あらすじ
怪人の矜持
かつて世界征服を目論んでいた悪の怪人軍団も今は昔、幹部は姿を消して久しく、残された戦闘員たちは竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)とのあいだに結んだ休戦協定に従い、隷属の日々を送っていた。しかし、戦闘員Dだけは世界征服の野望をあきらめておらず、地上人に擬態して反撃の機会をうかがっていた。ある日、Dは日曜決戦(怪人の敗北が定められた大戦隊との八百長(はおちょう)試合)に乱入し、ドラゴンキーパーに対して堂々と叛意(はんい)を示す。だが、レッドキーパーの圧倒的な強さの前に敗北を喫し、真正面から立ち向かっても勝機はないことを悟るのだった。
神具奪取作戦
戦闘員Dはレッドキーパーを暗殺するべく、竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)へ入隊するが、標的と対面しながら暗殺を実行に移すことはできなかった。そればかりか、大戦隊の幹部、錫切夢子に正体を看破され、窮地に陥ってしまう。Dは夢子の殺害を考慮するが、その正体が周囲に露見することはなかった。夢子もまた、大戦隊の崩壊を望む者だったのである。こうして夢子と手を組むことになったDは大戦隊の実力者、朱鷺田隼を倒し、赤の神具(不死身の怪人を滅する力を秘めた五つのアイテムの一種)を強奪する。レッドキーパーは自ら神具を奪還するべくDの前に立ちはだかるが、Dは奇策を用いて大戦隊の目を欺き、レッド駐屯地からの脱出に成功する。
桜間日々輝との共闘
自らの死を偽装してレッド駐屯地から逃げ出した戦闘員Dのもとに、追っ手として大戦隊の実力者、碧流亜乱が放たれる。彼の扱う神具レプリカ「闇御津羽神(くらみつは)」には、神具と同様に不死身の怪人を滅する力があり、Dは苦戦を強いられたが、竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)の訓練生、桜間日々輝の協力を得て、危機を脱することに成功する。自らの右腕と引き換えにDを助けた日々輝は大戦隊の体質を改善するために独自の戦いを始めると宣言し、姿をくらました。一方、Dは日々輝の姿に擬態し、本物の彼と入れ替わりに大戦隊の訓練施設「パイロンの巣」へと潜伏するのだった。
生存者との出会い
桜間日々輝として訓練施設「パイロンの巣」で生活することになった戦闘員Dは、日々輝の部屋で意外な人物と出会う。彼女の名は「戦闘員XX」。竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)に従うことを拒んで戦い続ける道を選んだ悪の怪人軍団に所属していた戦闘員の生き残りだった。好戦的なXXはすぐにでも大戦隊の隊員を殲滅(せんめつ)するべきだと主張したが、敵の強さを熟知するDは同意せず、日々輝としてパイロンの巣最終試験を突破することを目標に据えて動き始める。また、時を同じくして日々輝の姉である桜間世々良(ピンクキーパー)が日々輝の部屋を訪れてしまい、Dは二人の鉢合わせを回避するべく奮闘する。
パイロンの試験(1日目)
桜間日々輝に擬態した戦闘員Dは日々輝の同期である竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)の訓練生たちと共に、パイロンの巣最終試験に挑むことになった。その内容は30分の集団戦を3日連続で行い、全日程の終了までに試験官から「鍵」を奪い、ゴールゲートから脱出するというものだった。訓練生の獅音海とタッグを組むことになったDは、試験官の朱鷺田隼を策を弄して追い詰めるが、彼もかつての敗戦を糧に成長しており、「鍵」を奪うには至らなかった。一方、戦闘員XXのもとに救難信号をキャッチした悪の怪人軍団の幹部、ペルトロラが降臨していた。蠱毒(こどく)の儀式のような戦いを強いられる大戦隊の隊員たちを哀れに思ったペルトロラは彼らを救うと宣言し、隊員の殺戮(さつりく)を開始する。
パイロンの試験(2日目)
1日目を経て、戦闘員Dはゴールに必要な「鍵」が5本しか存在しないことに気づく。これは訓練生の半数が脱落することを意味していた。Dは獅音海を蹴落として試験を突破しようと意気込んでいたが、予想外の事態が発生する。試験の構造にいち早く気づいていた訓練生の石川宗次郎が優等生だけに声を掛け、エリートチームを結成していたのである。エリートチームは試験官を次々と襲撃し、既に4本目の「鍵」を手に入れようとしていた。危機感を覚えたDは劣等生の小熊蘭丸、来栖大和、薄久保天使と手を組み、「鍵」を守り抜いていた試験官の錫切夢子に戦いを挑む。劣等生たちは夢子に傷一つ付けることができなかったが、夢子の気まぐれによって「鍵」を譲り受け、エリートチームの快進撃に待ったをかけることに成功する。さらに、2日目の試験を終えた劣等生たちはエリートチームとの正面衝突に備え、2日目の試験を欠席していた訓練生の七宝司を味方に引き入れる。一方、大戦隊の幹部、藍染小町はペルトロラと遭遇し、苦戦を強いられていた。試験を終えた蘭丸が駆け付けたことで、小町は訓練施設「パイロンの巣」からの脱出に成功するが、蘭丸はペルトロラの放った怪光線に腹部を貫かれてしまう。
パイロンの試験(3日目)
「鍵を失った試験官は戦いに介入できない」というルールに基づき、3日目の試験は受験者による「鍵」の争奪戦となった。戦闘員Dは竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)の標準装備であるドラゴンガジェットの隠し形態、バーストフォルムを駆使して、エリートチームの獅音海を相手に善戦する。一方、試験から離脱した試験官たちは幹部と思しき怪人が、訓練施設「パイロンの巣」で暗躍していることに気づき、火急の対応をせまられていた。
テレビアニメ
2024年テレビアニメ化。4月7日からTBS系列ほかにて放送。監督はさとうけいいちで、アニメーション制作はYostar Pictures。主人公の戦闘員Dを小林裕介、錫切夢子を矢野優美華、桜間日々輝を梶田大嗣が演じる。
登場人物・キャラクター
戦闘員D (せんとういんでぃー)
悪の怪人軍団に所属する戦闘員の一人。地上人に屈服して浮遊城に残った「残留組」ながら、ある幹部の「この星を取り返して自由に生きよう」という旨の発言を胸に秘め、世界制服を志している。そのため、仲間内では浮いており、「意識が高い」「志が違う」と冷やかされている。頭を使うのは苦手で、迂闊(うかつ)な発言により窮地に陥ることも多い。しかし、地上人への擬態は肉親の目すら欺く精度で、老若男女に擬態できる。暗い髪色の青年に化けることが多く、ひそかに地上に降り立って見聞を広めていた。ある日、怪人の敗北が定められた日曜決戦に乱入し、竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)に台本にない攻撃を仕掛けたが、レッドキーパーに秒殺され、自らが奴隷であることを思い知る。その後、レッドキーパーの暗殺を試みるも失敗し、錫切夢子に従って大戦隊の要である神具を奪取するスタンスに切り替えた。赤の神具の奪取後は桜間日々輝に擬態し、本物と入れ替わって生活している。なお、当人は物体への擬態は不得意と語っているが、切り離した身体の一部を物体に変化させて敵を撹乱するなど、戦いの最中に物体への擬態を行う姿も描かれている。また、地上人に擬態する際の衣服や装飾品も擬態で再現したものである。
錫切 夢子 (すずきり ゆめこ)
竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)の隊員の一人。所属はイエロー部隊で、位階は従一位。暗い瞳をした若い女性で、セミロングの金髪を逆さ蝶結び風のハーフアップにしている。幹部の役割を放棄して訓練生、桜間日々輝と末端の仕事に携わることもあり、周囲からは気まぐれ、お転婆と評されている。戦力としては怪人討伐専門のレッド部隊に勧誘されるレベルだが、好き勝手が許容される現環境を気に入っているとして転属を拒否している。ひそかに大戦隊の崩壊を望んでおり、地上人に擬態していた戦闘員Dの正体を看破し、自らを「キミの敵」と表現したうえで、大戦隊の要である神具の奪取を持ち掛けた。その後、Dは赤の神具の奪取に成功しているが、結果として赤の神具は夢子の手に転がり込んでいる。パイロンの巣最終試験には試験官として参戦し、珍しく招集に応じたとの理由で幹部たちを驚かせている。なお、趣味はドラマ鑑賞で、特に甘酸っぱい青春モノを好んでいる。恋の成就が約束されたヒロインよりも当て馬のライバルを応援したくなる性質で、Dに肩入れする理由も同様だと説明している。しかし、Dを散々に痛めつけたことがあり、Dからは不思議系地上人、狂人、地雷など散々な評価を受けている。
桜間 日々輝 (さくらま ひびき)
竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)の訓練生の一人。緑色の瞳をした青年で、頭髪は赤みを帯びている。桜間の父の影響で両親の語る正義を盲信していたが、現在は過去を恥じ、自分が正しいと信じた道を進む覚悟を決めている。幼少期にペルトロラに殺されかけたことがあり、命を救ってくれたばかりか、親代わりとなってくれた前任のブルーキーパーを慕っている。彼へのあこがれが高じて大戦隊に加入したが、怪人との共存を主張する穏健派であることから、怪人を憎む一部の同期と反りが合わず、大戦隊に向いていないと評されている。錫切夢子と親しげだが、実際は彼女に疑いの目を向け、行動を共にして監視している。戦闘員Dが怪人だと気づかず大戦隊へ勧誘してしまうが、彼の正体を知っても通報せず、世界制服をあきらめるよう説得するに留めていた。大戦隊の真実を知ると内側から組織を正すことを決意し、Dに協力を持ち掛けた。Dが碧流亜乱と交戦した際には、自らの右腕を切断して碧流の目を欺き、Dを救っている。また、Dを桜間日々輝に擬態させて大戦隊に送り込み、自らがノーマークで動ける状況を作り上げた。なお、メディアを介した内部告発も試みているが、何者かに襲撃され断念している。
レッドキーパー
竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)のレッド部隊を率いる正一位の隊員。ドラゴンキーパーのレッド担当。左目尻に泣きボクロのある美形の男性で、メディアに素顔で出演しているため、大戦隊の顔として知られている。「赤刎創星」という名前も公表しているため、日曜決戦ではサインに応じるなど、ファンサービスにも余念がない。リーダーとして身内の口論の仲裁に動くことも多く、理想の上司ランキングでは10年連続1位に輝いている。「強さあっての正義」「つねにカッコよくないとヒーロー失格」などの信念に基づいて行動しており、超常の力を秘めた神具の力に頼らず巨岩を粉砕するなど、素の実力も申し分ない。かつて野球部に所属していたことがあり、戦闘員Dと交戦した際には、鉄パイプで体長の数倍もあるタンクを打ち返すという超人的パフォーマンスを披露している。また、日曜決戦を娯楽として成立させるため、カメラ映りまで意識している。表向きは非の打ち所がない理想のヒーローだが、その姿は虚像に過ぎず、実際は逆らう者を力でねじ伏せる危険人物である。その矛先が味方に向くこともあり、慢心から赤の神具を失った際には、責任を追及してきた緋村仁を壁にめり込むほど殴打し、黙らせている。
緋村 仁 (ひむら じん)
竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)の隊員の一人。所属はレッド部隊で、位階は従一位。目の細い若い男性で、明るい髪色の前髪で右目が覆われている。幼少期にレッドキーパーの活躍を見てあこがれるようになり、大戦隊に加入した。当初はレッドキーパーから泣き虫のひよっ子と評されていたが、レッドにいずれ自分よりも強くなると言わしめたホープでもあり、やがてレッド部隊のNo.2を任されるまでに成長した。しかし出世欲に取り憑(つ)かれて錫切夢子に、赤の神具の保管場所をリークし、目論見どおりレッドキーパーが赤の神具を奪われると、全一位隊員大直会の場でレッドキーパーに退任を要求した。この際、レッドから成長を認められ、正一位を任せてもよいとまで言わせているが、レッドキーパーの突然の殴打に対応できず、壁にめり込んでしまった。この結果を受けて、レッドキーパーは前言を撤回し、弱い人間には任せられないと言い放っている。なお、パイロンの巣最終試験に試験官として駆り出される予定だったが、大直会の一件により参加できず、朱鷺田隼が代理として試験官を務めることになった。
朱鷺田 隼 (ときた しゅん)
竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)の隊員の一人。所属はレッド部隊で、位階は正三位。眉根や目の周囲、口許に円形のメイクを施した若い男性で、明暗二色のソフトモヒカンにしている。怪人退治に楽しさを見出している実力者で、若手の出世頭として注目されているが、一部の隊員からは陰口を叩かれている。桜間日々輝とは孤児院を介して面識があり、彼を「口だけヒーローの坊ちゃん」と揶揄(やゆ)している。動き回る相手や車越しの相手にヘッドショットを決めるほどの射撃技術を有しており、射撃に長(た)けた石川宗次郎が1発撃つあいだに2発の銃弾を撃ち返すなど、早撃ちも御手の物。赤の神具の見張りを担当した際には、レッドキーパーに擬態していた戦闘員Dの正体を「匂い」をヒントに見破り、立て続けにヘッドショットを撃ち込み続けて圧倒している。しかし、自爆を匂わされて怯(ひる)んだところをゴルフクラブで滅多打ちにされ、Dに赤の神具を持ち去られてしまった。パイロンの巣最終試験では試験官を務めることになり、試験の初日には左目の包帯というハンデを覆し、Dと獅音海から「鍵」を守り抜いた。この戦いを通して、かつてDに語った「死の恐怖が人間を成長させる」という信条がメッキではないことを証明して見せた。
ブルーキーパー
竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)のブルー部隊を率いる正一位の隊員。ドラゴンキーパーのブルー担当。男性的な雰囲気を醸し出しており、仮面の隙間から複数の傷が覗いている。藍染小町からは口も態度も性格も悪いと酷評され、碧流亜乱からも怒ると怖い人物と認識されている。子供を怖がらせないため、公の場では無口なキャラクターを演じているが、身内の集まりでは本性を露わにしてしまうことも少なくない。全一位隊員大直会では遅刻した錫切夢子を痛罵したばかりか、彼女の直属の上司であるイエローキーパーに「愛人の教育が足りていない」などと食って掛かった。あまりの言い草にレッドキーパーやリュージン君にまで窘(たしな)められる事態となってしまったが、当人は隊員に礼儀を叩(たた)き込むのがブルー部隊の役割であり、徹底しないと組織がダメになると強く反論している。赤の神具が奪われた際には仲間と共に駆けつけ、戦闘員Dの頭部を蹴りで粉砕した。またレッドキーパーの指示を受けて、Dに青の神具での攻撃を敢行している。のちに神具を使用した際の違和感からDが生存しているかもしれないと考えるようになり、直属の部下である碧流にDの捜索を命じた。
藍染 小町 (あいぞめ こまち)
竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)の隊員の一人。所属はブルー部隊で、位階は従一位代理。頰の赤いワンレングスショートヘアの女性で、「チビ女」と揶揄されるほどの幼児体型。性別や階級に囚われず、相手を「ちゃん」付けで呼ぶ癖がある。ブルーキーパーの暴走を食い止めるストッパーの役割を担っており、全一位隊員大直会では錫切夢子を侮辱したブルーキーパーの顔面に頭突きを食らわせたうえで、無口キャラクターを堅持するよう指導している。パイロンの巣最終試験には試験官として参加し、初日の戦いでは浦部永玄と小熊蘭丸を手玉に取り「バケモン」と評された。2日目は石川宗次郎のエリートチームに「鍵」を奪われ、試験官としての役割を早々に終えているが、桜間日々輝に擬態した戦闘員Dのもとに立ち寄り、エールを送っている。のちに隊員の虐殺を行っていたペルトロラと遭遇し、拳銃型の神具レプリカ「海坊主」の力で巨大な中年男性の顔面を出現させ、ペルトロラの翼を損傷させるなど善戦した。しかし、立っているのも困難な深手を負い、蘭丸の助けを得て撤退している。なお、ペルトロラの見立てによれば、見た目ほど若くはない。肌にもストレスが現れているという。
瑠璃 真大 (るり しんた)
竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)の隊員の一人。所属はブルー部隊で、位階は正三位。若い男性で、明暗二色のツーブロックにして、両耳にピアスを付けている。口数が少なくクールな印象だが、言葉よりも先に手が出る危険人物でもある。碧流亜乱と共に新設のブルー部隊駐屯地浮遊城支部に派遣され、隊員の指揮を任された。赴任時の顔合わせでは、ブルー部隊の常駐に反対していた戦闘員Gの頭部を問答無用で殴りつけて粉砕し、物理的に黙らせている。
碧流 亜乱 (へきる あらん)
竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)の隊員の一人。所属はブルー部隊で、位階は従三位。鼻に届くほど長い前髪の隙間から両目を覗かせた若い男性で、隊員スーツに襟高で丈の短いケープを重ね着している。気弱な性格で、過去にイジメを受けていたこともあるが、ある「縁」によって救われ、大戦隊へ引き入れられた。現在でも事ある毎に「すみません」とあやまる癖があり、敵に対しても敬語を使用する。一方、「位階持ち(ランカー)」の自分を特別な存在と信じて増長しており、降格を極度に恐れている。瑠璃真大と共に新設のブルー部隊駐屯地浮遊城支部に派遣されたが、ブルーキーパーの命令により、単独で戦闘員Dの捜索をする羽目になった。Dと交戦した際には、巨大な鎌状の神具レプリカ「闇御津羽神(くらみつは)」の力で生み出した溶解液を使いこなし、Dを追い詰めている。しかし、味方であるはずの桜間日々輝に騙(だま)され、Dを取り逃がしてしまった。なお、信頼できる仲間や守るべき市民との「絆(きずな)の力」で強くなれると豪語しているが、腕力に関しては地上人よりも脆いDの身体すら砕けないレベルに留まっている。しかし、当人に言わせれば神具レプリカも「絆の力」の一環である。
イエローキーパー
竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)の正一位の隊員。ドラゴンキーパーのイエロー担当。男性的な雰囲気を漂わせており、仮面の隙間から覗く口許はつねに歯を剝(む)き出して笑っているように見える。イエロー部隊のトップでありながら、イエロー駐屯地ではなく本部に所属している。しかし、本部に常駐しているわけでもなく、基本的に日曜決戦の時にしか姿を見せない。全一位隊員大直会では、遅刻して現れた錫切夢子の代わりに、怒り心頭のブルーキーパーに謝罪しているが、笑みを浮かべていたこともあって「感情ゼロ」と判断され、火に油を注ぐ結果となってしまった。なお、「夢子のお転婆な振る舞いには手を焼いている」という旨の発言もしているが、当の夢子は「イエロー部隊は好き勝手な行動が許される場所」という旨の発言をしており、双方の認識には大きなズレがある。
グリーンキーパー
竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)のグリーン部隊を率いる正一位の隊員で、ドラゴンキーパーのグリーン担当。ドラゴンキーパーとして唯一、口許まで覆うタイプの仮面を着用しており、その表情は窺(うかが)い知れない。豪快に「ガハハ」と笑う癖がある。力自慢で、日曜決戦では怪人を押し潰すほどの巨岩を軽々と持ち上げ、投擲(とうてき)してみせた。レッド駐屯地から大戦隊の要である赤の神具が奪われた際には、戦闘員Dを神具で始末するだけではマンネリ化すると訴えるメンバーの言葉を受けて、怪人を味方に誘うという斬新な演出を提言した。Dが拒否したことで狙いどおりの展開にはならなかったが、10年以上も続いている日曜決戦の歴史で初めての試みは、多くの視聴者を熱狂させることになった。全一位隊員大直会では議題そっちのけで食事を楽しもうとしていた。この際、口の出ていない仮面でどうやって食べるのかと翡翠かのんに突っ込まれている。
翡翠 かのん (ひすい かのん)
竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)の隊員の一人。所属はグリーン部隊で、位階は従一位。隊員スーツの上からスケバンを彷彿(ほうふつ)とさせる暗い色のロングセーラーを着用しており、翡翠かのん自身は「ピチピチ女子高生」と自認している。明るい髪色のツーサイドアップ風で、括(くく)った部分から毛束が三つに分かれている。後ろ髮は腰に届くほど長く、外向きに跳ねている。ふだんは強調されていないが、コミカルな場面では俗にいう「ギザ歯」として描かれることもある。ものぐさな性格で、「面倒臭ぇ」を口癖にしている。上長のグリーンキーパーに対してもタメ口をきいているが、自分よりも位階の低い隊員に対しては敬語や敬称の使用を強要するなど、理不尽なところがある。有事には体内に仕込んだ小型の刃物を口から取り出して使用する。この暗器の扱いは達人の域に達しており、至近距離から連射されたドラゴンガジェットの弾丸をすべて弾き落とすなどの神業も披露している。ステゴロも得意で、パイロンの巣最終試験に試験官として駆り出された際には、受験者の獅音海のみならず、試験官の朱鷺田隼まで容赦なく殴り倒している。
ピンクキーパー
竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)のピンク部隊を率いる正一位の隊員。ドラゴンキーパーのピンク担当。その正体は桜間日々輝の姉である「桜間世々良」。緑色の瞳の女性で、赤みを帯びたセミロングヘアを三つ編みハーフアップにしている。少女時代から美人と評され、当時はカントリースタイルの二つ結びだった。「走るだけの競技」の逸材だったが、ペルトロラに襲われて下半身に大ケガを負い、動力付き車椅子を使うようになった。一部の市民からはお飾りと揶揄されているが、超常の力を秘めた神具で変身すると歩けるようになり、悪漢が束になっても敵わないほど強くなる。しかし、林檎(りんご)の皮剝きに失敗して包丁を飛ばすなど、手先は不器用である。無表情で冷淡な性格ながら、内心では弟を大切に思っており、両親の言い成りだった弟の目を覚まそうと、頰を叩(たた)いたこともある。また、弟を裏のある大戦隊から遠ざけようとしたり、日々輝に擬態した戦闘員Dが見せた反抗的な目付きを思い出して興奮したりと、ブラザーコンプレックスの気がある。なお、変身した状態でゴージャスルージュという化粧品CMに出演しているが、ピンクキーパー自身は嫌がっていた。その正体については少なくとも日々輝の同期には知れ渡っている。
撫子 益荒男 (なでしこ ますらお)
竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)の隊員の一人。所属はピンク部隊で、位階は従一位。口髭(くちひげ)を蓄えた大柄な中年男性で、頭頂部だけに髪を残したパイナップルのような髪型をしている。その肉体は殴り掛かった者の指がねじ曲がるほど屈強で、自動車を片手で軽々と持ち上げるほどの怪力を誇る。性格は理性的で、職務に忠実な良識派といえる。平時はピンクキーパーに従い、車椅子への乗り降りや車の運転、スケジュール管理など、さまざまなサポートをしている。また、怪人退治だけが大戦隊の役割ではないと自覚し、治安維持にも力を入れている。女性を救った際に意図せず負傷させてしまった悪漢のケガの具合を気に掛けるなど、慈愛の精神も持ち合わせている。組織の潤滑油的な役割も担っており、全一位隊員大直会の直後には錫切夢子、そして間接的にではあるが桜間日々輝を二次会に誘っている。癖の強い幹部を宥めることもあり、パイロンの巣最終試験の直前には面倒臭がって全員を不合格にしたいと発言していた翡翠かのんを宥(なだ)め、発奮をうながしている。その振る舞いはまさに正義の体現者に相応(ふさわ)しいものだが、桃色の隊員スーツを着たマッチョの中年男性というビジュアルは強烈で、チンピラからは「ピンクのおっさん」と揶揄されている。
獅音 海 (しおん かい)
竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)の訓練生の一人。褐色の肌をした明るい髪色の若い男性。4年前まで眼鏡をかけていたが、現在は外しているため、当時よりも目付きが悪くなっている。また、当時は前髪を真一文字に切りそろえていたが、現在は斜めにカットしている。ぶっきらぼうな性格で、戦闘員Dからは不気味で近寄り難いと評されている。同期の桜間日々輝を敵視しており、日々輝に擬態したDにも事あるごとに難癖を付けている。連携を軽視するなど未熟な面も目立つが、戦闘員XXからは将来的に怪人の脅威となる恐れがあると分析されている。パイロンの巣最終試験の準備期間に実施された訓練では、戦闘員の討伐数372という結果を叩き出した。これはDの15倍近い数字で、同期の中では断トツの記録である。試験が始まると奇しくもDと同じレッド組に割り振られ、初日はDと衝突を繰り返しながら試験官の朱鷺田隼と激闘を繰り広げた。初日を終えると連携の必要性を実感してDに歩み寄るべく、怪人に兄の獅音陸を殺されて復讐(ふくしゅう)のために大戦隊に入ったことを告白した。しかし、その直後に石川宗次郎に誘われ、エリートチームに加入する。結果として、2日目以降の試験ではDと対立することになった。
浦部 永玄 (うらべ えいげん)
竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)の訓練生の一人。切れ長の目をした痩せ型の若い男性で、俗に「ギザ歯」と呼ばれる尖(とが)った歯の持ち主。髪は方々に散っているが、後ろ髪は一本に括られている。両耳には棒状のピアスを付けている。その体型と髪質から「ヒョロガリ」、「ツンツン頭」と揶揄されている。性格は直情型で、粗野な言動が目立つ。同期の桜間日々輝を敵視しており、彼の「相手が怪人でも話し合えばわかり合える」という旨の主張を真っ向から否定している。しかし、ピンクキーパーが日々輝に会うために隊員寮を訪れた際には、彼女を目当てに日々輝の部屋に押し掛け、図々しくも日々輝となかよくしていると言い放った。軽薄な印象ながら実力は確かで、戦闘員XXから、いずれ怪人の脅威となる可能性を示唆されている。小熊蘭丸とは腐れ縁で、パイロンの巣最終試験には彼と同じブルー組として参加することになった。この際、試験の突破に必要な「鍵」を一番乗りで手に入れると豪語していたが、試験官として立ち塞がった藍染小町に歯が立たず、結果を得られないまま試験の初日を終えている。2日目以降は石川宗次郎の声掛けに応じてエリートチームに加わり、蘭丸を含む劣等生たちと敵対することになった。
小熊 蘭丸 (こぐま らんまる)
竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)の訓練生の一人。小柄な体型の若い男性で、アフロヘアのような髪型にバンダナを巻いている。桜間日々輝の同期で、幼少期の出来事から幼なじみの浦部永玄を英雄視して行動を共にしているが、周囲からは浦部の小判鮫(こばんざめ)と揶揄されている。口数が少なく、戦闘員Dからは何を考えているのかわからないと評されている。パイロンの巣最終試験では奇(く)しくも浦部と同じブルー組となり、試験の初日には浦部と協力して藍染小町と戦っている。しかし、2日目に浦部に裏切られ、日々輝に擬態したDの誘いに応じる形で、劣等生と見なされていた同期と即興のチームを結成することになった。2日目の戦いでは趣味の機械弄(いじ)りを活かして設備に細工を施し、合格に必要な「鍵」の確保に貢献している。また、隊員の標準装備「ドラゴンガジェット」の隠し形態の存在を仲間に報告し、その後の戦力増強にも一役買っている。のちに、来栖大和からイエロー部隊への適性を指摘され、浦部から自立し、自分の道を歩む決意を固めている。だが、進路相談に向かう途中で瀕死(ひんし)の小町を発見し、彼女を救うためにペルトロラの前に立ちはだかり、光線で腹部を貫かれてしまった。
来栖 大和 (くるす やまと)
竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)の訓練生の一人。黒髪の若い男性で、黄色のメッシュが入った前髪で左目を覆い隠している。桜間日々輝の親友を名乗っているが、彼に擬態した戦闘員Dの正体を見抜けず、大戦隊の訓練施設「パイロンの巣」に導いてしまう。Dに大戦隊の文化を説明するなど、結果的に怪人に与(くみ)しているが、怪人への視線は冷たく、数々の暴言でDの心を抉(えぐ)っている。走る才能に恵まれていることから幼少期は異性に持て囃(はや)されていたが、必死になるのは格好悪いと考えて努力しなかったことで、中学時代の最後のリレーでライバルに敗北した。現在でも黄色い声援を浴びることを夢見ており、それがドラゴンキーパーを目指す理由だと広言している。パイロンの巣最終試験にはイエロー組として参加し、初日は雪野アンジェリカと共に試験官の錫切夢子に挑んだ。2日目は劣等生たちと夢子に挑むも、消極性を看破され、ヒーローに向いていないと告げられてしまう。しかし、Dの直向(ひたむ)きな姿を見て奮起し、執念の走りで合格に必要な「鍵」を確保して、小熊蘭丸から天下一品の逃げ足と評された。のちに「鍵」を手土産(てみやげ)に石川宗次郎に寝返るつもりだったことが判明するが、実行せずに石川と敵対することになった。
雪野 アンジェリカ (ゆきの あんじぇりか)
竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)の訓練生の一人。セミロングヘアの若い女性で、前髪をラウンドバングに整えている。高圧的な物言いが多く、周囲からは「高飛車女」と揶揄されている。桜間日々輝の同期であり、日々輝に擬態した戦闘員Dは雪野アンジェリカとの数回の接触を通して、距離を置かれていると判断するに至った。しかし、アンジェリカは「一人でいる方が落ち着く」と発言していることもあり、日々輝だけを特別に遠ざけているわけではない。つねに効率を重視した立ち回りを心掛けており、その実力は訓練生の上位に位置し、Dからは石川宗次郎、明林恋蓮と並ぶ要注意人物としてマークされている。しかし失敗を引きずる性質で、石川に慰められる場面も存在する。パイロンの巣最終試験には来栖大和と同じイエロー組として参加することになり、初日には試験官の錫切夢子と交戦している。この際、夢子に対してトラックでの突撃を敢行しているが、難なく回避されてしまった。その後、化け物じみた戦闘力の持ち主である夢子との戦いに意味を見出せず、苛立(いらだ)ちを露わに立ち去ろうとしているが、石川に説得されてエリートチームに加わり、2日目以降の試験に臨むことになった。
薄久保 天使 (うすくぼ えんじぇる)
竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)の訓練生の一人。トランジスタグラマーの若い女性で、オッドアイの瞳を持つ。ショートボブヘアで、センター分けした前髪をヘアピンで留めている。桜間日々輝の同期で、仲間との協調を訴える良識派だが、戦闘員Dからは陰気と評されている。物陰に身を潜めるのが得意で、訓練では石川宗次郎と共に味方の獲物を横取りする場面もある。当人は好き好んで潜んでいるつもりはないと言い張っているが、パイロンの巣最終試験では石川と同じ隠密専門のグリーン組に割り振られることになった。試験の初日には試験官の翡翠かのんと交戦し、右足を負傷している。しかし、仲間の足を引っ張りたくないという気持ちから奮起し、日々輝に擬態したDの考案した同士討ち作戦に必要となる似顔絵を描き上げた。当人は謙遜していたが、絵のレベルは擬態のモデルとして利用できるレベルに達しており、Dから画家への転向を勧められている。試験の2日目には石川に裏切られ、Dに共闘を提案した。3日目も劣等生たちと協力し、石川が結成したエリートチームに立ち向かっている。
石川 宗次郎 (いしかわ そうじろう)
竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)の訓練生。髭を生やした目の細い男性で、翡翠かのんと同じグリーン部隊への加入を切望していたが、落第して桜間日々輝の同期となった。若者たちの変調に気を遣うなど年長者らしく振る舞っているが、七宝司のトレーニングに付き合わされるなど、気苦労が絶えない。「万年無色隊員」と自嘲しているが、戦闘員Dからは雪野アンジェリカ、明林恋蓮と並ぶ要注意人物と認識されている。射撃が得意で、訓練では味方を囮(おとり)に討伐数を稼ぐなどのクレバーな立ち回りを見せている。パイロンの巣最終試験には薄久保天使と共にグリーン組として参戦し、試験官のかのんと交戦した。しかし、初日を終えた時点で天使を見限り、優等生に声を掛けてエリートチームを結成し、劣等生たちを出し抜こうとした。2日目には次々と試験官を襲って合格に必要な「鍵」の大半を手中におさめている。また、来栖大和を抱き込んで最後の「鍵」を劣等生たちから掠め取る手筈(てはず)だったが、未遂に終わっている。この際、来栖の枠を用意するため、味方に加えていたアンジェリカを切り捨てる予定だったことを明かし、その面の皮の厚さをDから高く評価されている。
明林 恋蓮 (あけばやし れんれん)
竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)の訓練生の一人。若者言葉を多用する長身の若い女性で、リング状の三つ編みとリボンを巻いたポニーテールを組み合わせた髪型をしている。桜間日々輝の同期で、日々輝に擬態した戦闘員Dの独り言に介入したり、周囲から距離を置いている雪野アンジェリカに声を掛けたりと、社交的な性格をしている。隊員証の証明写真に「盛れてない」と不満をこぼすなど外見には気を遣っているが、Dが殺風景と表現した訓練室を「逆にかわいい」と絶賛するなど、独特のセンスを持つている。Dからは軽い女と認識されており、情報収集に利用できると期待されていた。しかし、Dから自分がどのように見られているのかズバリ的中させたことをきっかけに、カンが鋭く侮れない人物と評されるようになった。また身のこなしが軽く、訓練中には七宝司のトスを受けて宙を舞い、石川宗次郎を窮地から救っている。のちに、Dから石川とアンジェリカと並ぶ要注意人物として警戒されるようになった。パイロンの巣最終試験には七宝と共にピンク組として参戦した。初日は七宝と共に撫子益荒男と戦っているが、2日目以降は石川の組織したエリートチームに加わり、劣等生たちと敵対している。
七宝 司 (しっぽう つかさ)
竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)の訓練生の一人。筋骨隆々の若い男性で、縞(しま)模様の髪をオールバックにしている。二房だけ飛び出た前髪はテンションのバロメーターになっている。桜間日々輝の同期。明朗快活な性格ながら、筋肉を虐(いじ)めることに執着する変人でもあり、「トレーニングに必要なのは重い物のみ」との考えから、大戦隊の擁する立体映像を駆使した訓練設備にまったく興味を示さなかった。その知能は、戦闘員Dから「自分よりも頭の悪い脳筋男」と揶揄されるレベルで、Dが警戒に値する人物を列挙した際には、強いのに頭脳が手遅れという理由で選外となった。しかし七宝司自身は、「ネガティブ思考は筋肉に悪い」という旨の力強い言葉を胸に元気に生きている。パイロンの巣最終試験には明林恋蓮と同じピンク組として参戦した。試験の初日には恋蓮の乗った自動車を持ち上げるほどの膂力(りょりょく)を披露しているが、試験官の撫子益荒男に完敗し、鍛錬不足を痛感することになった。撫子の肉体に芸術性を見出し、彼への劣等感から試験の2日目を無為に過ごしてしまうが、撫子の離脱を知って3日目には復活を遂げ、劣等生たちと肩を並べて石川宗次郎の組織したエリートチームと相対することになった。
リュージン君 (りゅーじんくん)
竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)のマスコット。飛行能力を有している。ずんぐりむっくりした一頭身の竜のような外見で、角や尻尾、小さな四肢が生えており、成人の頭部ほどのサイズがある。言葉づかいは古風で、はしゃいでいる身内を窘めるような役割を担うことが多い。戦闘員Dが赤刎創星(レッドキーパー)に擬態してレッド駐屯地に潜入した際には、その姿を目撃して本物に報告している。しかし、結果として大戦隊の要である赤の神具を奪い去られてしまい、のちに全一位隊員大直会でリュージン君自身の働きを無下にされたことに対して不満をこぼしている。また、同じく大直会では荒れていたブルーキーパーに注意をするなど、議論の円滑な進行のために尽力している。なお、自らの肉体を「愛されボディ」と評しているが、隊員募集ポスターや大戦隊の関連商品CMへの出演は専ら美形の赤刎の役割であり、リュージン君が表に出ている描写はない。
ペルトロラ
「神」を自称する悪の怪人軍団の幹部の一人。通称「神様怪人」。円筒状の頭部と光輪の如き頭頂部、4枚の翼に無地の布をまとったような姿をしている。頭部には象形文字のような目、人間と同じ形状の鼻が付いており、口の位置には縦長にした星芒形のような印を横に連ねた模様がある。飛行能力を有し、怪光線を発射することも可能。光線は人体を容易に貫き、鉄筋コンクリート製の建物を破壊するほどの威力を秘めている。怪人による侵略戦争の初期に降臨し、ペルトロラ自身を崇拝する多数の信者を「救い」と称して次々と殺害した。その「救い」は桜間日々輝、桜間世々良(のちのピンクキーパー)にも与えられるはずだったが、当時のブルーキーパーに阻まれ、未遂に終わっている。その後、10年以上も潜伏していたが、戦闘員XXの救難信号を聞きつけて、竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)の訓練施設「パイロンの巣」に降臨し、「救い」と称する殺戮(さつりく)を再開した。この際、藍染小町と交戦して重傷を負わせている。なお、大戦隊は表沙汰にしていないが、これまでにも水面下で活動を続けていた疑惑がある。4年前に獅音陸を惨殺して姿を消した怪人も、ペルトロラと特徴が一致している。
戦闘員A (せんとういんえー)
