風の谷のナウシカ

風の谷のナウシカ

高度な文明が崩壊した未来。少女・ナウシカはおびただしい争いを汚染された世界が浄化される秘密を解き明かし、残された人々を導いていく。第23回日本漫画家協会賞大賞、第26回星雲賞コミック部門受賞作。

あらすじ

第1巻

世界のほとんどが猛毒の森「腐海」と砂漠に覆われた世界に生きる、辺境自治国家・風の谷の王女ナウシカは、古い盟約に従い、トルメキア王国土鬼諸侯国連合帝国との戦争に出陣する事となった。そんな折、工房都市として知られるペジテの避難船が風の谷近くに不時着する。ナウシカは絶命寸前だった少女ラステルから秘石を託され、決してヴ王には渡さない事を約束する。トルメキア王国の皇女クシャナと合流し、ついに戦役へ加わるナウシカだったが、トルメキア軍との合流直後、腐海上空でラステルの兄であるアスベルから攻撃を受ける。

第2巻

腐海の底へ落ちたナウシカアスベルは、腐海の木々が胞子を飛ばす気流に乗って腐海からの脱出を試みる。土鬼の砲台船と行き会い捕虜としてトルメキア王国戦列の宿営地を目指す事になったナウシカ達は土鬼、マニ族の長・僧正から、風の谷も戦場となる事を知らされる。ナウシカは従者ミトガンシップで救出に来た事をきっかけに土鬼の船から脱出するが、その先で見たものは痛めつけられた王蟲の幼虫と、怒り狂いながら宿営地へとひた走る王蟲の大群だった。なんとか王蟲の怒りを鎮める事に成功したナウシカだったが、王蟲の心が警鐘を鳴らし続けている事を感じ取り、事態の本質を見届けるため、引き続きトルメキア戦役への参戦を決める。

第3巻

土鬼諸侯国連合帝国王蟲を培養している事を知ったユパ・ミラルダは、僧正アスベルに助けられて、なんとか土鬼の船から脱出を果たした。一方、ナウシカは、その的確な指示や勇敢で慈愛あふれる姿勢から、トルメキア王国の兵士の中で着実に信頼を勝ち取っていく。やがてナウシカは行軍の最中、虫達すら死んでしまうほどの濃い瘴気を出す腐海の森に遭遇する。これこそが王蟲が警鐘を鳴らしている物につながっていると確信を得たナウシカは、王蟲の心が語ったとおり、南へと進んでいく。さらにユパ達もナウシカとの合流を目指し南進を決定する中、クシャナ率いるトルメキア軍と土鬼軍との直接対決が始まってしまう。

第4巻

ナウシカトルメキア王国軍と土鬼諸侯国連合帝国軍の主戦戦から離脱した。ナウシカこそが、邪教とされるかつての教義が伝承する救世主と知った皇弟ミラルパ、そして僧官チヤルカは、なんとしてもナウシカを排除しなければならないと考えるようになる。その頃、土鬼軍の艦内では、虫をも狂わせる濃い瘴気を出す、意思のある粘菌を培養していた。常温では爆発的に成長する粘菌によって艦が墜落していく中、チヤルカは少しでも土地への被害を減らすため、艦の自爆装置を作動させようとする。虫のざわめきを聞きつけ助けに現れたナウシカに感謝しつつ不思議な魅力を感じたチヤルカは、敵と知りつつもナウシカに興味がわいていく。

第5巻

聖都シュワでは巨神兵の培養が進められ、超常の力を持っていない皇兄ナムリスによって、ミラルパが殺害された。粘菌に突撃しては死んでいく大量の虫達、そしてそこに広がり始める広大な腐海、そしてトルメキア王国土鬼諸侯国連合帝国両国の独裁的な権力者が、人々を滅亡への道へと駆り立てていく。そんな中、ナウシカルワ・チクク・クルバルカの力を借りて、少しでも人々を助けようと奮闘し続ける。やがて王蟲達が粘菌のもとへ向かうのは攻撃するためではなく、自分達の死を苗床にしてでも世界を救おうとしているからだと悟ったナウシカは、王蟲達と共に腐海の一部になろうと決意する。

