あらすじ
第1巻
地球人類が、新統合政府主導のもとで種の存続を目的に宇宙移民を開始してから、すでに半世紀。人類はその活動領域を銀河へと広げつつあった。時に西暦2067年、ブリージンガル球状星団の惑星ウィンダミアⅣを統治するウィンダミア王国では、キース・エアロ・ウィンダミア率いる空中騎士団が実地訓練に励んでいた。団員達の士気は高く、訓練終了後も、血の気の多いボーグ・コンファールトは、テオ・ユッシラ、ザオ・ユッシラの兄弟による連携プレーに翻弄された事で機嫌を損ねており、そんなボーグとカシム・エーベルハルトは互いを認めつつも憎まれ口を叩き合い、ヘルマン・クロースに宥められる始末。そんな中、ロイド・ブレームが空中騎士団の宿舎に訪れ、団員達を激励。これを受けたキースも改めて、団員一人ひとりに対する信頼を表に出すのだった。宿舎をあとにしたキースは、ウィンダミア王国の次期継承者であり、弟でもあるハインツ・ネーリッヒ・ウィンダミアに声をかけられる。兄としてキースを慕っているハインツだったが、キースは臣下と主君としての立場を崩さず、ハインツを悲しませてしまう。ロイドはキースの態度を咎めるが、キースはそんなロイドの様子に、不穏な雰囲気を感じ取っていた。(第1翼「天空の騎士」)
時はさかのぼり、西暦2058年。ウィンダミア正妃に子供ができた事で、妾腹の息子であるキースは自ら王位継承権を放棄。騎士になるべく、ウィンダミア空中騎士学校へと入学する事となった。当時の教官であったヘルマンから、兵営こそが家、騎士団こそが家族だと教えられるキース。王族でありながら騎士を志した事を快く思わないモリス・ハルバルトと一触即発の状態になったりもしたが、それを仲裁したロイドから、誰もが騎士になりたい理由を持つという事を告げられ、キースは騎士になる理由について思いを巡らせる。そして、ハインツに会ってほしいという頼みを受けていたキースは、ロイドに同行を求めるのだった。生まれたばかりのハインツを目にしたキースは、ハインツの母親であるウィンダミア正妃から、兄として彼を支えてあげてほしいと願いを受ける。家族という存在にも目を向け始めたキースは、モリスとも和解し、新たな日々に向けて足を踏み出す。(第2翼「幼き翼」)
ウィンダミア空中騎士学校で訓練に励むキース達の前に、ボーグが見学に訪れた。ボーグはキースの顔を見るなり駆け出して、彼の操縦技術に魅了されてしまった事を告げる。訓練後にその話を耳にしたロイドは、ボーグはキースの操縦技術のみならず、彼の風の感じ方に感銘を受けたのだろうと語る。その後もボーグはキースの前に現れ、質問攻めをしたりと意図せずに彼を困らせてしまうが、そんな時、学園に緊急招集を告げる鐘が響き渡る。教官であるヘルマンから、新統合政府の要請により、空中騎士団を出撃させる事を聞かされるキース達。生徒達は新統合政府のやり方に異を唱えるが、ヘルマンは彼らを制し、有事に備えて待機するよう命じるのだった。一方、王宮では、新統合政府の要請を受け入れたグラミア・ネーリッヒ・ウィンダミア(グラミア6世)に対し、元教官であるアーネスト・ジョンソンが、空中騎士団をウィンダミアから離すべきではないと主張していた。(第3翼「新たに吹く風」)
新統合政府の要請により、空中騎士団のほぼすべてが出動する事態となった。その間のウィンダミア王国の守りは、駐留している新統合軍が守るという形にはなっていたが、彼らはお世辞にもモラルが高いとは言えず、先日も演習中に起こした誤射によって、カシムの育てていたアラーデール村のウィンダミアアップルを全滅させてしまっていた。現状に不安を隠せないキースだったが、ロイドはそんな彼に向けて、気分転換にアラーデール村の付近にある遺跡の見学に付き合うよう誘いかけ、キースはそれを快諾する。翌日、モリスと、本人の強い要望でついてきたボーグの四人で、アラーデール村を訪れる。活気あふれる市場の様子に、平民生活に馴染みのないキースとボーグは目を輝かせる。さらに、親の都合で訪れていたという、テオ・ユッシラとザオ・ユッシラの兄弟と出会い、話を弾ませる。一方で、二人から新統合軍がウィンダミアアップルを全滅させてしまった事を聞いたキース達は、たちまちにその表情を曇らせる。さらにそのすぐ後、キースは農園に被害が及んだカシムとその仲間のヨアンが、新統合軍の兵士に対して暴動を起こしている場面に居合わせてしまう。(第4翼「嵐の予感」)
