概要・あらすじ
石田欧彦は、高校一年生の時に担任の女教師笹生美穂子と無理矢理に性的関係を持たされる。同級生や後輩から次々告白され、恋とは何か愛とは何かを悩みながら、どうしても忘れられず笹生美穂子を追いかけた石田欧彦は、ヤクザ並木水人と出会い、彼らを取り巻く倒錯的で危険な世界へと足を踏み入れることに。
その後、彼は麻薬取引や殺人事件、ヤクザの勢力争いに巻き込まれ、命の危険にさらされる。
登場人物・キャラクター
石田 欧彦 (いしだ おうひこ)
高校生。高校一年の時に担任の女教師笹生美穂子にレイプされる。笹生美穂子の部屋を訪ねヤクザ並木水人と出会い、恋とは何かを追い求めながら、さまざまな男性・女性と性的関係を結ぶ。木暮容に誘われ売春組織に関わり、竜亜会と薬丸グループのトラブルにも巻き込まれ、命の危険にさらされる。
笹生 美穂子 (ささお みほこ)
主人公石田欧彦をレイプした元担任。生徒へのセクハラが原因で教師を辞職。被害にあった生徒のその後に多大な影響を与える。並木水人とは幼なじみで、愛人関係にある。教師を辞めたあとは、企業スパイをしており、竜亜会や薬丸グループへの情報提供を仄めかす。
並木 水人 (なみき みずと)
早くに親を亡くし竜亜会に引き取られた、若き組長西宮翼朗の片腕。麻薬ブローカーを追って東京へ来ている。幼な馴染みにして愛人関係にある笹生美穂子を尋ねて来た石田欧彦と会い、「薔薇になれ」と告げその後も深く関わる。小暮容に慕われるが、利用しただけで突き放す。本庁刑事の伊武とは既知の仲だが絶交中。 外伝(神戸編)小説では並木水人と西宮翼朗が主役となっている。
西宮 翼朗 (にしみや よくろう)
竜亜会の若き組長。薬丸グループに恩を売るため、会長からの依頼に従い木暮容を警護。並木水人が石田欧彦を気にかけるのを、組長を継ぐまでの自らの過去と重ね見守る。石田欧彦20代前半と思うほど童顔で、その風貌はヤクザには見えない。外伝(神戸編)小説では並木水人と西宮翼朗が主役となっている。
田村 (たむら)
主人公石田欧彦の男子クラスメート。恋の悩みを語り合う仲。長期間欠席する石田欧彦を気に掛けながらも、いつも飄々としている気の置けない友人。
雪沢 沙絵子 (ゆきさわ さえこ)
主人公石田欧彦の同級生。告白してつきあうようになるが、次々と告白されたり、年上の女と付き合う石田欧彦に、不安になりながらひたすら待ちつづける。通学途中で足を踏まれ、踏んだ靴を弁償してくれた一見普通のサラリーマン塚本修次に、無防備に心惹かれる初心な少女。
木暮 容 (こぐれ いるる)
主人公石田欧彦の同級生。笹生美穂子と関係していた生徒の一人。薬丸グループの御曹司。涼風のどかとの情事の写真と録音をたてに、石田欧彦を売春組織に誘う。並木水人に出会い、強く惹かれて神戸まで追いかけるが、それを利用され竜亜会の護衛がつき、腹いせに少年売春組織の情報を売る。 涼風のどかの殺人現場を目撃していた。
敷島 蘭子 (しきしま らんこ)
『少年濡れやすく恋成りがたし』の登場人物、会員制クラブの関係者を名乗り、渋谷の町で石田欧彦をナンパする。実は高校生を集めた売春組織の元締め。売春組織の摘発で逮捕され、精神鑑定にかけられる。噛む女、諭す女、不機嫌な女の多重人格者。通称は涼風のどかで、こちらの方が通りがいい。
鳴海 加乃 (なるみ かの)
笹生美穂子と関係していた生徒の一人。鳴海建設の社長令嬢。木場に慕われているが必要以上に冷たい態度で接する。石田欧彦に脅すように告白し、笹生美穂子と関係していたことを学校にバラすと脅し、性的関係を迫る。異常性癖の持ち主で、薬物常用者。女麻薬ブローカーの殺人事件で、伊武に目を付けられる。
伊武 (いぶ)