悪の怪人軍団に所属する戦闘員の一人。浮遊城に残って日曜決戦に付き合っている「残留組」の戦闘員で、幹部を失った戦闘員たちのまとめ役でもある。「無様でも生き残る」という信念を持ち、いざとなれば土下座も辞さない覚悟を固めている。やらせの日曜決戦にも熱心に取り組んでおり、第999回目の日曜決戦の直前には、仲間が発案した「筋肉ムキムキ檄強モンスター怪人」「猫ちゃん怪人」などの偽幹部デザイン案を容赦なくボツにしている。しかし、アイデアを否定するだけではなく、具体的なモチーフを持たせるべきだと方針を示し、議論の末に戦闘員Dのアイデアを取り入れ、偽幹部「ウルトライガー(戦闘員Z)」を誕生させた。Dや戦闘員Fの独断専行の影響で、竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)との関係が悪化した際には、戦闘員たちの矢面に立ってレッドキーパー、ブルーキーパーとの対話に臨み、自発的に土下座して関係の修復に努めている。なお、三目並べ(まるばつゲーム)のゲーム性を「一生遊べる」と絶賛しており、平時は仲間との三目並べに夢中になっている。
戦闘員F (せんとういんえふ)
悪の怪人軍団に所属する戦闘員の一人。浮遊城に残って日曜決戦に付き合っている「残留組」の戦闘員で、ほかの戦闘員よりもふくよかな体型をしている。かつて日曜決戦で地上人の子供に応援された経験があり、やられ役の戦闘員を応援する気持ちを理解不能と断じながら、悪い気はしなかったと振り返っていた。第999回目の日曜決戦までは観客を盛り上げるのが自分の役割と割り切って、竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)の引き立て役に甘んじていた。しかし、現状を変えようとしてドラゴンキーパーに立ち向かった戦闘員Dの姿に思うところがあり、地上に降りて独自の活動を開始した。レッド部隊と交戦した際には身体の修復を繰り返して朱鷺田隼らを手間取らせているが、レッドキーパーの扱う赤の神具より放たれた必殺「八岐大蛇(やまたのおろち)」を浴びて消滅してしまった。死の間際には自らの生涯を振り返り、無意味な日曜決戦に費やしてきた長い期間より、本当の戦いに身を投じて死ぬ今日の方が気分がいいと結論づけている。怪人としての矜持(きょうじ)を取り戻したかのような戦闘員Fの死に様は、Dの決意を後押しすることになった。
戦闘員Z
悪の怪人軍団に所属する戦闘員の一人。浮遊城に残って日曜決戦に付き合っている「残留組」の戦闘員の中でもっとも大柄だが、厳つい外見に反して気弱な一面がある。第999回目の日曜決戦でやられ役として白羽の矢が立ち、タイヤを背負った虎のような偽幹部「ウルトライガー」と化して、竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)と茶番を演じた。この際、会場を砕くほどの剛腕を披露したり、目と耳の付いた虎柄の軽トラック「トラトラトランスフォーム・トラックフォルム」に変身したりとドラゴンキーパーのピンチを演出し、日曜決戦を大いに盛り上げている。なお、ウルトライガーは虎の怨(うら)みから生まれた怪人であり、あまねく動物を虎柄にして世の中を混乱に陥れるのが目的という設定まで用意されていた。
戦闘員XX (せんとういんえくすず)
悪の怪人軍団に所属していた戦闘員の一人。幹部が敗北したあとも地上に降りて戦い続けていた「真の戦闘員」の唯一の生き残りで、ペルトロラのお気に入りでもある。好戦的な性格で、長年の地上暮らしを経て、地上人への嫌悪感を募らせ、竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)のみならず、地上人の皆殺しを望むようになった。しかし、桜間日々輝とは良好な関係を築いており、彼だけは殺さないと宣言している。地上人に化けるのは苦手だが、地上人の目を欺くために時間をかけて赤い瞳の少女に擬態している。その姿は腰まで伸びたボリューミーな黒髪、チューブトップの長袖ワンピースに裸足という出で立ちで、髪と首にはペルトロラの頭部にあるものと同じ模様が入っている。大戦隊の訓練施設「パイロンの巣」に潜んで救難信号を送っていたところを戦闘員Dに発見され、一時は仲間との再会の喜びに打ち震えていたが、彼が地上人に屈服して浮遊城に残った「残留組」であることを知ると態度を豹変(ひょうへん)させ、怪人失格の裏切り者と罵るようになった。のちに救難信号を拾ったペルトロラとの合流を果たすも、ペルトロラの殺戮を支持せず、パイロンの巣からの迅速な脱出を提案している。
桜間の父 (さくらまのちち)
桜間世々良(ピンクキーパー)、桜間日々輝の父親で、故人。子供たちとよく似た瞳を持つ男性で、アンダーリムの眼鏡をかけていた。都市開発のニュースを見て自然からのしっぺ返しを恐れるなど、当時から超自然的なものに嵌(はま)る片鱗があった。また、子供を清く正しく育てることに熱心で、妻も似た考えの持ち主だった。当時4歳の日々輝がカラスから子猫を助けた際に、「カラスも食べなければ死んでしまう」「人間が命の天秤(てんびん)を傾けるのは烏滸(おこ)がましい」と諭したことがあり、自らの正義を否定された日々輝は「両親はまちがえない。まちがっているのは自分」という考えを加速させ、両親の正義に沿って幼少期を過ごす羽目になった。暴力的なものを嫌う性質でもあり、竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)を野蛮な連中と毛嫌いしていた。そればかりか、家庭内で彼らの映像を見ることを禁止し、日々輝を大戦隊の解散を訴えるデモ活動に参加させたこともある。やがて「怪人は地上に愚かさを教えに来た」という思想に取り憑(つ)かれ、妻と共に宗教じみた集会にまで顔を出すようになり、神を名乗るペルトロラに感謝を述べながら殺された。
獅音 陸 (しおん りく)
獅音海の兄で、故人。明るい髪色の若い男性で、褐色の肌を持つ。二つのリングが付いたペンダントを身につけていたが、竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)への加入を機に弟へ譲渡した。怪人を全滅させて欲しいという弟の発言に対して「怪人だけではなく、この世のすべての理不尽が敵」と応じるなど、正義の味方がどのように在るべきか、自分なりの考えを持っていた。朗らかな性格で、弟との仲も良好だったが、4年前に神を名乗る怪人に蹂躙(じゅうりん)され、命を落としてしまう。その惨状を目の当りにした海は、大戦隊に幹部の出現を訴えているが、痕跡がなかったという理由で信じてもらえなかった。レッドキーパーへの直談判も行われているが、「彼は適性がなかったからザコ戦闘員に殺された」という旨の死者の尊厳を踏みにじるような返事をされ、結果として獅音陸は同時期に出現していた戦闘員クラスの野良怪人に殺されたものとして処理されてしまう。
集団・組織
悪の怪人軍団 (あくのかいじんぐんだん)
異星より地球に来訪した侵略者の集団。幹部と戦闘員によって構成されている。世界征服を成し遂げるべく地上人に戦争を仕掛けたが、戦いに敗れて指導者を失い、現在は末端の戦闘員を残すのみとなっている。拠点である浮遊城に残った戦闘員たちは既に牙を抜かれた状態で、竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)の上層部と結んだ極秘の休戦協定に従い、悪の怪人軍団の敗北が定められた日曜決戦を繰り返している。
竜神戦隊ドラゴンキーパー (りゅうじんせんたいどらごんきーぱー)
悪の怪人軍団から人類を守護する武装集団。レッドキーパー、ブルーキーパー、イエローキーパー、グリーンキーパー、ピンクキーパーの五人を中心とする組織で、それぞれがイメージカラーと同色の部隊を率いている。各部隊には特色があり、レッド部隊は怪人討伐専門(切り込み専門)、ブルー部隊は管理育成専門、イエロー部隊は研究開発専門(頭脳専門)、ピンク部隊は後方支援専門、グリーン部隊は隠密(おんみつ)専門となっている。また、全隊員がドラゴンガジェットで武装しており、怪人の戦闘員と戦える程度の力が備わっている。隊員の多くは天ノ川市に点在する各部隊の駐屯地に散っているが、訓練施設「パイロンの巣」で昇格を目指す無所属(通称・無色)の訓練生も存在する。仕事の内容は怪人討伐のみならず、警察と連携して事件の解決に乗り出すこともある。清掃活動など社会貢献にも積極的で市民からの支持を集めているが、錫切夢子に言わせればトップ五人に頼りきりの不安定な組織であり、怪人退治の要である神具を狙えば容易に崩せるという。なお、トップ五人を指す場合は「ドラゴンキーパー」、組織全体を指す場合は「大戦隊」の通称を用いることが多い。