アラーデール村の暴動事件から数か月後。カシムはウィンダミアアップルを蘇らせるべく、畑仕事に精を出していた。そこにヨアンが現れ、新統合軍を排除しない限り同じような悲劇はいくらでも起こると訴えかけられ、共に新統合軍を打倒するように持ち掛けられる。カシムはヨアンの主張に理解を示しつつも、家族に畑を残したいという理由でそれを断る。一方、キースもまた、新統合軍に歪められたウィンダミア王国の現状を憂うようになっていき、ついには父親であるグラミア6世に対し、現状の打破を求める旨の訴えを起こすのだった。ウィンダミア王国が新統合軍と不平等な条約を結んでから28年。グラミア6世もまた、対等な立場を得るべく尽力してきたが、このままでは国も民も疲弊していく一方だと判断。ここに至ってついに反抗の決意を固め、派遣していた空中騎士団を呼び戻すと共に、新統合政府に対して宣戦を布告。ウィンダミア第一次独立戦争の幕がここに上がる。(第5翼「風を識るもの」)
ウィンダミア王国特産のリンゴであるウィンダミアアップルは、その優れた味と多様な加工技術によって、国民から広く人気を集めていた。王子であったキースも例外ではなく、訓練を終えたあとには必ずリンゴジュースを飲んでおり、ロイドに対してもそれを勧めるほどだった。時は流れ、白騎士となったキースと宰相となったロイドが、ウィンダミアアップルによるワインを酌み交わす。その際にロイドは、かつてのリンゴジュースを懐かしむ発言をするが、キースはそれを二度と戻れない過去の象徴と切って捨てる。(番外編)
第2巻
西暦2060年。国王であるグラミア・ネーリッヒ・ウィンダミアが新統合政府を相手に開戦を宣言し、ウィンダミア第一次独立戦争が勃発してから数か月の月日が流れた。戦争はまるで終結する気配を見せず、キース・エアロ・ウィンダミアら訓練兵は、従騎士として空中騎士団のバックアップに回っていた。予科生であるボーグ・コンファールトも前線で戦う事を切望していたが、教官の一人であるヘルマン・クロースは、子供を戦わせたくないという理由から、あえてボーグの力不足を指摘するのだった。そんな中、ボーグのもとに、スパロゥヘードに住んでいる母親から手紙が届く。ボーグの姉がカーライル市に嫁ぐ事が決まったという朗報と、ボーグ自身を労わる内容のその手紙に、喜びと安堵を覚えるボーグ。早速返信用の手紙をしたため、購買部でバイトをしているというテオ・ユッシラおよびザオ・ユッシラの勧めから、ユッシラ商会のルートを使い、その手紙を郵送してもらおうとする。しかしそこに教官のマスター・シノが現れ、スパロゥヘードが新統合軍によって襲撃された事を告げられる。いても立っても居られなくなったボーグはキースのもとに走り、彼が所有している可変戦闘機であるSv-154 スヴァードを使って、自分をスパロゥヘードに連れて行ってほしいと願い出る。私的な目的で可変戦闘機を飛ばす事は違反ではあったが、キースはボーグの気持ちを汲み、懲罰覚悟で彼を乗せてスパロゥヘードに向かう。しかし実際に訪れた先は、見るも無残な焼け野原と化していた。ボーグはただ泣く事しかできず、キースもその様子を沈痛な思いで見つめるのだった。(第6翼「届かない手紙」)
キースは、ボーグをスパロゥヘードに連れて行った一件をマスター・シノに咎められ、謹慎を言い渡される。それを受けつつもボーグの様子が気になるキースだったが、彼に対してかける言葉が見当たらずにいた。一方ロイド・ブレームは、「お互いに、前線以外の施設は攻撃しない」という条約を破ってまで、スパロゥヘードに攻撃を仕掛けた新統合軍が、戦争に勝利する以外の目的を持っているのではないかと訝しみ、遥か過去から存在しているという遺跡に向かうと言い出す。戦時中という事もあり、一度は止めようとするキースだったが、ロイドの決意は固く、キースが護衛としてついていく事を条件として、二人は遺跡へと足を運ぶ。途中の山道でウィンダミア人に扮したライト・インメルマンと出会い、僅かな違和感を抱くキースだったが、その場においては気に留める事もなく、二人は山頂へと到達。そこから見降ろす景色はとても美しく、まるで戦争など起こってないような感覚にさえさせられるのだった。兵営に帰還した二人は、爆風に煽られてケガをしたというモリス・ハルバルトを迎える。モリスに治療を施す中で、キースはロイドがいい方向に変わった事を指摘。モリスもそれに同調し、三人は改めて、ウィンダミア王国の平和を望む。(第7翼「いつか還る場所」)
