宇崎ちゃんは遊びたい!

宇崎ちゃんは遊びたい!

静かな日常を望む桜井真一は、大学の後輩の宇崎花から付きまとわれ、容赦のない物言いや人を食ったような行動をうっとうしいと思いつつも、どこか彼女を放っておけずにその扱いに悩んでいた。物静かで苦労性な桜井と、口やかましいがコミュニケーション能力に優れた花の日常生活、そして友達以上恋人未満の関係が続く二人を後押ししようとする大人たちの姿を描く、ラブコメディ。「次にくるマンガ大賞2018」Webマンガ部門で10位を獲得するほか、「Google Play ベスト オブ 2019 ユーザー投票部門 マンガカテゴリ」でトップ5に選出されている。「ドラドラドラゴンエイジ」2017年12月号から2018年11月号にかけて掲載されたのち、「ドラドラしゃーぷ」2018年12月号から掲載の作品。2020年7月に第1期、2022年10月に第2期テレビアニメ化。

正式名称
宇崎ちゃんは遊びたい!
ふりがな
うざきちゃんはあそびたい
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
レーベル
ドラゴンコミックスエイジ(KADOKAWA)
巻数
既刊12巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

桜井先輩と宇崎ちゃん

大学生の桜井真一は、放課後に決まって後輩の宇崎花に絡まれ、遠慮のない物言いをぶつけられることにうんざりしていた。桜井は、花に一人きりの時間をのんびり過ごすことが好きだと素直に打ち明けるが、花は桜井がつねに独りぼっちだと考え、しきりにおせっかいを焼きたがる。さらに、自分に正直であるうえになれなれしく、よくも悪くも喜怒哀楽の激しい一面を見せ続ける。桜井はそれをうっとうしく感じ、苦言を呈したり、時には呆れるあまり頰をつまむなどの容赦ない反応で応じたりするが、高校時代からの付き合いということもあり、どこか放っておけずに気づけば花のペースに巻き込まれる場合も多かった。一方花は、あくまで桜井と対等でありたいと考えていたが、自業自得とはいえ度重なるそっけない対応に不満を抱く。そしてある日、桜井に催眠術をかけて言うことを聞かせようと画策する。催眠術自体の効果はまったく見込めなかったものの、桜井はこれで花の機嫌がよくなるならと、あえてかかったふりをする。しかし、調子に乗った花はここぞとばかりにおねだりを連発し、すぐに桜井からたしなめられてしまうが、これほどぞんざいに扱われることに抵抗があると告白する。この花らしくない反応を見た桜井は、彼女に対する扱いを少しばかり改善することを決める。

桜井先輩のアルバイト

桜井真一は、亜細亜紀彦の経営するカフェでのアルバイトにやりがいを感じていた。のんびりとした雰囲気を好む桜井にとって、コーヒーの香りや店内に流れるジャズが、桜井の心を癒す清涼剤として機能していた。また桜井自身のまじめで誠実な態度から、亜紀彦やカフェの客から好評を得ていた。しかしそんな中、アルバイトをしていたところを宇崎花に見つかってしまう。桜井は、花の礼儀を知らない振る舞いに苛立ちを感じるが、客ということもあり、努めて紳士的に対応しようとする。だが、その様子が逆に花の笑いのツボにはまり、さらに亜紀彦にまで笑われてしまう。そして、花と亜紀彦はたちまち意気投合するが、桜井は今後も花がカフェにやって来ることに不安を感じる。そして後日。亜紀彦の娘で、桜井のアルバイト仲間でもある亜細亜実は、ストイックな性格とたくましい体軀の桜井に興味を持ち、彼の観察に勤しんでいた。亜実は、桜井と彼の隠れファンだという客とのやり取りを楽しんでいたが、そこに花が現れる。亜実は、体も性格も桜井と対照的な花をたちまち気に入り、内心で桜井に並ぶ観察対象者に認定する。そして亜紀彦と共に、桜井と花のやり取りをほほ笑ましく見守るのだった。

