夜明けの唄

夜明けの唄

人間のために命を削りながら化物と戦う運命にある少年、エルヴァと、彼を救済すべく奮闘するアルトノウルとの強い絆(きずな)を描いたファンタジーボーイズラブ。「from RED」Vol.3から配信の作品。

正式名称
夜明けの唄
ふりがな
よあけのうた
作者
ジャンル
BL
レーベル
from RED comics(シュークリーム)
巻数
既刊5巻
関連商品
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あらすじ

アルトとエルヴァの出会い

アルトノウル(アルト)は家の手伝いを放棄したスシュカから、海沿いの崖の上にある「」が住むという家に荷物を届けるように命令される。アルトはそこで、覡のエルヴァと顔を合わせる。エルヴァに興味を抱いたアルトは、自ら彼の世話係を買って出る。こうしてアルトとエルヴァは、共同生活を送りながら少しずつ距離を縮めていくが、ある日、集落に住む子供が興味本位で夜の海に遊びに行ってしまう。そこで子供を守るために、正体不明の化け物相手に一人戦い続けるエルヴァの姿を見たアルトは、孤独な彼の力になりたいと思うようになる。

エルヴァに恋心を抱くアルト

アルトノウル(アルト)とエルヴァが出会ってから、8年が経過した。アルトと出会った時は、余命いくばくもないと思われていたエルヴァだったが、なぜか年々体力を回復させていた。鍛冶(かじ)職人になったアルトは、相変わらずエルヴァの世話を焼き、いっしょに生活を共にしていた。共同生活の中で、アルトはエルヴァに恋心を抱くものの、告白できずにいた。ある日、アルトは鍛冶職人の仕事で、を管理する団体「修道会」のメンバーたちが集う施設の修復作業に向かうことになる。アルトは、そこで覡候補の少年たちや修道会のトップに立つ人物と出会い、覡は人間のために死んで当然だという、特殊な事情を知る。一方、出会ってからずっとアルトといっしょだったエルヴァは、一人でいることに言いようのない寂しさを覚える。そして、エルヴァはたった1週間アルトと会わなかっただけで、自らの生命力が急激に衰えていることに気づく。

もう一人の覡

を管理する団体「修道会」のメンバーたちが集う施設の修復作業も終わり、アルトノウル(アルト)は自分の集落に戻ることになった。その途中でアルトは、処刑予定の囚人を運ぶ警吏たちと出会う。覡の存在や海から現れる正体不明の化け物の存在を知った警吏たちは面白がり、処刑予定の囚人を夜の海に放置することを思いつく。こうして、夜の海岸沿いに囚人が放置されたことを知ったアルトは、化け物たちが興奮して大変な状況になると焦り、一人で囚人たちを助けに向かう。そこで運悪く波に飲まれてしまったアルトは、気を失ったまま海岸沿いに流れ着く。そんな中、アルトを発見した覡のマニエリは、彼の体力が回復するまで自宅で過ごすよううながす。マニエリはエルヴァとは違って、覡として戦うことに恐怖と寂しさを覚えていた。

思いを伝えるアルト

紆余(うよ)曲折を経て、行方不明となっていたアルトノウル(アルト)は、エルヴァと再会する。感情が高ぶったアルトは改めてエルヴァに告白し、歯止めが効かなくなり、エルヴァを襲おうとする。自らの行動に危機感を抱いたアルトは、エルヴァと適度な距離を置いて生活しようとする。一方、エルヴァはアルトが自分に触れる回数が減ったことに寂しさを覚えていた。そんな中、アルトが住む集落で祭りが行われることとなり、アルトはエルヴァを誘うのだった。

メディア化

ドラマCD

2022年5月に、本作『夜明けの唄』のドラマCD『夜明けの唄』が、フロンティアワークスより発売された。キャストは、アルトノウルを内田雄馬、エルヴァを河西健吾が演じている。

登場人物・キャラクター

アルトノウル

海沿いの集落で生まれ育った青年。鍛冶職人を生業にしている。幼い頃から自らの住む集落を守ってくれている覡のエルヴァに興味を持ち、スシュカに命じられて彼が住む小屋に行ったことで友達となる。以降、共同生活を送る中でエルヴァに恋心を抱くようになる。背が高く整った顔立ちで、大抵のことは器用にこなす。さらに人当たりがいいことから、女性にモテるもののエルヴァ以外にはまったく興味がない。アルトノウル自身は気づいていないが、治癒能力を持っており、いっしょにいる者の傷を癒すことができる。そのため、出会った頃には余命いくばくもなかったエルヴァの寿命を延ばしている。日常生活では何よりもエルヴァを優先しているため、周囲からは忠犬のようだと呆(あき)れられている。周囲からは「アルト」と呼ばれている。