場所
天ノ川市 (あまのがわし)
竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)と悪の怪人軍団の戦いが繰り広げられている最前線の街。大型モニターが設置された商業ビルや小洒落た飲食店の立ち並ぶ都会で、人類側の重要拠点として大戦隊の本部、各部隊の駐屯地、訓練施設「パイロンの巣」が存在する。また、上空には怪人の総本山である浮遊城が鎖につながれた状態で浮いている。なお、浦部永玄によれば、浮遊城の出現により日照権の扱いで揉(も)めているという。
浮遊城 (ふゆうじょう)
天ノ川市の地上1万メートルに突如として出現した空飛ぶ城。「怪人大総本山」とも称されている。独楽(こま)のような形状をしており、内部は殺風景で、床や柱は霜降り肉のような見た目をしている。世界征服を企(たくら)む悪の怪人軍団の拠点として機能していたが、戦争が始まってわずか1年で陥落し、現在は5本の巨大な鎖につながれた状態で浮遊している。市民からは野心を秘めた怪人の梁山泊(りょうざんぱく)と認識されているが、既に幹部は浮遊城から姿を消しており、残っているのは竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)の上層部と休戦協定を結んで骨抜きにされた戦闘員ばかりとなっている。そればかりか、大戦隊から映画などの娯楽の配給すら行われている。ほかに地上の情報を得るためのラジオ、日曜決戦で偽幹部をでっち上げる際に必要となる生物図鑑なども用意されているが、提供される情報は地上人に都合のよいものばかりなので、戦闘員Dはラジオなどのメディアを忌み嫌っている。また、食事の質は地上人が口にするものとは比較にならないほど低い。のちに地上で勝手な行動をする野良怪人の存在が問題視され、浮遊城の内部に戦闘員の監視を目的とするブルー部隊駐屯地浮遊城支部が設置された。
パイロンの巣 (ぱいろんのす)
天ノ川市にある竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)の隊員向け訓練施設。地上1階、地下6階から成る施設で、立体映像を駆使して怪人との戦闘を疑似体験できるイエロー部隊製のトレーニングルームなどが設置されている。訓練期間に入った隊員は外出を禁じられる決まりだが、教務室や訓練室のみならず、図書室や食堂、男女別の浴場などの生活に必要な施設も用意されており、手狭ながら個室の隊員寮も存在する。桜間日々輝に擬態した戦闘員Dは来栖大和の導きにより訓練施設「パイロンの巣」を訪れ、日々輝の代わりにパイロンの巣最終試験に挑戦することになった。また、徹底抗戦を訴えて浮遊城を去った戦闘員XXと遭遇し、悶着を起こしている。のちにXXの救難信号を確認したペルトロラが来訪し、大戦隊の隊員を殺傷する事件を起こしている。
その他キーワード
神具 (しんぐ)
竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)のトップ五人が、それぞれ所有している特殊な武器。悪の怪人軍団との戦争が始まって1年で開発されたもので、不死身の怪人を滅する強大な力を秘めている。変身アイテムも兼ねているため、神具を手にすると専用の戦隊スーツを瞬時に装備できる。どの神具も共通して骨や石のような質感の素材で作られており、継ぎ目からは筋繊維のようなものが覗(のぞ)いている。また、神具本体と似た質感のカートリッジのようなパーツが五つ付属している。本体の形状に関しては、レッドキーパーが使う赤の神具は刀で、ブルーキーパーが使う青の神具は突撃槍という具合にそれぞれ異なっている。使用する際には竜神の力を降ろす「神具神降」を行う必要があり、「赤竜サラマンドラ」「青竜レヴィアタン」など、神具の種類によって異なる竜神の力を降ろすことになる。竜神の力を降ろすと使用者に大きな負荷が掛かるという弱点もあるが、超常の力を扱えるようになる。なお、日曜決戦ではメディア出演用の偽神具「ドラゴンブラスター」を使用する手筈になっている。
神具レプリカ (しんぐれぷりか)
怪人を滅する力を秘めた特殊な武器「神具」の模造品。「擬似神具」とも称されている。竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)の幹部に相当する「位階持ち(ランカー)」がオリジナルの神具の力を借り受けることで使用できる。材質はオリジナルに酷似しているが、オリジナルとは武器としての種別が異なっている。例えば、ブルーキーパーが扱う青の神具は突撃槍の形をしているが、ブルー部隊の藍染小町が使用するレプリカは拳銃、同じくブルー部隊の碧流亜乱が使用するレプリカは大鎌の形をしている。また、レプリカにはオリジナルに見られるカートリッジのようなパーツが存在しない。レプリカはカートリッジのようなパーツを差し込むことで、竜神の力を降ろす「神具神降」が可能となり、超常の力を扱えるようになる。なお、レプリカ本体を手放し、カートリッジのようなパーツだけをにぎった状態で超常の力を行使する場面も描かれている。
ドラゴンブラスター
竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)が日曜決戦のクライマックスで使用する兵器。竜の姿をモチーフとした大型のバズーカで、悪の怪人軍団と一進一退の攻防を繰り広げたあと、ドラゴンキーパーの五人が勢揃いしてドラゴンブラスターから「竜の息吹(ドラゴン・ブレス)」という光線のようなものを発射し、怪人を一掃するパターンが定番化している。表向きは不死身の怪人を滅することができる神具と説明されているが、実際は神具ではないため、この兵器で怪人にトドメを刺すことはできない。なお、32種類の音声を収録したハンディサイズの玩具が販売されており、CMには赤刎創星(レッドキーパー)が出演している。
ドラゴンガジェット
竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)の全隊員に支給されている標準装備。イエロー部隊が開発した可変タイプの武器で、テレビのリモコン程度のサイズのため、携帯性に優れている。対怪人用の武器であり、対人では威力が発揮できないと説明されているが、一部の描写と矛盾している。通常の「ブレードフォルム」で使用すると一時的に光刃が出現し、物体を切断したり、ドラゴンガジェットの刃を受け止めて打ち合いに応じたりすることができる。その切れ味は人体を容易に切断するほどで、桜間日々輝は自らの腕を切り落とす際に「ブレードフォルム」を用いている。また、折り曲げて「ガンフォルム」に変形させると、消火器を破裂させるほどの威力の遠距離攻撃が可能となる。「バーストフォルム」と呼ばれるリミッターを解除した隠し形態も存在する。これはエネルギー効率を無視した短期決戦仕様のフォルムで、起動するとグリップから噴き出るように巨大な光刃が出現する。その威力は一振りで自動車を破壊するほどで、出力が制御された状態の「ブレードフォルム」や「ガンフォルム」では太刀(たち)打ちできない。なお、ドラゴンガジェットの玩具は子供へのプレゼントとして人気を博している。
擬態 (ぎたい)