桜井先輩の友達

桜井真一の親友である榊逸仁が、2週間ぶりに登校してきた。桜井は彼に不意に学校に来なくなった理由を尋ねると、なんとなく海が見たくなって沖縄に行ってきたとの言葉に、その自由さに呆れつつも感心する。榊は、自分がいなかった2週間に何をしていたのかを桜井に尋ねるが、桜井は日常の大半を宇崎花からの絡みで浪費してしまっていることから、当たり障りのない返答をするほかなかった。自他共に華のある学園生活を望む榊は、この言葉に苦々しさを覚え、今からでも彼女をつくって実りある日々を過ごすべきだと主張する。そんな中、二人の前に花が現れる。花は、桜井に友人がいたという事実に驚愕し、さらに榊に対して桜井を見捨てないでほしいと丁重に頼み込む。桜井はその反応に頭を抱え、思わずいつもの調子でどなってしまう。ふだんとは違う様子の桜井と、彼と親密な様子で接する花を見た榊は、二人が互いを憎からず思いながらもそれをうまく表現できていないことを察する。そして、桜井に実りある学園生活を送ってほしいという願望と、単に面白そうだからという好奇心から、二人の関係を応援することを決める。

夏休み

宇崎花は、亜細亜紀彦の経営するカフェのアルバイトを始めることになる。桜井真一は半ば予測していたとはいえ、平穏な時間を過ごせなくなることに頭を抱える。一方、カフェに来ていた榊逸仁は、桜井と花がより親密になるようにと、あれこれおせっかいを焼き始めるが、あくまで二人を見守る姿勢を望んでいる亜細亜実と衝突する。そんな中、榊の発案によって、夏休みに彼の別荘に遊びに行くことが決まる。榊と亜実は、当初は桜井と花だけで行かせようと考えていたが、二人の思惑を知らない花は、みんなで行こうと提案してしまう。だが、榊たちは二人きりで行かせた場合、むしろまったく関係が進展しないのではないかと考え、結局四人で旅行に行くことを決める。そして旅行当日、四人はそれぞれの思いを胸に海へと向かう。水着に着替えた花を見た亜実は、彼女のスタイルのよさに絶句するが、肝心の桜井は広い海を見たことで泳ぎたいという欲望に駆られ、花をそっちのけで一人で泳ぎに行ってしまう。二人の絶望的なまでの嚙み合わなさにしびれを切らした榊は、亜実を加えた三人を肝試しに誘う。榊は、怖がる花を桜井がリードするという展開を期待していたが、実際に怖がりなのは桜井の方で、花はそんな彼をここぞとばかりにからかう。それでも、二人の関係はわずかながら進展し、亜実と榊はひとまず満足するのだった。

宇崎月の危険な妄想

宇崎花は20歳の誕生日を迎え、桜井真一と共に居酒屋でささやかなお祝いを行うことになった。花は初めての飲酒を楽しみにしていたが、お酒のおいしさを感じられなかったうえに、すぐに酔っぱらってしまう。桜井はやむなく自分の部屋に彼女を連れ帰るが、気分の悪くなった花は布団に嘔吐する。花は布団代を桜井に手渡すが、彼はその額が多すぎると、差額分を返すために花と共に宇崎家に向かう。花の家に到着した桜井は、花の母親である宇崎月に迎えられる。花とは対照的に、おしとやかでやや気の弱い月は、桜井の威圧感のある体軀を見るなり、あからさまに委縮してしまう。二人はそんな月の様子に気づくことなく、花が飼っている二匹の黒猫を見に行く。猫が大好きな桜井は、彼らを見るなりそのかわいらしさの虜になり、「抱きしめたい」「触ってもいい?」と、珍しく積極的な様子を見せる。月はこれを自分に対するものとカンちがいし、桜井が欲求不満であると思い込む。そして後日、月は花がきちんとアルバイトしているかを観察するために、亜細亜紀彦のカフェに足を運ぶ。しかしそこで桜井と出くわし、またしてもよからぬことをあれこれ空想する。さらに亜細亜実から桜井が主婦層に人気であることを聞くと、彼がプレイボーイなのかと疑い、ますますうろたえてしまう。亜紀彦と亜実からフォローされるものの万全な効果は得られず、月の妄想はますますエスカレートしていく。

