不思議な事件を解明する「都市伝説研究会」
1時間に40件以上もの事件が発生している魔窟都市・東京を舞台に、「都市伝説」と呼ばれる不思議な事件の真相を、秘密裏に調査・解決するのが、代々木第4高等学校・都市伝説研究会である。研究会を率いるのは、ドS女子高生・大島田満子。強力な退魔の宝刀・鬼切丸を持つが霊感がなく、霊視できない。そんな満子の眼の役割を果たすのが人面犬・滝川信悟である。二人は「怪人赤マント」の噂を調査するために廃校のトイレに出向くが、窮地に立たされてしまう。そこに現れ、満子を救ったのは、黒い翼と鳥の足を持つカラス少女だった。後に井黒巴を名乗ることになるカラス少女は、満子とは深い因縁を持つ者で、都市伝説研究会に入部することになる。滝川や井黒を従えた満子が、都市伝説を解決していくなか、次第に満子の素性や過去が明らかになり、日本の陰陽界を東西に分ける大抗争に発展していく。
主人公と対照的なライバル
満子のライバル的な存在となるのが、大島田・クリスティーヌ・春子である。満子の実家「大島田家」は、宮内省に所属する陰陽寮であり、国の祭事や暦の編纂(へんさん)などに携わり、それに付随して生じる怪異や超常現象を取り仕切る部署である。ある事件で、跡取りだった満子を追い出した大島田家は、分家から春子を養女として迎えた。満子と対照的な春子は、品行方正・容姿端麗なお嬢様で、優れた能力を持つ王道の除霊師である。満子と春子は、あるときは敵として、またあるときは協力して都市伝説に立ち向かうことになる。
東京を危機に陥れた10年前の事件
東京で超常現象が頻発しているのは、満子が原因である。かつて江戸城繁栄のために造られた結界であり、霊峰富士から龍脈を引くことで強固にされたのが「富士通交差明堂形」と呼ばれる地形である。この結界を維持するためには、定期的に双子の八咫烏(やたがらす)を犠牲にした儀式を行う必要がある。10年前、幼かった満子は、とらわれていた二羽の八咫烏に「友だちになってよ」と言葉をかけて解放した。この時の一羽が井黒である。そして、満子の行為により結界は破壊され、東京は怪異であふれることになったのだ。作中、満子が都市伝説研究会を設立したのは、自責の念からだともいわれるが、真相は不明である。
登場人物・キャラクター
大島田 満子 (おおしまだ みつこ)
代々木第4高等学校・都市伝説研究会の会長代理を務める、メガネの女子高生。ドSな性格で、口が悪く粗暴なふるまいが目立つが、政府お抱えの陰陽寮・大島田家の元跡継ぎのお嬢様。ただし霊感はない。事件を起こして大島田家を追われ、貧乏生活を送っている。人面犬・滝川信悟や井黒巴を率い、呪符と宝刀・鬼切丸を武器に、都市伝説の調査と真相解明を行う。「これは、慈悲であり、慈愛である」が決め台詞。
大島田・クリスティーヌ・春子
大島田満子が家を追われたあと、養女になったハーフの美少女。ロングヘアーとカチューシャ、星型の髪留め、巨乳が特徴。高飛車な性格で、英語交じりのお嬢様言葉を使う。満子と違って霊視ができ、西洋の剣で除霊を行う実力者。「力ある者のつとめ(ノブレス・オブリージュ)」が口癖。
滝川 信悟 (たきがわ しんご)
代々木第4高等学校・都市伝説研究会の会長。霊視ができる人面犬で、普段は紙袋で顔を隠している。元は学校でも人気があったイケメン。大島田満子が都市伝説研究会を設立する際、滝川に思いを寄せていた教師・毒島さえ子に創部を認めさせるために会長となった。その後、ある事件により、悲哀あふれる人面犬に変身して満子の下僕となる。なお、人間・滝川信悟は行方不明ということになっている。
井黒 巴 (いぐろ ともえ)
儀式のために大島田家に捕らわれていた双子のカラスの妹。大島田満子によって逃され、10年後に満子の前に現れて「都市伝説研究会」の部員になった。普段は黒髪ショートカットが特徴の、人間の少女の姿をしているが、戦闘時は黒い翼で空を飛び、鳥の足で敵を攻撃する。カラスの習性が抜けず、ゴミを漁ったりネズミを食べたりする。なお「井黒巴」という名は、入学以来一度も登校せず、借金のために夜逃げした家の娘のもの。「井黒巴」を襲名して代々木第4高等学校の生徒となると同時に、井黒家の借金も引き継ぐことになった。
クレジット
- 原案