概要・あらすじ
高校生の元宮あかねは、下校途中にアクラムによって京へ召喚された。同じ時に同じ場所にいた森村天真と流山詩紋も同じく京に召喚されてしまうが、京であかねは1人きりになってしまう。困ったあかねは無意識に白龍の力を使い、周囲を騒然とさせる。その窮地を藤姫が遣わした源頼久によって救われ、左大臣の屋敷へと来ることになり、あかねがどうして召喚されたのかを知る。
登場人物・キャラクター
元宮 あかね (もとみや あかね)
高校2年生の少女。明るく誰とでも仲良くなれる性格で、いじめられていた流山詩紋を助け、クラスで浮いていた森村天真と仲良くなる。京に召喚されてからも、八葉と仲良くなるのに時間はかからなかった。自らの力のなさに悲嘆するが、白龍の神子として頑張ろうとする前向きな性格の持ち主。
源 頼久 (みなもとの よりひさ)
生真面目な性格の武士で、元宮あかねを主と定めている。25歳。流山詩紋と共に八葉の中で一番最初に宝玉を得る。当初は主としてのあかねしか見ていなかったが、八葉として交流を深めていくうちに彼女に惹かれていく。
森村 天真 (もりむら てんま)
高校2年生の男子生徒で、元宮あかねと同じ現代から京へ飛ばされた。飛ばされた当初はあかねと行動を共にしておらず、気のいいゴロツキたちと一緒に暮らしていた。その後、あかねと再会してからは、左大臣の屋敷に世話になっている。面倒見が良いが目つきが悪いことから、すぐに人を怯えさせてしまう。ずっとあかねのことが好きで、それゆえに八葉の男たちががあかねのことを好きになるのが気に入らない。
イノリ
京に住まう15歳の少年で、鬼に関わることにはすべて食ってかかる短気な性格。流山詩紋のことも当初は鬼と勘違いして嫌っていた。のちに和解し、詩紋とは良き友人となる。姉であるセリを大事に思っており、彼女と恋人だったイクティダールには特にきつく当たる。
流山 詩紋 (ながれやま しもん)
元宮あかねと同じ現代から京へ飛ばされた。金色の髪と青い目が印象的な14歳の少年。元々気弱な性格に、京に来てから鬼と間違われ迫害されたことから、更に気弱さが目立つようになる。しかし、八葉としての力の目覚めによってあかねを守るために心も強くなり、鬼と対峙しても目を背けることがなくなった。
藤原 鷹通 (ふじわらの たかみち)
治部省に務める治部少丞という官位を持つ役人。19歳。生真面目だが、その真面目さの裏側には激しい情熱を持つ。役人としての権力を利用したり、されることを嫌い、貴族としては潔癖な性格。シリンとの対決の際に、元宮あかねに強く好意を抱く。
橘 友雅 (たちばなの ともまさ)
31歳の男性。風雅で楽天家に見えるが、知識と力に長けており、帝から一目置かれている。しかし貴族の中では「橘」の姓のため権力の中枢にはおらず、あくまで左近衛府の少将としてだけの仕事しかしないと公言している。たびたび永泉と共に参内し、帝と論議を交わす場面が見られる。
永泉 (えいせん)
帝の異母弟で、出家している。17歳。笛や琴の演奏に長けておりよく笛を吹いている。元宮あかねに恋心を抱くも、自らの立場への葛藤に加え、森村天真からも威圧され自分の気持ちと上手に向き合うことができずにいる。
安倍 泰明 (あべの やすあき)
見た目は21歳だが、本来は2歳。安倍晴明が陰の気から作り上げた人造人間で、冷静沈着な部分が際立つが、2歳ゆえの好奇心や純粋さを持つ。元宮あかねに好意を抱き、森村天真の次に告白する。
藤姫 (ふじひめ)
左大臣家の末姫かつ星の一族の末裔の少女。10歳という年齢に反して大人びたところがあり、聡明。橘友雅のバックアップがあってこその聡明さであるが、本人も友雅に頼っている部分があることを自覚しており、1人で白龍の神子たる元宮あかねを支えることができないことを悔やんでいる。
アクラム
鬼の一族の首領にして、元宮あかねを白龍の神子として召喚した人物で26歳。白龍の力を使い、京を支配することを目論んでいるため、京の人間からは恐怖の対象となっている。金髪で青い目をしているが、目は仮面によって隠されている。あかねのことはあくまで利用するために召喚したというスタンスを取っているが、あかねの側にいる源頼久に嫉妬する場面も見せる。
イクティダール
鬼の一族の副官でありながら、イノリの姉、セリと恋仲になったことがある。35歳。セリのことは愛しているものの、アクラムに忠誠を誓っていることもあり、鬼の一族とセリの思いの間で苦しんでいる。イノリからはセリを奪い、セリ共々京の人間から迫害された過去を持つ。
