黒の探偵

黒の探偵

日丘円の代表作の一つ。現代日本を舞台に、ドSな高校生探偵の黒葉杳が、ドMでお人好しな高校生、十色新を助手に迎え、本格的な探偵活動を開始する。杳をつけ回すストーカーの御巫音音や、天羽侑一の教えを受け継ぐ宇佐美一途といった個性的な仲間たちと共に、さまざまな事件を解決していく姿を描いた新感覚の探偵物語。スクウェア・エニックス「月刊少年ガンガン」2013年3月号から2015年8月号にかけて連載の作品。

正式名称
黒の探偵
ふりがな
くろのたんてい
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
 
推理・ミステリー
レーベル
ガンガンコミックス(スクウェア・エニックス)
巻数
全7巻完結
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サディスト探偵とマゾヒスト助手のバディ関係

杳は自他共に認めるサディストであり、特に追い詰めた犯人が白旗を上げる瞬間を至上の楽しみとしている。一方、助手の新は気弱で、強い口調で命令されると断れないお人好し。さらに、杳の理不尽な命令にすら、いつしか喜びを見出すマゾヒストでもある。目的のためには手段を選ばないSな探偵と、彼に振り回されながらも献身的に支えるMな助手。この正反対の二人のバディ関係が、凄惨な事件の解決にユーモアと軽快なテンポをもたらしている。

因縁の殺人鬼「ドッペルゲンガー」との対決

物語の前半は、杳と因縁のある連続殺人鬼「ドッペルゲンガー」との対決を中心に展開される。ドッペルゲンガーは、被害者の首を切断して、その人物になりすまして生活するという、神出鬼没の殺人鬼。二人の因縁は、杳がまだふつうの高校生だった頃に遡り、探偵の侑一が殺害された事件がその始まりだった。杳は意図せずドッペルゲンガーを助けてしまい、その結果、侑一を死なせてしまう。死の間際に侑一から託された思いを胸に、杳は天羽探偵事務所に居座り、ドッペルゲンガーを追い続けている。一方、ドッペルゲンガーも杳を意識しており、挑戦的な事件を次々と引き起こす。誰にでも成り代わることができるドッペルゲンガーに対し、杳がどのようにして追い詰めていくのか、緊迫した頭脳戦から目が離せない。

全身を拘束具で縛られた殺人探偵「伯爵」が第2のキーマン

物語の後半を牽引するのは、「伯爵」と呼ばれる謎に包まれた人物。彼は100人以上の命を奪った連続殺人鬼でありながら、探偵としての才能も高く評価されている。元犯罪心理カウンセラーという経歴を持ち、殺人犯の心理に深く共感することで、事件の真相を瞬時に見抜く能力を持つ。かつて家族を再犯者に惨殺されたことから、彼は更生の余地がない犯罪者を自殺に見せかけて殺害する殺人鬼となった。また、杳の父親を殺害した犯人との接点も持っており、犯人をいたぶるものの決して殺すことはないという杳の信条を揺るがす行動を見せることで、物語に大きな波乱を巻き起こしていく。

登場人物・キャラクター

黒葉 杳 (くろば よう)

天羽探偵事務所に所属する男子高校生。特徴的な長めの前髪を持つ黒髪短髪で、誰に対しても高圧的な態度で接している。特に事件の犯人を精神的に追い詰めることに生きがいを感じる生粋のサディスト。ファミリーレストランで好物のオムライスを注文した際、誤って新にオムライスが配膳されたことがきっかけで彼と出会う。新の極度のお人好しさを見抜き、半ば脅すようにして助手に任命した。かつて探偵の侑一が連続殺人鬼「ドッペルゲンガー」を追い詰める現場に遭遇し、その際に侑一を止めたため、彼はドッペルゲンガーに殺害されることとなった。それ以来、深い自責の念を抱えながら侑一の事務所に居座り、独自の調査でドッペルゲンガーの行方を追い続けている。

十色 新 (といろ あらた)

杳の助手を務める男子高校生。頭頂部の2本のアホ毛が特徴で、明るい茶髪のショートボブにしている。気が弱く、ボランティア部に所属するほどのお人好し。その優しさが行き過ぎることもあり、杳からの理不尽な命令にも喜びを見出してしまうマゾヒストな一面を持つ。ファミレスで出会った杳にその性格を見抜かれ、半ば脅される形で助手に任命された。当初は高圧的な杳に怯えていたが、事件の容疑者にされたり、ドッペルゲンガーの罠に命を狙われるなど、数々の窮地を救われるうちに、恐怖は次第に強い恩義と信頼へと変わっていく。

書誌情報

黒の探偵 全7巻 スクウェア・エニックス〈ガンガンコミックス〉

第1巻

(2013-09-21発行、978-4757540606)

第7巻

(2015-10-22発行、978-4757547582)

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