リスタートはただいまのあとで

リスタートはただいまのあとで

会社をクビになった狐塚光臣が、10年ぶりに実家のある田舎町に帰ると、そこには近所の家に養子に迎えられたという同じ年の熊井大和の姿があった。人付き合いが苦手で、何事もうまくいかない光臣と、優しくて人当たりのいい、愛され方言男子の大和。正反対の二人が互いに惹かれ合う様子を描く、ほっこりボーイズラブストーリー。「Canna」Vol.51(2016年12月)からVol.61(2018年8月)にかけて掲載された作品。コミックスの巻末には描き下ろしのエピソードも収録されている。

正式名称
リスタートはただいまのあとで
作者
ジャンル
家族
 
BL
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あらすじ

第1巻

広い空だけが自慢の片田舎で生まれ育ち、高校入学を機に上京した狐塚光臣は、2年勤めた会社をクビになり、10年ぶりに帰郷した。自分が置かれている現状にうちひしがれていた光臣は、以前と変わらない様子の田舎町で、近所の熊井のもとに養子として迎えられた熊井大和と出会う。光臣は、何かとトラブルを起こしては人と揉め、人付き合いもうまくないため、仕事をクビになったり、逃げ出したりと今まで長く続いたためしがなかった。ところが、初対面のはずの大和が、人懐こい笑顔でまるで昔からの知り合いだったかのように接してくるため、どこか素直になれずにふてくされ顔をしながらも、光臣は彼の温かい人柄に心惹かれていく。そんなある日、光臣は実家の稼業である仏具屋を継ごうと決意。それは、光臣にとって大きな決断だったが、これまでの光臣の言動を見ていた光臣の父は、それを認めなかった。店番をすることさえ許さない父親の様子に腹を立てつつも、光臣はなんとかして自分を認めてもらおうと頭を悩ませ、父親にありのままの気持ちをぶつける。一方、田舎町のみんなに愛される大和には、生まれてすぐに公園のベンチに捨てられていたという暗い過去があり、自分が誰かを愛するという未来を見出すことができずにいた。そのため、大和は今まで人に対してどこかで壁を作っていたが、光臣への思いを自覚した大和は、彼に自分の生い立ちを語り始める。そして改めて、自分のルーツを知るために光臣と共に東京へ行く決意をする。

登場人物・キャラクター

狐塚 光臣 (こづか みつおみ)

何もない片田舎で生まれ育った男性。年齢は25歳。高校生の時に上京し、2年勤めた会社をクビになり、実に10年ぶりに帰郷した。何かと暴力に訴えがちで、思ったことをなんでも口に出してしまうところがあり、毒舌と目つきの悪さも手伝って、人間関係を円滑に保つことができない。今までトラブルがあると、逃げ出してばかりいた。今回実家に戻ったことで、熊井大和と知り合い、まるで幼なじみだったかのように自然といっしょの時間を過ごすようになる。大和の屈託のない笑顔に癒され、男性と理解していながらも惹かれていく自分を止められない現状に、とまどいつつも、大和のことをもっと知りたいと思うようになる。そんな中、実家が営む仏具屋を継ぐ決心をしたものの、光臣の父からは認められず、店番すらできない状況が続いている。唯一許されている内職の手伝いと、大和の手伝いだけが現在の仕事となっている。父親に懇願しても、話も聞いてもらえず、自分を認めてもらえない現状に頭を悩ませていた。その後、これまでの自分自身と向き合い、今の自分の素直な気持ちを父親に打ち明けたところ、店に立つことを許され、後継ぎとして修行の日々を送ることになる。一見、人懐こい愛されキャラの大和が、ふとした拍子に心の壁を作ることが気になっている。

熊井 大和 (くまい やまと)

生まれて間もなく、東京にあるつばき公園のベンチに捨てられていたところを発見され、保護された男性。年齢は25歳。身寄りのないことから複数の施設で育ったが、高校生の時、熊井からの申し入れを受けて、養子となり、田舎暮らしを始めた。以来、方言でしゃべり、また明るくやさしい温かな人柄から、田舎町の人たちに愛されるようになった。だがある時、熊井が入院することになった時、今後の農作業に関して心配した近所の人たちが、彼を内心よそ者として扱っていたことを知る。これを機に、なんでも当たり前と思ってはいけないと、日常のありがたみを感じ始める。また近所の人の言葉に対し、自分のことのように腹を立ててくれた狐塚光臣に好感を持つようになる。光臣とは、まだ出会って一か月ほどしか経っていないが、狐塚ヨシ子からずっと光臣の話を聞いていたため、初対面の時から幼なじみのような不思議な感覚を抱く。自分の過去に対しては、きちんと向き合えないままになっているところがあり、それが原因で人懐こいようでいて心に壁を作るところや、笑顔でごまかす癖がある。光臣と関係を築く中で、次第に自分自身と向き合いたいという気持ちが強くなり、東京で自分の戸籍を調べることを決意して、光臣と共に東京の役所へと向かった。しかし残念ながら、自分のルーツを知ることはできなかったが、偶然にも当時公園で保護された時、現場に居合わせたという役所の職員と話をすることができた。そして自分の「大和」という名前は、生みの親に付けられたものだと知ることになる。このことから、自分に自信が持てるようになり、自分も誰かを愛することができるようになれたらいいと、前向きに大きな一歩を踏み出すきっかけとなった。

