にこたま

にこたま

交際9年同棲5年のカップルが、仕事や結婚、子作りなど、さまざまな事態に直面する姿を描く。三十路を目前に控えた男女の第三次性徴白書。「モーニング・ツー」2010年22号から2012年62号、2012年12月号から2013年2月号にかけて連載された作品。

正式名称
にこたま
ふりがな
にこたま
作者
ジャンル
恋愛
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概要・あらすじ

弁当屋でアルバイトをしている浅尾温子は、弁理士の岩城晃平と交際を始めて9年目。同棲生活も5年目に入り、以心伝心の関係を築いていた。しかし、晃平の様子が最近少しおかしい。帰宅しても、表情が険しく、思いつめた表情が多くなっていたのである。しかし、温子は晃平に何かあったのかと質問することができず、お互いにスッキリしない日々が続いていた。

そんなある日の夜、帯状疱疹と副睾丸炎を併発してうなされていた晃平から唐突に「子供ができた」と告げられる。はじめは冗談でも言っているのかと思っていた温子だったが、晃平は真剣な表情で、相手の女性は今後、1人で子供を育てていくことになる、と説明する。こうして温子は大口論の末に晃平の話を受け入れ、これからの問題を解決する道を模索する。

登場人物・キャラクター

浅尾 温子 (あさお あつこ)

てづくり弁当よねすけという弁当屋でアルバイトをしている女性。黒髪のショートカットの髪型をしている。パーカーやスウェットにジーパンを合わせるなど、ボーイッシュな服装を好んで身に着けている。以前は大手の新聞社で働いていたが、成長を実感できる仕事をしたいと考えた末に退職。その後、高校の同級生だったともよがてづくり弁当よねすけを始める際に声を掛けられ、アルバイトをするようになった。 恋愛やセックス、結婚、妊娠に対してあまり興味がなく、周囲からは冷めていると言われることがよくある。岩城晃平とは大学時代から9年間の付き合いで、5年前から同棲をしている。同棲しているマンションの裏手に小さな墓地が見えるが、実はそこが大のお気に入り。 感情の起伏が少なく、喜怒哀楽をあまり表情に出さないが、内心では色々と思い悩んでいる。晃平からは「あっちゃん」の愛称で呼ばれている。

岩城 晃平 (いわき こうへい)

コムラ弁理士事務所に勤めている弁理士の男性。黒髪の短髪で、勤務時はいつもスーツを着用している。普段はTシャツやスウェットにジーパンなど、ラフな服装を好んで身に着けている。浅尾温子とは大学生時代から9年間交際を続けており、5年前から同棲している。仕事が終わった打ち上げで、同僚の高野ゆう子と飲みに行った帰りに、一度だけ親密な関係になってしまう。 そして、最近ゆう子の体調が思わしくないことに気づき、彼女が妊娠していることを知る。優柔不断で他人の気持ちに鈍感ながら、誰に対しても分け隔てなく接する優しい性格をしている。温子からは「こうちゃん」の愛称で呼ばれている。

高野 ゆう子 (たかの ゆうこ)

コムラ弁理士事務所に勤めている弁理士の女性。仕事中はいつもスーツを着用している。長い髪を後頭部で1つに束ねたポニーテールで、私生活ではワンピースなど女性らしい服装を好んで身に着けている。岩城晃平の同僚で、どんな難しい案件でもそつなくこなすバリバリのキャリアウーマン。同僚からはその仕事ぶりで敬愛されている反面、近づき難い印象も抱かれている。 晃平と打ち上げで飲みに行き、酔った勢いで一度だけ親密な関係になってしまう。その結果、妊娠したことが発覚。大学生時代から付き合っている女性がいる晃平を気遣い、仕事を退職して実家に戻って子供を1人で育てることを決意する。

木本 (きもと)

てづくり弁当よねすけという弁当屋でアルバイトをしている男性。短髪で黒いフレームの眼鏡をかけて、Tシャツにジーパンといったラフな服装を好んで身に着けている。てづくり弁当よねすけにはアルバイトで入って間もないが、今では仕事にも慣れてきて、お店では重宝されている。普段はおとなしくて温和な性格をしているが、以前に歌舞伎町のビデオ屋でアルバイトをしていたので、ガラの悪い客にも物怖じせずに毅然とした態度で接する勇敢な一面もある。 好物はカレーで、新しいお弁当のアイデア会議の際に、カレーを取り入れたお弁当を作るべきだ、と真っ先に提案していた。

