概要・あらすじ
鎌倉の夜の海で睡眠薬を飲んで自殺を図った女子大生・有栖川次子は、たまたま通りかかった織田四郎に助けられる。偶然にも、四郎は次子の大学の新任教師だった。「人間はまだ進化の途中で、この先、もっと進化したら翼が生えるのではないか」と問い続ける次子に惹かれていく四郎。やがて、次子から自殺未遂の話を聞き、翼を欲しがった理由を悟る。
次子の重かった心の扉は、四郎の言葉によって開放されていく。
登場人物・キャラクター
有栖川 次子 (ありすがわ つぎこ)
女子大生。横浜の女子大学に通い、文様研究会に所属する19歳。両親は海外転勤、姉は地方に嫁いでいるので、横浜の港のみえる丘公園の近くにある家で一人暮らしをしている。鎌倉の海で睡眠薬を飲み、自殺未遂をおこしたところを、織田四郎に助けられる。
織田 四郎 (おだ しろう)
有栖川次子の通う大学に勤める、新米の生物教師。長崎で生まれて関西で育ったため、関西なまりがある。短気で怒りっぽい。海岸で自殺未遂をおこしたところを助けてから、次子が気になって仕方がない。ヨーゼフの教会に下宿している。
ヨーゼフ
教会の牧師。戦争中は医師をしていたが、のちに牧師となり、鎌倉の教会に住んで画塾を開いている。織田四郎はそこの下宿人。自殺未遂をおこした有栖川次子の介抱をした。体型は太めで、優しい紳士。