概要・あらすじ
15歳の女子高校生、星間渚は、自らの呪われた宿命により風を司る邪神ハストゥール復活の生贄にされるが、邪神復活を妨害・武力鎮圧する組織であるケイオス・シーカーの一員、ケイン・ムラサメに助けられる。救出の際、ハストゥールのエネルギーを浴びた彼女は、サイキックパワーと風の力に従属する怪物を召喚する力を得る。
以後、渚はケイオス・シーカーの一員となり、ケインとともに邪神復活を阻止する戦いに身を投じ、様々な戦いを経験するが、やがて抗いようのない運命の渦に巻き込まれていくのであった。
登場人物・キャラクター
星間 渚 (ほしま なぎさ)
15歳のバトントワリング部所属の女子高校生。両親が、封印された邪神ハストゥールを信仰し、その復活を目指す一族の出身だったため、復活の儀式の生贄にされる。儀式は、邪神復活を妨害・武力鎮圧する組織であるケイオス・シーカーの一員、ケイン・ムラサメに阻止されるが、渚はハストゥールのエネルギーを大量に浴び、魔風を操り風の眷属の怪物バイアキーを使役する超常能力の持ち主となってしまう。 以後、ケインの庇護のもとにケイオス・シーカーのメンバーとなり、チベットの本部で修行して、サイキック・コマンド(超能力戦士) として戦う。ケインに恋愛感情を抱いている。潜入捜査の時、風見渚という偽名を用いる。 最終話『リ・バース』で暴走し、驚くべき結末を迎えた。矢野健太郎のギャグ作品『ドリーマー』のエピローグに、少しだけゲスト出演している。
ケイン・ムラサメ (けいんむらさめ)
邪神復活を妨害・武力鎮圧する組織であるケイオス・シーカーの一員。長身で、金髪碧眼の青年。年齢不明。邪神の側の者が操る「混沌の力」を中和する力を持つ、サイキック・コマンド(超能力戦士) 。世界中を飛び回り、邪神に関わる者たちと戦う。邪神ハストゥール復活事件の時に助けた星間渚を、チベットにあるケイオス・シーカーの本部に連れて行き、修行させて戦士とする。 最終話『リ・バース』で、出生の秘密が明らかになり、驚くべき結末を迎えた。
星間 招一 (ほしま しょういち)
星間渚の父で五井観光開発バース支局社員。オーストラリアのエアーズロックの調査中、古代遺跡を発見するが、それは封印された邪神ハストゥールの神殿であった。実は招一とその妻は、邪神ハストゥールの復活を目指す一族の出身で、彼は娘の渚を生け贄にしてハストゥールを復活させようとしていた。
ラバン
ケイオス・シーカーの設立者かつ指導者の老人。チベットのケイオス・シーカー本部で、様々な指令を出す。禿頭で、後頭部と側頭部の白髪とあごヒゲを長く伸ばしている。年齢不明。超能力者で、暴走した星間渚の攻撃に耐えるバリアーを張った。謎の人物だったが、最終話『リ・バース』で真の目的が明らかになる。 正体は、オーガスト・ダーレスの小説『永劫の研究』に登場するラバン・シュリュズベリィ博士(同作品でも、邪神復活阻止のために奔走した)。
アラン
ケイオス・シーカーの一員で、チベット本部で星間渚の指導に当たった。白人の青年で、ケイン・ムラサメの友人でもある。第四作『コンフュージョン』では、過去に惑占美亜と一緒に戦い、負傷して前線から離脱する姿が描かれた。
メグ
ケイオス・シーカーの一員。超能力者の若い女性で、念動力を用いる。本名・年齢不明。チベット本部で星間渚の超能力戦闘の指導に当たった。渚が能力を発動するとき、ポーズを取るので、それは時間の無駄だと言って怒った。
松井 孝 (まつい たかし)
ケイオス・シーカーの日本駐在員。超能力などは特に持っておらず、通常兵器で戦う。眼鏡をかけた青年で、髪型も普通の七三分け。フリーの文筆業者ということになっている。第三作『ラストクリエーター』と最終話『リ・バース』に登場した。
惑占 美亜 (まどうら みあ)
