狂四郎2030

男女が徹底的に隔離され、国民が政府によって管理されている近未来社会を舞台に、主人公廻狂四郎がバーチャマシン内の仮想世界で出会った志乃を助け出すまでの活躍を描く。

概要・あらすじ

第三次世界大戦を経て、優生学思想がまかり通る管理社会と化した2030年の日本。廻狂四郎バーチャマシン内の仮想空間で知り合った志乃ことユリカに会いたい一心で様々な障害を乗り越え、志乃のいる中央政府の管理センターを目指す。

登場人物・キャラクター

廻 狂四郎

西暦2030年の日本で治安警察に所属し、オアシス農園の生産管理や、敗残兵狩りに従事している25歳の青年。警察官としての階級は平巡査。趣味は時代劇とバーチャマシンを使った仮想世界でのバーチャSEXで、普段は能天気でスケベな性格。幼少期にM型遺伝子に異常が発覚し、両親から隔離されて入院した関東厚生病院で、過酷な戦闘訓練を受けて育つ。 14歳で空軍少年航空隊に入隊し、第三次世界大戦で数々の戦果を上げる。功績を認められ、大戦末期にはMAS(陸軍特殊部隊)に配属される。MASにおいては暗殺を専門に活動し、任務をこなすうちに女子供でもためらいなく殺害する、殺人マシーンのような人格が養われる。 通常なら佐官クラスの地位についてもおかしくはない戦歴を誇るにも関わらず、M型遺伝子に異常を持つことで国家反逆病罹患者とされ、戦後は治安警察の平巡査に配属される。関東厚生病院での戦闘訓練と従軍経験によって、一流の格闘能力を持ち、様々な武器・兵器の取り扱い、潜入や破壊工作にも精通した戦闘のプロフェッショナル。 また、仮想世界内の剣術道場で示現流や柳生新陰流、小野派一刀流などの流派をマスターしている。その上で、火器の携行が認められず、日本刀しか装備の許されない治安警察で実戦経験をつんでいるため、剣術の腕も達人である。仮想世界で志乃と暮らすうちに人間らしい心を取り戻し、戦闘のたびに表出する殺人マシーンとしての人格に苦悩している。

ユリカ

バーチャルマシン内の仮想世界における、廻狂四郎の妻。現実では、北海道にある中央政府の管理センターに勤務する20歳のプログラマーであり、天才的なプログラミングの才能を持つ。バーチャマシン内の仮想世界の管理を担当するなかで、江戸時代をモデルにした仮想世界内でチャンバラばかりしていた廻狂四郎に興味を持つ。 プログラマーとしての腕前と職権を使い、志乃という名前のインターフェースを違法に作成し、仮想世界内で狂四郎と恋に落る。戦災孤児だったが、プログラミングの腕を評価されて15歳で管理センターに勤務し始める。管理センターの上司や軍人たちから日常的に性的暴行を受けているが、仮想世界で狂四郎と過ごす時間を心の支えにして気丈に振舞っている。

バベンスキー

『狂四郎2030』に登場する犬。天才科学者八角清高によって、脳の移植手術のために育てられた実験犬。八角博士への臓器移植用にクローン脳を移植され、教育を施されている。知能が極めて高く、人と会話することもできる。自分の脳を使って移植手術を行おうとした八角博士の元から逃げ出したところで廻狂四郎と出会い、バベンスキーという名前を付けられる。 徹底した管理社会のなかで、人間らしい愛を育む狂四郎と志乃に感動し、二人を引き合わせるために狂四郎のサポートを始める。医学や機械工学を始めとしたあらゆる知識を身につけているが、遺伝子工学にはやや疎い。また、第三次世界大戦が勃発する前に、八角博士とともにシェルターに避難したため、2030年の世界情勢にも詳しくない。

二条 憲政

2030年の日本国総統。第三次世界大戦前はゲノム党という小さな政党の党首だったが、遺伝子優生学を政治利用し、絶対的な権力を手に入れた独裁者である。表立って活動しているのは影武者で、本人は老化を抑えるため遺伝子治療を受けており、現在は管理センターの地下に幽閉されている。