学園祭

桜井真一宇崎花の通う大学は、学園祭のシーズンを迎える。祭り事が大好きな花は、いつも以上のハイテンションで桜井といっしょに大学内を回ることを宣言する。しかし桜井は、先月から大量にリリースされているゲームを遊ぶ時間を確保するため、学園祭に行かないと言い出す。花は、桜井の選択に若干呆れながらも、自分のペースを守ることを重視する彼に対して説得は不可能と判断し、自らも参加するかどうかを悩んでいた。そんな中、二人の前に疲れきった様子の榊逸仁が現れる。学園祭の実行委員に協力していた榊は、参加者を増やす計画の一環としてスタンプラリーを開催し、その賞品に最新ゲーム機やホテル宿泊券など、豪華なものを多数用意していることを明かす。これを聞いた桜井は、榊の努力や賞品への執着などから参加する意思を示し、花もそれに同調する。そして学園祭当日。桜井と花は、榊がしきりに勧めてきたオカルト研究会の占いコーナーに足を運ぶ。特に何を占ってもらおうか決めていなかった二人だったが、担当のイトーから恋占い専門であることを聞かされると途端に焦り出し、占ってもらうことに尻込みし始める。しかし、最終的にはイトーに占ってもらった結果、二人の相性が抜群にいいことがわかり、どうして付き合っていないのか不思議がられてしまう。こうして榊の狙いどおりに、二人は学園祭を通じて互いを意識するきっかけを得る。

宇崎親子の料理教室

桜井真一は、アルバイト先の亜細亜紀彦亜細亜実から調理のシフトにも入ってほしいと頼まれる。しかし桜井は料理が壊滅的で、一人暮らしであるものの自炊におよそ縁がなかった。そこで宇崎花は、料理ができないのならできるように特訓をすればいいと考え、桜井を自分の家に招いて料理教室を開くことになる。さらに料理が得意な宇崎月も協力してくれるという話だったが、月自身はそれを知らされておらず、突然の桜井の来訪に驚いてしまう。それでもなんとか特訓に付き合ってもらうことになり、桜井はその手始めとして、うどんのこね方を学ぶ。月の教え方は非常にうまく、桜井も真剣に学ぶ姿勢を見せたことから、着実に腕を上げていく。一方、月は未だに桜井の放つ威圧感に慣れることができないままだったが、「目さえ見なければ話しやすい」という、理知的かつ失礼な結論に達する。さらに、桜井の猫に対する思いをまたしても月自身に対するものとカンちがいし、プレイボーイである彼を正すという使命感を勝手に抱いてしまう。桜井はそれから1か月のあいだ、うどんばかりこねる生活を送り続けて目覚ましい上達を見せる。しかし、月の誤解は時を追うごとにひどくなっていき、ついには花の彼氏でありながら月すらも狙っているという、事実とはまったく異なる認識を持ってしまう。

宇崎家の人々

体を鍛えることが趣味の桜井真一は、大学帰りにトレーニングジムに通い始める。たくましい体つきと誠実な性格の桜井は通っているジムの人たちからの評判もよく、桜井も熱意あるトレーナーの男性に信頼を寄せていた。しかし、桜井は知る由もなかったが、そのトレーナーこそが宇崎花の父親、宇崎藤生であった。その夜、家に帰った藤生は花や宇崎月から桜井についての話を聞き、花は「先輩」としか呼んでないことから女性とばかり思っていたが、その人物が男性だと知るや否やうろたえ始める。そして花と月に加えて、花の弟である宇崎桐や末娘の宇崎柳を交えて家族会議を決行する。花に彼氏ができたと思い込んでいる藤生は、桜井とのなれ初めや現在の関係などを根掘り葉掘り追及しようとするが、家族たちはマイペースな様子を崩さず、藤生の発言を適当に聞き流してしまう。しかし藤生は、花に桜井はどのような人物なのかをしつこく尋ね、桜井の優れた人柄や、趣味が自分と同じ筋トレであることを聞き出す。さらにその最中に、花が彼の家に上がったことを思わず口走り、宇崎家はさらなる混乱に陥るのだった。

メディアミックス

テレビアニメ

2020年7月から9月にかけて、本作『宇崎ちゃんは遊びたい!』のテレビアニメ版『宇崎ちゃんは遊びたい!』が、AT-X、ABCテレビ、TOKYO MX、テレビ愛知、山陰放送、NCC長崎文化放送、BS11で放送された。原作で描かれたエピソードを忠実に再現しているほか、第10話では、鳥取の各地を巡るテレビアニメ版オリジナルのエピソードも描かれた。制作会社はENGIが担当している。監督を三浦和也、シリーズ構成をあおしまたかしが務めた。キャストは、桜井真一を赤羽根健治、宇崎花を大空直美、亜細亜紀彦を秋元羊介、亜細亜実を竹達彩奈が演じている。2022年10月には第2期『宇崎ちゃんは遊びたい!ω(だぶる)』が放送。