第6巻

ナウシカの気配が消えた事を察したルワ・チクク・クルバルカの案内で、王蟲達を苗床にした腐海に出たチヤルカは、そこで森の人セルムに出会う。王蟲の遺体の中に守られていたナウシカを救出した三人だったが、ナウシカの心は王蟲の心の深淵に囚われ、身動きが取れなくなっていた。そんなナウシカの無防備な心に、死してなおさまようミラルパの魂がつきまとう。セルムの助けによってミラルパの邪悪な意思を弾き返したナウシカだったが、その魂を哀れみ、セルムの見せる清浄な土地へと共に連れ立つ事を許す。その頃トルメキア王国では、ヴ王が戦線に立つ事を決定していた。

第7巻

ナムリスによって培養され続けていた巨神兵は、ナウシカを母親と慕い、共にシュワの墓所に行く事を決める。またナウシカも、この巨神兵が人間にとって危険な者と知り死を願いながら、「オーマ」という名を与え、我が子として接する事を決意する。西へと飛び立ったナウシカとオーマを追い、クシャナ達もシュワの墓所を目指す中、土鬼諸侯国連合帝国の敗残兵との小競り合いが始まり、その中でクシャナをかばったユパ・ミラルダが死亡してしまう。ユパの死を知り、そしてこれまで共に旅を続けたためにオーマの放つ毒の光に侵されたキツネリス・テトの死を悼んだナウシカは、テトの遺体を埋めるため、大きな木のある廃墟へと降り立つ。

登場人物・キャラクター

ナウシカ

風の谷の族長・ジルの娘、後に族長を継ぐ。11人いたジルの子のうち、唯一の生き残り。空を飛ぶ船や凧(グライダー)を巧みに操り、剣術なども人並み外れた腕前。精神世界で蟲や一部の人間と交信する能力も持つ。トルメキア戦役を発端とする旅を通じて、腐海と浄化の秘密を解き明かす。 復活した巨神兵にオーマの名を与え、我が子として慈しんだ。土鬼の老女からトルメキア兵に殺された娘の晴れ着を譲られ、これが後に王蟲の血で青く染まったことから、伝承上の青き衣の者と見なされる。

『風の谷のナウシカ』に登場する生物。王蟲を頂点に、大小さまざまな種が存在する。火の7日間の後で腐海とともに生まれ、特異な生態系を形成した。腐海を生息地とするが、その外部でも活動可能。普段は人に危害を加えないが、攻撃を及ぼす敵は執拗に排除する。蟲が腐海の外で死ぬと、その死骸から新たな腐海が生まれる。

ユパ・ミラルダ

伝説の剣士。ナウシカの父で風の谷の族長だったジルの旧友。常人離れした剣術の腕前に加え、古今の知見に精通している。腐海の謎を解く旅に人生の多くを費やした。トルメキア戦役の戦場に潜入した後、ペジテの長の息子・アスベル、土鬼ビダ族の娘・ケチャ、トルメキア皇女・クシャナ、その参謀・クロトワらと行動をともにする。 土鬼マニ族の女性による自爆攻撃を防ぐために左手を失った後、次代の王として見込んだクシャナを守るため自らを犠牲にして絶命。

ジル

風の谷の族長・ナウシカの父。腐海の毒に冒され、体の石化が進んでいた。ナウシカの出陣からほどなく失明を経て没する。

ミト

風の谷で城に仕えていた初老の男性。ナウシカとともに出陣するが、クシャナの戦隊の壊滅ではぐれた。ユパ・ミラルダ、アスベルらと合流し、ナウシカを支えるため行動をともにする。腐海の毒に冒され、体の石化が始まっている。

アスベル

工房都市ペジテの長の息子、ラステルの兄。ペジテを滅ぼしたクシャナの船団をガンシップで襲撃した後、ともに土鬼の捕虜となったナウシカを助ける。ペジテの坑道で発掘された巨神兵の起動に欠かせない秘石をナウシカに託した。ナウシカを追うユパ・ミラルダ、ミトらを手助けする。