本庁の女刑事。長髪巻き毛のおよそ刑事とは思えない風貌。並木水人とは既知の仲だが絶交中で口をきかず、部下の蓮華が意を汲んで通訳する。工事現場での殺人事件の捜査で鳴海加乃に事情聴取。現場で見つけたオモチャの手錠の鍵から薬物反応があり、薬物事件との関わりを疑う。高口里純作の『虹色仮面』にも登場する。
蓮華 (れんげ)
本庁の刑事で、伊武の部下。いつも金魚の糞のように伊武にくっついて捜査に出る。並木水人と口をきかない伊武に替わって通訳する。
有坂真子 (ありさかまこ)
伊武の昔馴染みのセラピスト。涼風のどかの精神鑑定を行い、多重人格者と診断し、殺人の可能性を示唆。時々、語尾が赤ちゃん語になる。
岡田 まち絵 (おかだ まちえ)
笹生美穂子の部屋の隣に住む、美少年好きのオタク女。石田欧彦の後を付けたり、痺れ薬を飲ませて部屋に監禁し撮影したり、髪を切ってボーイッシュになった桜庭由江に惚れ込み部屋へと誘い込む。
桜庭 由江 (さくらば よしえ)
本命の木場先輩の気を引くため石田欧彦に告白したり、木場が慕う鳴海加乃に言われ髪をショートカットにしたところ、木場には無視されるが岡田まち絵に綺麗だと言われ誘いに乗る。
木場 (きば)
桜庭由江のテニス部の憧れの先輩。スポーツ万能で成績優秀な優等生。外で手錠をかけられ放置されたり、どんなに冷たくされても鳴海加乃に執着しているマゾ体質。
石田 さおり (いしだ さおり)
石田欧彦の姉。年上の男性とつきあっていたが別れ、男の子供を堕胎したと嘘をつき、弟石田欧彦をベッドへと誘う。
りこ
石田欧彦のアルバイト先のレンタルビデオ店の同僚。アダルトビデを鑑賞が趣味で、興味から石田欧彦とも関係を持つが、不感症を告白。通勤電車内でわざと痴漢に遭う。
宝田 (たからだ)
竜亜会幹部で、若い頃からずっと西宮翼朗のお目付役。並木水人を竜亜会に引き込んだ人物。
凱 (がい)
監禁場所から逃げ出し行く当てもなく座り込んでいた石田欧彦を拾う。白くカラッポの箱に執着する、箱を使ったウィンドウ・ディスプレイのデザイナー。
早 (さき)
箱男と箱女のコンビで通っている、なんでも紐で縛るウィンドウ・ディスプレイのデザイナー。石田欧彦を紐でしばり気絶させてしまい、そのままディスプレイ・オブジェとして使う。
石田欧彦の母 (いしだおうひこのはは)
石田欧彦の母。夫を亡くして以来、娘に猛反対され再婚もせず女手一つで二人の子供を育ててきたため、息子の石田欧彦に執着。子供から大人へ変化する息子の様子に戸惑い、一時は宗教に走る。
塚本修次 (つかもとしゅうじ)
通勤途中の電車で足を踏んでしまった雪沢沙絵子に興味を示し、踏んだ靴を弁償する、と見せかけ自宅に保存する。生身の人間より持ち物に惹かれるフェティシスト。石田欧彦との関係に悩む雪沢沙絵子を誘惑する。
集団・組織
竜亜会 (りゅうあかい)
『少年濡れやすく恋成りがたし』に登場する、関西圏を勢力範囲とする暴力団。組長は西宮翼朗。政財界に力のある薬丸グループに恩を売るため、会長の子息木暮容を護衛する。主人公石田欧彦と深く関わる、並木水人が所属する暴力団。三輪組は竜亜会の末端組織。
三輪組 (みわぐみ)
『少年濡れやすく恋成りがたし』に登場する、暴力団竜亜会の末端組織のひとつ。小暮容を一緒にいた石田欧彦とともに拉致監禁し薬丸グループを脅迫するが、竜亜会が介入し取り返される。
関連
虹色仮面 (にじいろかめん)
作者・高口里純の代表作の一つ『少年濡れやすく恋成りがたし』とのクロスオーバー作品で、同作のキャラクターが数名登場する。また関連作として、本作に登場する天川真留寿(てんかわまるす)を主人公にしたスピンオ... 関連ページ:虹色仮面