コラボレーション

日本赤十字社

2019年の10月から11月にかけて、本作『宇崎ちゃんは遊びたい!』と赤十字血液センターのコラボレーションが行われた。献血を呼び掛けるポスターに宇崎花が起用され、実際に献血を行った人に対してクリアファイルがプレゼントされた。作者のは、日本赤十字社にコラボレーションのための絵を提供した理由として、自らが阪神淡路大震災の際に瓦礫から救助されたため、その感謝を少しでも表したかったと語っている。

鳥取県

2020年7月から、本作『宇崎ちゃんは遊びたい!』と、鳥取県のコラボレーションイベント「宇崎ちゃんは鳥取で遊びたい」が行われた。これに伴い、テレビアニメ『宇崎ちゃんは遊びたい!』で鳥取の各地を赴くオリジナルエピソードが放送されたほか、三朝温泉河原風呂、白壁土蔵群、泉娯楽場などで、作者のが書き下ろしたイラストが公開された。また、2020年7月11日から、円形劇場くらよしフィギュアミュージアムで、アニメの絵コンテや美術ボードなどの資料が展示された。さらに2020年11月28日に、アニメ版で桜井真一役を演じた赤羽根健治と、宇崎花役を演じた大空直美が鳥取県の倉吉市や三朝町を実際に訪れ、その魅力を紹介する「リモトラ」イベントが行われた。

マチ★アソビCAFE

2020年9月29日から10月11日にかけて、本作『宇崎ちゃんは遊びたい!』のコラボレーションカフェが「マチ★アソビCAFE」で開かれた。本作で宇崎花が作った料理をイメージした「SUGOI DEKAI! オムカレー」や「銀シャリ進む定食」、花が好物としているチョコミントアイスをイメージした「チョコミン党プレート」、桜井真一やその仲間たちをイメージしたドリンクなどがある。そして、それらを注文した客に対して、テレビアニメ『宇崎ちゃんは遊びたい!』のアニメーション原画を使用したランチョンマットや、オリジナルコースターがプレゼントされるというサービスも行われた。

アクティブAKIBA バッティングセンター

2020年7月27日から9月13日にかけて、本作『宇崎ちゃんは遊びたい!』と、アクティブAKIBA バッティングセンターのコラボレーションイベント「宇崎ちゃんはアクティブAKIBA バッティングセンターで遊びたい!」が行われた。プリペイドカードを一枚購入するごとに、宇崎花がバッティングに挑戦するシーンを描いた四種類の特製カードがプレゼントされる。

AKIHABARAゲーマーズ

2020年8月3日から8月20日にかけて、本作『宇崎ちゃんは遊びたい!』と、AKIHABARAゲーマーズ本店のコラボレーションイベント「『宇崎ちゃんは遊びたい!』SUGOIミュージアムin AKIHABARAゲーマーズ本店」が開催された。キャラクタースタンディや場面写真パネルなど、本作の世界観にかかわるものが多数展示された。また、テレビアニメ『宇崎ちゃんは遊びたい!』のBDおよびDVDの会場予約特典として「宇崎ちゃんスペシャルクリアファイル」がプレゼントされたり、会場内で書籍、CDといった関連商品を購入することで「宇崎花宇崎月特製キャラクタースタンディ」や「キャスト直筆サイン入りアフレコ台本」「クソキャット特製ステッカー」が抽選でもらえたりするなどのキャンペーンが行われた。

ゲーム実況

本作『宇崎ちゃんは遊びたい!』の登場人物である桜井真一宇崎花が、実際にゲームをプレイするという実況動画が、動画配信サイト「YouTube」内で複数投稿された。プレイしたゲームは、『スーパーボンバーマンR』『太鼓の達人 セッションでドドンがドン!』『マリオカート8 デラックス』などがある。キャストは、桜井を赤羽根健治、花を大空直美が演じている。

登場人物・キャラクター

桜井 真一 (さくらい しんいち)

