大正浪漫 鬼さんやめてえぇっ!!

大正浪漫 鬼さんやめてえぇっ!!

祖父を探しに大正時代の横浜にタイムスリップしたアンドロイドの少女、港町るくが、花楽里食堂を舞台に繰り広げるSF美食コメディ。時代背景は大正時代の史実に沿っているが、身体が機械化してしまう「機繰筋廠」という架空の病気などが登場し、ファンタジー要素が強くなっている。作中では料理を中心に話が展開し、さまざまな人物と料理を通じてかかわっていく。「ジャンプスクエア」2013年9月号から2014年8月号にかけて連載された作品。

正式名称
大正浪漫 鬼さんやめてえぇっ!!
ふりがな
たいしょうろまん おにさんやめてえぇっ
作者
ジャンル
ファンタジー
関連商品
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あらすじ

第1巻

「時空探査用高性能アンドロイド」である港町るくは、人間の少女として生活していた。しかし、彼女の力を悪用しようと企む「悪の組織」が現れたのをきっかけに、るくは自分の正体を知る。さらに、るくの生みの親である丸亀博士が大正時代で失踪した事が判明すると、るくは避難も兼ねて大正時代へタイムスリップする。大正時代で最初に出会ったのは、不思議な姿のだった。(エピソード「初めましてですね鬼さん!」)

鬼さんとかるたが経営する花楽里食堂で、居候を始めたるくは絡繰筋廠という病気を知る。その絡繰筋廠の影響で花楽里食堂が繁盛していない事を知ったるくは、銭屋萬付に頼み、お祭りに出店させてもらう約束を取り付ける。しかし、そのお祭りで萬付が経営するくらわんかと料理対決をして負けたら店をたたみ、るくは萬付と結婚するという条件を付けられる。(エピソード「中身出てますけど大丈夫ですか鬼さん!」)

お祭りで料理対決をする事になった花楽里食堂とくらわんかだったが、るくの働きと鬼さんの料理の腕前で、花楽里食堂の料理も美味しいという事を民衆に知ってもらう事に成功し、花楽里食堂が勝利する。(エピソード「カルメ焼きはいいですね鬼さん!」)

香港から来た不良グループのボス、九龍が、花楽里食堂を乗っ取るために料理対決を持ちかけて来た。その後、九龍は自分が不良になりきれていないと悩みを打ち明ける。そこで九龍は鬼さんのわがままで傍若無人なところを見込み、勝負に負けた場合は鬼さんの弟子にしてほしいと願い出る。(エピソード「チャーハンが嫌いな女子高生は多分いませんよ鬼さん!」)

九龍との対決当日、るくのもとへ謎の男が現れた。彼は組織の男性で、丸亀博士の研究や、るくの機能を悪用した世界滅亡の計画を阻止するために組織を抜け出したと話す。彼の話によると、博士は組織に誘拐されており、4月17日までに花楽里食堂が存在していなければ、世界が滅亡する計画があると伝える。(エピソード「地球を支配しているのは猫さんなんだそうですよ鬼さん!」)

九龍とのチャーハン対決が始まった。お互い特色の強いチャーハンを繰り出すが、九龍側のチャーハンに毒が入っている事が明らかになり、九龍は負けを認める。(エピソード「えっチャーハン出ないんですか鬼さん!」)

第2巻

買い出し中の港町るくはイタリア人のトポリーノと出会い、花楽里食堂に招待する。トポリーノと仲間のイタリア人達は、花楽里食堂でるくが作ったナポリタンを食べるが、その見た目も味も最悪の出来栄えだった。見かねたトポリーノはるくに本物のイタリアンを教えるため、大使館へ招待する。(エピソード「ボンジョルノで大丈夫ですよね鬼さん!」)

イタリア大使館でトポリーノのイタリア料理を食べたるくは、その美味しさに感動していた。しかし、大使館内で瓦斯兵を嫌う役人が花楽里食堂を馬鹿にしているのを聞くと、るくは花楽里食堂の印象をよくするべく、トポリーノに料理を習って、役人に振る舞う事にする。(エピソード「料理は愛と勇気だけじゃないんですよ鬼さん!」)

かるたの損傷した腕を治すために、瓦斯兵専門の病院があるエリアに来たるくは、古物店で売られているアンドロイドを発見する。るくは、かるたと共に花楽里食堂に連れていき、自分も同じアンドロイドだと教えるが、悪の組織の一員だと勘違いされてしまう。(エピソード「同族のにおいがしますよ鬼さん!」)