八角 清高

天才的な科学者で、第三次世界大戦前にバベンスキーとともに地下シェルターに隠れ住んでいた。クローン技術によって内蔵移植を行い続け、生きながらえていた。自身のクローン脳をバベンスキーに移植していたが、移植手術を行う前に脳疾患によって死亡する。生前は、人間が将来犯罪を犯すかどうかがM型遺伝子によって決定されるというM型遺伝子理論を最初に提唱していた。

八木

『狂四郎2030』の「八木編」における主要人物。若くして陸軍少将の地位につく、カリスマ性にあふれた人物。完璧な遺伝子を持つよう、遺伝子操作を受けて生まれたデザイン・ヒューマンである。管理センターに配属されてユリカに惹かれる。一見無邪気にも見える性格だが、ユリカからは動物的な本能のみに突き動かされた爬虫類のようなグロテスクな怪物に見られ、嫌悪されている。 廻狂四郎の存在を知り、ユリカを自分のものにするために狂四郎を抹殺しようとする。

白鳥 みつる

『狂四郎2030』の「白鳥編」における主要人物。廻狂四郎と同じ関東厚生病院で育ち、狂四郎とは親友。陸軍上等兵であり、狂四郎の討伐を命令される。狂四郎と同等の高い戦闘能力を持つが、人を殺すことができない性格で、第三次世界大戦中は衛生兵だった。M型遺伝子に異常があり、国家反逆病罹患者と診断されている。 幼少期に国家反逆病と診断された人間がリンチに会うのを見て、政府を裏切ることを極端に恐れている。

マイカ

男性と性行為を行うためだけに遺伝子操作を行って生み出したデザイン・ヒューマン。知能は低く、自主的に行動することや会話をすることは遺伝子学的に不可能とされている。廻狂四郎をおびき出すための餌として陸軍に派遣され、狂四郎と接触する。

ハル

管理センターの電子特殊開発室に務めるプログラマー。女性用バーチャマシンや仮想世界の開発を行っている。M型遺伝子異常Bクラスと診断されている32歳のロリコンだが、天才的なプログラミングの腕を持つ。オアシス農場で子どもの教育用に使われているバーチャマシンの仮想世界内でさおりと出会い、親しくなる。 廻狂四郎を利用してオアシス農場からさおりを救出するために、ユリカを特殊開発室に出向させ、狂四郎との接触を図る。

さおり

『狂四郎2030』の「オアシス農場編」における主要人物。13歳の少女で、本を読むことが好き。学問に不適切な遺伝子と診断され、オアシス農場で農業に従事させられている。政府がオアシス農場内の子どもに洗脳教育を施すためのバーチャマシンを通じてハルと知り合う。仮想世界内で知識を身につけ、現在の国家政策に疑問を抱いている。 軍人を相手に売春を行う大人たちを軽蔑している。

アザミ

『狂四郎2030』の「オアシス農場編」に登場する人物。23歳の女性。オアシス農場を管理している軍人たちから子どもを守るため、軍人たちを相手に日常的に売春を行っている。さおりを救出するために潜入してきた廻狂四郎に思いを寄せる。

八角 秀明

『狂四郎2030』の「秀明編」における主要人物。八角清高博士の息子であり、陸軍大尉。デザイン・ヒューマンSの討伐プロジェクトに志願し、Sとの戦闘で負傷して倒れていたところを廻狂四郎に助けられる。戦前は優生学を政治利用するゲノム党への反対運動を行っていたが、亜田ジュークの起こした事件をきっかけにゲノム党の支配する政府軍の軍人となる。

八角 さくら

『狂四郎2030』の「秀明編」に登場する人物。八角秀明の妻であり、S討伐プロジェクトを指揮する軍人。階級は中佐。元女優でゲノム党への反対運動を行っているうちに秀明と知り合う。正体はゲノム党のエージェントであり、マインドコントロールのプロフェッショナル。亜田ジュークにマインドコントロールを施し、東京ドームでの殺人事件を起こさせた後、秀明を利用してゲノム党での地位を築いている。

