女子高生の無駄づかい

女子高生の無駄づかい

女子高校を舞台に、田中望をはじめとする個性的な女子高校生たちのゆるい日常を描いた学園コメディ。「ComicWalker」で2015年4月から配信の作品で、「ニコニコエース」および「コミックNewtype」でも2015年7月から配信されている。

正式名称
女子高生の無駄づかい
ふりがな
じょしこうせいのむだづかい
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
レーベル
角川コミックス・エース(KADOKAWA)
巻数
既刊13巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

第1巻

とあることがきっかけで、なんとなく疎遠になっていた幼なじみの田中望菊池茜鷺宮しおりは、偶然にもスーパーの試食コーナーで再会を果たし、さらに4月には全員がさいのたま女子高等学校に進学した。同じクラスになった望たちは、自然と昔のように三人でつるむようになっていった。望たちのクラスには重度の中二病患者である山本美波や、反抗期気味の百井咲久をはじめとする個性的な生徒が集まっていた。さらには就任早々おかしな自己紹介をしてクラス全員に呆れられた佐渡正敬が、望たちの担任となる。こうして望とその仲間たちは、今しか生きられない「女子高校生としての日々」を無駄に浪費するような、ゆるやかな日常が始まるのだった。クラス全員にニックネームを付けるという望の試みによって、茜には「ヲタ」、しおりには「ロボ」、そして望には茜によって「バカ」というニックネームが付けられた。それぞれのニックネームが定着したある日曜日、休日は家で過ごすことが多い茜はベッドに寝転びながら、新曲を発表した低所得Pの動画を見たりアニメを見たりと、いつもどおりの週末を満喫していた。そんな茜の携帯電話には望からヒマ過ぎると、自撮り写真が大量に送られてきた。望を完全無視して趣味を謳歌する茜は、いつか有名な少女漫画家になって優雅な印税生活を送りたいという夢を思い出す。漫画の執筆を再開した茜は後日、完成した漫画をしおりに見せるのだった。

第2巻

体と頭の弱い優等生の一奏は高校受験当日、高熱をはじめとするあらゆる体調不良が重なり、志望していた高校に落ちてしまう。仕方なくさいのたま女子高等学校に入学することになった奏は、辛い高校生活が始まると落ち込んでいた。しかし、掲示板に張られたクラス分け表で、中学生時代からずっとあこがれていた鷺宮しおりの名前を見つける。しおりと同じクラスになり、奇跡が起きたと心の中で歓喜する奏だったが、そんな喜びもつかの間だけだった。奏は中学時代は一度も崩れることのなかったしおりの表情が、田中望によって簡単に崩されていることに気づき、衝撃を受ける。しおりとなかよくなるには、望を観察してその行動をまねることが近道と考えた奏は、さっそく望を観察してその様子をこっそりノートに記録するようになる。テストが近づく中、帰宅しようとした奏は、望から数学のノートを貸してほしいと頼まれる。望と話していると調子が狂うと感じながらも、奏は田中家秘伝の唐揚げと引き換えに、複数のノートを貸すことになった。しかし、その日のある出来事にショックを受けて高熱を出して倒れた奏は貸したノートの中に、望の観察記録が記されたノートが混ざっていたことに気づく。このままでは望によけいな誤解を与えてしまうと危機感を抱いた奏は次の日、体調が万全に戻らぬまま、ノートを早急に取り戻すべく登校するのだった。

第3巻

田中望たちのクラスに小悪魔百合少女の染谷リリィが転入し、さらには不登校気味だったオカルトマニアの久条翡翠が、周囲の力を借りて再登校するようになった。個性派ぞろいのさいのたま女子高等学校に、さらなる個性の彩りが加えられ、望たちの日常はますますにぎやかになっていた。そんな中、幼い見た目から「ロリ」のニックネームを付けられた百井咲久は、周囲に「小さくてかわいい」と言われ続け、舐められがちなことに悩んでいた。幼い容姿にコンプレックスを抱く咲久は、尖ったナイフのように生きているつもりでいるが、周囲の反応はまったく変わることはなかった。そんなある日、家に体操服を忘れたことに青ざめる咲久だったが、仮病で授業をサボる勇気も、誰かに体操服を借りる勇気もなかった。一方、そんな咲久を心配した百井みつは、さいのたま女子高等学校を訪れる。教室で望たちと会ったみつは、咲久の家での様子について語り出す。そして、学校を見ておきたいと言うみつに協力することになった望は、足が悪い彼女を背負いながら階段を上がっていた。その頃、咲久は勇気を出してとなりのクラスの生徒から体操服を借りることに成功するが、階段の踊り場で談笑しているみつと望を発見する。