シリン
24歳の女性。自分の美しさに絶対の自信を持っているが、逆にそれが揺らぐと弱い部分を見せる。京の人間を憎み、アクラムに忠誠を誓っている。アクラムに対しては忠誠以上の気持ちを抱いており、アクラムのためならば死ねると公言している。
セフル
14歳の少年。残虐な性格だが、同じ鬼と勘違いをしていた流山詩紋に対しては優しく接していた。のちに詩紋が鬼ではないと分かると自分に恥をかかせたとして、顔を真っ赤にして怒る。鬼と人間のハーフで、人間からはこれまで迫害されてきた。
ラン
数年前にアクラムによって召喚され、そのまま誘拐された森村天真の妹で16歳。元宮あかねとは対となっている黒龍の神子。怨霊を増やすことにその力は使われていた。当初は八葉に守られているあかねを嫌っていたが、和解後は仲良くなる。
帝 (みかど)
永泉の兄で今代の帝。政治の能力は高く、貴族からも高い評価を得ているため、京は平穏に保たれている。弟思いで、永泉が元宮あかねに恋をしたと知った時は、全力で彼を応援し、また茶化したりもした。
セリ
イノリの姉で質素だが美しく、病弱。病気で動けなくなっているところをイクティダールに助けられて以来、イクティダールが好きになる。だが、鬼と通じているとされ、住んでいた村からは迫害される。
安倍 晴明 (あべの せいめい)
稀代の陰陽師で年齢不詳の青年。安倍泰明を作り出した人物で、何かと泰明を通じて元宮あかねに協力する。ランが住んでいるのは安倍晴明の庵。実在の人物、安倍晴明がモデル。
左大臣 (さだいじん)
藤姫の父親で、藤姫を通じて元宮あかねたちを保護している人物。帝からの信任も厚く、白龍の神子を保護するように頼まれている。また、流山詩紋に日記を付けると良いと助言したこともあり、詩紋とたびたび会っている。
集団・組織
八葉 (はちよう)
龍の宝玉に選ばれた8人の男性のことを指す。八葉は四神と天地に分かれ、それぞれ天の青龍、地の青龍のように分かれている。八葉は体のどこかに宝玉が埋められており、そこから白龍の神子の意識を感じ取ることができる。
星の一族 (ほしのいちぞく)
普段は龍の宝玉を守り、有事の際には白龍の神子を支え助ける存在。昔はたくさんいたが、今は藤姫と藤姫の母の2人きりになってしまった。占いを得意とし、先視の力を有する。
鬼の一族 (おにのいちぞく)
一部例外もいるが、ほとんどが同じ金色の髪と青い目をしている一族。今や京の人間による迫害のせいで数が少なくなっており、アクラムは鬼の一族の栄光を取り戻すことも視野にいれ、京を支配しようと考えている。
場所
京 (きょう)
龍神に守られた都。だが、民の間では鬼の一族の迫害が多く、貴族の間でも鬼の一族に対しての風当たりは強い。いつもなら四神に守られているはずだが、今は四神がアクラムの手にあるため、白龍の神子が四神を従えることは難しい状態となっている。
左大臣の屋敷 (さだいじんのやしき)
元宮あかね、森村天真、藤姫が暮らす屋敷。京の土御門にあるため、土御門の屋敷と呼ばれることもある。左大臣家の一角にあるらしく、豪勢で、必要なものはすべて用意されている。
その他キーワード
白龍の神子 (はくりゅうのみこ)
白龍という龍神に仕える神子のこと。今代の神子は元宮あかねを指す。過去にも白龍の神子はおり、八葉と共に四方の札を隠したことが伝承に残されている。黒龍の神子と対となる存在で、必ず宝玉が八葉を選び、共にする。
黒龍の神子 (こくりゅうのみこ)
黒龍という龍神に仕える神子のこと。今代の神子はランを指す。怨霊を使役する力を使うことができ、アクラムはその力を使ってランに怨霊を従わせていた。白龍の神子と対となる存在だが、黒龍の神子には八葉がいない。
四神 (ししん)
青龍、朱雀、白虎、玄武の4匹の獣の神様のこと。青龍から順番に東、南、西、北と4つの方角に対応している。当初はアクラムによって使役されていたが、元宮あかねたちによって白龍に下るという正常な状態に戻される。
四方の札 (しほうのふだ)
百年前の白龍の神子と八葉によって隠された、4つの方角に合わされた札。札には明王たちが眠っており、有事の際は京の結界を強めるために使われる。そのため普段は八葉以外分からない場所に隠されており、天地の八葉が揃って取りに行かなくてはならない。
宝玉 (ぎょく)
龍の宝玉とも呼ばれる。元々は1つの玉だったが、白龍の神子と八葉が選ばれた時点で8個に分割され、八葉の体にそれぞれ1つずつ埋まる。普段は星の一族が管理をしており、白龍の神子が選ばれる時まで、厳重に保管されている。