のおかげでアンドロイドからの誤解が解けたるくだったが、アンドロイドの口から今日の午後3時までに花楽里食堂でるくと丸亀博士が出会わなければ、世界が滅亡すると告げられる。結局博士と会えないまま3時を迎えると、鬼さんとかるたの絡繰筋廠が突然暴走を始める。(エピソード「花楽里食堂がヤバイですよ鬼さん!」)

絡繰筋廠が暴発して周囲は大混乱に陥っていた。そんな中、ようやく丸亀博士が到着し、絡繰筋廠の暴走を止めるためには、るくの機能を最大限に出力する事が必要だと教える。るくは自らが壊れる事も構わず沈静化に臨む。(エピソード「ハイパーパワーですよね鬼さん!」)

沈静化に成功し、るくの体も多少オーバーヒートしたものの特に問題なかった。絡繰筋廠の呪縛も開放され、るくは大正時代を去る事になる。(エピソード「フィナーレですよね!?鬼さん!」)

登場人物・キャラクター

港町 るく (みなとまち るく)

年齢は15歳の女子高校生。白髪のロングヘアで両サイドにリボンを付けている。おっとりとした性格で、天然ボケなところがある。その正体は丸亀博士が製作した「時空探査用高性能アンドロイド」であり、タイムスリップする事が可能である。その機能の悪用を企む悪の組織から狙われているため、人間として扱われて生活しており、港町るくは15歳になるまで自分を普通の人間だと思っていた。 アンドロイドではあるが、制御装置が付けられているので、知能は一般的な高校生レベルになっている。さらに成長機能が付いているので、年齢に合わせて体も成長する。頭にある全機能を起動させるスイッチを押すと、タイムスリップをする事ができるようになり、起動中は瞳の色がピンクになる。 大正時代に到着してからは花楽里食堂で生活をしている。美味しいものを食べる事が大好きな美食家だが、自分では料理を作る事はなく、仮に作った場合は壊滅的な見た目のものができあがる。

(おに)

花楽里食堂で料理を作っている青年。大正時代の人物。全身が絡繰筋廠に侵されており、甲冑をまとった風体をしている。歩く時には機械音が鳴り、時折蒸気を吹き出す。武士言葉で話す事から周囲に威圧感を与えるものの、いたずらや軽口が好きな飄々とした一面もある。天狗礫の日、弟のかるたをかばって全身が罹患した。しかし、かるたの事は現在でも大切にしており、二人で花楽里食堂を経営している。 食堂では主に調理を担当しており、料理の腕は抜群で、なんでも美味しく作る事ができる。港町るくがタイムスリップした瞬間に居合わせて以来、るくの事を天女だと思っているが、その扱いは雑である。

かるた

鬼の弟で、花楽里食堂をいっしょに経営している成人男性。大正時代の人物。右腕が絡繰筋廠に侵されており、義手のような見た目になっている。短髪の髪型で側頭部に傷がある。ぶっきらぼうで口数が少ないが思いやりがあり、港町るくが現れた際も話を聞いて協力してくれた。食堂では基本的に給仕をしているが、料理の腕はいまいちである。

雪町 (ゆきまち)

丸亀博士の助手の成人女性。現代で生活している。クールな性格で、きっぱりとした物言いをする。港町るくの開発にもかかわった人物であり、るくの母親代わりになっていた。るくに正体を明かしたあとも実の母親のように接しており、るくに危機が迫った時は本気で心配をしていた。

(さかえ)

丸亀博士の助手の成人男性。現代で生活している。のんびりとした性格で、雪町に引っ張られている。港町るくの開発にもかかわった人物であり、るくの父親代わりになっていた。るくの事を実の娘のようにかわいがっている。また、雪町とは夫婦ではないものの恋愛感情はある。

丸亀博士 (まるがめはかせ)

港町るくを製作した発明家の老人。さまざまな時代をタイムスリップしており、所在は不明。白髪でメガネをかけており、普段は車椅子に乗って生活している。「横浜のグルメ王」を自称しており、るくがグルメになるきっかけを与えた人物。その実態は天才科学者であり、タイムスリップの原理を発明したり、宇宙の法則を解明し、さらにその法則に手を加える事までも可能としている。 大正時代にタイムスリップしている時に悪の組織に連れさられ、拘束されてしまう。

銭屋 萬付 (ぜにや ばんづけ)

くらわんかの店主の成人男性。大正時代の人物。和服を着て、長髪をポニーテールにしている。櫻木町の商店街を統括しており、兄貴分として慕われている。外国人や瓦斯兵に対して偏見は持っておらず、平等に接している。港町るくに一目惚れして、プロポーズしたが、結局あきらめた。鬼と仲が悪く、顔を合わせるとケンカをしているが、料理の腕は認めている。