熊井 (くまい)

片田舎で農業を営むお爺さん。熊井大和が高校生の時、大和を養子として迎え入れることを決めた。その時、すでに妻は病院に入院中で、余命幾ばくもない状況だった。ほどなくして妻が他界し、現在は大和と二人で暮らしている。毒舌の頑固者で、腰が曲がっている。近所に住む狐塚光臣のことは、幼い頃からよく知っているため、会社をクビになって逃げ帰って来た光臣に対し、久しぶりに会ったにもかかわらず言葉に容赦はない。ある時、重い荷物を持っている時に転び、足の骨にひびが入ってしまったため、入院することになった。その後は無事に回復し、日常生活に戻るものの、この出来事が平穏な日々が当たり前に続くとは限らないと、大和に危機感を抱かせるきっかけとなった。大和に絶対の信頼を寄せており、実の息子のように接している。

狐塚 ヨシ子 (こづか よしこ)

狐塚光臣の母親。夫の光臣の父と共に仏具屋を営んでいる。元気いっぱいで明るい性格をしている。仕事をクビになって、実家に逃げ帰って来た光臣にはたびたび小言を言っているが、内心は帰って来てくれたことを喜んでいる。光臣が帰って来る前まで、熊井大和には光臣の話をしていており、5年生までおねしょが治らなかったことなど、光臣の幼い頃のことは大和に筒抜けになっている。

光臣の父 (みつおみのちち)

狐塚光臣の父親。仏具屋を生業としている。寡黙な性格で典型的な頑固オヤジ。仕事をクビになって、東京から逃げ帰って来た光臣に対しては、あまりいい感情を抱いていないこともあり、家業の手伝いを申し出るたびに拒絶している。しかし、光臣があまりにしつこいため、最近は内職の手伝いをすることだけは許可したが、店番や後継ぎにすることは認めていない。のちに、光臣からの言葉を聞いて、これまでの自分ときちんと向き合い、自らを見直すことができたと判断したことで、後継ぎとして店に立つことを許した。

ハラダ

片田舎で小さなスーパーを営んでいる男性。強面で、非常に威圧感がある。かつて狐塚光臣を雇っていたが、トラブルから光臣が2日で辞めてしまった経緯がある。お店では、熊井が作る野菜を仕入れているため、よく熊井大和が納品に訪れていたが、大和が来るたびに光臣の最近の様子を聞かされていた。大和の手伝いで、光臣が野菜を届けに来た際には、気まずそうな光臣に対し、最近がんばっているらしいなと声をかけ、やればできるんじゃないかと評価した。その言葉を聞いて頭を下げ、以前のことを謝罪した光臣を笑顔で茶化しながら、当時から取っておいた2日分の給料を彼に渡した。

原田 裕 (はらだ ひろむ)

ハラダの息子。強面で、人を喰ったような態度は父親にそっくり。熊井大和とは高校時代のクラスメイトで、今は実家が営むスーパーを手伝っていることもあり、友人としてだけでなく、取引先としても交流が続いている。大和とは仲がいいが、どことなく他人に対して壁を作っていることを感じ、気になっている。幼い頃、よくスーパーに買い物にきていた狐塚光臣のことを思い出し、兄にこき使われて泣いていただろうと光臣を茶化し、怒らせて楽しんでいるが、友達思いの優しさも持ち併せている。高校時代は野球部でエースだった。

役所の職員 (やくしょのしょくいん)

東京の役所に勤める男性。26年前、東京のつばき公園に赤ん坊が捨てられているという一報を受け、現場に駆け付けた職員の一人。熊井大和が、狐塚光臣と共に役所を訪れた際に、公園の名前と大和の名前を聞き、もしかしてあの時の赤ん坊ではないかと声をかけた。大和に当時、彼が捨てられていた時の状況を説明し、赤ん坊といっしょに添えられていたメモに「大和」と書かれていることを明かす。

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