宇崎花と同じ大学に通う3年生の男子。誕生日は11月29日で、年齢は20歳。友人の榊逸仁からは「サク」と呼ばれている。目つきが悪いうえに、180センチの長身と引き締まった体格から威圧感を与えるため、初対面の人からは怖がられがち。しかし、実際はまじめで礼儀正しい常識人で、人当たりがいいことから周囲からの評判もいい。ただし、一度決めたことを簡単に曲げることがないなど、頑固な一面も持つ。騒々しい場所が大の苦手で、一人で静かに過ごすことを好む。宇崎花とは高校時代からの付き合いながら、一人でいたいときに限って花から絡まれることが多く、その際に独りぼっちと揶揄されるほか、からかわれている。桜井真一自身もこれに対して、事あるごとに小言を言ったり、時には頰をつねったりと、容赦のない振る舞いを見せることが多い。ただしその人柄や、いっしょにいることに不快感を持っているわけではなく、彼女が落ち込んだときはしっかりあやまるなど、真摯な態度を見せる。また花以外にも、亜細亜実や榊などの性格に難のある人物の奇行に巻き込まれて苦労を強いられることが少なくない。かつてはスポーツに夢中で、高校時代は水泳部に入部していた。花や榊たちと海へ旅行に行った際も、真っ先に一人で遠泳にいそしんでいた。体を鍛えることが好きで、のちに宇崎藤生がトレーナーをしているトレーニングジムに通い始める。しかし、一人でいることを好むため、サッカーなどの団体スポーツはあまり得意ではなく、その腕前も榊に及ばない。現在はテレビゲームに興味があり、放課後のヒマなときはよくプレイしている。猫が大好きで、猫カフェにも時折通っている。花の飼い猫に対しても例外ではなく、これが原因で、のちに宇崎月からとんでもない誤解を受けてしまう。亜細亜紀彦の経営するカフェでアルバイトをしており、誠実な接客態度から主に主婦層に人気を集めているが、料理の腕は壊滅的。鈍感なところがあり、長いあいだ花から恋愛感情を寄せられていることには気づいていなかった。だが、榊や亜実の後押しや、学園祭や夏休みの旅行での交流などを経て、わずかながら彼女を意識するようになる。しかし、互いに恋愛が不得手であることや、ほかに興味のある事柄が多いことから、関係はなかなか進展していない。

宇崎 花 (うざき はな)

桜井真一と同じ大学に通う2年生の女子。誕生日は8月7日で、年齢は19歳。宇崎藤生と宇崎月の娘で、宇崎桐と宇崎柳の姉。家に二匹の猫を飼っており、起床時にエサをあげるなど世話をしている。喜怒哀楽が激しく、ノリとテンションで行動することが多い。人見知りしない性格で、どのような状況でも緊張することはあまりない。勉強が苦手ながらゲームが得意で、桜井とはよくゲームの話題で盛り上がっている。大学でいつも一人でいる桜井を独りぼっちとカンちがいし、不憫に思って何かとちょっかいを掛けているが、桜井からはぞんざいな対応をされている。ただし、これは宇崎花なりの愛情表現の一環であり、決して本心から彼をさげすんでいるわけではない。それどころか、彼がいない場所では、気を遣う様子を見せることも少なくない。高校時代は水泳部に所属し、当時の先輩だった桜井から親身に指導をしてもらったことで、彼に対して恋心を抱くようになる。しかし初恋であるためか、花自身の感情が恋愛感情であることに気づいていない。そのため、桜井と花がなかよくなってほしいと考えている亜細亜紀彦や亜細亜実、榊逸仁からは、そのどこかずれた恋愛観に辟易されている。一方で、桜井から素っ気ない対応をされると拗ねたりと、年相応の女性らしい一面を見せる。外見も中身もやや子供っぽいところがあり、亜紀彦からは初対面の際に中学生だと思われていたほど。だが、亜紀彦の経営するカフェでアルバイトを始めると、コミュニケーション能力の高さから親子連れの客から絶大な人気を誇るようになり、バイトとして心強い存在となる。桐や柳とは友人のような感覚で付き合っており、桜井との関係を冷やかされた時は恥ずかしがりながらもまんざらでもない様子を見せる。藤生や月とも仲がよく、おせっかいで焼きもち焼きなところは父親によく似ている。かつては父親同様関西弁を使っていたが、小学校時代に「不良みたいなしゃべり方」とからかわれて以来、標準語でしゃべるようになる。

亜細 亜紀彦 (あさい あきひこ)

