本なら売るほど

本なら売るほど

児島青の初連載作にして代表作。脱サラした店主が営む古本屋「十月堂」を舞台に、さまざまな人々が「本」にまつわるエピソードを綴った1話完結形式のヒューマンドラマ。KADOKAWA「ハルタ」98号(2022年10月15日)に「本を葬送る」のタイトルで掲載された読み切りを経て、同誌107号(2023年9月15日)から連載。

正式名称
本なら売るほど
ふりがな
ほんならうるほど
作者
ジャンル
趣味・ホビー
 
ヒューマンドラマ
レーベル
ハルタコミックス(KADOKAWA)
巻数
既刊2巻
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古本屋での出来事と本にまつわる物語

本作は、古本と読書を愛する人々が集う古本屋「十月堂」を舞台に、そこで繰り広げられるさまざまな人間模様を描いた1話完結のオムニバスドラマ。一見気楽に見える古本屋の経営だが、店主の日常を通じて、その裏に潜む苦労や喜びを垣間見ることができる。また、各エピソードには実在の作家や書籍が登場し、それに関する豆知識や解説が散りばめられている。

脱サラ店主の穏やかな日常

かつてリフォーム会社で営業マンとして働いていた本好きの青年は、脱サラして小さな古本屋「十月堂」を開店し、店主としてさまざまな客や本との出会いを楽しむ日々を送っている。古本屋の経営は決して簡単ではなく、収入もサラリーマン時代より減少したが、彼はストレスを感じることなく、大好きな本に囲まれた生活に満足していた。今日も十月堂には、珍しい本を求めて訪れる人々や、不要になった本を持ち込む人々が集まっている。熱心な読書家はもちろん、本との出会いがきっかけで人生や人間関係が変わった人々も訪れる。

本がつなぐ人々との縁

古本屋「十月堂」の店主は、まるでコンシェルジュのように、店内に並ぶ多種多様な本を通じて、本を愛する人々の心をつなげている。常連客として通ううちに店主と友情を深める青年や、ひそかに店主に思いを寄せる多感な女子高校生、亡き夫の蔵書整理を依頼するおばあさんなど、十月堂にはそれぞれの本にまつわる思いを抱えた人々が訪れる。各エピソードでは異なる人物やテーマとなる書籍が描かれ、店主以外の視点から群像劇が展開されることもある。物語が進むにつれて、謎に包まれた店主の過去や、彼が敬愛する「岡書房」の男性との出会い、さらには十月堂を開店するに至った経緯なども明らかになる。

登場人物・キャラクター

店主 (てんしゅ)

小さな古本屋「十月堂」を営む青年。黒髪をひっつめ髪にまとめている。どこか気だるげな雰囲気を漂わせているが、優しく誠実な性格の持ち主。6年前まではリフォーム会社の営業マンだったが、顧客だった岡書房の店主から店を引き継ぎ、十月堂を開店することになった。収入は減少したものの、自由気ままな生活を楽しんでいる。本の虫と呼ぶにふさわしい愛書家であり、あらゆる作家や書籍に精通している。

おやじさん

かつて古本屋「岡書房」を経営していた男性。当時、リフォーム会社の営業マンだった店主から何度もリフォームを勧められるが、その申し出を断り続けていた。岡書房の閉店を決めた際には、店主から閉店を惜しまれていた。その後、営業マンを辞めた店主が岡書房を引き継ぎたいと申し出てきたが、男性はまだ若い店主が経営の難しい古本屋を始めることに反対した。しかし、店主の熱意に心を動かされ、最終的には「十月堂」の開店をサポートすることになった。

書誌情報

本なら売るほど 2巻 KADOKAWA〈ハルタコミックス〉

第1巻

(2025-01-15発行、978-4047381070)

第2巻

(2025-04-15発行、978-4047383746)

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