ラステル

工房都市ペジテの長の息子・アスベルの妹。クシャナの戦隊によるペジテ攻撃を逃れて船で脱出したが、蟲に襲われて墜落。救助に来たナウシカに秘石を託して絶命した。ナウシカは後にアスベルと出会った際、秘石を手渡す。

ルワ・チクク クルバルカ

土鬼の寺院で、ナウシカが出会った子供。その寺院は神聖皇帝の治世後に邪教とされた教義を密かに伝えていた。言葉を使わず精神で相手に話しかける念話の能力に優れ、たびたびナウシカのメッセージを群衆に伝えた。クルバルカはかつて土鬼を代々治めた土王の名。

チヤルカ

土鬼の僧官。僧兵上がりで軍司令官を務める。貧民の自分を取り立てた皇弟ミラルパに忠誠を尽くす。だがナウシカと出会い、邪教とされたかつての教義が正しかったことを悟っていった。後に皇兄ナムリスが僧会を粛清した際に石打ちの刑に処せられるが、ナウシカ、ルワ・チクク クルバルカらに助けられた。

ヒドラ

『風の谷のナウシカ』に登場する不老不死の生物。旧世界の技術が作り出した。通常は人間の形をしているが、頭部だけになっても生き続ける生命力を有する。土鬼の皇兄ナムリスは自らをヒドラの体に作り替えていた。庭の農夫や庭の主、また墓所の主もヒドラの一種。

神聖皇帝

皇弟ミラルパ、皇兄ナムリスの父。劇中には登場しない。かつて写本と音楽に秀でた少年だった頃、庭を訪れた。「人間を救いたい」との書き置きを残して何匹かのヒドラとともに外界へ戻り、圧政と狂気で人々を苦しめた土王を倒して帝国を築く。だが帝国の治世もやがて土王の時代と同じ道を辿った。 延命処置の失敗で全身が崩壊して死亡。

ミラルパ

神聖皇帝から超常の力を受け継ぎ、土鬼諸侯国連合帝国を統べる。旧世界の技術で延命処置を施されているが、定期的に薬液で沐浴しないと体が崩壊してしまう。兵器とするため王蟲、ヒソクカリなどを培養していた。だが粘菌の異常発生と大海嘯を招き、土鬼の地を壊滅させる。100年前は慈悲深い名君だったが、20年ほどを経て「いつまでも愚かなままの土民」を憎むようになったという。 皇兄ナムリスによって肉体が滅んだ後、精神はナウシカによって腐海の尽きる所に導かれた。

ナムリス

皇弟ミラルパの兄。自らをヒドラに改造している。超常の力を持たないため弟のミラルパに組み敷かれていたが、叛逆して権力を掌握。トルメキア王国の征服を企図し、捕えたクシャナに土鬼トルメキア二重帝国の建設を持ちかけた。最後は肉体が崩壊し頭だけとなり、船から地上へと落ちていく。 墓所の主の啓示にあらがえないことに絶望していた。

僧正

高齢で盲目の土鬼マニ族僧侶。土鬼の古い信仰を守り、皇弟ミラルパや僧会と対立した。ユパ・ミラルダ、ケチャ、アスベルらを助けるため、自ら犠牲となって絶命。その後も魂がしばしば現れてナウシカらを助ける。

セルム

森の人。ナウシカに似た少年。祖母と母は蟲使い。腐海で遭難したユパ・ミラルダ、アスベル、ケチャらを救う。大海嘯で王蟲に助けられたナウシカを見つける。人の精神に接触する特殊能力を持ち、ナウシカに腐海の尽きる所の情景を見せる。その後も庭やシュワの墓所でナウシカが窮地に陥るたび、精神を通じて手助けした。

庭の主

旧世界が残したヒドラの一種。相手の心に入り込んで悲しみを忘れさせ、しもべにする。かつて初代の神聖皇帝が師と仰いだ。セルムは「旧世界の人間が造った不死の番犬」と呼ぶ。聖都シュワの墓所の主の一部でもあった。