桜井真一がアルバイトしているカフェを経営する男性で、亜細亜実の父親。桜井からは「マスター」と呼ばれている。渋い外見で、コーヒーや店の雰囲気へのこだわりが強い。長いあいだカフェを経営し、さまざまな客を見てきた経験から、亜実と同様に観察眼に優れている。そのため、人の長所を見つけることが得意で、桜井の周囲では唯一とすらいえるほどの良識的な人物で、当の桜井からも信頼されている。亜実をアルバイトとして雇っているものの、亜実が人間観察にうつつを抜かすときは説教するなど、子供に対しては厳しい。だが、亜実との仲が険悪というわけでは決してなく、カフェに宇崎花が来るようになってからは、彼女と桜井の微妙な関係を察知し、亜実とひそかに二人の仲を応援している。のちに花とは年の離れた友人関係となり、息が合う様子を見せては、桜井から呆れられつつも感心されている。身体的にすでに自らが若くないことを自覚しており、花から旅行に行こうと誘われた時は、体力に不安があるからという理由で断る。その後、花を新しいアルバイトとして雇う。これは桜井といっしょに過ごす時間を増やすためだったが、彼女の卓越したコミュニケーション能力や朗らかな性格が、接客にこのうえなく相応しいことが判明する。

亜細 亜実 (あさい あみ)

桜井真一や宇崎花と同じ大学に通う4年生の女子。誕生日は1月16日で、年齢は21歳。亜細亜紀彦の娘で、父親の経営するカフェでアルバイトをしている。成績は優秀で、3年生までに主な単位をほぼ取り尽くしており、現在は残りの1年間をのんびり過ごすことを楽しんでいる。人間観察が趣味で、父親と同様に観察眼が優れている。桜井の礼儀正しさに注目しているが、彼を異性として意識しているわけではない。花と同様に人見知りしない性格で、アルバイト中の桜井を軽くからかうこともあるが、桜井からは嫌な顔をされることはあまりない。のちに出会った花のスタイルのよさと明るさに魅了され、桜井と共に観察対象にする。さらに、桜井と花が友達以上恋人未満の関係であることを知ると、亜紀彦といっしょになって、二人が親密になるようにさまざまな作戦を画策するようになる。しかし、桜井も花も恋愛そのものが極端に苦手であることからなかなか進展せず、その朴念仁ぶりに腹を立てることもある。榊逸仁とは、桜井や花の対応の仕方が異なることもあり、仲はよくない。ただし、桜井と花が付き合ってほしいという望みが一致していることから、二人をくっつけるために協力し合っている。

榊 逸仁 (さかき いつひと)

桜井真一や宇崎花と同じ大学に通う3年生の男子。誕生日は6月3日で、年齢は21歳。桜井の親友で、いっしょに授業を受けることも多い。イケメンで学業も優秀なことに加え、スポーツも桜井に匹敵する技量を持つ。さらに金持ちで、男女問わず人気があるが、榊逸仁自身は何より自由を好んでいる。束縛を嫌う点は桜井と共通しているが、誰にも言わずにいきなり2週間ほど沖縄に出かけることもある。桜井のことを気骨ある良識人だと認識しており、桜井からも信頼されている。自他共に実りある学園生活を求めているため、相変わらず桜井が一人でいることを好んでいると知り、いっそ彼女でもつくってみたらどうかと助言した。興味のために相手を焚き付けたり、下世話な発言をしたりするなど、花や亜細亜実と同様にやや性格に問題がある。一方で、桜井たちを別荘に案内した時に、その豪華さに絶句した一行に対して、自分ではなく親が金持ちなだけだからとはっきり言い切るなど、恵まれた境遇を鼻にかけることはいっさいない。また、学園祭の実行委員から協力を仰がれた時は、桜井と花の仲を後押ししたいという考えこそあったものの、徹夜で準備して学園祭を盛り上げようとするなど、お人よしなところもある。当初花のことは、時折桜井といっしょにいる存在程度の認識だったが、花からは桜井に友人がいたという事実に驚愕されたうえに、唐突に彼の母親のような態度で丁重にあいさつされ、大いにとまどう。しかし、桜井とのやり取りを見るにつれて、互いに憎からず思っていることを見抜き、桜井に彼女をつくらせる目的と個人的な興味から、二人の仲を応援するようになる。のちに、桜井や花がアルバイトをしているカフェに立ち寄ることが多くなり、亜細亜紀彦ともなかよくなるが、亜実とは考え方の違いから口論になることが多い。

