概要・あらすじ
虎王の血を受け継ぐ者として、山腹の洞穴で生まれた子供の虎。母の愛情を一身に受け、厳しい大自然の洗礼を浴びながら、日々を生き抜く術を学んでいた子供の虎は、ある日、突如として姿を現した白虎の襲撃を受け、母親を殺されてしまう。虎王のもとを離れ、孤独になってしまった子供の虎は、数々の困難に立ち向かううちに、いつしか一人前の虎へと成長していくのだった。
登場人物・キャラクター
子供の虎
虎王の息子。生まれてほどなくして兄弟をクロハゲワシに連れ去られてしまったため、母の愛を一身に受けて育った。乳飲み子の段階で狸を追い払って母親を驚かせるなど、小さい頃からすでに強者としての片鱗を発揮する。白虎によって襲撃された際に母親を失い、悲しみのあまり生まれ育った巣から旅立ち、虎王とは離れ離れになってしまう。 厳しい凍土での旅を続け、数々の試練に見舞われるうちに、たくましい青年の虎へと成長していく。まだ半人前ながら、母親の敵である白虎を執念深く狙う猛々しさと、自分と同じく母親を失った兄弟の虎をいたわる慈悲深さを併せ持つ。
虎王
近隣の森に君臨する、強大なオスの虎。子供の虎の父親だが、母と息子のもとにはほとんどおらず、縄張りである森を周回している。そのため、子供の虎からは父親だと認識されていない。母親と息子の危機には颯爽とかけつけ、狼の群れなどの外敵を蹴散らしていた。白虎の襲撃後、ショックで巣を離れた子供の虎を、そのまま見失ってしまう。
母
子供の虎の母親。厳しい大自然の掟の中で懸命に息子を育てる、愛情深いメスの虎。森の中にあった白虎の足跡を、伴侶である虎王のものと勘違いして不用意に近づいてしまい、白虎の襲撃を受けてしまう。子供の虎を守るために白虎と死闘を繰り広げるも、力尽きて敗れた。
白虎
どこからともなく虎王の森にやって来た大柄な白い虎。壮健かつ狡猾なオスの虎で、虎王を追い払い、取って代わって森の王になろうとしている。母との死闘の末に左眼をえぐられ、片目となってしまうが、その強さと凶暴さは変わらず、母を打ち負かしたばかりか、のちに虎王にも致命傷を負わせた。
兄弟の虎
巣から旅立った子供の虎が、旅先で出会った虎の子供たち。狩りをしていた子供の虎から、ウサギを横取りするために、兄弟で執拗に追跡した。のちに彼らも白虎によって母親を殺されていたことが判明する。兄弟で過酷な自然を生き抜いていたが、子供の虎と再会を果たした時は、すでに1頭になっていた。