天下一!!

天下一!!

過去へタイムスリップしてしまった普通の女子高生が、戦国時代を駆け巡る大河ロマン。物語は、織田信長の人生最後の2年間である天正8年(1580)の終わりから、天正10年(1582)の6月に絞って展開する。「ウィングス」で2008年11月から2013年8月にかけて連載された作品。

正式名称
天下一!!
ふりがな
てんかいち
作者
ジャンル
戦国
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概要・あらすじ

女子高生の武井虎は、古武術道場の娘として育ったためか、クラスでも少し浮いた存在だった。ある日、学校をサボった虎が、近所の城跡で昼食を食べていると、目の前に謎のウサギ面の男が現れる。そしてふと気がつくと、虎はいつの間にか戦国時代にタイムスリップしてしまっていた。人買いに捕まり、危ういところを射撃の名手である無二に救われた虎は、天下統一目前の織田信長のもとへ潜入するために、「男として信長に仕えるか、女として妾になるか」の二択を迫られる。

登場人物・キャラクター

武井 虎 (たけい とら)

高校1年生の女子。慶長期から続く一子相伝の武井流古武術道場の娘。織田信長に仕えた側近中の側近である万見仙千代に似ている。子供の頃から古武術で鍛えられてきたおかげもあってか、無二の手ほどきによって銃の扱い方を短期間で習得し、他の武将たちを唸らせるほどの実力を身につける。一方で勉強が苦手で歴史には疎く、本能寺の変についての周辺事情をまったく知らない。 感情の赴くままに戦国の世を突き進んでいく。持ち前の明るさと現代人ならではの奇抜な発想は、信長をはじめ小姓衆たちの度肝を抜き続ける。当初は目の上のたんこぶのように思っていた森乱丸に対して、いつしか恋心を抱き始める。

ウサギ面の男 (うさぎめんのおとこ)

ウサギのかぶりもので顔を隠した男性。神出鬼没で、武井虎の前に現れ、皮肉とも助言とも取れる発言をしては、虎を悩ませている。虎を元の時代に戻す力を有しており、現代に戻る条件として、「ある歴史を変える」ことを虎に突きつける。

無二 (むに)

紀州国雑賀荘に住む男性。射撃の名手だが、過去に銃の暴発で隻眼となった。薩摩からの帰りに、奴隷として売られていた武井虎を500文で買い受けた。戦国の世を生き延びる手段として、妾または側近になることを虎に選ばせ、織田信長のもとへの潜入を命じる。虎が無事に任務をこなせるよう、書状の読み書きや馬術、銃の扱い方を徹底的に叩き込む。 言動は厳しいが根は優しく、常に虎の身の上を案じている。

雲母 (きら)

無二の妻。戦国時代に迷い込み、右も左もわからず途方に暮れていた武井虎を手厚く介抱する。珍しい物が好きで順応性が高く、虎のこともすぐに受け入れた。虎の占いにより、温厚だが後になってから怒りがこみ上げてくる性格だと指摘され、雲母自身も改めて自分について自覚する。

森 乱丸 (もり らんまる)

織田信長の小姓衆の1人である男性。端正な顔立ちで、数多く仕える小姓衆のなかでも最も優れた働きを見せ、また自己を厳しく律する姿勢が信長に高く評価されている。当初は型破りな性格の武井虎を持て余していたが、女だと知ってからは、人知れず虎を守るようになり、一番の理解者となる。自分が置かれた状況と立場をよく理解したうえで、信長への揺るぎない忠誠心を貫く。 頑固で譲らない性格が災いしてか、何かにつけて虎とはよく衝突する。実在した人物・森蘭丸がモデル。

小倉 松寿 (おぐら まつじゅ)

小姓衆の1人である男性。織田信長の側室であるお鍋の方の息子。穏やかな性格で、城に仕えて間もなくパニック状態になりかけていた武井虎の心に寄り添い、癒した。弱きを助け、強きをくじく精神の持ち主。当初は手を焼いていた虎に、逆に支えられることが多くなってからは、だんだんと虎に惹かれていく。

高橋 虎松 (たかはし とらまつ)

信長の小姓衆の1人である男性。小姓衆の中では、何もかも秀でて突出している森乱丸に友情を感じつつも、少しだけライバル心を燃やしている。当初は武井虎に対して異端な存在だと呆れていたが、次第に誰よりも可愛いと思うようになってしまう。照れ屋でぶっきらぼうだが、虎が困っていると放っておけない。