エルヴァ

夜の海から現れる正体不明の化け物を退治する「覡」の青年。10代前半の容姿ながら、れっきとした大人。ある日突然、アルトノウル(アルト)が自分の住む小屋に押し掛けてきたことで知り合いとなる。最初はアルトに対して警戒心を抱いていたが、次第に心を許すようになる。アルトに傍にいて欲しいと願っているが、それが恋心なのか、彼の特殊能力によってエルヴァ自身の寿命を延ばしてもらいたいのかは定かではない。

コノエ

覡を管理する団体「修道会」で、監察官を務める男性。エルヴァの様子を見に来た際に、アルトノウル(アルト)と知り合いとなる。無口で不愛想な性格のため、アルトからは苦手意識を抱かれている。しかし、アルトが傍(そば)にいることでエルヴァの精神が安定していることもあり、アルトに信頼を寄せている。アルトにできるだけエルヴァといっしょにいて欲しいと思っており、彼が恋愛しないように関節技をかけて脅迫するなど、お茶目な一面もある。レティの部下のような立場で、つねに行動を共にしている。

レティ

覡を管理する団体「修道会」で、監察官を務める女性。エルヴァの様子を見に来た際に、アルトノウル(アルト)と知り合いとなる。無口なコノエとは対照的に明るく社交的な性格で、アルトに対しても友好的に接している。覡に関する知識も豊富だが、アルトとエルヴァには余計なことは話さないようにしている。また、誰にも打ち明けてはいないものの、人間のために命を削り、孤独に死んでいく覡の在り方に疑問を抱いている。コノエの上司のような立場で、つねに行動を共にしている。

マニエリ

エルヴァとは別の地域の海を守る覡の少年。アルトノウル(アルト)が夜の海に飲まれてしまい、海岸で気を失ったまま倒れていたところを発見し、助けたことで知り合いとなる。これまで覡として孤独な生活を強いられており、自らに偏見を持っていないどころか、親しくしてくれるアルトに好感を抱いている。アルトに対しては明るくフレンドリーに振る舞うものの、実際には一人で死んでいくことに恐怖と孤独を覚えている。

スシュカ

海沿いの集落で暮らしている少女。アルトノウル(アルト)の従姉。母親からエルヴァが住む小屋に物品を運ぶように言われるが、それをアルトに押し付けたことで、二人が親しくなるきっかけを作った。自己中心的な性格で口が悪く、自分の仕事を強引にアルトにやらせることが多い。アルトとはよくケンカをしているものの、本当は大切に思っている。自宅では傍若無人に振る舞っているが、外では猫をかぶっている。

シマ

海沿いの集落で暮らしている男性。鍛冶職人を生業としている。アルトノウルは職場の先輩にあたり、ふだんから親しくしている。明るくポジティブな性格で、コミュニケーション能力が非常に高い。ほかの人間とは異なり、覡のエルヴァに対しても対等に接している。既婚者で、子供が一人いる。

シヨン

アルトノウル(アルト)たちが住んでいる、海沿いの集落を治める領主の男性。アルトが覡を管理する団体「修道会」のメンバーたちが集う施設の修復作業をしていた際に、声をかけてきたことで知り合いとなる。一見紳士的に振る舞っているものの、裏表の激しい腹黒い性格の持ち主。エルヴァの母親がメイドとして働いていた縁があり、幼い頃は覡になる前のエルヴァと同じ屋敷に住んでいた過去を持つ。

その他キーワード

(かんなぎ)

夜の海からやって来る正体不明の化け物から、人間を守る仕事を生業とする男性のこと。戦う際に特殊能力を使うため、それと引き替えに命が蝕まれていく。戦うたびに「墨痣(ぼくし)」と呼ばれる黒い痣(あざ)のようなものが指先から増えていき、最終的には全身に広がって命を落とす。強制的に見知らぬ土地の小屋に閉じ込められ、毎晩化け物と戦って命を縮めているが、戦いではなく孤独と恐怖に耐えられずに死んでいく者も多い。これまで最も長く生きた覡は、仕事に就いてから8年と短い。覡になれる者は家系ではなく、10代前半で突然髪と肌が白くなり、額に花のような文様が浮かび上がることで判明する。それらの特徴が身体に現れると、覡を各地に配置し、管理する「修道会」と呼ばれる団体が迎えに来る。また、覡として戦い続けると身体の成長がゆるやかになり、エルヴァも成人であるものの、10代前半の容姿を保っている。古の時代には村人との交流もあったが、年を取らない様子や墨痣が浮かび上がった身体への嫌悪感から、現在では必要最低限の物資を届ける以外には距離を置かれている。このことが、さらに覡を孤独に追いやっている。

書誌情報

夜明けの唄 5巻 シュークリーム〈from RED comics〉

第1巻

(2021-08-06発行、 978-4910526041)

第2巻

(2021-12-07発行、 978-4910526126)

第3巻

(2022-10-07発行、 978-4910526256)

第4巻

(2023-08-07発行、 978-4910526416)

第5巻

(2024-04-05発行、 978-4910526461)

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