KUSOCAT (くそきゃっと)

桜井真一や宇崎花の前に時折姿を見せる、神出鬼没かつ性別不明の猫。名前は「KUSOCAT」だが、一般的には「クソキャット」と呼ばれる。見る人を苛立たせるような表情が特徴ながら、その絶妙なかわいくない外見が花には好評で、桜井に見せびらかしたことがある。また、眉毛が太く頼りがいのある「クソキャットダンディ」、頭脳明晰だが金に汚い「クソキャットジーニアス」、老けた外見で木の上から助言する「老師」、顔の半分が機械化した「クソキャットボーグ」と、さまざまな派生種が存在する。

猫カフェの店員 (ねこかふぇのてんいん)

猫カフェ「CAT CAFE」で働いている女性。猫のアップリケがあしらわれたエプロンを身につけ、眼鏡を掛けている。店に訪れた桜井真一と宇崎花を迎え、猫に執心するあまりいつも以上に鋭い形相を見せる桜井に怯えてしまうが、彼が本当に猫が好きであることを確認すると、安心する。あぐらをかいて猫と戯れたことで足がしびれた桜井を執拗にからかう花を見て、そういうプレイは家でやってくださいと注意した。のちに好評だったという理由から、作者の丈の意向によって下着姿にされてしまう。

林田 健 (はやしだ けん)

ボクシングの審判員を務めている男性。花火見物にやって来た際に、桜井真一と宇崎花の姿を見かける。ある事情から花を褒めたたえる桜井に対して、照れた花が手に持っていた巾着を振り回し、桜井を気絶させていた場面を目撃する。この状況を見て、花が振り回していた巾着が偶然桜井の顎をかすり、脳しんとうを引き起こしたと結論付ける。そして気を失っていた桜井に対し、このような事故を防ぐためにも、男性が女性を褒める際は相手が手ぶらなときを選ぶべきだと忠告する。なお、実際は桜井と花は恋人同士ではないが、林田健自身は目撃した時の様子から二人が付き合っていると思い込んでいた。

イトー

桜井真一と同じ大学に通う2年生の女子。宇崎花の友人で、1年生の時からオカルト研究会に所属している。素直な性格で、リップサービスを苦手としている。また、ふだんは控えめでおとなしいタイプながら、一度心の中のスイッチが入ると途端に饒舌になる。眼鏡を掛けた一見地味な風貌だが、花の友人の中では唯一の彼氏持ちで、時折冷やかされている。桜井のことを花の彼氏だと思っていたが、花自身の口から否定される。学園祭では、オカルト研究会の出店で占いコーナーを担当した。そして、榊逸仁にそそのかされる形でオカルト研究会を訪れた桜井と花を迎えるが、その際に恋占い専門であることを明かし、一時は彼らに辞退される。しかしオカルト研究会の先輩たちや、姿を偽って隠れていた亜細亜実の強引な後押しによって占いを強行する。その結果、周りが引いてしまうほど相性がいいことが発覚し、二人が意識し合うきっかけとなった。

宇崎 月 (うざき つき)

宇崎花の母親で、専業主婦。誕生日は11月2日で、年齢は43歳。年齢よりも若々しい見た目をしている。花とは正反対の性格で、品がよくて物腰が柔らかいが、花が自堕落な生活を送っていた時は厳しく注意することもある。ドラマ鑑賞が趣味で、過激な内容を見続けた結果、思い込みの激しさと異性に対する妄想を膨らませているが、家族には気づかれていない。夫の宇崎藤生との仲は親密で、子供たちを引かせるときもある。布団の弁償代を家に持ってきた桜井真一を迎えるが、一目見てその風貌から恐怖感を抱き、顔をまともに見ることすらできなかった。しかし、彼の誠実な性格に触れることで恐怖心がなくなり、最終的には目を見ずに話せば大丈夫という結論に達する。さらに、桜井と花が別の部屋に行った際に、桜井が家で飼われている二匹の猫に言った「抱きしめたい」という言葉を、事もあろうに宇崎月自身に対するものとカンちがいして、桜井が自分を狙っているのではないかと疑うようになる。また、亜細亜紀彦が経営するカフェに花のアルバイトの様子を見に行った時は、ハプニングで桜井が花に覆いかぶさった場面を目撃し、「娘と付き合っていながら自分を狙っている」と、さらにひどいカンちがいをしてしまう。料理が上手で、かつて花に教えたこともある。のちに桜井の調理の腕を磨くために、花と共に料理を教えることになるが、その時もたびたび妄想に苛まれるなど、依然として桜井を危険人物として認識している。一方で、花とは似合いの恋人同士であるとも考えており、彼に対して悪感情を抱いているわけではない。また、年齢より若く見える容姿は子供たちにも受け継がれている。