ウィンダミア王国は、人手不足により一般人からも志願兵を募っていた。志願者の中には、かつて故郷の畑に被害を被ったカシム・エーベルハルトもいたが、ボーグは自分が可変戦闘機に乗り込めず、一般人でも戦える事を不服に思い、ついカシムに辛く当たってしまう。翌日ボーグは、カシムに謝罪すると共に、家族はカーライル市に嫁いだ姉一人しか残っていない事を明かし、カシムもまた家族のために戦っている事を聞くと、お互い家族のためにも生き残る意思を固める。一方キースは、モリスから現在のターウェントの白騎士であるアルドリア卿と共にパトロールに出る事を聞かされる。キースはあこがれの存在と共に出撃できる喜びを表すモリスに対し、笑顔で応える。その後キースは、身体にまとわりつく風に不穏な様子を感じ取り、いやな予感を消せずにいながらも次の出撃に備えていた。だがそこにアルドリア卿が現れ、パトロールを自分に代わってほしいと願い出る。二人は一度はそれを受け入れるが、カーライル市に新統合軍の可変戦闘機が現れた事でモリス達の安否が気になり、再度出撃できるよう要請。アルドリア卿の許可のもと、後詰めとしてカーライルへ向かう。しかしその最中、不意に衝撃が走り、キースの操縦するSv-154 スヴァードが墜落してしまう。幸い大事には至らなかったものの、カーライルには黒い嵐のような現象が起こり、キースとロイド以外の機体反応が完全にロストするのだった。この事は、アルドリア卿や先輩達、そしてモリスが次元兵器に巻き込まれ、消滅してしまった事を意味していた。(第8翼「浚いの風」)
次元兵器による災害は、およそ130万人もの人命を無慈悲に奪い去り、のちにカーライルの黒い嵐と呼ばれるようになった。次元兵器を投下したのは、以前キースが遺跡に向かう途中に出会ったライトである事が判明。キースは、仲間を失った悲しみに暮れると共に、あの時ライトを問いただしていれば、という強い後悔に苛まれ、新統合軍に対する敵意を露にする。そして新統合軍は、次元兵器の追求から逃れるようにウィンダミア王国から撤退し、うやむやのうちにウィンダミア第一次独立戦争は終結する。しかし、新統合軍はウィンダミア王国から撤退したものの、経済面で圧力をかけるなど、依然としてその影響力は強いままだった。そして時は流れ、新たな白騎士に選出されたキースは、イプシロン財団によって提供された新型の可変戦闘機、Sv-262 ドラケンⅢを受領。多くのものを失ったキースは、自分の手を汚してでもウィンダミアに平和をもたらす事を決意し、その証として自分の専用機のカラーを黒く染める事を決める。ロイドもまた、宰相に就任し、二人は異なる立場からウィンダミア王国を支える事を誓い合うのだった。さらに時は流れ、西暦2067年。キースはΔ小隊との戦いにおいて右目を失明するが、それがきっかけとなってより強く風を感じられるようになり、さらに強力なパイロットへと成長していた。その内心ではロイドへの疑念を捨てきれずにいたが、彼のウィンダミアを思う気持ちは本物であると信じて、共にハインツ・ネーリッヒ・ウィンダミアの戴冠式へと参加する。王となってもなおキースを兄と慕うハインツは、彼に向けて家族として自分を支えてほしいと言うが、キースは逆に、自分がハインツに甘えていたと主張し、あくまで主従の関係を崩さなかった。ハインツもこれを受け入れ、キースに対し、改めて白騎士としての活躍を期待するのだった。(第9翼「黒き翼の白騎士」)
ロイドはハインツの戴冠式にて、カーライルの黒い嵐を新統合政府によるものと断定。これを強く弾劾すると共に、新統合政府がある限りブリージンガル球状星団に真の平和が訪れないと訴え、再び宣戦を布告。さらに、プロトカルチャーの正統な後継者として、ウィンダミア王国を中心とした大銀河文明の樹立を宣言する。こうして、ウィンダミア第二次独立戦争の幕がここに上がったのだった。ロイドは開戦後における最初の一手として、空中騎士団のメンバーに対して惑星ヴォルドールの遺跡を防衛する旨の任務を下す。この作戦は事実上、遺跡の効果を試す実験にほかならず、キースはハインツの許可を得てないのではないかと内心訝しんでいた。空中騎士団のメンバーはそれぞれ、搭乗機であるSv-262Ba ドラケンⅢに乗り込み、惑星ヴォルドールに降り立つ。しかし遺跡ではすでに、ウィンダミア王国における戦略の障害となっているワルキューレのメンバーがライブを行っていた。結果的に先回りされるが、キースは容赦なく、Sv-262Hs ドラケンⅢの砲塔をワルキューレの少女達に向ける。それを阻止するためにVF-31 ジークフリードが立ちはだかる。そのパイロットは、以前の戦いでキースの右目が失われるきっかけを作ったハヤテ・インメルマンであった。キースは彼との再戦を喜ぶと共に、因縁を清算すべくハヤテに立ち向かう。(第10翼「決意の先」)