S

『狂四郎2030』の「秀明編」に登場する人物。遺伝子改造を受け、右手が剣のように変形している戦闘用デザイン・ヒューマン。数々のオアシス農場を襲撃し、虐殺を繰り返している。軍からはイギリスからの工作員と見なされ、討伐プロジェクトが。体にストレスを受けることで細胞組織を変質させ、身体能力を向上させるという特質を持つ。

亜田 ジューク

『狂四郎2030』の「秀明編」に登場する人物。M型遺伝子理論が提唱され始めた西暦2004年の日本で、M型遺伝子異常ランクAされ、国家反逆病と最初に診断された。ゲノム党に対抗する政党民々党によって保護され、反対運動の象徴的存在であった。しかし、反対運動のさなか、東京ドームで民々党代表の鷲山一郎と八角秀明の母八角良江を殺害するという事件を起こし、民衆がゲノム党を支持するきっかけとなった。

二条 ひかる

『狂四郎2030』の「アルカディア編」における主要人物。日本国総統二条憲政の息子であり、若くして行政査察官を務めるエリート。汚職や不正をおかした管理センターの職員を、取り調べなしで斬首刑にできるほどの権力を持つ。父親の命令で多くの人間を処刑してきたが、臆病な性格で罪の意識に苛まれ、自分が殺した人間の幻覚を見るほどの危うい精神状態にある。 そのストレスを発散するため、オアシス農場からの逃亡者を離島に集めてアルカディアと呼ばれる民主主義国家を作り、そこで指導者として君臨するというゲームを行っている。アルカディア内では身分を隠してユウキと名乗っている。ゲームの駒として廻狂四郎に目をつけ、アルカディアに引きこもうとする。

山下 雅人

『狂四郎2030』の「アルカディア編」に登場する人物。海軍少佐。アルカディアにおいては、ユウキこと二条ひかるの身辺警護と、島に生息する野生化したデザイン・ヒューマンフェンリルとの戦闘を担当している。ユウキのゲームによってアルカディア島民たちが死んでいくことに耐え切れず、めぐみにアルカディアの正体を打ち明けている。

めぐみ

『狂四郎2030』の「アルカディア編」登場する人物。アルカディアではユウキこと二条ひかるの妻。山下雅人の告白によってアルカディアの正体を知るが、他の島民たちにはそのことを知らせず、生き残るために二条ひかるにゲームを続けさせることを選択する。

無明

『狂四郎2030』の「北海道編」における主要人物。極秘に始まったデザイン・ヒューマン計画によって誕生した最初のデザイン・ヒューマン。双子の兄光明と、結合双生児として誕生する。容姿端麗で優れた肉体を持って育っていたが、遺伝子欠陥によって体中に腫瘍が発生し、国民登録を抹消された上でシティを追放される。 管理センターの地下要塞に幽閉されている弟を救出するため、北海道で地雷の除去作業を行っているところで廻狂四郎と知り合う。兄の光明とは、テレパシーを使って離れたところにいても会話をすることができる。

光明

『狂四郎2030』の「北海道編」における主要人物。無明の双子の兄で、世界で最初に誕生したデザイン・ヒューマン。璧な肉体を持つ双子の兄光明と比べ、遺伝子欠陥で体の成長が阻害されていたため、政府によって処分されそうになるが、その際に超人的な知能を持っていることが発覚し、処分を免れる。その頭脳を二条憲政に利用され、日本の軍事国家化に貢献した。 その後も管理センターの地下要塞に幽閉され続けている。弟の無明とは、テレパシーを使って離れたところにいても会話をすることができる。無明の協力を得て、地下要塞からの脱走を計画する。

西城 英夫

『狂四郎2030』の「北海道編」に登場する人物。かつてMAS(陸軍特殊部隊)に所属していた軍人で、現在は陸軍軍曹。廻狂四郎とチームを組んで暗殺活動を行っていた。旧自衛隊出身者によって結成された反ゲノム勢力まほろばと内通しており、光明救出作戦に参加している。まほろばの指令に従い、ユリカと接触するが、次第にユリカに惹かれていく。 MAS時代の殺人マシーンであった狂四郎のことを恐れている。