悪の怪人軍団の戦闘員に備わった「身体の分解と再構築」の力を応用した特殊技能。主に日曜決戦に出演する戦闘員が偽物の幹部をでっち上げる目的で使用している。使いようによっては諜報(ちょうほう)や暗殺などにも活用できる便利な能力だが、質量を変化させることができないなど、制限もある。また、戦闘員ごとに得手不得手が存在する。例えば、戦闘員Dは地上人の姿に擬態するのは得意だが、椅子などの物体に擬態するのは苦手としている。ただし、苦手としているジャンルへの擬態も不可能ではなく、時間を掛ければ可能と説明されている。
戦闘員 (せんとういん)
悪の怪人軍団の幹部が戦いの駒として用意した怪人。塵(ちり)状のものが集まって人型を成した存在で、「ダスター」「ダスターズ」とも呼ばれている。総じて全身黒タイツの骸骨の如き姿をしているが、体格には個体差がある。性格も個体ごとに異なり、女言葉を用いる、かわいもの好きの戦闘員なども存在する。強度は地上人と衝突すると割れてしまうほど脆(もろ)いが、自分の意思で身体を作り変えることが可能で、腕部を尖らせて武器にしたり、別の姿に擬態したりできる。身体が崩壊しても再構築できるため基本的に不死身だが、頭部を優先して修復する必要があり、頭部を絶え間なく破壊され続けたり、頭部を身体から隔離されたりすると継戦不能に陥る。完全に崩壊した戦闘員は浮遊城に引き寄せられるが、風で流されてしまうこともある。また痛覚があり、恐怖心も存在する。食事は可能だが、必須ではない。なお、幹部を失った段階で戦闘員は二つの勢力に分裂した。浮遊城に残って日曜決戦に付き合う道を選んだ「残留組」は識別記号として適当なアルファベットを割り振り、両肩に記載して名前代わりに用いるようになった。徹底抗戦を主張して地上に降りた戦闘員たちは「真の戦闘員」と名乗り、「残留組」を蔑んでいる。
野良怪人 (のらかいじん)
日曜決戦とは無関係に地上に降りて活動している怪人を指す言葉。戦闘員D、戦闘員XX、ペルトロラなどが野良怪人の定義に当て嵌る。野良怪人の出現は極めてまれとされており、少なくともDは自分以外に地上で活動している怪人が存在する事実を把握していなかった。なお、戦闘員Fも地上に降り立って野良怪人となったが、間もなくレッドキーパーに葬られてしまった。
位階 (いかい)
竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)で採用されているランク制度。正一位、従一位、正二位、従二位、正三位、従三位の6段階となっており、これらの位階を得た隊員は「位階持ち(ランカー)」と呼ばれる。五色の部隊にそれぞれ一人ずつ配置されており、各部隊の正一位の隊員がドラゴンキーパーとして活動する決まりになっている。また、従一位の隊員は正一位の隊員を支える副官のような立場にあり、パイロンの巣最終試験では試験官として受験生の相手をすることが義務付けられている。位階持ちの下には無位階(通称・色付き)の隊員、無所属(通称・無色)の隊員も存在する。無色の隊員は訓練生となって訓練施設「パイロンの巣」で鍛錬に励み、前述の試験に合格し、人材を欲している部隊からスカウトされることでようやく色付きの隊員に繰り上がることができる。なお、色付きと無色のあいだには大きな格差が存在する。雪野アンジェリカは無色の扱いを「虐げられてきた」と過激な言葉で表現している。
日曜決戦 (にちようけっせん)
毎週、天ノ川市で日曜日に行われている恒例行事。悪の怪人軍団の侵攻を竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)が阻止するというシンプルな内容で、戦いの模様はテレビやラジオで放送され、現地に赴いて観戦することもできる。現地には縁日のように屋台が並んでおり、飲食を楽しみながらの観戦も可能となっている。また、運がよければレッドキーパーなど人気の隊員からサインをもらうこともできる。安全面に関しては、大戦隊の隊員が警備を行っていることもあり、ここ数年は市民への被害は出ていないとされている。ただし、現地での観戦を希望する場合は、危険を承知のうえで観戦するように警告を受けることになる。老若男女に人気を博しているが、日曜決戦に登場する怪人の幹部が、戦争の初期に地上で暴れていた怪人の幹部より不出来である点に疑問を抱く声もあり、大戦隊の陰謀を訴える動画なども存在している。実際のところ、日曜決戦は悪の怪人軍団と大戦隊のあいだで交わされた休戦協定に基づいて行われている八百長試合であり、ヒーローショーに過ぎない。この事実を把握しているのは正一位、従一位の位階を持つ大戦隊の上層部のみである。
全一位隊員大直会 (ぜんいちいたいいんだいなおらい)
竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)の本部で実施される会合。各部隊の隊長である正一位、副官に相当する従一位の「位階持ち(ランカー)」が勢揃いするというもので、従一位まで召集して話し合いの機会を設けることは滅多にないとされている。戦闘員Dに赤の神具が奪われた直後に実施され、その後の対策が講じられることになった。また、レッドキーパーに対する責任の追及も行われたが、糾弾した緋村仁がレッドキーパーに殴られて発言不可能となり、責任問題は有耶無耶(うやむや)となった。なお、ピンク部隊とグリーン部隊のあいだでレッドキーパーの愚痴を主題とする二次会の開催が予定されていた。二次会への参加をうながされた錫切夢子は、撮り溜めたドラマの続きを見たいという理由で出席を拒否している。
パイロンの巣最終試験 (ぱいろんのすさいしゅうしけん)
竜神戦隊ドラゴンキーパー(大戦隊)の訓練施設「パイロンの巣」で実施される試験。「パイロンの試験」とも呼ばれている。地位の低い無所属(通称・無色)の隊員が無位階(通称・色付き)の隊員に出世するためには、パイロンの試験を突破したうえで大戦隊の各部隊から直々にスカウトされる必要がある。落第経験者の石川宗次郎によれば、試験の内容には数種類が存在し、準備期間に入った段階で傾向が予想できるという。戦闘員Dが受けた試験は30分の集団戦を3日連続で行い、試験官の持つ「鍵」を奪って立体駐車場を模した特設フィールドから脱出するというものだった。初日は10人の受験者が五つの組に分かれて試験官から「鍵」を狙う構図となったが、初日を終えた時点で総勢五人の試験官が各1本しか「鍵」を所持していないことが判明する。半数が不合格となる事実を受けて、2日目からはペアの枠組みを逸脱した派閥が誕生することになり、試験は受験者同士の「鍵」の争奪戦へと発展していった。
書誌情報
戦隊大失格 16巻 講談社〈講談社コミックス〉
第1巻
(2021-04-16発行、 978-4065229842)
第2巻
(2021-06-17発行、 978-4065235751)
第3巻
(2021-09-17発行、 978-4065248522)
第4巻
(2022-02-17発行、 978-4065259979)
第5巻
(2022-04-15発行、 978-4065275290)
第6巻
(2022-07-15発行、 978-4065284292)
第7巻
(2022-10-17発行、 978-4065294321)
第8巻
(2022-12-16発行、 978-4065299418)
第9巻
(2023-03-16発行、 978-4065309209)
第10巻
(2023-06-15発行、 978-4065318904)
第11巻
(2023-09-14発行、 978-4065328873)
第12巻
(2023-11-16発行、 978-4065335154)
第13巻
(2024-02-16発行、 978-4065345535)
第14巻
(2024-05-16発行、 978-4065355114)
第15巻
(2024-07-17発行、 978-4065361566)
第16巻
(2024-10-17発行、 978-4065370513)