概要・あらすじ
昭和の初めごろの東京。場末の料亭に、真昼間ぶらりとあらわれた黒衣に山高帽の謎の美青年夢幻魔実也。そこに首かじり、手の目、毛羽毛現、陰魔羅鬼、猫又などの妖怪たちが次々に現れ、魔実也をたぶらかそうとする。しかし、妖怪たちは彼らの悪だくみを即座に見抜く魔実也に翻弄され、その超能力の前に屈することになる。
登場人物・キャラクター
夢幻魔 実也 (むげんま みや)
『夢幻紳士 逢魔篇』の主人公で、黒いマント・背広姿で山高帽をかぶった、長髪の美青年。次々に襲いくる妖怪の魔力にも澄ました顔で立ち向かう不思議な能力を持っている。千里眼の能力を持つ少女芸人、手の目に「女難の相」があると指摘されるように、彼がかかわる怪異事件には、多く女性の執念が絡んでいる。
手の目 (てのめ)
予知や千里眼の能力を有し、それを芸として酒席などで披露して生計を立てている少女芸人。右の手の平に目玉が描かれている。背中に痛々しい火傷の痕があるが、そこに妖怪牛鬼を宿している。魔実也の座敷に上がってから、行動を共にする。
女将 (おかみ)
昭和初期、東京の場末にあると思われる料亭の女将。魔実也らの妖怪との対決をよそに、魔実也の酒代を気にしたり、失踪した猫を探したりしている。この料亭でかつて自殺した娘がいるのだが、それはこの女将の実の娘だった。
居合わせた男 (いあわせたおとこ)
たまたま魔実也のいる料亭に居合わせた背広姿でメガネをかけた男。その妻に妖怪がとりついていることもあり、家に戻りたくないと、しばし魔実也とともに酒を酌み交わす。
牛鬼 (うしおに)
牛とも蜘蛛ともつかない姿の妖怪だが、その正体は海沿いの寒村で生まれた手の目の実の父の成れの果て。手の目の背中のむごたらしい火傷痕の中に取り憑いているが、今や芸人である手の目のとっておきの芸ネタとなっている。
場所
場末の料亭 (ばすえのりょうてい)
魔実也が訪れた東京の場末にある。魔実也が居座る真昼間から翌日の朝までの間に、さまざまな妖怪たちがそこに現れては魔実也らをたぶらかそうとする。
その他キーワード
山高帽 (やまたかぼう)
魔実也が外出する際、常にかぶっている帽子。一度手の目がかぶって料亭の外に出たことがあり、その時は、その帽子を通して魔実也は外の世界の状況を知り、手の目と会話をしている。
関連
夢幻紳士 マンガ少年版 (むげんしんし まんがしょうねんばん)
舞台は昭和初期の日本。少年探偵夢幻魔実也が怪奇事件に挑み、解決していく物語。一連の『夢幻紳士』のタイトルが冠された作品のうち、最初期の短編連作。 関連ページ:夢幻紳士 マンガ少年版
夢幻紳士 幻想篇