昔、朧なる男ありけり

昔、朧なる男ありけり

『遙かなる時空の中で』シリーズで有名な水野十子が描く和風美世界。天然ボケの貴族の日々を綴る連作短編作品。

正式名称
昔、朧なる男ありけり
ふりがな
むかし おぼろなるおとこありけり
作者
ジャンル
時代劇
関連商品
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概要・あらすじ

天然ボケの入った公達で朧少将と呼ばれる男が山中から連れ帰ってきたのは、山に住む鬼の娘。鬼の娘を自分の妹として育てようしたものの、年頃になった彼女は妖しのものを呼ぶようになり、京で評判になってしまう。

登場人物・キャラクター

朧少将 (おぼろしょうしょう)

少々天然ボケが入っており、友人や知人には朧少将と呼ばれる青年。本名不明で、のちに中将となる。お金持ちのため、なにも考えずに鬼姫を養うことを決め、無理やり鬼の父御から引き離して、鬼姫を連れ帰ってきた。また松雄が生まれてからは甘い養父となり、彼にちゅーされるとなんでも言うことを聞いてしまう。

鬼姫 (おにひめ)

朧少将が鬼の父御のもとから奪うように連れ帰ってきた姫。少女の頃は朧少将のことをお兄様と呼び、ほのかな恋心を抱いていた。しかし、成長すると幼い恋心を捨て、堅実に別の男性を選び、松雄を生む。松雄を産んだ後に盗賊に襲われ、盗賊を食らってしまってからは、京から姿を消した。

鬼の父御 (おにのててご)

朧少将が山中で出会った鬼姫の父親。鬼らしく強面で、威圧感のある風貌と姿をしている。朧少将に一瞬の隙をつかれて娘をさらわれてしまう。後にガマガエルの姿で朧少将の元へ現れ、娘を返してほしいと懇願する。鬼姫を心配し「人の情など知れば、かえって娘が悲しむ」と語った。

悪友 (あくゆう)

本名、官職不明の青年。作中では悪友とだけ明記されている。陰陽術を使えるが、あくまで趣味の範囲で、生業としてるわけではない。鬼姫が朧少将の家にきてから結界を張ったり、狸が人に化けていることを知る。朧少将の悪友として裏で動く。

松雄 (まつお)

鬼姫が産んだ子供で、のちに陰陽師になる。天真爛漫で鬼姫から生まれたこともあって、妖しに近いが動物に似た奇しにも怖気づかない性格で、一緒に遊ぶような子供。奇しの者と仲良くなり、桃子のもとに通うが、桃子の心無い言葉によって死んでしまった奇しのために号泣した。

桃子 (ももこ)

身分は低いが、お金持ちの家に住まう12歳の姫君。恋の相手に財力と身分を欲し、花を摘んできたのが松雄だと勘違いすると、朧少将の縁の身分だと思い、松雄を丁寧にもてなすようになる。怖がりで、松雄が花を摘んできたのが奇しであることを話すと、声を荒げて逃げた。

(たぬき)

見た目はたおやかな女性。朧少将が松雄を連れた鷹狩りの際に出会った娘の姿をした狸。朧少将は最後まで狸であることに気づかなかったが、松雄と悪友はすぐに気づいていた。子供を犬に殺され、朧少将に復讐しようと考えていたが、松雄のちゅーによって心が解かれ、朧少将を見逃す。

その他キーワード

妖し (あやし)

鬼など人を襲い食べてしまうものたち。人語を話すものたちが多い。鬼姫や鬼の父御も妖しであり、特に鬼姫は奇しや妖しを呼ぶことができる。鬼姫曰く、「呼ぶと勝手に寄ってくるもの」だそう。

奇し (あやし)

鬼などの妖しよりも低級で、人の悪意のこもった言葉に反応して死んでしまうほど弱い存在。しかし、妖しと違い、人間の里にもわらわらといる存在で、基本的に人間はその存在に気づかないが、松雄などの霊力がある者はその存在に気づく。

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