ケイオス・シーカーの一員で、サイキック・コマンド(超能力戦士) 。日仏ハーフの若い女性。第四作『コンフュージョン』で登場。かつてはアランやケイン・ムラサメと一緒に戦ったことがある。多重人格者で、マドーラとミアという2つの人格が交代で現れる。ハンガリーで邪神復活阻止のために動くが、その真相は意外なものであった。 前世は魔女ラ=ミアで、『邪神伝説シリーズ』の第一作『ラミア』ともリンクしている。
ハストゥール
『邪神伝説シリーズ』に登場する邪神。かつて地球を支配していたが、封印された「旧支配者」と呼ばれる非常に強大な存在の一柱。ヒアデス星団近辺に封印されているとされる。風を司る最高位の邪神で、バイアキーという竜のような怪物を使役する。ちなみに水を司るのがクトゥルーで、その下にはダゴンと「深きもの」が仕えている。 地を司るのはツァトゥグァやシュブ・ニグラトで、火を司るのはクトゥグァである。これらの位置づけはオーガスト・ダーレスによるもので、邪神の創造者であるH・P・ラブクラフトは、このような分類には熱心ではなかったとされる。また、この作品ではハストゥール、バイアキー、シュブ・ニグラトという表記になっているが、ハスター、バイアクヘー、シュブ・ニグラスと書かれる作品もある。
ナイアルラトホテップ
『邪神伝説シリーズ』に登場する邪神。他の邪神の多くは封印されたが、ナイアルラトホテップは封印されてないとされる。多くの化身を持ち、様々な名で呼ばれている。『邪神伝説シリーズ』では、非常に独特な位置づけがなされ、他のクトゥルー神話関係作品と違った設定がなされている(特に最終作の『リ・バース』で)。この作品ではナイアルラトホテップという表記になっているが、ニャルラトホテプと書かれる作品もある。
ダゴン
『邪神伝説シリーズ』に登場する邪神。水を司るクトゥルーの下に位置する邪神。魚の顔をした人型の巨大神として描かれる。半魚人として描かれる「深きもの」(Deep Ones)はダゴンに束ねられている。『邪神伝説シリーズ』では、大量に登場する敵役として、よく使われる。また、H・P・ラブクラフトが書いた『インスマウスの影』を翻案した『ダーク・マーメイド』では、重要な役を果たす。
古のもの
『邪神伝説シリーズ』に登場する怪物。太古に宇宙から飛来し、地球を支配した生命体で、地球上の生物の多くを食用や使役用に作ったとされている。樽のような胴体にヒトデのような頭を持ち、蝙蝠のような翼と手足としての触手がある。H・P・ラブクラフトが書いた『狂気山脈』では、南極の遺跡で人工冬眠をしていたが、人間の調査隊が侵入したため目覚めて襲いかかる存在として描かれている。 しかし、『邪神伝説シリーズ』の第三作『ラスト・クリエイター』に登場する古のものは、次第に人間に協力的になっていくという、これまでにない解釈がなされている。この作品では古のものとElder Thingという表記になっているが、古きもの(Old One)と表記する作品もある。
バイアキー
『邪神伝説シリーズ』に登場する怪物。ズングリした竜のような姿をしており、蝙蝠のような翼で飛ぶ。風を司る邪神ハストゥールに支配される存在。『邪神伝説シリーズ』では、ハストゥールの力を得た星間渚が使役して、騎乗して空を飛ぶ。この作品ではバイアキーという表記になっているが、バイアクヘーと表記する作品もある。
集団・組織
ケイオス・シーカー (けいおすしーかー)
『邪神伝説シリーズ』に登場する集団。邪神復活を企てる活動を妨害・武力鎮圧する組織。作者矢野健太郎独自の設定で、類似のものはオーガスト・ダーレスの作品にも見られるが、高度に組織化したものはなかった。本部をチベットに置き、世界各地に支部がある。設立者として束ねるのは、ラバン師である。