第4巻

スーパーで買い物をしていた百井咲久は、帰り道で同級生をいじめている小学生男子たちに遭遇する。勇気を出していじめを止めようとする咲久だったが、小学生たちは彼女の言うことを聞く素振りもなく、お前も小学生だろうとバカにしてきた。憤慨した咲久は自分が高校生だと主張するが、彼女の幼い容姿を見て小学生たちはまったく信じようとしない。小学生たちに「高校生ならもっと胸が大きいはずだ」と指摘された咲久は大きなショックを受け、自分の幼児体型にあらためてコンプレックスを感じる。後日、体育の時間に染谷リリィ菊池茜一奏のスタイルのよさをうらやましく思った咲久は、どうすればそんなに胸を大きくなるのかと、リリィたちに質問する。するとリリィの提案で、放課後にブラジャーを買いに行くことになる。咲久はリリィの助けを受けながらバストサイズを測定したところ、小さいと思っていた自分の胸がBカップであったことに感動する。初めてのブラジャーを買ったことで前よりも大人っぽくなったと自信を持った咲久は、次こそ小学生たちに自分が高校生だと認めさせるべく、意気揚々と帰途につく。

第5巻

成績が悪すぎてこのままでは進級できないと、佐渡正敬から何度も通告されていた田中望だったが、ついに本格的な留年のピンチに陥る。望は次の期末テストで1教科でも赤点を取ると留年することを、正敬に宣告されてしまう。しかし望は焦ったり落ち込む様子もなく、留年のピンチにあることを菊池茜鷺宮しおりに笑いながら話すが、二人からは「一つも笑えない」と返されてしまう。それでも謎の自信を持つ望は、とっておきの勉強法「睡眠学習」を実践しているので、まったく心配はないと笑顔で語る。「勉強してない奴が寝るだけでは睡眠学習にならない」と茜に一蹴されると、望はあらためて危機感を抱くようになり、留年を逃れるためには死ぬ気で勉強するしかないと悟る。こうして望は茜たちの協力を得て、休み時間や睡眠時間を割いて必死に勉強に励み、その様子を見た一奏百井咲久も、さまざまな形で協力するようになる。そして1週間後、望は徹夜疲れでテストに挑もうしていた。そんな中、望の留年の危機を知って久々に登校した久条翡翠が、徹夜続きで体力が限界寸前だった望の口に、オリジナルの精力増強剤を流し込む。いい仲間たちに囲まれる望を見て安堵する正敬は、もう一人の問題児の山本美波にある事実を告げる。

第6巻

周囲の協力を得ながら留年の危機を乗り越え、奇跡的に2年生に進級した田中望を待ち受けていたのは、相変わらずの無駄な日常だった。さらにさいのたま女子高等学校の新入生や、望たちの新しいクラスメートとの出会いもあり、彼女たちの周囲はますます個性豊かな女子が増えていく。新たなクラスメートの野原愛莉は、過去の出来事から人間不信に陥り、両親とも離れて孤独な学生生活を送る不良娘だった。そんな中、佐渡正敬から呼び出しを受けた愛莉は彼に反発し、両親のもとには戻らないと言い張る。両親や教師を信じていない愛莉が愛してやまないのは、子供の頃から飼いたいと思い続けていた猫だった。アルバイト先のコンビニの裏で子猫たちを見つけ、隠れて世話をすることになった愛莉は、どうにかしてこの子猫たちを守り続ける方法を模索していた。そんなある日、偶然コンビニを訪れていた望が、会計後に子猫の鳴き声に気づき、外に様子を見に行くと言い出す。望が子猫たちにかかわってトラブルを起こすことを危惧した愛莉は、望が買ったプリンをレンジで温めるように勧めることで、子猫たちを隠す時間を稼ごうとする。