ウィンダミア王国の惑星ヴォルドールにおける作戦は、ワルキューレとΔ小隊の抵抗によってその完遂を阻まれてしまう。空中騎士団はウィンダミア王国へ帰還し、休息の時を過ごしていた。テオとザオは、空中騎士団に入隊する直接のきっかけとなった、カーライルの黒い嵐を思い返しつつ、今後ウィンダミア王国が辿ろうとする道について語り合う。また、ボーグとカシムも、かつて新統合軍に全滅させられつつも復活の兆しを見せていたリンゴ畑の前で、それぞれの思いを口にしていた。全銀河を制するというロイドの思惑を疑うわけではないものの、ウィンダミア王国の平和のため戦争の早期終結を願うカシム。一方、家族を奪われたボーグは、新統合軍への意趣返しを強く望みつつも、ロイドとキースの真意を測りかねていた。キース自身もまた、ロイドの行いに対する疑念を消せない一方、共に過ごしてきた日々において培われてきた彼の思いは噓ではないと信じていた。そんな中、ハインツから「ロイドの事を頼む」と告げられたキースは、ウィンダミアに仇なすものであったなら処断する事すらいとわない覚悟を胸に、ロイドの真意を問いただす事を決意する。(終翼「オーラ・サーラ」)
登場人物・キャラクター
キース・エアロ・ウィンダミア (きーすえあろうぃんだみあ) 主人公
ウィンダミア人の青年。ウィンダミア王国軍の精鋭部隊、空中騎士団の中核をなす白騎士戦隊の隊長。ウィンダミア王国の国王であるグラミア・ネーリッヒ・ウィンダミアの息子で、ハインツ・ネーリッヒ・ウィンダミアの... 関連ページ:キース・エアロ・ウィンダミア
ロイド・ブレーム (ろいどぶれーむ)
ウィンダミア人の青年。ウィンダミア王国の宰相と、空中騎士団を含めたウィンダミア王国軍の総司令を兼任している。つねに眼鏡をかけており、眼鏡に対しては非常にこだわりを持っている。プロトカルチャーの遺跡を守... 関連ページ:ロイド・ブレーム
ハインツ・ネーリッヒ・ウィンダミア (はいんつねーりっひうぃんだみあ)
ウィンダミア王国国王であるグラミア・ネーリッヒ・ウィンダミアと、ウィンダミア正妃の息子。キース・エアロ・ウィンダミアの腹違いの兄にあたる少年。ハインツ・ネーリッヒ・ウィンダミアの歌声によって、ヴァール・シンドロームに罹患した人間の精神をコントロールできる事から「風の歌い手」と呼ばれており、新統合政府との戦いにおける切り札として活用されている。 一方、この歌を歌う事で著しく体力を消耗するが、ハインツ本人は戦争を早期終結させたいという思いから、身を削りながらも歌い続けている。生まれた時からキースの顔を見て育ち、成長してからも彼の事を兄として強く慕っている。そのため、グラミア6世が崩御し、ハインツが王に即位した際にも、主従関係ではなく、兄として自分を支えてほしいとキースに頼んだ事もあった。 しかしキースはこれに対して、ハインツに甘えていたという心情を吐露したため、敬愛する気持ちこそ変わらなかったものの、彼の心意気を汲んで、兄ではなく臣下として頼る事を決める。
ボーグ・コンファールト (ぼーぐこんふぁーると)
ウィンダミア人の青年。ウィンダミア王国軍の精鋭部隊である空中騎士団の中核をなす、白騎士戦隊の隊員。任務の際には、Sv-262 ドラケンⅢの一般兵仕様とされる、「Sv-262Ba ドラケンⅢ」に搭乗する。スパロゥヘードに居を構える貴族の末っ子で、五人の姉がいる。かつてウィンダミア空中騎士学校に余科生として在籍していた。 現在でこそ、地球人類に対して軽蔑や憎しみなどの感情を隠そうとしないが、かつては明るく勝ち気な性格の持ち主で、騎士学校の先輩であったキース・エアロ・ウィンダミアの飛行技術を一目見るなり、強いあこがれを抱くようになる。それからは事あるごとにキースの前に現れては、尊敬する気持ちを隠さずに話をしようと試みる。 しかしウィンダミア第一次独立戦争が発生すると、戦場ではなかったはずのスパロゥヘードが突如攻撃を受け、カーライル市に嫁いだ姉の一人以外の家族全員を失ってしまう。さらに、残った姉もまた、カーライルの黒い嵐によって消滅し、天涯孤独の身となっている。この時に感じた怒りが新統合政府や地球人への憎しみに転じており、積極的に殲滅させたいと考えている。 そのため、ロイドが提唱した大銀河文明樹立に対しても賛同の意思を示している。また、地球人はもちろん、それに協力している立場であるワルキューレにも強い敵意を向けており、ウィンダミア人でありながらワルキューレとして活動しているフレイア・ヴィオンに対しては「裏切り者の臭い風」と罵倒し、ライブ中は直接搭乗機の銃口を向けて殺害しようとした事もあった。 また、キースに対する敬意はまったく揺らぐ事はないが、彼がエースとして認めたパイロットを侮辱した事があり、その時はキース自身から激昂のあまり、剣を首筋に突き付けられている。
テオ・ユッシラ (ておゆっしら)