ヴ王

トルメキア王。3皇子と皇女クシャナの父。子供らを王位の簒奪者としてしか見ておらず、幼いクシャナに毒を飲ませようとしたこともある。聖都シュワで神聖皇帝らと同じく不老不死になることを願う。3皇子らの軍が敗退した後、自ら軍を率いて聖都シュワに侵攻。オーマとシュワの墓所の戦闘で聖都シュワが壊滅した後、教団に招かれてシュワの墓所に足を踏み入れる。 そこで後からやって来たナウシカと墓所の主とのやり取りに立ち会った。ナウシカを「破壊と慈悲の混沌」と呼んで気に入り、ともにシュワの墓所の墓守になることを拒む。墓所の主の有毒な光からナウシカをかばった後、瀕死の状態で脱出。 シュワの墓所の外で皇女クシャナに王位を譲る遺言を残した後、絶命した。

クシャナ

トルメキア皇女。幼い頃に父・ヴ王から毒を飲むよう仕向けられるが、母が身代わりとなった。自ら育てた精鋭軍の信頼が篤いことから、ヴ王や兄の3皇子にうとまれる。トルメキア戦役では腐海の南下を命じられるが、これはクシャナを暗殺する謀略だった。わずかな兵とともに生き延びた後、王家の打倒を決意。 いっぽうナウシカの卓越した素質を見抜いて一目置くとともに、次第に感化されていった。土鬼が招いた蟲の来襲と腐海化で窮地に陥ったところをユパ・ミラルダ、ミトらに助けられる。後に皇兄ナムリスに拉致されるが、叛乱を起こして脱出。ナムリスが言い残した墓所の主の正体を突き止めようと、聖都シュワへ赴いた。

クロトワ

知略に長けたトルメキア王国の軍人。平民出身で16歳の時からコルベットと呼ばれるトルメキア王国の戦闘艇に乗り組んだ。ヴ王からクシャナの監視および暗殺の命を受け、腐海を南下するクシャナの参謀に選任される。だが任務に成功しても抹殺されることを知っており、クシャナ側に寝返った。 後に瀕死の重傷を負ったところをクシャナに救われ、ともに蟲の来襲と腐海化を生き延びる。クシャナが皇兄ナムリスに拉致された後、ユパ・ミラルダ、ミトらと行動をともにした。

トルメキア皇子

ヴ王の3人の息子でいずれもクシャナの兄にあたる。3皇子のうち1人はトルメキア戦役で飛行する蟲の大群に襲われ死亡。2人は敗退して帰国した後、ヴ王の叱責を受けて国境警備に就かされた。だがヴ王がシュワの墓所の秘密を独占することを恐れ、独自に船団を率いて聖都シュワを目指す。 オーマに拉致されてナウシカとともに聖都シュワへ赴く途中、庭に入り込む。そこで旧世界の音楽に心酔して野望を忘れ、庭にとどまった。父・ヴ王に殺されないよう小心な愚者を演じてきたと語る。

オーマ

工房都市ペジテの地下で発掘された巨神兵。化石化しておらず、接続された黒い箱の秘石が操作されたことで肉体が成長を始める。皇兄ナムリスが手に入れて利用を試みるが、制御できないことを知って人工の巨大な子宮で眠らせていた。ナウシカがその子宮を破壊したため動き出し、オーマの名を与えられたことで裁定者として覚醒。 秘石を持っていたナウシカを「母さん」と呼び、忠実につき従う。だがその不完全な肉体は腐敗を始め、生物を蝕む毒の光を放った。シュワの墓所の自動防衛装置と戦って破壊した後に活動を停止するが、ナウシカの呼びかけで復活。ナウシカの命で墓所の主と人類の卵を破壊した後、シュワの墓所で絶命した。 オーマは古エフタル王国の言葉で「無垢」の意味。

テト

『風の谷のナウシカ』に登場する架空の動物。トルメキア戦役の直前、風の谷を訪れたユパ・ミラルダからナウシカに与えられた。ながらくナウシカとともに旅をするがオーマが放つ毒の光で徐々に弱って死に、「庭」に埋葬される。

トリウマ

『風の谷のナウシカ』に登場する架空の動物。ダチョウに似た黒い動物で、人々が馬代わりに利用する。トルメキア戦役に赴くナウシカに、ユパ・ミラルダがカイと名づけられたトリウマを贈った。カイはサパタ土保国での戦闘でナウシカを守り切ったのちに死亡。いっぽうユパが伴ったトリウマのクイは、カイの死亡にあわせて卵を産む。 クイはその後、ながらくはぐれていたミト一行とナウシカを引き合わせる。

