすには、日本の優秀な科学者、朝永振一郎、牧野富太郎、中谷宇吉郎、湯川秀樹たち、4人の学生が住んでいて、それぞれ科学の勉強をしているのだった。
登場人物・キャラクター
とも子 (ともこ)
読書好きな女性。娘のきん子と、学生寮ドミトリーともきんすを運営する空想を始める。ドミトリーともきんすでは寮母として働いており、4人の学生たちの世話をしている。各話の最後で、その話に登場した科学者の著作を本棚から取り出して紹介する。
きん子 (きんこ)
とも子の娘。まだ幼いが、空想の中に登場するドミトリーともきんすでは、食事や飲み物を運ぶなどといった、母親の手伝いをしており、そこに住む学生たちからもかわいがられている。
朝永 振一郎 (ともなが しんいちろう)
物理学を研究している学生で、ドミトリーともきんすの二階に住んでいる。鏡の中に見えるものなど、身の回りに起こる不思議なことに興味を持っているが、実は物理学は嫌い。泣き虫で、些細な失敗から泣き出してしまうこともある。実在の物理学者朝永振一郎がモデル。
牧野 富太郎 (まきの とみたろう)
植物学を研究している、いつも袴姿の学生。ドミトリーともきんすの二階に住んでいる。植物図鑑を作ることを計画しており、植物の形態について詳しい。普段は学校には通わずに、虫眼鏡と絵筆を使って野山で見つけた草木や花を観察し、写生している。実在の植物学者牧野富太郎がモデル。
中谷 宇吉郎 (なかや うきちろう)
物理学を研究している、ベレー帽をかぶった学生。ドミトリーともきんすの二階に住んでいる。主に雪や氷について研究しており、他の学生が帰省した春休みにも一人で寮に残り、顕微鏡を使って雪の観察をしている。科学者だがお伽話が好きで、「雪は天からの手紙」と話すロマンチスト。実在の物理学者中谷宇吉郎がモデル。
湯川 秀樹 (ゆかわ ひでき)
物理学を研究している、詰襟学生服を着た眼鏡の学生。言葉には関西訛りがある。ドミトリーともきんすの二階に住み、数学や空間についての勉強に励んでいる。勉強は大好きだが、作文や絵を描くことは苦手。実在の物理学者湯川秀樹がモデル。
ジョージ・ガモフ
アメリカ人物理学者。友人の湯川秀樹に招かれてドミトリーともきんすを訪れ、そこに住む学生たちと知り合う。ファンであるとも子にせがまれて、著作「トムキンスの冒険」にサインをする。絵を描くことも得意。実在の物理学者ジョージ・ガモフがモデル。
場所
ドミトリーともきんす
とも子ときん子の空想上に登場する二階建ての学生寮で、二階には4人の学生が住んでいる。冬には一階を埋めてしまうような大雪が地域に建てられている。名前の由来はジョージ・ガモフの著作に登場する人物「トムキンス」から。実在の物理学者中谷宇吉郎が雪の観察をした、北海道十勝地方にある山荘白銀荘が、外見上のモデルになっている。