第7巻

田中望は奇跡的に進級を果たすものの、女子高校生としての貴重な青春を相変わらず無駄に浪費するような日常を送っていた。そんな中、さいのたま女子高等学校の新入生である中村詩子は、カリスマ女子高校生を目指して日々奮闘していた。詩子はメイクやファッションに造詣が深く、友人やSNSのフォロワーも多いが、その背景には昔からのコンプレックスと、裏でさまざまな努力を重ねる彼女の本来の姿があった。さらに詩子には、高校で新しくできた友人には決して知られたくない過去があり、家から離れているさいのたま女子高等学校に進学したのも、昔の同級生に会うのを避けることが最大の目的だった。そんな詩子はある日、数年前に知り合った望と校内で遭遇し、声を掛けられる。自分の過去を必死に隠しながら美少女として生きてきた詩子の脳裏に浮かんだのは、4年前に潰れかけのラーメン屋の娘として、同級生からいじめを受けていた過去と、いじめから助けてくれた望との出会いだった。詩子がダイエットやメイクによって別人のように変わったのは、望の何げない「可愛く変わろう」の言葉がきっかけだった。別人のように変わった自分を望が覚えてくれていたことに感動した詩子は、メイクが崩れるほどの涙を流すのだった。

メディアミックス

TVアニメ

本作『女子高生の無駄づかい』のTVアニメ版が、2019年7月5日から2019年9月20日にかけてAT-X、TOKYO MX、BS11などで放送された。内容は本作と同じく、女子高校を舞台に田中望をはじめとする個性的な女子高校生たちのゆるい日常を描いている。キャストは田中望を赤﨑千夏、菊池茜を戸松遥、鷺宮しおりを豊崎愛生がそれぞれ務めている。

実写ドラマ

本作『女子高生の無駄づかい』の実写ドラマ版が、2020年1月24日から2020年3月6日にかけてテレビ朝日で放送された。内容は本作と同じく、女子高校を舞台に田中望をはじめとする個性的な女子高校生たちのゆるい日常を描いている。キャストは田中望を岡田結実、菊池茜を恒松祐里、鷺宮しおりを中村ゆりかがそれぞれ務めている。

登場人物・キャラクター

田中 望 (たなか のぞむ)

さいのたま女子高等学校に通う女子。ニックネームは「バカ」。黒髪のショートカットで、襟足が無造作にはねている。初登場時は1年2組で、進級後は2年2組に在籍している。菊池茜や鷺宮しおりとは小学校時代からの友人で、訳あって中学時代は疎遠になっていたが、同じ高校に通うようになってからは再び三人でつるむようになった。ニックネームを付けるのが得意で、クラス全員分のニックネームを考えた。型破りな問題児で、茜に付けられたニックネームどおり、底なしのバカ。昔から本能や思いつきのままに行動したり発言したりすることが多く、何事にも物おじしないが、空気をまったく読めない能天気な性格の持ち主。基本的に何も考えていないが、時折物事の核心をつくこともある。誰かに疎まれてもまったく自覚がなく、すごいことと言っておきながらくだらない発言ばかりするなど、周囲から「残念な子」と思われているが、田中望自身はいっさい気にしていない。人への絡み方が下手な一方で、絡みづらそうな相手でも分け隔てなく接することができる素直さを持つ。しかし、授業にまったくついていけず、それを指摘されると開き直るなど、勉強が非常に苦手。特にテスト期間になると、憂い顔で奇怪な行動に走ることもある。留年しかけたこともあるが、周囲の協力を得て無事に2年生に進級した。言われてみたい言葉は「おもしれー女」。誕生日は8月10日で、血液型はO型。身長は158センチで、体重は41キロ。

菊池 茜 (きくち あかね)

さいのたま女子高等学校に通う女子。ニックネームは「ヲタ」。茶髪のセミロングを二つのおさげにまとめている。初登場時は1年2組で、進級後は2年2組に在籍している。アニメや漫画が大好きで、将来は少女漫画家を目指している。BLなどのオタク趣味を持つ以外はごくふつうの女子であるため、田中望をはじめとする個性的なクラスメートの言動に対して反射的にツッコミを入れてしまう。また、望のニックネームを考えた張本人でもある。望や鷺宮しおりとは小学校時代からの友人で、高校がいっしょになってからは再びつるむようになった。望たちとは腐れ縁のような関係で、特に望に関してはいつもいっしょにいることに疑問を抱くこともある。しおりほどではないが、望に対しては容赦のない毒舌なツッコミを入れることが多い。時折自作の漫画を制作しているが、周囲から画力、ストーリーともにいまいちと評されている。顔だけのイラストは得意だが、背景や人物などは作画の未熟さが目立ち、特に関節を描くのが苦手で、しおりから容赦のない批判を受けた。ボーカロイド曲を作っている「低所得P」の大ファンだが、その正体が担任の佐渡正敬であることは知らない。休日は基本的に家で過ごしており、動画サイトの視聴やアニメ鑑賞を楽しんでいる。二次元キャラクターや声優だけでなく、同人作家にもすぐに夢中になってしまう恋多き乙女だが、興味や流行の移り変わりが激しい。実は隠れ巨乳で、将来結婚したい相手は売れっ子ジャンプ作家。誕生日は3月3日で、血液型はO型。身長は160センチで、体重は50キロ。

