もののて

もののて

長期連載となった『AKB49~恋愛禁止条例~』(原作:元麻布ファクトリー)に次ぐ宮島礼吏の連載作品。江戸時代を舞台に、左右の手が逆に付いた「もののて」と呼ばれる忍者の皆焼と、医者を目指している少女・おこたの旅路を描いた忍稼業アクション。生真面目ながらも皆焼の影響で思い切った行動に出るようになったおこたの成長とともに、特殊な体を生かした皆焼の破天荒なアクションが見どころとなっている。講談社「週刊少年マガジン」2016年37・38合併号から2017年2・3合併号にかけて連載されたのち、同社「マガジンポケット」で2017年3.5号(2016年12月21日)から9号(2017年2月1日)にかけて配信の作品。

正式名称
もののて
ふりがな
もののて
作者
ジャンル
アクション
 
時代劇
レーベル
講談社コミックス(講談社)
巻数
既刊3巻
関連商品
Amazon 楽天

医者を目指す少女と異形の手を持つ青年

医者を目指しているおこたは、医療の見識を深めるために旅を続けていたが、その道中で借金の取り立てをしていた皆焼を目撃する。皆焼の容赦のない取り立てにおこたは反感を抱くが、盗賊からの依頼を受けた皆焼に拉致されてしまう。あくまで冷淡な態度を崩さない皆焼だったが、おこたは彼の右手と左手が逆に付いた手を見て「かわいい」と称賛する。自らの手にコンプレックスを抱いていた皆焼は、思いもよらない彼女の言葉が胸に響き、盗賊たちを圧倒的な力で制し、彼女を救い出す。おこたは、世間を騒がせている「もののて」が皆焼であることを知るが、その恐怖よりも彼の両手と忍稼業に興味を持ち、同行を申し出る。こうして二人は互いの目的を果たすため、旅に出ることとなる。

人々に恐怖をもたらす「逆手多刀流」

皆焼が世間から「もののて」と呼ばれて畏怖されているのは、右手と左手が逆に付いているほかに、彼が駆使する「逆手多刀流」の存在が挙げられる。逆手多刀流は片手で二本ずつ刀を持ち、斬り下ろすことで四筋の刀傷を負わせる「熊爪(くまづめ)」や、衣服の中に隠した刀で敵を素早く貫く「匿角(かくれづの)」など、すさまじいまでの剣術を繰り出す。その技は、実際に受けた者はもちろん、それを目の当たりにした者さえも「化け物を見た」と比喩するほどの恐怖心を抱くようになる。皆焼自身は「もののて」と呼ばれるのに慣れており、必要とあれば逆手多刀流で他者を傷つけることもいとわない。また、自らの手が左右逆に付いていることに言い知れぬ不安を覚えており、いつかその謎を解明したいと考えている。

忍への道を指し示した恩人との出会い

幼い頃から孤児だった皆焼は、大人たちから虐げられる生活を送っていたが、悪事はもちろん生きるためになりふり構わず行ってきた。そんな中、皆焼は耳の聞こえない老人の家に潜り込み、彼の孫を装って盗みを繰り返していた。罪悪感を抱きながらも生きるためには仕方ないと考えていた皆焼だったが、2年後に老人は彼をかばって命を落とす。そして老人から「2年間、孫でいてくれてありがとう」と感謝の言葉をかけられる。のちにその老人が、かつて飛騨望月衆の忍だった唐沢玄蕃だと知った皆焼は、彼の恩を決して忘れないように、望月千代女の誘いに応じて望月衆として活動することを決意する。

登場人物・キャラクター

皆焼 (ひたつら)

飛騨望月衆に所属する忍者の青年。ぶっきらぼうながらも礼節を重んじている。かつての忍者は戦場で暗躍していたが、泰平の世ではそれも叶わず、皆焼自身も借金取りや護衛もどきの仕事に甘んじている。右手と左手が逆に付いており、荒事になると狂暴性を発揮し、奇妙な逆手からすさまじいまでの剣技を繰り出す。金をもらえば悪人からの仕事も躊躇なく引き受けることから、「もののて」と呼ばれて恐れられている。一人でいくつもの村を壊滅させたとか、生まれてすぐに親を食い殺したとの噂が広まっている。背負っている木彫りの仏像と、なんらかの形で意思疎通を行っているが、はたから見ると独り言を言ってるようにしか見えないため、気味悪がられている。また、金勘定にうるさかったり、スケベな一面をあえて見せたりすることもあるが、これは必要以上に他者が近寄ってこないように意図的に行っている節がある。飛騨望月衆の人々といがみ合いながらも、内心では大切に思っている。なお、両腕は何者かの手が移植されていることが示唆されており、ひそかに持ち主の行方を探っている。

おこた

医者を目指して旅する少女。偶然出会った皆焼の両手に医学的な見地から強い興味を持ち、彼と同行することになる。物腰は柔らかいが勝気な性格で、自分の弱さを見せることをよしとしない。皆焼が異形の化け物「もののて」であることを知ってからも恐れる様子を見せず、彼の筋をとおす姿勢に好感を抱いている。しかし守銭奴だったり、スケベだったりする一面を見るにつれて辟易している。幼い頃に現在の主人に拾われ、それ以来7年ものあいだ、狭い部屋で裁縫仕事を課されていた。そんな中、武家の末裔である織田長雄に見初められ、婚約を余儀なくされるが、医者になる夢をあきらめきれずに逃げ出してしまう。内心では医者になることは難しいと考えていたが、皆焼と出会ってからは、定められた運命に抗うことが不可能ではないと考えるようになる。

書誌情報

もののて 3巻 講談社〈講談社コミックス〉

第1巻

(2016-11-17発行、 978-4063957945)

第2巻

(2017-01-17発行、 978-4063958447)

第3巻

(2017-03-17発行、 978-4063958881)

SHARE
EC
Amazon
logo