ウィンダミア人の青年。ウィンダミア王国軍の精鋭部隊である空中騎士団の中核をなす、白騎士戦隊の隊員。任務の際には、Sv-262 ドラケンⅢの一般兵仕様とされる、「Sv-262Ba ドラケンⅢ」に搭乗する。「創業から180年、信頼と実績のユッシラ商会」のキャッチフレーズを持つ、ウィンダミア王国の有力商会である「ユッシラ商会」の出身。 ザオ・ユッシラは双子の弟で、顔立ちや髪型は非常に似ているが、髪の毛や瞳の色が異なっており、テオ・ユッシラは髪の毛の色が青く、瞳の色が緑色となっている。また性格も弟と大きく異なっており、戦場においては連携を重視するスタイルを取る。ザオと共にアラーデール村で商売を行っていた時に、ウィンダミア空中騎士学校に通っていた頃のキース・エアロ・ウィンダミアやロイド・ブレームらと出会い、その頃から優れた商才を持っている事を認識させる。 さらに、ウィンダミア第一次独立戦争が発生した際には、空中騎士学校の購買部で働いていたが、カーライルの黒い嵐が発生した事をきっかけに、弟と共に騎士として戦う事を決意。 訓練を積んだ結果、キース率いる白騎士戦隊への配属が決定した。故郷には婚約者がおり、戦争が落ち着いたら結婚を予定している。
ザオ・ユッシラ (ざおゆっしら)
ウィンダミア人の青年。ウィンダミア王国軍の精鋭部隊である空中騎士団の中核をなす、白騎士戦隊の隊員。任務の際には、Sv-262 ドラケンⅢの一般兵仕様とされる、「Sv-262Ba ドラケンⅢ」に搭乗する。「創業から180年、信頼と実績のユッシラ商会」のキャッチフレーズを持つ、ウィンダミア王国の有力商会である「ユッシラ商会」の出身。 テオ・ユッシラは双子の兄で、顔立ちや髪型は非常に似ているが、髪の毛や瞳の色が異なっており、ザオ・ユッシラは髪の毛と瞳の色が、共に紫色になっている。また、性格も兄と大きく異なっており、好戦的で、戦場では単独行動を好んでいる。テオと共にアラーデール村で商売を行っていた時に、ウィンダミア空中騎士学校に通っていた頃のキース・エアロ・ウィンダミアやロイド・ブレームらと出会い、その頃から優れた商才を持っている事を認識させる。 さらに、ウィンダミア第一次独立戦争が発生した際には、空中騎士学校の購買部で働いていたが、カーライルの黒い嵐が発生した事をきっかけに、兄と共に騎士として戦う事を決意。 訓練を積んだ結果、キース率いる白騎士戦隊へと配属される。
カシム・エーベルハルト (かしむえーべるはると)
ウィンダミア人の男性。ウィンダミア王国軍の精鋭部隊である空中騎士団の中核をなす、白騎士戦隊の隊員。任務の際には、Sv-262 ドラケンⅢの一般兵仕様とされる、「Sv-262Ba ドラケンⅢ」に搭乗する。すでに結婚しており、6歳になる息子もいる。かつてはアラーデール村でウィンダミアアップルなどの作物を育てていた農家だった。 しかしある時、新統合軍の誤爆によって畑が全滅してしまい、農家の仲間であるヨアンと共に強い憤りを感じる。その後、ヨアンから新統合軍に対抗するための組織へ誘われるが、その時は畑をいち早く復興させたいという思いから、その誘いを断る。しかしその後にウィンダミア第一次独立戦争が発生し、その様子をつぶさに見るようになった結果、ウィンダミア王国の平和のために戦争の早期終結を願うようになり、志願兵という形で空中騎士団に入団。 のちにキース・エアロ・ウィンダミアが率いる白騎士戦隊への配属が決まる。ウィンダミア王国を銀河の中心に据えようとするロイドの政策に対しては、反対こそしてないものの戦火が広がる可能性を考えており、もろ手を挙げて賛成もしていない。 ボーグ・コンファールトとは、一見馬が合わないように見えるものの、家族に対する思いが戦いへの原動力となっている事を認め合っており、互いに気に掛ける事も多い。
ヘルマン・クロース (へるまんくろーす)
ウィンダミア人の男性。ウィンダミア王国軍の精鋭部隊である空中騎士団の中核をなす、白騎士戦隊の隊員。任務の際には、Sv-262 ドラケンⅢの一般兵仕様とされる、「Sv-262Ba ドラケンⅢ」に搭乗する。ウィンダミア空中騎士学校では教官を務めており、キース・エアロ・ウィンダミアやロイド・ブレーム、ボーグ・コンファールトもヘルマン・クロースの教え子である。 特にボーグからは敬意を表されており、白騎士戦隊の同僚となった現在においても「マスター・ヘルマン」と呼ばれて慕われている。冷静沈着かつ人を見る目があり、ボーグの戦闘能力については高い評価を下しているものの、血気に逸(はや)る性格に関しては問題視しており、度々その事を注意する事がある。
グラミア・ネーリッヒ・ウィンダミア (ぐらみあねーりっひうぃんだみあ)