ともよ

てづくり弁当よねすけという弁当屋を経営している女性。長い髪を後頭部で1つに束ねたポニーテールの髪型で、眼鏡をかけている。勤務中はシャツにジーパンなど動きやすい服装をしているが、プライベートでは女性的な服を着ることが多い。開業する際に元高校の同級生で大手新聞社を退職したばかりの浅尾温子に声をかけた。結婚願望が強く、お見合いパーティーに何度も参加している。 人付き合いが苦手で、連絡先を交換したメール相手ができても、すぐに連絡が途絶えてしまう。お酒は飲めるが、すぐに酔っぱらってしまう。

石田 純 (いしだ じゅん)

「株式会社TKエンジニア」に勤める会社員の男性。実家がそば屋「にのみや庵」を経営しており、会社が休みの日は、店で配膳などの接客を手伝っている。その際は、白いTシャツにエプロンを着けている。いつも無表情で感情を表に出すことは少ないが、「にのみや庵」に客として来店した浅尾温子が、店内でひとり涙を流していた様子を見て気になり、徐々に彼女に興味を抱き始める。 料理が得意で、包丁の扱いにも慣れている。

なっち

出版社に勤めている女性。長い黒髪を後頭部で1つに束ねてお団子にしている。大きく首元が開いた黒い長袖シャツに、ストライブ模様のロングスカートを着用している。浅尾温子とは大学時代の同級生。大学卒業後も定期的にお花見をしたり、居酒屋に飲みに行ったりしては、お互いの近況を伝え合っている。会社では編集部に配属されており、今月から「PAS!」という週刊ダイエット誌を担当している。 あまりにも多忙な毎日を送っているため、身も心もボロボロになりながら働いている。その姿に、会社の同僚から付けられたあだ名は「落ち武者」。ワーキングプア状態の彼氏に最近プロポーズをしたが、何故か彼氏がマリッジブルー状態になってしまって困っている。

ナナコ

浅尾温子の大学時代の友人の女性。肩まで伸ばした髪の毛先をゆるくカールさせている。学生時代はパンクファッションに身を包んでいた。大学卒業後に元同級生の男性と交際を始めてからは、花柄のワンピースなど女性的な服装を好むようになり、最近その男性と結婚をしたばかり。こうして付き合う男性によって服装を変えたりするのは、パートナーを不愉快にさせたり、悲しませたりさせないためで、それはマナーとモラルだと考えている。

(きょう)

高野ゆう子の友人の女性。肩までのボブヘアで、前髪をヘアピンで留めており、パーカーに水玉柄のスウェットを着用している。夫とまだ幼い息子と3人で団地で暮らしている。以前は会社勤めをしていたが、今は専業主婦として子育てに専念している。明るい性格で、ゆう子が心を開いて気兼ねなく何でも話せる友人の1人。好物はマカロン。

岩城晃平の友人 (いわきこうへいのゆうじん)

弁護士の男性。黒髪でスーツを着用している。目鼻立ちが整ったイケメンで、妻と果穂という名の3歳の一人娘と3人で暮らしている。岩城晃平とは付き合いが長く、今でも定期的に居酒屋に飲みに行っている。晃平から他人の話の振りをして、不倫相手に子供ができてしまった場合の認知や親権について相談された。家庭的な男性で、嫁と娘を大事にしていて、特に娘に対しては子煩悩ぶりを発揮し、「ヨメも大好きだけど、愛してるのは世界で果穂だけ!!」と居酒屋で酔った勢いで叫んでいる。

所長 (しょちょう)

コムラ弁理士事務所の所長の男性。整髪料で白髪を7対3に右に分けてオールバックにしていて、スーツを着用している。部下を思いやる優しさにあふれた人物。高野ゆう子の仕事に対しての慎重な姿勢、意志の強さを非常に評価しているが、他人に甘えたり頼ったりすることに不得手な性格を心配している。退職して実家に戻り、出産・子育てをするという話を聞かされ、年長者としての立場から、ゆう子にさまざまな助言をする。

大友 (おおとも)