鷺宮 しおり (さぎのみや しおり)

さいのたま女子高等学校に通う女子。ニックネームは「ロボ」。黒髪のロングヘアで、青いカーディガンを羽織っている。初登場時は1年2組で、進級後は2年2組に在籍している。つねにクールなポーカーフェイスの無機質系少女で、非常に優秀な頭脳を持つが、感情や表情が死んでいる。田中望と菊池茜とは小学校時代からの友人で、高校が同じになってからは再びつるむようになる。天然な性格の毒舌家だが、前触れもなく意味不明な奇行に走ることがあり、無表情なためにその行動は誰にも予測できない。ふだんは感情を表に出さないが、ごくまれに感情的になることがあり、望には笑顔を見せることもある。複雑できれいな線を引いてゴールのない迷路を定規なしで描いたり、ミカンで姫路城や豊臣家の家系図を作ったりと、行動は謎だが手先は異様に器用。電車の自然な走行音を口だけで奏でたり、トイレでは人間らしからぬ異音を出したりと、時折「本当に人間なのか」と望たちに疑われている。家ではバクテリヤを栽培しており、ペットとして愛でている。学校では毎回学年トップを取り、全国模試では一桁の順位を取っていると噂されている。中学校は望や茜とは別の学校に通っていたが、その性格からクラスで孤立していた。スーパーで偶然再会した望と茜がさいのたま女子高等学校に入学することを知り、偏差値の高い高校の進学をあきらめ、二人と同じ高校に進学することを決めた。誕生日は10月24日で、血液型はAB型。身長は155センチで、体重は41キロ。

百井 咲久 (ももい さく)

さいのたま女子高等学校に通う女子。ニックネームは「ロリ」。茶髪のロングヘアで、大人っぽい容姿の染谷リリィにあこがれている。初登場時は1年2組で、進級後は2年2組に在籍している。小学生並みに背が低く、見た目が幼いことにコンプレックスを抱いている。このため、周囲に舐められないように学校では虚勢を張って不良のような口調で話し、反抗的な態度を取ったりしている。しかし、人の悩み相談に乗ったり、ゴミのポイ捨てを見逃さなかったりなど心根は優しく、悪になり切ることができない。子供扱いされるのを嫌うが、まだサンタクロースを信じていたり、ちょっとしたことで涙目になったりと、子供っぽい性格をしている。両親はドイツ在住で百井みつと二人暮らしのため、家では大好きなみつに甘えている。難しい漢字が理解できないため、読めないとすぐに中国語扱いする。何かとからかってくる田中望のことを心底嫌って敵視しているが、彼女とその友人の自然体な関係はうらやましく思っている。また、望のウソや戯れ言をすぐに信じるピュアな一面もあるため、リリィからは心配されている。中学生時代から「泣く子も黙る不良娘」の異名を持っているが、その理由は急に泣き出しては近くの子供を驚かせてしまうため。誕生日は7月21日で、血液型はA型。身長は142センチで、体重は32キロ。

山本 美波 (やまもと みなみ)

