概要・あらすじ
女性漫画家、坂井恵理は、5年ほど同棲している恋人の夫と自由気ままに生活をしていた。39歳という年齢、そして過去の子宮の手術歴、そして自身が子供が好きではない事情もあり、恵理はもともと出産を望んだり想像したことすらなかった。そんな中、恵理の第一子妊娠が発覚。本能的に「産みたい」と思った恵理は夫に報告し、籍を入れることとなった。
順調に妊婦生活を送る中、迎えた7か月の診察時、恵理は医師から胎児の心臓が止まっていると宣告を受ける。そして数日後に入院し、促進剤などを用いて第一子を死産。その後、心の葛藤や体調に関する不安を抱えていた2か月後、恵理が再び妊娠したことが発覚する。
登場人物・キャラクター
坂井 恵理 (さかい えり)
39歳の女性漫画家。夫とは5年ほど同棲をしていたが、家事や育児を一切しなかった父の影響や、坂井恵理自身が自由きままな生き方に満足していたため、もともと結婚願望は持っていなかった。そのため、第一子を妊娠後、結婚式などは一切せずに籍だけ入れた。妊娠をする前は特に子供が好きなわけでもなく、自分が出産することすら考えもしなかった。 20代で子宮内膜症が発覚し、35歳の時に子宮の手術を行った経験がある。そのため、出産は帝王切開が予定されていた。第一子を7か月で死産し、その後2か月で第二子を妊娠、40歳で無事出産する。
夫 (おっと)
サラリーマンの男性。年齢は40歳。坂井恵理と5年ほど同棲の後、恵理の妊娠に伴い、結婚式などは一切せずに籍だけ入れた。恵理の第一子の妊娠判明時には、喜びよりも「父親になる覚悟はない」と戸惑いを見せていた。次第に父親としての自覚を芽生えさせ、第一子が死産とわかると、ショックのあまり涙を流した。もともと魚以上の知能のある生き物を飼ったことがなく、子育てなどできるのかと不安を感じていた。 しかし、料理や家事全般が得意であり、恵理が第二子を出産したあとは、育児に何かと協力的になる。
父 (ちち)
坂井恵理の父親。絵に描いたような団塊世代の男性であり、子供を抱きもしなければ、家事も一切しなかった。恵理によれば、「見栄っ張りでええかっこしいで人づきあいが下手」な人物であり、恵理自身は、父の気質を強く受け継いでいると感じている。
母 (はは)
坂井恵理の母親で故人。生前は父が外で働くことを許さず、専業主婦だった。父が家事や育児を一切しないため、家の事は当然のように母がすべてを請け負っていた。恵理が大学を卒業して間もなく乳がんが発覚し、入院した。
弟 (おとうと)
坂井恵理の10歳下の弟。年の離れた弟でもあり、恵理に非常にかわいがられていた。家の事を一切しない父を反面教師としたためか料理が得意で、母の入院後はよく家族に料理を振る舞っていた。ただ、母からは男ということで父と同一視され、料理も仕方なくやっているのだろう、と認識されていた。