概要・あらすじ
20世紀末、レイバーと呼ばれる特殊重機の普及によって多発するようになった「レイバー犯罪」に対抗するために警視庁特車2課、通称「パトレイバー隊」が設立された。ある日、東京都の某山中に怪しげな生き物が出現したとの知らせが警視庁に届く。付近には損傷してスクラップとなったレイバーの部品が見つかり、ただごとではないとして特車2課に出動命令が下る。
そこで特車2課の面々は、事件の真相と黒幕の姿に迫っていく。
登場人物・キャラクター
泉 野明 (いずみ のあ)
警視庁特車2課勤務の婦人警官で階級は巡査。特車2課中隊第2小隊のパトレイバー「AV-98イングラム」の1号機に搭乗する。教育課程の短い「即席警官」ではあるが、パトレイバー隊の本格発足に当たって採用された「AV-98」に対して高い適性を持つ。任務に当たっては火力よりも小技や格闘を多用し、小隊長である後藤喜一の信頼も厚い。
篠原 遊馬 (しのはら あすま)
警視庁特車2課勤務の警官で階級は巡査。泉野明の乗るパトレイバーAV-98の1号機の97式レイバー指揮車を担当する。泉と同様に教育課程の短い「即席警官」。「AV-98」の適性については泉より劣るものの皆無というわけではなく、乗れないことはない。実父はイングラムを製造したメーカー「篠原重工」の経営者であり、社長。
後藤 喜一 (ごとう きいち)
警視庁特車2課勤務の警官で階級は警部補。特車2課中隊第2小隊隊長を務める男性。上層部からは「カミソリ後藤」のあだ名を付けられるほどに優秀な人材だが、優秀すぎたせいで疎まれ、警視庁特車2課という窓際部署に左遷させられた経緯を持つ。普段は昼行灯を自称し、ぼーっとした風を装っている。
太田 功 (おおた いさお)
警視庁特車2課勤務の警官で階級は巡査。特車2課中隊第2小隊のパトレイバーAV-98の2号機を担当する男性。泉野明と同様に「AV-98」に搭乗するが、泉や篠原遊馬たちと異なり正規の訓練過程を経て警察官になった人物。射撃マニアで、銃を撃ちたいがために警視庁特車2課を志望した。泉と異なり戦闘時においては即射撃を行うため、機械学習の結果、2号機は1号機に比べて格闘戦が苦手で射撃性能が高くなっている。
香貫花 クランシー (かぬか くらんしー)
警視庁特車2課勤務の婦人警察官で階級はSergeant(巡査部長相当)。特車2課中隊第2小隊2号機97式レイバー指揮車担当。NYPD(ニューヨーク市警)からパトレイバー隊発足に当たり、情報収集するために警視庁に研修派遣された。レイバーの操縦についても優秀な腕を持つが、出向期間後には本国に帰還するということもありAV-98は任されていない。 冷静沈着で、熱くなりがちな太田功のブレーキ役。
進士 幹泰 (しんし みきやす)
警視庁特車2課勤務の警察官で階級は巡査。特車2課中隊第2小隊1号機の「99式大型特殊運搬車」担当の男性。第2小隊唯一の既婚者で愛妻家。泉野明らと同様に教育課程の短い「即席警官」。気が弱く、香貫花クランシーが配属されたことにより、太田功の指揮担当を彼女と替わった。香貫花同様に後藤喜一の参謀役も務める。
山崎 ひろみ (やまざき ひろみ)
警視庁特車2課勤務の警察官で階級は巡査。特車2課中隊第2小隊2号機の「99式大型特殊運搬車」担当の男性。泉野明らと同様に教育課程の短い「即席警官」。身長2メートルを超す巨漢だが、性格はおとなしく控えめで料理上手。ごつい外観を活かし、威圧感が必要とされる任務に就くこともある。
南雲 忍 (なぐも しのぶ)
警視庁特車2課勤務の婦人警官で階級は警部補。特車2課中隊第1小隊隊長を務める。後藤喜一の古くからの知り合いで、「カミソリ後藤」の本当の姿を知る一人。2個小隊しかない特車2課の事情で、第2小隊が出動する際は彼女の率いる第1小隊は留守を務めることになる。
集団・組織
警視庁特車2課 (けいしちょうとくしゃにか)
正式名称は「警視庁警備部特科車両2課中隊」。多発するレイバー犯罪に対抗するために警視庁に設立された。レイバー犯罪は東京湾干拓事業、通称バビロンプロジェクト周辺で多発したために、本庁舎から離れ、より現場に近い13号埋め立て地(現在のお台場)に庁舎が置かれている。特車2課には直下に2課中隊しか存在せず、その下に2個小隊のみが編成されている。
その他キーワード
レイバー
超電導技術を応用した特殊重機。多くの機種で歩行脚や作業腕を備える。東京湾干拓事業、通称バビロンプロジェクトによって爆発的に普及した。既存の重機に比べて、歩行技術を採用しているために足場の不安定な場所での運用も可能になっており、軍用レイバーや警備レイバーなどの発展もある。普及にともない犯罪に利用されることも増え、警察用レイバー開発がされるようになった。
バビロンプロジェクト
地球温暖化による海面上昇に対応するために東京都が計画した東京湾干拓事業。計画自体はペーパープランのみ実在したが、バブル崩壊による不景気などで実際には行われていない。東京湾を埋め立て、大規模開発を行う事業のために、多くの特殊重機レイバーが発展することになった。
パトレイバー
レイバーのうち、警視庁特車2課が使用する警察用レイバーの事。多くの場合で新型のAV-98を指すが、第一小隊の使用する96式アスカもパトレイバーである。
AV-98 (えーぶいきゅうはち)
1998年に警視庁に採用された、純警察用レイバー。AVは「Advanced Vehicle」の略で、「イングラム」はAV-98に正式に付けられた愛称。主人公泉野明は自分が搭乗する1号機に「アルフォンス」という愛称を付けている。警察用に開発された初めてのレイバーのため、機械学習をおこない後継機のための運用データ蓄積も任務のひとつである。 軽快な運動性能を持ち、38ミリリボルバーキャノンも運用可能。一方で操縦席は狭く、緩衝も少ないので操縦環境は劣悪。良くも悪くも操縦者を選ぶ機体である。のちに開発されたAVS-98、ARL-99、AV-0にも技術流用・発展が行われている。
38ミリリボルバーキャノン (さんじゅうはちみりりぼるばーきゃのん)
AV-98の右脚側面に収納されたリボルバー拳銃型の火砲。レイバーサイズに拡張されていて、口径は38ミリ。外観はS&W M29のフレームにコルトパイソンの銃身を付けた「スマイソン」をスケールアップした物。
97式レイバー指揮車 (きゅうななしきれいばーしきしゃ)
パトレイバー運用時に随伴し、搭載した各種センサー、通信機器を使用してレイバーの近接指揮を行う。軍用車並みの装甲が施されていて、レイバーに相対してもすぐに破壊される心配は少ない。パトレイバーの頭脳、目、耳となる。単にバックアップとも呼ばれる。