さいのたま女子高等学校に通う女子。ニックネームは「ヤマイ」。初登場時は1年2組で、進級後は2年2組に在籍している。一人称は「僕」で、SNSでは「黒兎」のハンドルネームを使用している。重度の中二病を患っており、髪を染めたのも全身のあちこちに巻いた包帯や頰の絆創膏も、すべては中二病がもたらした症状によるもの。職業はアーチャー(自称)。金髪のツインテールの髪型で、黒い兎耳付きのパーカーを着用し、ボーダー柄の二―ソックスをはいている。金髪にした理由は「アルターニャ王国民とドラゴニア民族のハーフだから」だが、これらは山本美波本人が考えた架空の設定である。これらのことからクラスでは浮きがちで、昼休みはいつもグラウンドの端で、一人で寂しそうに昼食を食べている。群れるのは嫌いと言って周囲から距離を取ろうとするが、そんな自分を責めている節もあり、本当は一人ぼっちになりたくない寂しがり屋な性格の持ち主。成績が悪いうえにテスト用紙の裏に奇妙な落書きをすることから、よく担任の佐渡正敬に呼び出されている。進路相談でも中二病妄想ばかりでまじめに答えないため、いつも正敬を困らせているが、両親を呼び出されそうになると急にまじめになる。誕生日は4月17日で、血液型はO型。身長は159センチで、体重は39キロ。

佐渡 正敬 (さわたり まさたか)

さいのたま女子高等学校の教師を務める男性。田中望たちの担任で、初登場時の年齢は27歳。早稲田大学出身なことから、生徒たちには「ワセダ」のニックネームで呼ばれている。数学を担当しており、自称眉目秀麗で、独身。就任早々に女子高校生よりも女子大学生が好みの「JD派」を公言し、佐渡正敬自身のことを赤裸々に自己紹介したことから、クラス全員に「だめだこいつ」と思われた。このため、生徒からはあまり信頼されていないために、望や山本美波をはじめとする個性的で癖のある生徒に、何かと苦労させられている。黒縁の四角い眼鏡を掛けているが、猛烈にツッコミたくなったときや困惑したときなどは眼鏡にヒビが入ったり、顔からずれ落ちたりする。主に美波が原因で数々の眼鏡が破損しているため、そろそろ彼女に眼鏡代を請求しようと思っている。プライベートではボーカロイド曲を作曲する「ボカロP」として活動しており、「低所得P」名義で自作曲や動画をインターネットで公開しているが、再生数などは伸び悩んでいる。低所得Pの大ファンである菊池茜を含め、正敬の素顔を知る者はいない。活動を始めたばかりの頃は、有名ボカロPになれば女子大学生と付き合えると思っていた。19歳の頃は音楽仲間とバンドを組んでいたが、複雑な事情で解散となり、一人でボカロPとして活動するようになった。かなりの猫舌で、コーヒーなどは念入りに冷まさないと飲めない。好物はキムチ豚丼。誕生日は10月21日で、血液型はA型。身長は178センチで、体重は65キロ。

シーキョン

さいのたま女子高等学校の養護教諭を務める女性。糸目の穏やかで優しい性格で、生徒たちからも親しまれている。かなりノリがよく、山本美波の中二病妄想や設定に対して話を合わせてくれたり、真剣に相談に乗ってくれたりする、数少ない人物でもある。

百井 みつ (ももい みつ)

百井咲久の祖母。孫の咲久の両親が海外にいるため、彼女と二人暮らししている。咲久のことを非常にかわいがっており、よき理解者でもあるが、周囲に強がった態度を取ることが多い彼女を心配している。おっとりした性格ながら、ツッコミのセンスには光るものがある。スマートフォンやタブレットなどの電子機器やインターネットを素早く使いこなすなど、ハイテクにも造詣が深い。若い頃の容姿は咲久とよく似ており、彼女と同様に発育は遅めだった。

一 奏 (にのまえ かなで)

さいのたま女子高等学校に通う女子で、ニックネームは「マジメ」。茶髪のショートカットで、いつも首元にヘッドフォンを掛けている。いつも聞いているラジオは「経済ネットラジオ」。初登場時は1年2組で、進級後は2年2組に在籍している。ボーイッシュな見た目の優等生で、ニックネームどおり生まじめな性格で、どんなことも真に受けてしまう。基本的に敬語で話す。中性的な顔立ちで、ほかの女子から人気が高い。幼少期から勉強ばかりしていたので成績はいいが、心と頭が弱いために自ら墓穴を掘ることも多く、たまにわかりづらい言い回しをする。また体も丈夫ではないため、落ち込んだときにはすぐに体調を崩すほか、試験など大事なときに限って体調を崩すなど運も悪い。本来は別の高校に入学予定だったが、瀕死に至るほどの病気やケガが重なって入学試験に受かることができず、仕方なくさいのたま女子高等学校に入学した。中学時代からの同級生である鷺宮しおりには出会った時に一目惚れしており、あこがれを抱き続けている。また、しおりに近づくために彼女の友人である田中望を観察し、その結果をノートに記録している。成績がいいために勉強のことで望から頼られることもあるが、彼女と会話すると平衡感覚を失うような錯覚や頭痛を起こしてしまう。勉強熱心な一方で流行には疎く、流行のファッションがよくわからないことを気にしている。特技は暗算で、十桁まで計算が可能。誕生日は5月9日、血液型はA型。身長は170センチで、体重は55キロ。