かんらん

くらわんかで働いている少女。大正時代の人物。おかっぱ頭に、うさぎの髪飾りを付けている。銭屋萬付に恋心を寄せているが、内気なため本人に伝える事はできない。港町るくとは仲がよく、二人で出かける事も多い。

グエン・ケム・チャイズア (ぐえんけむちゃいずあ)

くらわんかで働いているベトナム人の少年。銭屋萬付は主人ではあるが、見下したような物言いをするが、心の底では信頼している。

九龍 (がうろん)

香港から来た料理人の年齢不詳の男性。大正時代の人物。短髪でチャイナ服を着ている。不良グループで行動している際は傲慢な態度で振る舞うが、一人になると礼儀正しくなる。もともとは香港で腕利きの料理人として働いていたが、店の後継者争いに巻き込まれ、料理界を追放されてしまう。その後、誤解から不良グループのボスとして祭り上げられ、料理人と不良のトップという二足のわらじを履く事になる。 花楽里食堂を賭けてかるたと料理勝負したが、九龍の部下が内緒で料理に薬を盛った事が発覚して敗れた。

トポリーノ

イタリア大使館料理長の男性。大正時代の人物。高身長で、女性に優しい性格をしている。港町るくと初めて会った時から運命を感じて口説いていた。美食家であり、料理に対しては真剣な眼差しを向けている。

アンドロイド

港町るくが大正時代で出会った男性型アンドロイド。外国人の少年のような見た目で、高飛車な話し方をする。その正体は「時空探査アンドロイド」であり、丸亀博士の研究やるくの機能を悪用しようとする悪の組織によって製作された。組織の陰謀を知ったあと、それを阻止するために組織から逃げ出して大正時代へと向かい、るくと出会った。

組織の男性 (そしきのだんせい)

丸亀博士を連れ去った悪の組織の下働きをしている男性。名前は不明。さわやかな見た目をしているが行動力があり、丸亀博士を連れ去る時も、強引にトラックへ詰め込んだ。当初は監禁中の丸亀博士を世話する役割だったが、博士の人柄に惹かれ、組織を抜け出して協力するようになった。

集団・組織

悪の組織 (あくのそしき)

丸亀博士の研究と港町るくの機能を悪用しようと企む組織。その実態は不明で、全貌は明らかにされていないが、強大な力を持っている事はわかっている。博士の研究を悪用し、誤作動を起こした事で、世界の歴史が少しずつ変わっている原因となっている。

場所

櫻木町 (さくらぎちょう)

横浜にある町。多くの人が訪れる町であり、瓦斯兵や異国人なども多数集まっている。

花楽里食堂 (からくりしょくどう)

鬼とかるたの兄弟で、経営している大衆食堂。瓦斯兵である二人が料理を作っているため、同じ瓦斯兵のあいだでは人気の店となっているが、一般人の客はほとんど入らない。

くらわんか

銭屋萬付が経営する料理店。ハイカラな雰囲気があり、幅広い客層を持っている。萬付が調理を行っており、出す料理は海外のものをアレンジしたメニューが多い。

その他キーワード

機繰筋廠 (からくりきんしょう)

身体が機械のようになってしまう奇病。10年前に突如空から天狗礫と呼ばれる光の塊が降り注ぎ、その光を受けた者だけが発症している。身体に文様が浮かび、そこから機械化する。詳しい原因や治療方法などは不明。身体の一部だけに光が当たると、その部分だけが先に機械化するが、徐々に全身が機械化になっていく。重症化すると、人間の形からかけ離れた姿になってしまう。 機械化した部分は通常の人間よりも丈夫で能力が高くなる。また、人間以外にも発症例があり「溢れ畜生」と呼ばれている。

瓦斯兵 (がすへい)

機繰筋廠を患った人物を指す蔑称。ただし、機繰筋廠にかかった者も自ら瓦斯兵と名乗っている。名前の由来は、機械のように蒸気を出す者を貶す意味での「屁」をかけた「瓦斯」と、軍事施設で働く者が多いため「兵」と付けられた事による。その外見と近づくと独特の臭いがするため、一般人からは異端な目で見られている。また、身体能力の高さから工場などでは重宝されているが、それを疎ましく思う人間もいる。

天狗礫 (てんぐつぶて)

10年前の早朝に、突如空から降り注いだ光の塊。この光の塊を浴びた者は、絡繰筋廠に侵される事となった。

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