ウィンダミア王国の国王の男性。かつてはキース・エアロ・ウィンダミア同様、優れたパイロットとして活躍していた。傭兵であったアーネスト・ジョンソンとはその時からの付き合いで、ウィンダミア第一次独立戦争が発生する前は、彼を艦隊戦の教官として重用していた。自他共に厳しい性格で、妾腹の息子であるキースにも、ウィンダミア正妃とのあいだに生まれた息子であるハインツ・ネーリッヒ・ウィンダミアにも、冷徹な態度を貫いていた。 しかし、国民を愛する気持ちは本物で、2027年に締結された、新統合政府との不平等条約を撤廃するため、手を尽くしてきた。しかし、改善の様子が見えないうえに、空中騎士団の全軍をウィンダミア王国から離そうという暴挙を働かれたため、新統合政府からの干渉を撤廃させるため宣戦を布告し、ウィンダミア第一次独立戦争を開戦させた。 しかしその結果、カーライルの黒い嵐が発生、新統合政府とは事実上国交を断絶し、鎖国に近い状態を作り上げた。それから7年後は、既に老齢の域に入っており、ウィンダミア王国の真の平和を作り上げる前に崩御してしまう。
アーネスト・ジョンソン (あーねすとじょんそん)
星間複合企業体ケイオスに所属している中年の男性。ゼントラーディと地球人のハーフで、2メートル50センチ近くの身長を誇る巨漢。顔も非常にいかついが、至って気さくで親しみやすい性格の持ち主。30年以上前から、歴戦の傭兵として名を馳せているが、不利な方に肩入れする事を好むという変わった習性を持つ。劇的な逆転勝利を飾った経験こそないものの、負ける際にも被害を抑える術に長けており「100戦100敗 無冠の名指揮官」の異名を持っている。 かつて新統合軍に所属しており、ウィンダミア王国の艦隊戦における教官を務めていた事もある。また、その際にグラミア・ネーリッヒ・ウィンダミアと知り合い、懇意にしていた。新統合軍のウィンダミア王国に対する暴挙に対してはアーネスト・ジョンソン自身も不満に思っており、現状を改善する方法がないかと悩んでいた。 ウィンダミア第一次独立戦争が発生すると、互いの立場から別れる事になり、敵同士で戦う事になる。さらに7年後のウィンダミア第二次独立戦争の時は、Δ小隊の母艦である「マクロス・エリシオン」の艦長に就任。 ハヤテ・インメルマンやフレイア・ヴィオンらと共に、空中騎士団を迎え撃っている。
モリス・ハルバルト (もりすはるばると)
ウィンダミア人の少年。ウィンダミア空中騎士学校に通っていた。平民の出身で、キース・エアロ・ウィンダミアが騎士学校に入学して来た当初は、鼻持ちならない存在であると反感を抱いていた。しかし、ロイド・ブレームの執りなしもあってすぐに和解し、友人の関係となる。それからは、キースやロイド、およびボーグ・コンファールトと行動を共にする事が多くなっていく。 ダーウェントの白騎士に憧れており、その称号を戴いていたアルドリア卿が学校を訪れた時はすっかり舞い上がった。さらに可変戦闘機を用いたパトロール飛行をアルドリア卿といっしょに行える、という幸運に恵まれる。しかし、アルドリア卿と共にパトロール先のカーライル市に向かったところ、新統合軍の兵士が投下したという次元兵器に巻き込まれ、アルドリア卿や仲間ともども、跡形もなく消滅してしまった。
ウィンダミア正妃 (うぃんだみあせいひ)
ウィンダミア王国の国王であるグラミア・ネーリッヒ・ウィンダミアの正妻。ハインツ・ネーリッヒ・ウィンダミアの母親。穏やかな物腰の女性で、妾腹の子であるキース・エアロ・ウィンダミアにも分け隔てなく接する、優しい性格の持ち主でもある。ハインツが誕生すると、キースに会わせてあげたいと希望し、王宮に招待する。 そして、そこでハインツを初めて見たキースに対し、彼を兄として支えてあげてほしいと懇願した。
ヨアン
ウィンダミア人の男性。ウィンダミア王国のアラーデール村で農家を営んでいた。カシム・エーベルハルトとは同じ畑を耕しており、共同でウィンダミアアップルなどの作物を育てていた。しかしある時、新統合軍による誤爆で畑が全滅してしまい、さらにアラーデール村の市場で、新統合軍兵士が「ウィンダミア人は畑を耕すしか能がない」とうそぶいている事を聞きつけ、強い怒りを抱く。 その後、新統合軍はウィンダミア王国にいてはいけないと訴えるようになり、抵抗組織への加入を決める。その際、仲間であるカシムにも同行するように誘いかけたが、彼からは畑を復興させたいという理由から断られてしまう。
マスター・シノ (ますたーしの)