染谷 リリィ (そめや りりぃ)

さいのたま女子高等学校に通う女子で、ニックネームは「リリィ」。プラチナブロンドのロングヘアで、淡いピンク色のカーディガンを腰に巻いている。初登場時は1年2組で、進級後は2年2組に在籍している。モデルのような容姿を持つ転入生で、小悪魔系百合少女。父親がオーストリア人、母親が日本人のハーフで、美人かつスタイル抜群。恵まれた容姿で幼少期から注目され、男性に何度も言い寄られ過ぎたことがトラウマになってしまい、ついには男性に接触すると蕁麻疹などのアレルギー反応が出るほどの男性恐怖症になってしまった。その反動で同性を好む百合女子と化したが、なぜか田中望と接触した時も蕁麻疹が出る。このため、望とは席がとなり同士でありながらも警戒し、彼女には極力触れないようにしている。転入したばかりの頃に、なかよくなった百井咲久のことを妹のようにかわいがっており、彼女の性教育を巡って望と小競り合いや、口論を繰り広げたことがある。同性から人気の高い一奏にはひそかに嫉妬心や対抗心を抱いていたが、彼女に近づいたり悩み相談を受けたりするうちに二人で過ごすことが多くなり、自然と互いの気持ちを打ち明けられる仲になった。好きなものは女の子、嫌いなものはオス。好きなことはほかの女子から注目を浴びること。誕生日は9月12日で、血液型はB型。身長は164センチで、体重は44キロ。

久条 翡翠 (くじょう ひすい)

さいのたま女子高等学校に通う女子で、ニックネームは「マジョ」。当初の髪型は、双子の妹である久条琥珀と同じ黒髪のロングヘアだったが、クラスメートに渡すミサンガを作るために自分で髪を切り、琥珀に切りそろえてもらった結果、セミロングになった。袖余りのロングカーディガンを羽織っている。初登場時は1年2組で、進級後は2年2組に在籍している。人見知りで内気な性格なことから友人ができず、入学してからほとんど登校していなかった。琥珀とは正反対な性格で、琥珀には「生れてくる時に姉のコミュニケーション能力やまともな感性を、妹の自分が奪い取ってしまった」といわれている。幼少期からグロテスク系のホラー映画などを好んでおり、生身の人間よりも死体やオカルト話などに興味を抱く、オカルトマニアと化した。琥珀から「二足歩行のツチノコを見つけた」と聞いただけですぐに駆けつけるなど、かなりピュアな一面もある。自室には理科室にありそうな巨大ケースが置かれており、思い出の品のホルマリン漬けから「非常用」と書かれた大量の爪まで、怪しいコレクションの数々が飾られ、たびたび眺めてはうっとりしている。琥珀の助言でオカルト好きな言動を改めようとするものの中途半端で、周囲からたびたび誤解されている。日課は自作タロットとリーディング術を用いた独自の占いで、99パーセントの的中率を誇り、家庭事情から他人の未来まで幅広く占うことができる。誕生日は6月6日で、血液型はB型。身長は157センチで、体重は42キロ。

久条 琥珀 (くじょう こはく)

久条翡翠の双子の妹で、翡翠とは別の高校に通っている。黒髪のロングヘアにしている。翡翠とは真逆の明るい常識人で、何事にも積極的な優しい性格で、コミュニケーション能力も高い。翡翠のオカルト趣味には時折困らされているが、不登校気味で友人のいない彼女を心配して田中望たちに相談するなど、姉思い。望たちの協力を受けながら翡翠の再登校や友人づくりを助けるが、相変わらずオカルト趣味が変わらない彼女への心配は尽きない。その後も翡翠にアドバイスをしたり悩み相談を受けたりしながら、彼女の高校生活や友人づくりをサポートしている。ショッピングが好きで休日はよく出かけているが、ファッションセンスは少しずれている。誕生日は9月12日で、血液型はB型。身長は164センチで、体重は44キロ。

