大邱の夜、ソウルの夜

大邱の夜、ソウルの夜

韓国のソウル出身の漫画家ソン・アラムの代表作の一つ。『韓国が嫌いで』や『極めて私的な超能力』などの日本語訳を手掛けた吉良佳奈江が翻訳を務め、放送作家の町山広美による解題が掲載されている。ソウルと大邱を舞台に、夫婦生活がうまくいかずに鬱屈した日々を過ごすパク・ホンヨンと、家父長制の家に育ったことやブラック企業で働いていたことから自由を謳歌(おうか)できず、大邱への帰還を機に人生を変えようと励むソ・コンジュ。家父長制が根強く残る韓国社会への葛藤に悩む二人の交流と、それぞれの生き様を追うヒューマンドラマ。女性であるというだけで不当な扱いを受ける社会や周囲の環境に不快感を抱きつつ、そんな自分のことも好きになれない二人が、それでも気持ちに折り合いをつけながら、「なりたい自分」を目指して努力を重ねる姿が描かれる。物語は「大邱の夜」と、その過去編である「ソウルの夜」の2部で構成されている。2022年2月に「KGB」からコミックスが刊行された。

正式名称
大邱の夜、ソウルの夜
ふりがな
てぐのよる そうるのよる
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
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概要・あらすじ

登場人物・キャラクター

パク・ホンヨン

ソウルでイラストレーターを生業とする女性。ソ・コンジュの親友で、彼女からは「パッコン」の愛称で呼ばれている。快活な性格で、辛抱強く共感力が高い。一方で感情の起伏が激しく、人との距離感を測るのが苦手な一面がある。夫のチャ・テシクと恋愛の末結ばれたが、現在は主張がかみ合わないことが多いことから互いに不満を抱いている。また、テシクの親や兄からぞんざいに扱われていること、仕事に関してなかなか理解してもらえないこと、女性同士ながらコンジュとなかよくしていることも、夫婦仲がよくない一因となっている。しかし、家族を心から嫌いにはなりきれず、事あるごとに衝突と和解を繰り返している。コンジュとはインターネットのブログで知り合い、当初は世間知らずと思えるほどの素直さに不信感を抱かれていたが、お互いの境遇を理解し合い、やがて意気投合する。

ソ・コンジュ

大邱で暮らしている女性。パク・ホンヨンの親友。辛抱強い性格はホンヨンと似ているが、ややマイナス思考ながら理性的な一面が目立つ。家族のことを大切に思っているが、家庭の事情に縛られて自分の人生を生きていないことを嘆いており、父親の物言いに反感を抱いたり、母親とケンカをすることも多い。ホンヨンと出会う前は、両親と祖母と暮らしていたが、認知症の祖母の世話を余儀なくされ、趣味でブログをアップすることを生きがいとしていた。ホンヨンとはそのブログを通じて知り合い、やがて親友となる。祖母の死後はソウルで一人暮らしを始め、出版社で女性誌に携わる仕事を始める。しかし、会社がとんでもないブラック企業だったため、やがて仕事にもソウルにも見切りをつけて大邱へと戻る。その後、母親が病気となり面倒を見ることになるなど苦労が続くが、大手銀行への就職が決まり、ようやく人生に潤いを感じ始める。

クレジット

翻訳

吉良 佳奈江

その他

町山 広美

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