ウィンダミア人の男性。ウィンダミア空中騎士学校で教官を務めていた。生徒思いの性格で、スパロゥヘードが新統合軍の攻撃を受けた際には、辛そうな表情でボーグ・コンファールトにそれを伝え、ショックを受けた彼を気にかけていた。一方で規律には厳しく、キース・エアロ・ウィンダミアが、Sv-154 スヴァードを使ってボーグを無断でスパロゥヘードに送り届けた時は、彼らに理解を示しつつも、処分を下すという意図を明確に示した。
アルドリア卿 (あるどりあきょう)
ウィンダミア人の男性。キース・エアロ・ウィンダミアから先代のダーウェントの白騎士にあたる。かつて民間軍事プロバイダー「S.M.S」に所属しており、当時アルドリア卿自身が乗り込んでいた可変戦闘機より圧倒的に性能が高いとされる「VF-27 ルシファー」を2機撃墜した事もあるという、凄腕のパイロットである。 気取ったところのないまじめな性格で、さらに空中騎士団はもちろん、ウィンダミア空中騎士学校の生徒に対しても優しく振る舞っており、モリス・ハルバルトを始め、多くの人々からの信頼を集めている。既に27歳とウィンダミア人としては高齢で、若い世代に期待をかけている。カーライル市に新統合軍が現れた際には、キースとロイド・ブレームに後詰めを任せ、モリス達空中騎士団学校の先輩達と共に現場に急行する。 しかしその際に投下された次元兵器に巻き込まれ、乗っていたSv-154 スヴァードもろとも、跡形もなく消滅してしまう。
ライト・インメルマン (らいといんめるまん)
ハヤテ・インメルマンの父親。新統合軍に所属していた中年の男性。Δ小隊の隊長である「アラド・メルダース」の、新統合軍時代の上司でもある。優秀な軍人であると共に優しい性格の持ち主で、部下達からは慕われていた。しかし、ウィンダミア第一次独立戦争において、カーライルの黒い嵐を巻き起こした次元兵器を投下した張本人とも言われており、ウィンダミア人からは非難されている。 なお、次元兵器を投下した可変戦闘機に乗っていたのは事実だが、発見された時は既に息を引き取っていたので、彼が本当に次元兵器の使用を画策していたかは不明のままである。
ハヤテ・インメルマン (はやていんめるまん)
Δ小隊に所属しているパイロットの少年。ライト・インメルマンの息子。自由を好む我の強い性格の持ち主で、それが災いして一つのところにとどまれず、さまざまなところを放浪していた。しかしある時、星間複合企業体ケイオスからパイロット能力の高さを見込まれて、Δ小隊に入隊する事になる。軍学校を出ておらず、操縦能力はさまざまなアルバイトで培ったため、入隊当初はトラブルを起こす事も多かった。 しかし、小隊のメンバーである「メッサー・イーレフェルト」がキース・エアロ・ウィンダミアに撃墜されて死亡してからは、彼の意思を継いで戦う事を決意し、さらにフレイア・ヴィオンの歌によって操縦技術が向上。キースを撃墜し、右目を負傷させた事で、強敵と認められるようになる。 その後、惑星ヴォルドールにおいて再びキースと対決するが、その際にフレイアの歌の影響で、戦闘相手であるはずのキースにダイレクトに声を届ける事ができるようになる。今を生きる人のために歌うワルキューレを守りたいという強い信念を示した事で、キースの心境に影響を及ぼした。なお、キースをはじめとした空中騎士団のメンバーは、ハヤテの能力を認めているものの、彼がライトの息子である事は知らない。
フレイア・ヴィオン (ふれいあゔぃおん)
ウィンダミア人の少女。戦術音楽ユニットワルキューレに所属している。ウィンダミアアップルを育てている農家の生まれ。幼い頃から、「リン・ミンメイ」や「FIRE BOMBER」、「シェリル・ノーム」などの歌を聴いて育ってきたため、歌う事に強いあこがれを持っている。そのため、現在世間をにぎわせているワルキューレへの入隊を志し、ほぼ鎖国状態のウィンダミア王国を飛び出す。 旅路で偶然ながらもハヤテ・インメルマンと出会い、彼の協力もあってオーディションを受ける事ができ、その結果、見事ワルキューレの新メンバーに選出された。ほかのメンバー同様、歌う事で「フォールド波」と呼ばれる特殊な振動波を発生させる事が可能で、ヴァール・シンドロームを回復させる事ができる。 また、歌に含まれているフォールド波が、ハヤテのパイロットとしての能力に影響を及ぼした事もあり、彼はフレイア・ヴィオンの歌を聞く事で、キース・エアロ・ウィンダミアを上回る技量を獲得するに至っている。
集団・組織
空中騎士団 (くうちゅうきしだん)