高橋 (たかはし)

男子高校に通う男子で、小説家志望。よくバス内で向かい合わせになる鷺宮しおりに片思いをしている。しかし、しおりの本名を知らないため、彼女のことは「ロボさん」と呼んでいる。しおりのことは「ネモフィラの花のように美しい」とあこがれており、彼女が読んでいる本を観察したり、彼女といっしょにいる田中望との会話を聞いたりしている。不思議な発言や読んでいる本から、しおりのミステリアスな一面を感じ取りながら、インスピレーションと飽くなき探究心を与えてくれる彼女に惹かれ続けている。当初はしおりを一方的に見ているだけで満足していたが、勇気を出して話し掛けた際に、彼女から「友達の家はなぜほんのり臭いのか?」というタイトルの本をもらった。友人の青山曰く、「生真面目で面倒臭いところもあるけど純粋でまっすぐな奴」。幼なじみの女子と仲がいい青山に、ひそかに嫉妬心を抱くこともあった。しおりの貸してくれた本を読むうちに青山との友人関係を見直して友情を深めたが、しおりとの仲はまったく進展していない。

青山 (あおやま)

高橋の友人の男子で、声優志望。鷺宮しおりに片思いする高橋の恋愛を応援している。高橋曰く、「友達思いで家族思いのいい奴」。顔にそばかすがある。家族と三人暮らしだが、ベランダを通らないと風呂場まで行けない3LDKの家に暮らしている。同い年の幼なじみの女子がおり、親同士の仲がいいために幼少期から家を行き来するような仲で、高橋からはひそかに嫉妬されていた。のちに母親が再婚して引っ越すことになり、新しい父親の娘である血のつながりのない四人の妹といっしょに暮らすことになった。これらの境遇を高橋から「ライトノベルの主人公みたい」とうらやましがられたことで、再び彼との友情に亀裂が生まれた。しかし四人の妹たちが、すべて彼氏持ちであることを打ち明けた瞬間に、高橋の嫉妬心が吹き飛んで仲直りした。

ミチル

同人作家の青年で、イラストサイトやSNSなどでBL作品を公開している。年齢は18歳で、愛称は「みっちぇる」。漫画を描くときのみ眼鏡を掛けている。作品の完成度の高さはもちろん、イケメンであざといことなどから菊池茜を魅了する。しかし茜が同人イベントで会いに行った際に、自撮り写真の撮り方が極端にうまかっただけで、実際はイケメンではないことが判明した。

三上 理恵 (みかみ りえ)

さいのたま女子高等学校に通う女子で、ニックネームは「USB」。初登場時は1年2組で、進級後は2年2組に在籍している。眼鏡を掛けており、控えめでおとなしい性格の持ち主。多くの女子たちから注目を浴びる染谷リリィにあこがれを抱く。

古谷 (ふるや)

路上で占いをしている中年男性で、心臓病の手術を控えている5歳の息子がいる。偶然通りかかった久条翡翠をインチキ占いでカモにしようとするが、彼女が20円しか持っていなかったことであきらめる。さらに翡翠から「占いを披露する代わりに料金をチャラにしてほしい」と持ちかけられ、独自の占いによって本名から息子が手術を控えている事実まで彼女に言い当てられてしまう。翡翠の占いと励ましで心を救われると同時に、自分の行いを反省してインチキ占いから足を洗った。無事に手術を終えた息子が元気になったあとは、小さなたこ焼き屋を営んでいる。

ぴーなっつP (ぴーなっつぴー)

同人サークル「ぴーなっつクラブ」で同人活動をしている男性。ボーカロイド関連の同人即売会「ボーカロイドマイスター」で、「低所得P」として参加した佐渡正敬のサークルととなり同士になる。かなり太っており、つねに呼吸が荒いため、ぴーなっつPのいるスペースは酸素が薄くなるほど。悪気はないが意味不明な比喩表現を頻繁に使用するため、会話しても相手にあまり真意が伝わらないことが多い。

野原 愛莉 (のばら あいり)