宇崎 藤生 (うざき ふじお)

桜井真一が通うトレーニングジムで、トレーナーを務める男性。年齢は46歳。宇崎花の父親。関西出身で、関東に引っ越してからも変わらず関西弁でしゃべる。「関●電●保安●会」や「ホ●ルニュー淡●」など、関西人が好みそうな言葉に執着し、関西に対する思い入れが非常に強い。桜井に匹敵するほど筋骨隆々で、娘と同様のノリのよさとテンションの高さで後先考えずに行動を起こす。根性を重視する傾向があり、他者にもそれを重視させてしまうことが多く、トレーナー仲間からはそこだけが残念だと思われている。しかし、人並み以上の忍耐力を持つ桜井とは気が合い、体験入会に訪れた彼が100キロのベンチプレスを上げたのを目の当たりにして、ますます気に入る。そして仲間たちと共に入会をうながし、彼を会員にすることに成功する。子供たちに甘く、花や宇崎桐、宇崎柳を溺愛している。花に彼氏ができたかもしれないと聞かされ、その相手が桜井だと知らないまま由々しき事態と認識し、無理やり家族を招集して家族会議を開いてしまう。

宇崎 桐 (うざき きり)

宇崎花の弟で、高校2年生。ふだんは花同様に明るくノリのいい性格をしている。異性に対する興味が強かったり、思い込みが激しかったりなど、きょうだいの中では最も母親に性格が似ている。また花や妹の宇崎柳と同様に、見た目は母親の宇崎月に似ている。花や柳とは、きょうだいというより友人に近い感覚で接しており、姉である花に対しても、ふだんは呼び捨てにしている。身長の低さがコンプレックスで、花からはそのことでよくからかわれている。その一方で父親の宇崎藤生からはいつまでも小柄なままでいいと言われているが、このことがよけいにコンプレックスを刺激してしまっている。花に彼氏ができたかもしれないと聞いた際は、子供っぽい花と付き合う男性はどんな物好きだとからかっていた。しかし、その相手が桜井真一と打ち明けられた時は、途端にうろたえてしまう。かつては父親と同様に関西弁をしゃべっていたが、父親の刷り込みという事実を嫌がるようになり、現在は標準語でしゃべっている。

宇崎 柳 (うざき やなぎ)

宇崎花の妹で、中学2年生。花や兄の宇崎桐と同様に見た目は母親の宇崎月に似ており、母親ゆずりの柔らかい物腰と、父親ゆずりの好奇心を併せ持つ。父親である宇崎藤生の影響を一際受けており、きょうだいの中ではただ一人、現在も関西弁をしゃべる。花や桐に対して友人のように接し、人懐っこい一面を見せる。一方で、父親に対しては、関西弁をしゃべることにシンパシーを感じているものの、子供たちに過干渉な点に関しては冷めた目で見ている。父親を通じて花に彼氏ができたらしいことを知った時は、誰よりもその彼氏に興味を示した。そして性格や外見など、さまざまなことを根掘り葉掘り尋ね続ける。

書誌情報

宇崎ちゃんは遊びたい! 12巻 KADOKAWA〈ドラゴンコミックスエイジ〉

第1巻

(2018-07-09発行、 978-4040727790)

第2巻

(2019-02-08発行、 978-4040730950)

第3巻

(2019-07-09発行、 978-4040732602)

第4巻

(2020-02-07発行、 978-4040734996)

第5巻

(2020-07-09発行、 978-4040737126)

第6巻

(2021-03-09発行、 978-4040740133)

第7巻

(2021-08-06発行、 978-4040742052)

第8巻

(2022-03-09発行、 978-4040744582)

第9巻

(2022-09-09発行、 978-4040746753)

第10巻

(2023-03-09発行、 978-4040749075)

第11巻

(2023-12-08発行、 978-4040752365)

第12巻

(2024-07-09発行、 978-4040755144)

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