尾かしら付き。

ソフトボール部に所属する樋山那智は、同級生の宇津見快成が抱える重大な秘密を知ってしまう。それは快成のお尻には豚のような不思議な尻尾が生えているということ。ふつうとは違うことに迷い、時には傷つきながらも、少しずつ距離を縮めていく那智と快成の恋愛模様を綴った10年間の物語が、温かくも切ないヒューマンドラマと青春コメディを交えながら展開される。

ヒロインの樋山那智は、ソフトボール部の試合では外野を守ることが多く、補欠に回されることも多い。どんなに練習しても生まれつき白肌のため、日に焼けない肌にコンプレックスを抱きながらも部活に励む日々を送っていた。そんなある日、那智は同級生の宇津見快成の秘密を知ったことで、彼のことが気になり始める。お尻に不思議な尻尾が生えている快成は、少し不器用ながら心優しい少年。今までは尻尾がバレると人は遠ざかっていくのに、気味悪がらないどころか理解を示す那智を変わり者と言いながらも嬉しく思っていた。そんな二人は、互いのことをもっと知りたいと考えるようになり、喜びや感動、悲しみや葛藤を重ねながらも心を通わせていく。

尻尾が生えているせいでつらい思いをしてきた宇津見快成と、彼を真っすぐに思い続ける樋山那智は、秘密を共有する仲となり、やがて交際を始める。順調に距離を縮めた二人だったが、快成の秘密がほかのクラスメートに知られてしまったことで、幸せな日々が終わりを告げる。快成は那智にあいさつもなく引っ越し、那智は快成に捨てられたと思い込んで人間不信となる。しかし、那智と快成が高校生になった頃、再会の時が訪れる。一旦途切れた絆がどうやって深まっていくかの過程も見どころとなっている。