米内 光政

『狂四郎2030』の「北海道編」に登場する人物。旧自衛隊元帥であり、ゲノム党内部の旧自衛隊派の最高権力者。旧自衛隊派によるクーデターを企み、秘密結社まほろばを結成する。光明救出作戦の囮として、廻狂四郎を利用し始める。

集団・組織

ゲノム党

『狂四郎2030』に登場する政党。党首二条憲政のカリスマ性と政治手腕によって政権を獲得し、独裁体制をとっている。国民の99%をデザイン・ヒューマンに置き換えて粛清し、限られた1%がその労働力を専有しようとしている。その準備段階として、徹底した男女隔離政策を行い、日本人という種の断絶を図る。

場所

オアシス農場

全国各地にある農場で、全国民の99%が男女に分けられて収容され、農作業に従事させられている。ゲノム党の男女隔離政策を担う施設であり、後にオアシス農場内の国民を、従順な労働用デザイン・ヒューマンに置き換えることが計画されている。

その他キーワード

飛鳥

『狂四郎2030』に登場するコンピューター。管理センターでバーチャマシンの仮想世界を管理しているホストコンピューター。廻狂四郎と志乃の行動に興味を抱き、彼らのブレーンとして協力を行う。インターフェースとして江戸時代の町人のような男性の姿を持つ。

バーチャマシン

高周波で大脳に働きかけ、仮想世界での疑似体験を行うことができる機材。仮想世界のソフトは管理センターの飛鳥によって配信されている。国民の3人に1人の割合で普及しており、ほとんどの利用者が仮想世界内で作られたキャラクターとの性行為バーチャSEXにふけっている。政府はバーチャSEXによって出生率を下げさせ、ゆるやかに国民を粛清しようと画策している。

管理センター

北海道の旧日本軍地下要塞跡地に存在する、日本政府の最高機密機関。全国にあるバーチャマシンの管理を行っている。国民管理政策の中枢ともいえる施設で、陸軍によって厳重に防衛されている。

書誌情報

狂四郎2030 全20巻 〈ジャンプコミックスデラックス〉 完結

第1巻

(1998年4月発行、 978-4088590141)

第2巻

(1998年7月発行、 978-4088590295)

第3巻

(1998年11月発行、 978-4088590462)

第4巻

(1999年4月発行、 978-4088590707)

第5巻

(1999年8月発行、 978-4088590851)

第6巻

(1999年12月発行、 978-4088591001)

第7巻

(2000年4月発行、 978-4088591179)

第8巻

(2000年9月発行、 978-4088591421)

第9巻

(2001年2月発行、 978-4088591674)

第10巻

(2001年6月発行、 978-4088591865)

第11巻

(2001年10月発行、 978-4088592343)

第12巻

(2002年2月発行、 978-4088592695)

第13巻

(2002年6月発行、 978-4088593036)

第14巻

(2002年10月発行、 978-4088593180)

第15巻

(2003年2月発行、 978-4088593395)

第16巻

(2003年6月発行、 978-4088593593)

第17巻

(2003年10月発行、 978-4088593821)

第18巻

(2004年2月発行、 978-4088594002)

第19巻

(2004年6月発行、 978-4088594187)

第20巻

(2004年10月発行、 978-4088594408)

狂四郎2030 全14巻 集英社〈集英社文庫〉 完結

第1巻

(2010年11月発行、 978-4086191975)

第2巻

(2010年11月発行、 978-4086191982)

第3巻

(2010年12月発行、 978-4086191999)

第4巻

(2010年12月発行、 978-4086192002)

第5巻

(2011年1月発行、 978-4086192019)

第6巻

(2011年1月発行、 978-4086192026)

第7巻

(2011年2月発行、 978-4086192033)

第8巻

(2011年2月発行、 978-4086192040)

第9巻

(2011年3月発行、 978-4086192057)

第10巻

(2011年3月発行、 978-4086192064)

第11巻

(2011年4月発行、 978-4086192071)

第12巻

(2011年4月発行、 978-4086192088)

第13巻

(2011年5月発行、 978-4086192095)

第14巻

(2011年5月発行、 978-4086192101)

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