アニメおたくの吸血鬼×アニメキャラに瓜二つの男性
有門ヒナは、吸血鬼の王の娘でありながら、いっさい外の世界に興味がなく、30年以上引きこもり生活を送っていた。そんな中、ヒナは心配した父親から渡された日本のアニメ「ヴァンパイア+クロス」に夢中になり、ルーマニアから日本に移住を決意。そして来日したヒナは、グッズ購入やコラボカフェ、聖地巡礼など悠々自適なおたくライフを楽しんでいた。一方、ヒナのアパートのとなりの部屋では、ヴァンパイア+クロスの推しキャラである竜須崎マオに酷似した甘夏玖太が、自分勝手な吸血鬼の餌食になっていた。ヒナは甘夏を呪縛していた吸血鬼を懲らしめ、彼と親しくなる。そして甘夏もヒナの天然さに独特の魅力を感じ、次第に二人は互いを意識し合うようになる。
充実したおたくライフを満喫
30年のあいだ引きこもり生活を送っていた有門ヒナは、アニメ「ヴァンパイア+クロス」との出合いをきっかけに、日本で生活を始める。当初はヴァンパイア+クロス関連の追っかけのみに終始していたが、甘夏玖太との出会いをきっかけに、ヴァンパイア+クロス以外にも興味を持つようになる。甘夏の友人である吸血鬼・星野とアニメの話で盛り上がったり、ネット友達のペチコからの誘いでコスプレイベントに参加したりと、ヒナのアニメに対する熱意はとどまるところを知らない。さらに、ヒナを追って来日した執事のビクトルにコスプレ用の衣装製作を手伝ってもらったり、写真が趣味の甘夏にコスプレ写真を撮ってもらったりなど、次第にヒナの趣味にみんなが巻き込まれていく。
次々と現れる吸血鬼たち
人間ながら特殊な血を持つ甘夏玖太は、邪悪な吸血鬼に自由を奪われていたが、有門ヒナに救われる。さらに星野やビクトルといった吸血鬼と知り合って彼らと共に過ごすうちに、素直になれないながらも吸血鬼への悪感情を払拭していく。そんな中、甘夏の通う大学の学園祭にやって来た、アイドルおたくの吸血鬼・不死宮は、甘夏や星野と共にコスプレ喫茶を開いていたヒナに一目惚れし、口説こうとする。ヒナは、推しを簡単に変える不死宮に不快感を抱き、近づかないように命令を下す。しかし、不死宮に対しては最上位吸血鬼であるヒナの力がなぜか通じず、ほかの吸血鬼たちからも天敵に近い存在ではないかと疑われる。
登場人物・キャラクター
有門 ヒナ (あるかど ひな)
吸血鬼の王の娘。純粋な性格ながら少々天然な一面がある。一見すると10代の少女に見えるが、実際は30年以上も部屋に引きこもっていた。高貴な血を引いていることから、ほとんどの吸血鬼や人間に絶対服従の命令を下せる。吸血鬼でありながら人に直接嚙み付いて血を吸ったことがなく、輸血用の血液パックを補給して飢えをしのいでいる。長らく引きこもっていたため、心配した王から手渡された「ヴァンパイア+クロス」のアニメBDに夢中になり、単身日本に引っ越した。それ以来、ヴァンパイア+クロスに登場する美少年・竜須崎マオのグッズを購入したり、コラボレーションカフェに行ったりと楽しんでいる。そんな中、となりに住んでいる甘夏玖太と出会い、彼を虐げていた吸血鬼から助けたことでなかよくなる。その後も甘夏に入れ込んでいる様子をたびたび見せるが、あくまで「いい匂いのする、推しメンのマオに似ている友達」という認識で、明確な恋愛感情を抱いているわけではない。
甘夏 玖太 (あまなつ きゅうた)
とある大学に通っている男子。容姿端麗で「ヴァンパイア+クロス」の登場人物である竜須崎マオに似ている。ふだんは生意気で毒舌家ながら、時折優しい一面を見せることもある。芳醇な血の持ち主で、吸血鬼からは甘い香りを発しているように感じられている。写真撮影が趣味で、子供の頃に何げなく撮った写真を褒められたことで本格的にのめり込むようになる。ある時、偶然発見した吸血鬼を写真に収めようとしたところ、自由を奪われた挙句に家に居座られ、定期的に吸血されるようになってしまう。それから1か月のあいだ絶対服従の呪縛に抗えないまま、吸血鬼への憎悪を募らせていく。しかし有門ヒナに助けられたことで自由の身となり、吸血鬼への悪感情が少し改善されるようになる。ヒナと出会う前はアニメを蔑視していたが、彼女のアニメに対する真摯な姿勢に接して考えを改める。
書誌情報
推しに甘噛み 6巻 白泉社〈花とゆめコミックス〉
第1巻
(2023-03-20発行、 978-4592224389)
第2巻
(2023-07-20発行、 978-4592224396)
第3巻
(2023-11-20発行、 978-4592224402)
第4巻
(2024-03-19発行、 978-4592224785)
第5巻
(2024-06-20発行、 978-4592224907)
第6巻
(2024-10-18発行、 978-4592225058)