コムラ弁理士事務所に勤めている弁理士の男性。黒髪の短髪で、スーツを着用している。岩城晃平の同僚で、後輩の佐倉と男3人で仕事帰りに飲みに行くことが多い。行きつけの居酒屋「山家」には、お気に入りの従業員の女の子がいる。居酒屋では佐倉の恋の悩みを聞いてあげたりと面倒見が良く、後輩思いな先輩。妻帯者で、よく自分の妻の自慢話をする愛妻家ではあるが、お気に入りのSMクラブがあり、酔っ払った勢いで居酒屋帰りに時々利用している。

佐倉 (さくら)

コムラ弁理士事務所に勤めている弁理士の男性。眼鏡をかけてスーツを着用している。岩城晃平と大友の後輩で、2人の先輩とは仲が良く、仕事帰りによく飲みに行っている。生真面目でいじりがいのある可愛い性格で、飲み屋では2人の先輩にからかわれることが多い。先週、長く付き合っていた彼女から突然別れを告げられ、理由を聞いても答えてもらえず、晃平と大友に恋の相談に乗ってもらっている。

高津 (たかつ)

新聞社に勤めている男性。長髪で、白いシャツの上から花柄の長袖シャツを着て、トートバッグを肩に背負っている。浅尾温子が以前働いていた新聞社の元同僚。温子が在籍していた頃、密かに温子に対して恋心を抱いていた。温子が退職した後も交友関係は続いており、今でも時々2人で飲みに行っている。来月に愛媛支社への赴任が決まり、知り合って2か月の彼女と近々結婚する予定で、彼女のお腹には子供がいる。

ちなっちゃん

木本のガールフレンド。長い髪をストレートにしていて、前髪を目の上で切り揃えている。ネックレス、腕輪などの装飾品を身に付け、首元が大きく開いた五分丈のシャツとハーフパンツを着用している。木本と一緒に居酒屋へ行き、木本がてづくり弁当よねすけで働き始めてから、簡単な料理は一通りできるようになったことや、本木の手が大きく指が長いことを褒めた。 木本の気を引くだけ引いて、終電できっちりと帰宅する魔性の女。

温子の父親 (あつこのちちおや)

浅尾温子の父親。黒髪の短髪で、前髪はおでこが見える位に短い髪型している。黒いフレームの眼鏡をかけており、白い襟付きの長袖シャツを着用している。妻を数年前に亡くし、その後ケイと再婚。最近になってケイが妊娠していることがわかった。普段は物静かでおとなしいが、実家に久しぶりに帰って来た温子に、一緒に同棲をしている岩城晃平と何かあったのかと心配し、できることなら何でもすると話す。 家族思いで優しい性格。

温子の兄 (あつこのあに)

浅尾温子の兄。短髪で柄の入った襟付きシャツを着用している。実家の近くに妻のユミと息子のともと一緒に住んでいる。家では野菜を本格的に育てており、最近はブロッコリーの栽培に力を入れている。家族想いの家庭的な性格で、実家には妻子を連れてよく遊びに行っている。

ケイ

浅尾温子の義母。肩までのボブヘアで、Vネックのシャツに黒いロングスカートを着用している。数年前に妻を亡くした温子の父親と結婚し、最近になって妊娠したことがわかった。前妻との間の子供である温子と温子の兄には何かと気を使ってはいるが、基本的には仲が良い。家では専業主婦として家事全般を行っていて、趣味は無農薬野菜を作ること。 ネギやチコリ、ルッコラなど、さまざまな野菜を育てている。

ユミ

温子の兄の妻。長い髪にゆるくパーマをかけていて、ワンピースなどの女性らしい服装を好んで身に着けている。息子のともと一緒に夫の実家の近くに住んでおり、家ではさまざまな野菜を育てている。夫の実家に行くと、買い物や料理をしたりとケイの家事の手伝いをする、明るくて優しい家庭的な人物。

とも

浅尾温子の甥っ子。黒髪の坊主頭で、Tシャツに、お尻の両ポケットに星形のワッペンが付いたストライプのハーフパンツを着用している。温子の兄とケイの子供で、明るく無邪気な性格。叔母にあたる温子とはとても仲が良く、温子と会う度に遊んでもらっている。最近鉄棒の逆上がりができるようになった。

晃平の母親 (こうへいのははおや)

