あらすじ
第1巻
全人類の敵である魔物と戦う騎士団に所属し、第十一騎士団団員として活動していたキース・ブランドンは、第十一騎士団団長のブノワ・バリエと揉めて騎士団を追放されてしまう。キースの人間性から追放されることを予測していたアラン・スコールランドは、セレーネと相談してキースを王立騎士学校の教師にして後進の育成に当たらせる準備を整えていた。キースは二人の要請を受けて教師となり、新入生のクラスの担任となったが、生徒たちからは「騎士団をクビになった人間から教わる価値があるのか」と半信半疑な目で見られてしまう。生徒たちの心情に気づいたキースは、「騎士学校の新入生三人と並みの騎士一人がほぼ同じ戦闘力」といわれる中、一人で生徒30人を相手にする模擬戦を行うのだった。
第2巻
王立騎士学校の教師を務めるキース・ブランドンは、担当する新入生の成長のためにクラス共通の目標として、1年生から3年生までの全クラスが参加する実戦形式の対抗戦「学内大会」での優勝を提案する。生徒たちもこの提案を受け入れて目標達成のために日々努力を重ねていたが、キースは格上の人間と戦うために生徒たちに意識改革が必要だと感じ始める。それを生徒たちに直感的に理解してもらうために、クラス内で実力トップ3とワースト3による三対三の模擬戦を行う。キースはワースト組のフェリ、リンナ・リーンベル、セリカに戦術や心構えなどを伝授する。試合が始まり、トップ組の陣形や戦い方を見て、キースはワースト組の勝ちを確信するのだった。
関連作品
小説
本作『左遷された最強賢者、教師になって無敵のクラスを作り上げる』は、鈴森一の小説『左遷された最強賢者、教師になって無敵のクラスを作り上げる』を原作としている。原作小説版は、鈴森一が「小説家になろう」に投稿した作品。
登場人物・キャラクター
キース・ブランドン
母校でもある王立騎士学校で、1年A組の担任を務める男性教師。年齢は20歳。10歳で王立騎士学校に飛び級で入学し、つねに学年首席だった天才。卒業後は王都の研究所で研究者となり、魔法学の研究で数多くの新理論を打ち立てた功績によって、16歳という若さで「賢者」の称号と「ブランドン」の名を得た。19歳で第十一騎士団に着任するものの、無能な上官のブノワ・バリエと揉めた末にブノワを殴ったことでわずか1年で騎士団から追放される。その後、アラン・スコールランドやセレーネの推挙によって王立騎士学校の教師となる。魔法に関する知識や戦闘能力は非常に高く、観察力や洞察力にも優れている。ただし人間性に問題があり、キース・ブランドン自身にとって価値のない人物に対しては雑に対応するなど、団体行動には向いておらず、デリカシーのない発言をすることも多い。
アラン・スコールランド
王国の第一王子で、年齢は25歳。王立騎士学校の卒業生で、キース・ブランドンとは同級生だった。キースの数少ない理解者であり、キースが早々に問題を起こして騎士団を辞めることを予測して、セレーネと協力してキースを教師にするための準備を進めた。国の実務を担いつつ、国や民のことを考えて悪しき慣習をなくすために陰でいろいろと画策している。
セレーネ
5年前から母校でもある王立騎士学校の理事長を務める女性。キース・ブランドンとアラン・スコールランドの学生時代の1年先輩で、キースの数少ない理解者の一人。キースからは「セレ姉」と呼ばれている。「賢者」の称号を持ち、使えるものが少ないとされる空間魔法の中でも最上位の難度を誇る「空間跳躍」が使える。理事長就任後、王立騎士学校の改革に着手して一定の成果を挙げたが、騎士団に入った卒業生の死亡率の高さに心を痛めている。入学した生徒たちの実力アップのためにキースを必要としており、アランと協力してキースを教師にするための準備を進めた。
アクリス
母校でもある王立騎士学校の医務室で働く女性医師。年齢は24歳。治癒魔法を得意としている。キース・ブランドンとアラン・スコールランドの学生時代の1年後輩で、キースの数少ない理解者の一人。生徒のことをよく観察しており、エリステラ・グラントリスのあやうさにもいち早く気づいていた。
エリステラ・グラントリス
王立騎士学校の1年A組に通う女子生徒。父親は最強と名高い第一騎士団で団長を務めるエジムンド・グラントリス公爵で、三人の兄と三人の姉がいる。兄と姉も全員第一騎士団に所属して優秀な戦果を挙げており、周囲のエリステラ・グラントリスに対する期待も高い。誇り高い性格で、優秀な騎士になりたいという意思が非常に強い。新入生の中では最も優秀な成績をおさめ、魔法の才能や指揮能力、観察眼、分析力なども優れている。つねに凛とした姿勢でクラスを引っ張っているが、時折何かに怯えたり焦っていたりするような心の弱さを見せる。
グラハム
王立騎士学校の1年A組に通う男子生徒。下級貴族の出身で、入試の成績は中の上。物おじしない性格で、初対面のキース・ブランドンに「騎士団をクビになったのは本当か」などと、ふつうは聞きにくいことでも躊躇なく口にする。
フェリ
王立騎士学校の1年A組に通う女子生徒。平民出身で、入試の成績はかなり悪かった。人懐っこい性格をしている。身体魔法や回復魔法は使えるが、攻撃魔法はほとんど使えず、剣術も得意ではなく、実力はクラスでもワースト3に名を連ねている。同じくワースト3のリンナ・リーンベル、セリカとチームを組まされ、エリステラ・グラントリスをはじめとしたトップ3組と模擬戦を行った。
リンナ・リーンベル
王立騎士学校の1年A組に通う女子生徒。冷静な性格ながら、感情の起伏に乏しい。優秀な斥候を輩出する家系で育ち、探知魔法や五感強化魔法が使える。ただし、魔法の出力と身体能力が低いために本領を発揮できず、実力はクラスでもワースト3に名を連ねている。同じくワースト3のフェリ、セリカとチームを組まされ、エリステラ・グラントリスをはじめとしたトップ3組と模擬戦を行った。
セリカ
王立騎士学校の1年A組に通う女子生徒。火属性の魔法を得意としているが威力が低く、実力はクラスでもワースト3に名を連ねている。同じくワースト3のフェリ、リンナ・リーンベルとチームを組まされ、エリステラ・グラントリスをはじめとしたトップ3組と模擬戦を行った。
ブノワ・バリエ
第十一騎士団の団長を務める男性で、バリエ伯爵家の現当主でもある。先代のバリエ伯爵である父親が、人魔大戦で多大な戦果を挙げたことや貴族という立場を利用して、周囲に高圧的な態度を取っている。しかし、指揮能力もなく状況判断も悪いため、第十一騎士団に無駄な損害を出し続けている。部下のキース・ブランドンが臨機応変に戦況に対応しているのも命令違反、越権行為としか考えておらず、その無能さをキースに指摘されて逆切れして斬りかかるものの、彼に殴り倒される。
クレジット
- 原作
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鈴森 一
書誌情報
左遷された最強賢者、教師になって無敵のクラスを作り上げる 9巻 スクウェア・エニックス〈ガンガンコミックスUP!〉
第6巻
(2022-08-05発行、 978-4757580534)
第7巻
(2023-03-07発行、 978-4757584334)
第8巻
(2024-02-07発行、 978-4757590304)
第9巻
(2024-09-06発行、 978-4757593909)