村祀り

村祀り

長期連載となった山口譲司の代表作の一つ。現代日本に今なお息づく独自の風習が残る村々を舞台にしている。フィールドワークを信条とする本草学者の三神荒は、土着信仰の儀式や古くからの民話を頼りに、人里離れた秘境の村を訪れる。村に隠された秘密や思いがけない遺産の数々を目の当たりにした三神が、やがて壮大な事件に巻き込まれていく伝奇ミステリー。芳文社「週刊漫画TIMES」2014年8月22日・29日合併号から2025年1月10日・17日合併号まで連載。

正式名称
村祀り
ふりがな
むらまつり
作者
ジャンル
推理・ミステリー
 
怪談・伝奇
レーベル
芳文社コミックス(芳文社)
巻数
全20巻完結
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本草学者、三神の民俗学紀行

鬱蒼(うっそう)とした森林に閉ざされた日本の山奥には、今なお土着信仰に根ざした神々を祀る儀式が息づく村々が存在する。本草学者の三神は、忘れ去られた民話を聴き取り、古くからの神事を観察するために、こうした秘境を訪れる。三神の鋭い洞察力は、村人たちですら理解していない信仰の真の姿や、隠された宝物を次々と発見していく。坑道の崩落や、よそ者を拒む村人の冷たい視線といった危険をものともせず、三神はただ真実を求め、さまざまな村の秘密を探り続ける。

黒い木仏の謎と過去の影

本草学者の三神のもとに、一体の木仏が持ち込まれた。それは、現在ダムの底に沈んでいる「十六夜村」と縁のある人物から持ち込まれたものだが、三神はこの村でかつて漆黒に塗られた同じ木仏を目撃した記憶があった。さらに三神には、当時交際していた女性、忍がこの黒い木仏に興味を持ち、十六夜村で調査を行った結果、植物状態に陥ってしまったという苦い過去があった。忍が残した手記を手がかりに、「まくろさま」と呼ばれるその黒い木仏の調査を進める中で、三神は忍に瓜二つの助手、園山花梨と出会う。そして二人は共に、この謎めいた木仏の真相にせまっていく。

各地の伝承と連続殺人

各地の伝承や祭りを巡る中で、三神と助手の花梨は、WEBライターの女性、蒼井と出会った。彼女は性に奔放で、大胆な言動が目立つ人物だったが、ある日突然、彼らの前から姿を消してしまう。その後、蒼井は過去のある事件に巻き込まれ、黒幕である海土路愛人に洗脳されていたことが明らかになる。彼女は元の人格を失い、愛人によって監禁されていたのだ。蒼井を救出しようと動き出す三神たちは、さまざまな村の伝承を利用して人々をあやつり、連続殺人を引き起こさせていた愛人の恐ろしい企みに巻き込まれていく。

登場人物・キャラクター

三神 荒 (みかみ こう)

本草学を研究している学者の男性。ウェーブのかかった黒髪に眼鏡をかけ、口ひげをたくわえ、つねにダークスーツを着用している。表向きは漢方薬の行商人として村々を巡っているが、実際には現地調査を行いながら「蓬莱」をはじめとする闇商人の案内人を務め、その収入を研究資金に充てている。文化財の保存を最優先に考えており、そのためには文化財を闇市場の愛好家に流すことさえも厭(いと)わず、最良の環境で保存することを是とする危うい価値観を持っている。研究対象に関する知識は非常に豊富だが、世俗的な話題にはまったく興味を示さない。伝説の薬「霊薬(アムリタ)」と「霊酒(ソーマ)」を追い求めている。

園山 花梨 (そのやま かりん)

三神の助手を務める女性。ストレートの金髪に眼鏡をかけ、口元のほくろが特徴で、三神のかつての恋人、忍にそっくりな容姿を持つ。親友に誘われて参加した廃村でのドラッグパーティーで事件に巻き込まれる。そのパーティーは「まくろさま」を祀る謎の組織の実験場だった。危うい状況から三神に救われたことに恩義を感じ、彼のもとに押しかけて助手となる。本草学は専門外だが、得意な化学の知識を活かして三神をサポートし、今では欠かせないパートナーとなっている。

書誌情報

村祀り 全20巻 芳文社〈芳文社コミックス〉

第1巻

(2015-07-16発行、978-4832234611)

第16巻

(2022-10-14発行、978-4832239470)

第17巻

(2023-04-14発行、978-4832239869)

第18巻

(2023-11-16発行、978-4832203402)

第19巻

(2024-05-16発行、978-4832204027)

第20巻

(2025-05-15発行、978-4832205079)

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