織田 信長 (おだ のぶなが)

尾張国を統治する戦国大名。数々の所業から「魔王」と恐れられるが、城の中では気さくで親しみやすい人物。しかし、周囲の人間たちが計り知れないほどの美学を持ち、「いいねぇ」という意味の「キ・ボーン」という伴天連(バテレン)語を好んで多用する。かつての側近だった万見仙千代に瓜二つで天真爛漫な武井虎を気に入り、小姓として仕えさせた。 礼節を欠く者は決して許さない、という厳しさも持ち合わせながらも、新しいもの、珍しいものが大好き。虎が現代から持ち込んだアイデアを、次々と受け入れる懐の深さを見せる。忠実な部下たちに恵まれていたにも関わらず、自らの疑心暗鬼によって多くの誤解と恨みを買い、破滅への一途を辿っていく。実在した人物・織田信長がモデル。

森 坊丸 (もり ぼうまる)

森乱丸の弟。森家四男にあたる男性。強者揃いの森家の中で、1人だけ華奢な容姿を気にしている。幼少期に父親と一番上の兄を亡くした悲しみから、銃や爆竹などの大きな音に恐怖を感じていた。武井虎と出会い、虎の生き様を目にしたため、少しずつ恐怖を克服していく。

森 力丸 (もり りきまる)

森乱丸の弟。森家五男にあたる男性。兄である乱丸に勝るとも劣らない腕力を誇るが、兄よりも前に出てはいけないと自制し、控えめに振る舞っている。相撲取りに憧れており、相撲大会で優勝するため、鍛錬に励む毎日を送っている。

森 千丸 (もり せんまる)

森乱丸の弟。森家六男にあたる少年。暇を見つけては武井虎に相撲での勝負を挑むが、いつもあっさり負かされてしまう。非常に負けん気が強いため、虎には不意打ちを仕掛けたり、あの手この手を使って何度も挑戦し続けているが、一度も勝ったことがない。

明智 光秀 (あけち みつひで)

織田信長に仕える重臣の1人。25間先の的に100発もの弾を当てられるほどの射撃の名手。温和で人当たりも良く、周囲からの人望も厚い。本能寺の変の事実を知る武井虎からは、何かと疑わしく思われている。しかし、謀反を起こしそうな気配など微塵も感じさせないほど、信長と友好的な関係を保っている。実在した人物・明智光秀がモデル。

(ゆみ)

織田信長の側室であるお鍋の方の侍女。戦国時代での慣れない生活に不満を募らせた武井虎を、何も聞くことなく優しく慰めた。小倉松寿とは恋仲だが、周囲に悟られないよう気をつけている。とても芯が強く、他の侍女たちとは一線を画した雰囲気を持つ。

妙向尼 (みょうこうに)

森乱丸の父親である森可成の妻。乱丸たちの母親。いつも念仏を唱えては、息子たちの安否を危惧している。織田信長の命によって森家に居候することになった武井虎を疎ましく感じ、虎に傾倒していく乱丸を厳しく叱責するが、それは乱丸への深い愛情の裏返しでもある。実在した人物・妙向尼がモデル。

青木 鶴 (あおき つる)

織田信長の小姓衆の1人である男性。美濃の生まれということ以外、年齢やその他については明かさない主義。常に冷静沈着で、仕事は完璧にこなすが、その裏で何を考えているのかまったく読めない。武井虎に対しては表立って批判的な態度は見せないものの、密かに怪しんでいる。

夕庵先生 (せきあんせんせい)

織田信長の祐筆で、茶人でもある男性。高齢のため第一線からは退いているが、信長の城の近くの屋敷に住み、信長からも絶大な信頼を得ている。物腰が柔らかく、礼儀知らずで突拍子もない行動ばかり繰り返す武井虎に対しても好意的で、孫のように可愛がっている。

雑賀 孫一 (さいが まごいち)

砲術で有名な雑賀衆の1人。鉄砲隊の一部を任されている男性。現在は織田信長に与しているが、真意のほどは定かではない。銃の扱いに卓越しており、その腕前は武井虎を蒼白にさせるほど。礼儀に重きを置かない性格で、信長をも呼び捨てにする命知らず。虎をどこかの回し者ではないかと怪しんでいるが、なかなか尻尾をつかめないでいる。 実在した人物・雑賀孫一がモデル。

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