集団・組織

教団

『風の谷のナウシカ』に登場する組織。墓所の主の下僕として住むことを許された人々。身体改造を施して数百年以上生きながらえてきた。墓所の主が示す文書の解読と検証に全てを捧げる。外部の権力者の協力を必要とし、聖都シュワ陥落後にヴ王を新たな王としてシュワの墓所へ招き入れた。

蟲使い

『風の谷のナウシカ』に登場する一族。3度目の大海嘯を招いて滅んだ古エフタル王国の武器商人の末裔。巨大なナメクジ状の蟲を使って探索などを行う。「屍を好んでまさぐるいまわしきやつら」としてほかの民族から忌み嫌われている。11の支族が腐海で暮らしていたが、3支族はすでに断絶。大海嘯で王蟲に救われたナウシカを神と崇め、各支族から選ばれた従者が「守人」としてナウシカにつき従うようになった。

森の人

『風の谷のナウシカ』に登場する一族。腐海の奥深くに定住する人々。古エフタル王国の末裔。腐海や蟲と共生する特異な術を持ち、蟲使いが畏れ敬う。腐海の浄化が完成した腐海の尽きる所に何度も人を送り込んだが、みな血を吐いて死んだ。以後そこを聖地と定め、タブーとする。

場所

風の谷

『風の谷のナウシカ』に登場する国家。人口500人の辺境自治国。300年前に20日間の大海嘯で滅んだ古エフタル王国の末裔。風の神への信仰を持ち、エフタル語を話す。腐海と砂漠に覆われた世界では貴重な草原や森林に恵まれている。トルメキア王国に対して隷属的な同盟関係にある。再建の技術が失われたガンシップを保有、これを軍事力として外交の切り札に独立を保ってきた。

ペジテ

『風の谷のナウシカ』に登場する国家。地中深く埋もれた太古の都市からエンジンを掘り起こす工房都市。トルメキア王国と古い盟約で結ばれていたが、巨神兵奪取のため滅ぼされた。

土鬼諸侯国連合帝国

『風の谷のナウシカ』の国家。内海をはさんでトルメキア王国と対峙する連合国家。土鬼と呼ばれる民族の51の小国を束ね、僧侶の集団である僧会を行政の中枢機構とする。旧世界の技術を伝えるシュワの墓所を擁し、テクノロジーでトルメキア王国に先んじる。土鬼の地はかつて歴代の土王が治めていたが、ヒドラを従えた神聖皇帝が征服。 それ以後、王蟲を神聖視して青き衣の者を使徒とする土着の教義は邪教とされた。トルメキア王国、また風の谷など古エフタル王国の末裔とは、言語、宗教、食文化などが大きく異なる。

聖都シュワ

『風の谷のナウシカ』に登場する都市。土鬼諸侯国連合帝国の首都。シュワの墓所を中心に発展している。

シュワの墓所の貯蔵庫。浄化後の世界再建に必要な動植物の原種、また音楽と詩などを保存する。外観はのどかなで豊かな農村。だがその外部からは見えず、音も伝わらない。複数存在することが示唆される。200年前に初代の神聖皇帝が訪れた。2人のトルメキア皇子もナウシカとともに庭を訪れ、旧世界の音楽に興じた。

トルメキア王国

『風の谷のナウシカ』に登場する国家。大部分を腐海に覆われた陸地から突き出す半島状の土地を治め、風の谷など辺境の小国群を従える。南端にある首都トラスは、かつての巨大都市の廃墟に寄生した街。王族同士が血塗られた王位継承争いを重ねた歴史を持つ。ここも腐海などの汚染によって国土が荒廃し、人口が減少しつつある。