さいのたま女子高等学校に通う女子で、ニックネームは「ノラ」。赤いメッシュの入ったショートカットの髪型にしている。進級した田中望たちと同じ2年2組になったが、ほぼ初対面の望のことをいきなり拒絶した。人間不信の不良娘で、学校では一人で行動していることが多い。訳あって、両親とは離れてアパートで一人暮らしをしており、放課後や休日はコンビニでアルバイトをしている。幼少期から猫が大好きで、いつでも飼えるように猫アイテムの準備を整えているが、通学とアルバイトでほとんど家を空けているため、慎重になるあまりなかなか飼えずにいる。特に飼い猫が病気になったときの治療費や入院費などを心配しており、アルバイト代の一部を毎月貯金している。朝の通学時は野良猫を愛でるために遠回りしていることから遅刻が多く、さらに近づいた猫に引っかかれており、手足に生傷が絶えない。しかし、事情を正直に話すことはないので、佐渡正敬やクラスメートからは、登校時に不良とケンカしているために生傷を負っていると、誤解されている。人間不信に陥った主な原因は父親で、いつか猫を飼うと約束していた父親から何年もたったあとに「実は猫アレルギーだから飼えない」と言われたのをきっかけに、人の言うことを信じられなくなっていった。結局、猫は飼えないまま猫カフェに通うようになるが、猫カフェ料金を捻出するために食費を削っている。

中村 詩子 (なかはら うたこ)

さいのたま女子高等学校の新入生の女子で、ニックネームは「ヒメ」。桃色のツインテールの髪型で、蝶型のヘアアクセサリーを付けている。2年生に進級した田中望たちの後輩。カリスマ女子高校生を目指してメイクやファッションに力を入れており、学校や外出先では「ヒメ」のニックネームに違わない美少女に変身している。友人やSNSのフォロワーは多く男性にもモテるが、そのための努力は欠かさず、体形や肌荒れなどには細心の注意を払っている。小学生時代は目立たない小太りな体型で、家では詩子の父が潰れかけのラーメン屋を営み、とんこつの匂いがするという理由で「ブタ子」呼ばわりされるなど、同級生からいじめを受けていた。この頃にいじめから助けてくれた中学生時代の望と出会い、裏表なく接してくれた彼女のことを「のんちゃん先輩」と呼び、慕うようになる。また、望から「ゲームのキャラクターを飾りつけるよりも、自分でおしゃれやメイクをした方が楽しい」と指摘されたのをきっかけに、父親だけでなく自分も変わるべきだと決意する。これ以来、メイクやファッションの研究やダイエットなどさまざまな努力を重ね、見違えるほどの美少女に変わっていった。これらの過去から、家から離れた高校を選ぶことで昔の同級生に会うのを避けていたが、偶然にも校内で望と再会する。

詩子の父 (うたこのちち)

中村詩子の父親で、娘の詩子と二人暮らし。小さなラーメン屋を営んでいるが肝心の味や匂いが不評で、店はまったく繁盛していない。詩子をいじめから助けた田中望にお礼としてラーメンを振る舞うが、その際に望から手厳しい指摘を受ける。これをきっかけに味の研究を始め、問題点を次々と改善させ、店の評判や売り上げも大幅によくなっていった。心機一転のため、その時住んでいた町を離れることを決意して詩子を連れて引っ越し、新しい店を構えるようになった。これらの出来事から望に対しては、自分と詩子を救った恩人として感謝している。詩子と望が再会後、新しい店に招いた望の指摘に従ってトッピングの味玉を2個にしたところ、店の売り上げはさらに伸びることとなった。

場所

さいのたま女子高等学校 (さいのたまじょしこうとうがっこう)

田中望たちが通っている女子高校で、通称「さいじょ」。校則は比較的ゆるいため、生徒たちは自由な服装で通っているが、金髪で体中に包帯を巻いている山本美波などあまりにも目立つ格好をしている生徒には、個別の指導が入ることがある。一奏曰く、偏差値は4歳児の知能と同程度。

書誌情報

女子高生の無駄づかい 13巻 KADOKAWA〈角川コミックス・エース〉

第1巻

(2016-04-09発行、 978-4041041710)

第9巻

(2021-06-10発行、 978-4041111833)

第10巻

(2022-12-09発行、 978-4041131503)

第11巻

(2023-10-10発行、 978-4041142110)

第12巻

(2024-03-08発行、 978-4041147566)

第13巻

(2024-11-09発行、 978-4041157206)

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