概要・あらすじ
小さな文具メーカーに勤めている辻一路は、他人を心の中に立ち入らせないクールな性格の持ち主だった。そのため、会社の同僚である細川尚子、藤谷美奈子という2人の女性と同時に付き合いながら、どちらに対しても熱い気持ちにはなれずにいた。そんなある日、辻はコンビニで偶然出会った美しい女性・葉山浮世に心惹かれてしまう。
彼女はどこか危なっかしい雰囲気を漂わせており、辻はどうにも気になって仕方がない。その直後、浮世は乗っていた車を踏切の中でエンストさせ、あわや命を落としそうなところを、間一髪で辻によって助けられる。しかも浮世は感謝するでもなく、やって来た警察の事情聴取に対し、あろうことか車を運転していたのは辻だと嘘をつく。結局嘘はすぐにばれて辻は無事に解放されるものの、とんでもない女だとただただ呆れてしまう。
しかも辻はその後も浮世にたびたび遭遇し、彼女の窮地を何度も救うはめになる。
登場人物・キャラクター
辻 一路 (つじ かずみち)
ムラサメ文具に勤めている、クールな男性。熱くなるのが苦手で、人付き合いも表面的なものでしかなく、他人から親しくされたり踏み込まれたりすることを嫌う。同僚である細川尚子、藤谷美奈子と二股をかけて付き合っているが、どちらに対しても本気ではない。葉山浮世に出会い、危なっかしい彼女を放っておけず、不本意ながらも彼女を助けるために奔走することとなる。
葉山 浮世 (はやま うきよ)
踏切で車が立ち往生して死にかけていたところを、偶然出会った辻一路に助けられた女性。男性を惹きつけてしまう美貌と危なっかしい雰囲気を漂わせ、そのせいでいつもろくな目に遭わない。いざという時はその場限りの嘘をついて逃れようとする、ちょっぴりずるいところがある。一方で人の言葉をすぐに信じてしまうところがあり、何かと騙されては借金を作っている。 実は夫と小さな娘がいる。
細川 尚子 (ほそかわ なおこ)
ムラサメ文具に勤めている眼鏡をかけた女性で、同僚の辻一路とは男女の関係にある。社内では辻より先輩で、仕事もできる人物。正義感が強く世話好きなところがあり、困っている人を放っておけない。仕事で何かとミスをしがちな藤谷美奈子をいつも庇う役目を担っている。辻が自分と美奈子に二股をかけていることは承知している。
藤谷 美奈子 (ふじたに みなこ)
ムラサメ文具に勤めている女性で、同僚の辻一路とは男女の関係にある。通称は「みっちゃん」。顔も性格も可愛げがあるため男性社員から人気があるが、その分自意識も強く、自分のことを物語の主人公だと思っている節がある。辻が自分と細川を二股にかけていることは知らず、愛されていると思っている。
葉山 正 (はやま ただし)
葉山浮世の夫で、車の営業をしている。金にだらしがなく、若い女性が大好き。独身だった浮世に高い車を買わせ、ローンが払えなくなった彼女を脅して無理やり付き合い始めた。その後、子供ができて結婚したものの、親の援助を受けながらふらふらしている。浮世に執着しているものの、連れ戻すほどの甲斐性はなく、金をせびって消えてはまた現れるということを繰り返している。 浮世と辻一路との仲を徹底的に邪魔しようとする。
脇田 真一 (わきた しんいち)
ヤクザの男性で、葉山浮世に金を貸している。借金の形に浮世を風俗で働かせようとするが、代わりに辻一路から金を受け取り、彼女を解放する。その後は浮世に頼まれて彼女が働ける店を紹介したり、住む部屋を紹介したりする。素人にはあまりあくどいことをしないため、同業者からは逆に恨みを買うことも多い。
坂本 (さかもと)
ムラサメ文具に勤めている男性で、辻一路の後輩。藤谷美奈子に想いを寄せており、辻に振られた藤谷の復讐に利用される。伝票の数字を改ざんして、結果的に会社に大きな損害を与えることとなり、クビになって田舎に帰った。
正の母 (ただしのはは)
葉山正の母親で、葉山里々香の祖母。息子である正を全面的に庇い、彼がだらしないのはすべて葉山浮世のせいだと決めつけている。孫である里々香のことはとても可愛がっているが、その母親である浮世のことは憎んでおり、近所の目を気にして外に出さないようにする。
正の父 (ただしのちち)