岩城晃平の母親。ショートカットの髪型で白いシャツの上から黒いカーディガンを着用し、白いズボンを穿いている。明るく活発な女性で、晃平と同棲している浅尾温子と非常に仲が良く、温子には友達のように接している。また、晃平が帯状疱疹と副睾丸炎で苦しんでいると聞き、心配して晃平たちが住んでいるマンションへと駆けつけるなど、息子想いの良き母親。

友梨江 (ゆりえ)

高野ゆう子の母親。ショートカットの髪型で両耳にイヤリング、首元にネックレスを付けており、首元の開いたドレスを着用している。夫は既に他界していて、一軒家で一人暮らしをしている。定期的に庭の剪定を村治源三に頼んでいる。厳格で現実的な考え方の持ち主で、ゆう子が実家に戻って、子育てをしながら生計を立てていきたいと話をした際、これから親になる身として考え方が甘いのではないかと指摘する。 姿勢が良く、今の若者たちの姿勢の悪さを嘆いている。

村治 源三 (むらじ げんぞう)

友梨江の家の庭の剪定をしている男性。白髪の短髪で、仕事中は作業着に麦わら帽子を被っていることが多い。友梨江とは長い付き合いで、近い将来に友梨江の家で同居をしようかという話もしていた。その矢先に、ゆう子が妊娠して実家に戻るかもしれないという話になり、同居の話は一時中断している。優しく人情味があり、ゆう子の妊娠後の将来に不安を抱いている友梨江の話を、親身になって聞いていた。 趣味は漬物作りで、高知の友人が送ってくれた生姜をはちみつに漬けたり、野菜をぬか漬けにしたりしている。

中西 (なかにし)

PK企画という会社でアダルトビデオの制作をしている男性。茶髪のボサボサ頭で目が落ち窪み、下唇の下にひげを少し生やして、スウェットにジーパンを着用している。アダルトビデオの撮影に使用するため、知り合いの自転車屋に頼んで、女性用オナニー自転車を開発した。この自転車が女優たちに評判が良く、アダルトビデオ制作に携わるスタッフらにも、製品化できるんじゃないかと言われ、岩城晃平が勤めているコムラ弁理士事務所に相談にやって来た。

場所

てづくり弁当よねすけ (てづくりべんとうよねすけ)

ともよが経営している弁当屋。浅尾温子が働いている店で、最近になって木本が働くようになった。お弁当だけではなく、オクラの豚バラ巻きや鮭の西京焼などの惣菜メニューも豊富。店のお弁当メニューはともよだけでなく、従業員全員でミーティングをしてアイデアを出し合って作っている。誰でも気兼ねなくアイデアを出せる、アットホームな職場。

コムラ弁理士事務所 (こむらべんりしじむしょ)

岩城晃平が勤めている弁理士事務所。オフィス街にある12階建てのビルの一角に事務所を構え、晃平をはじめ、高野ゆう子、大友、佐倉が勤めている。さまざまな案件を扱っているが、主に特許や商標の相談を受けることが多い。社員の離職があった際には、皆の負担を和らげ、案件を滞りなく完遂させられるように、離職する社員が受け持っていた案件を、所長自らが他の社員に細かく割り振る。 事務所内のデスクはすべてパーティションで区切られており、周囲を気にすることなく、自分のペースで集中して仕事を進めていくことができる。

にのみや庵 (にのみやあん)

石田純の家が営んでいるそば屋。老舗のそば屋で、店内は木造。暖簾には武田菱が大きくプリントされている。利用客は老若男女と幅広く、1人で利用する客も多い。一品メニューや日本酒など、そば以外のメニューも充実している。会社が休みの日には、純が時々接客を手伝っている。浅尾温子と岩城晃平が住んでいるマンションの近くにあるので、温子も時々このそば屋を利用している。

その他キーワード

むるたん

浅尾温子と岩城晃平の持ち物であるクマのぬいぐるみ。胸元に「M」とデザインされたボーダーのTシャツを着ている。温子と晃平によく可愛がられており、温子や晃平がマンションに1人でいる時に、食卓の向かいに座らせたりして寂しさを紛らわしている。時おり温子や晃平の相談相手として、さまざまな話を聞かされることもあり、2人にとって非常に大切な存在。

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