イベント・出来事

腐海

『風の谷のナウシカ』に登場する生態系。胞子で繁殖する巨大な植物群からなる樹海。王蟲をはじめとする多様な蟲が棲息し、しばしば腐海の外へ腐海植物の胞子を媒介する。腐海植物は瘴気と呼ばれる猛毒ガスを排出し、人間は防毒マスクなしでは腐海で生きられない。腐海の正体はかつて人類が旧世界の滅亡に際し、人類再生のため人工的に作り出した環境浄化のための生態系だった。 ナウシカの時代にはすでに最も古い腐海、「腐海の尽きる所」で浄化が完成されている。だがナウシカら汚染に適応するよう作られた人間にとって、そこは死の世界だった。

その他キーワード

ガンシップ

『風の谷のナウシカ』に登場する乗り物。現代の戦闘機にあたる小型艇の総称。風の谷は族長がガンシップの戦士としてトルメキア王の戦列に加わる盟約を結んでいた。建造後100年の風の谷のガンシップは同型がほかに残されていなかったが、オーマとシュワの墓所の戦闘に巻き込まれて破壊された。

メーヴェ

『風の谷のナウシカ』に登場する乗り物。「凧」と呼ばれるエンジンつきグライダーの一種。優れた風使いでもあるナウシカが巧みに乗りこなす。

王蟲

『風の谷のナウシカ』に登場する生物。腐海に住む最大の蟲であり、腐海の守護者的存在。知性を有するが、ナウシカなど一部を除いて人間には理解されない。蟲を攻撃する人間に対して怒り狂い、腐海の外で破壊を繰り広げる。土鬼は人工的に培養した幼体を使って王蟲の暴走を引き起こさせ、トルメキア軍への反撃に利用した。

大海嘯

『風の谷のナウシカ』に登場する現象。王蟲の大群が暴走して腐海の外界を破壊する。やがて王蟲は力尽きて死に、そこから腐海が広がる。火の7日間から300年前までの間に3度起こった。3度目の大海嘯では古エフタル王国が滅ぼされて腐海に沈み、生き残った人々は風の谷などの辺境自治国を作って逃れた。 トルメキア戦役に際して土鬼諸侯国連合帝国が腐海生物の兵器化を企て、4度目が発生。土鬼の土地の3分の2が腐海と化した。ナウシカはその大海嘯を起こした王蟲たちは大地の傷口を癒そうとしているだけだと悟る。

シュワの墓所

『風の谷のナウシカ』に登場する建造物。聖都シュワの奥深くにあると伝えられてきた黒い巨大な直方体。旧世界の遺産と浄化後に目覚めるはずだった人類の卵などが保管されている。神聖皇帝とその子・皇弟ミラルパと皇兄ナムリスに旧世界の技術を授けた。

墓所の主

『風の谷のナウシカ』に登場する物体。古代文字で覆われた巨大で丸い肉塊。旧世界の知識を文書の形で冬至と夏至に1文ずつ、その表面に示す。人間の精神に直接話かけることも。旧世界の技術の一部を与える見返りに、歴代の権力者を従えてきた。この関係を拒否したナウシカ、ヴ王の抹殺を図るが、人類の卵もろともオーマに破壊される。 その体液の成分は王蟲と同じだった。

粘菌

『風の谷のナウシカ』に登場する生物。土鬼が兵器として腐海植物のヒソクカリを培養した際、異常発生して巨大化した。4体が土鬼の地を浸食しながら合体し、大海嘯で押し寄せた王蟲の大群も飲み込む。だが蟲がもたらした腐海植物の苗床として消化され、一夜にして広大な腐海となった。

巨神兵

『風の谷のナウシカ』に登場する生物。究極の破壊力を持った巨大な人型の存在。火の7日間で世界を滅ぼした破壊兵器だと語り継がれている。だがその正体は人間に裁きを下すために作られた「調停者にして戦士、そして裁定者」。地上ではその化石があちこちに残されている。

書誌情報

風の谷のナウシカ 全2巻 徳間書店〈〉 完結

第1巻

(1996年11月発行、 978-4198605612)

第2巻

(1996年11月発行、 978-4198605629)

風の谷のナウシカ 全2巻 文藝春秋〈文春ジブリ文庫〉 完結

第1巻

(2013年4月発行、 978-4168121005)

第2巻

(2013年5月10日発行、 978-4168121012)

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