葉山正の父親で、葉山里々香の祖父。妻よりは息子である正のことを冷静に見ており、息子が夫としても父親としても一切の義務を果たさず堕落していることに気づいている。だが、結局はそれを葉山浮世のせいだと決めつけ、現実逃避をしている。
葉山 里々香 (はやま りりか)
葉山浮世と葉山正の間に生まれた、まだ幼い女の子。両親によって育てられず、祖父母である正の父、正の母に育てられている。両親がそれぞれどんな人間であるのか、祖父母とどんな関係であるのか、まったく知らない。スイミングスクールに通っている。
部長 (ぶちょう)
ムラサメ文具に勤めている男性で、辻一路の上司にあたる。スタッフボルテージの専務取締役である山口とは旧知の仲で、ヘッドハンティングされた際に、辻を伴って移籍しようと考えた。辻の実力を高く評価しており、プライベートにおいても葉山浮世とのこれまでの事情を聞いて、彼女と入籍することを勧める。
峰内 大介 (みねうち だいすけ)
スタッフボルテージの代表を務める若い男性。爽やかな印象を与える顔立ちをしており、メディアなどにも露出している。広告塔のような役割を担っているが、実はすべての方針は山口が決めており、それに従っているだけ。かつて葉山浮世と恋愛関係にあり、浮世を道連れに自殺しようと試みたことがある。
山口 (やまぐち)
スタッフボルテージの専務取締役を務める男性。見栄えの良い峰内大介をメディアに露出させたりなど傀儡とし、その裏ですべての実権を握っている。峰内と葉山浮世が以前心中騒ぎを起こしたことを知っており、その口止め料及び手切れ金として葉山正に多額の金を支払ったことがある。
中野 (なかの)
フカミ商事に勤めている男性で、結婚していて子供がいる。仕事のつながりから辻一路と知り合い、酒の席で話題にのぼった葉山浮世に興味を持つ。好奇心旺盛で世話好きなところがあり、浮世の知り合いである桑田を辻に紹介した。
桑田 (くわた)
一児の母親で、葉山浮世とは独身の時からの知り合いの女性。浮世とは同じ自動車教習所に通っていたことから友達になった。浮世と似た危なっかしいタイプの美人で、よこしまな男性を惹きつけやすい。子供同士が同じスイミングスクールに通っているという縁を持つ中野に辻一路を紹介され、浮世が葉山正に騙されて付き合い、結婚させられたという事情を話す。
石井 (いしい)
引越センターで働いている青年で、葉山浮世に想いを寄せている。顔は強面で、髪を伸ばし、服装も派手で言葉遣いもぶっきらぼうというチンピラさながらの風体をしている。浮世に優しくされたことで自分に気があると勘違いをしてしまい、彼女にしつこく付き合いを迫る。
相子 (あいこ)
辻一路が大学生の時、同じ大学に通っていた同い年の女性で、当時本気で付き合っていた相手。純情でおとなしくて控えめで、男性経験もなく清楚な女性だったが、辻と付き合い始めたことから少しずつあか抜けて、セックスの喜びを知っていった。のちに辻と付き合いながら別の男性と関係を持ち、辻に大きなトラウマを残して去っていった。
場所
ムラサメ文具 (むらさめぶんぐ)
辻一路、細川尚子、藤谷美奈子らが勤めている文房具の会社。小売店や会社などに卸売りをしたり、記念ボールペンなどのデザインの発注を受けて製作したりといった業務を行っている。社員同士が結婚すると、どちらかが辞めなければいけないという旧態依然の決まりごとがあり、そのため社内恋愛もあまり歓迎されていない。
スタッフボルテージ
峰内大介、山口が勤める人材派遣会社で、現在急成長を遂げている。創業者である峰内はカリスマ社長としてメディアにも露出しているが、裏ですべての糸を引いているのは山口。新規事業を立ち上げるにつき、山口の旧知の仲である部長、その部下の優秀な営業マンである辻一路をヘッドハンティングする。
書誌情報
本気のしるし 6巻 小学館〈ビッグ コミックス〉
第1巻
(2000-09-30発行、 978-4091861016)
第2巻
(2001-02-28発行、 978-4091861023)
第3巻
(2001-08-30発行、 978-4091861030)
第4巻
(2001-12-25発行、 978-4091861047)
第5巻
(2002-06-29発行、 978-4091861054)
第6巻
(2003-03-29発行、 978-4091861061)