ウィンダミア王国が擁する可変戦闘機による戦闘部隊。イプシロン財団より提供された最新鋭の可変戦闘機であるSv-262ドラケンⅢをあやつり、その性能とウィンダミア人特有の身体能力が合わさり、高い練度を誇っている。騎士団全体を指揮するのはウィンダミア王国軍の司令官であるロイド・ブレーム。また、ダーウェントの白騎士であるキース・エアロ・ウィンダミアが率いる部隊は白騎士戦隊と呼ばれており、キース本人以下、ボーグ・コンファールト、テオ・ユッシラ、ザオ・ユッシラ、ヘルマン・クロース、カシム・エーベルハルトの六人で構成されている。 この白騎士戦隊は、ウィンダミア王国の基本戦略であるヴァール・シンドロームの利用を妨げるワルキューレのライブの妨害を任じられる事が多く、ワルキューレの護衛を務めるΔ小隊と、幾度となく銃火を交えている。 ウィンダミア人で構成されている部隊ゆえか、風の流れを重要視する傾向にあり、「大いなる風にかけて」という掛け声がしばしば使われている。
新統合政府 (しんとうごうせいふ)
2008年に発足した、地球人類による初の統一政府である「地球統合政府」が、2009年から発生した戦争で敵対し、やがて和解したゼントラーディを加える事で新たに誕生した政的組織。ゼントラーディが所有していたテクノロジーを活かす事で、加速度的にその規模を広げてきた。しかし、組織が肥大化する事で歪みが生じてしまい、腐敗も広がりつつある。 その一例として、2027年にウィンダミア王国を訪れた新統合政府の一員が、テクノロジーを与える代わりに、ほぼ一方的に不平等な条約を結び、ウィンダミア王国を半ば占領国として扱っている。そういった横暴な態度に憤っている人物は多く、2060年にウィンダミア王国はそれに抵抗すべく独立戦争を仕掛けており、この戦争はのちに、ウィンダミア第一次独立戦争と呼称されるようになる。
新統合軍 (しんとうごうぐん)
新統合政府が擁する軍事組織。母体である「地球統合軍」が2009年より発生したゼントラーディとの戦争によって大きな被害を受け、戦後に再編した事で新たに誕生した。大きく分けて陸軍、空軍、海軍、宇宙軍、海兵隊、警備隊などの軍が存在する。運用する兵器は、「デストロイド」と呼ばれる二足歩行型の戦闘ロボットや、主に「バルキリー」と呼称される可変戦闘機など。 また、ゼントラーディによる部隊も存在しており、それらの場合、彼らのための戦闘ポッドやパワードスーツが支給される。結成当初はそれなりに練度も高かったものの、次第に腐敗が進んでいき、兵器のスペックやパイロットの能力も低下。それでいて、新統合政府の威光を笠に着るような横暴な軍人も少なくなく、ウィンダミア王国においてもしばしばトラブルを起こしている。
ワルキューレ
戦術音楽ユニット。星間複合企業体ケイオスの情報・芸能部門に所属する。リーダーは「カナメ・バッカニア」で、メインボーカルの「美雲・ギンヌメール」、Δ小隊の可変戦闘機のメカニックも務める「マキナ・中島」、ハッキングの天才である「レイナ・プラウラー」、そして、新入りとなるウィンダミア人のフレイア・ヴィオンの5名で構成されている。 「フォールド因子受容体」と呼ばれる、特殊な数値が高い女性のみが所属可能で、彼女達の歌声はヴァール・シンドロームを治療する効果を持ち、発症前の段階でも予防効果を発揮するという。ウィンダミア第二次独立戦争が開戦してからは、ハインツ・ネーリッヒ・ウィンダミアが歌う「風の歌」によるマインドコントロールに対抗するための、潜入作戦なども行う。 そのため、ウィンダミア王国にとっては非常に厄介な存在とされており、空中騎士団などの優先攻撃目標とされている。
Δ小隊 (でるたしょうたい)
星間複合企業体ケイオス傘下の小隊。「アラド・メルダース」を隊長に、ハヤテ・インメルマン、「メッサー・イーレフェルト」、「チャック・マスタング」、「ミラージュ・ファリーナ・ジーナス」を合わせた五人で構成されている。隊員は全員が、専用の可変戦闘機であるVF-31 ジークフリードを与えられており、任務の際はこれに乗り込んで出撃する。 戦術音楽ユニットワルキューレによるライブの護衛と、VF-31 ジークフリードに搭載されている「フォールドクォーツ」と呼ばれる物質を用いた、ワルキューレの歌に含まれている耐ヴァール・シンドローム効果の増幅などを主な任務としている。そのため、ヴァール・シンドロームを戦術に組み込んでいるウィンダミア王国、および空中騎士団にとっては、ワルキューレと並ぶ優先攻撃目標とされている。 個々の技量も非常に高く、特にメッサーとハヤテは、キース・エアロ・ウィンダミアに匹敵する操縦の腕を持つとされている。
ウィンダミア人 (うぃんだみあじん)
惑星ウィンダミアⅣに住んでいる異星人の総称。見た目は地球人とほぼ変わらないが、頭部にルンと呼ばれる器官が存在している。この器官で気配などを敏感に感じ取れるほか、風の流れから吉凶をある程度判断する事もできるため、風そのものを神聖視する傾向にある。身体能力は極めて高く、マイクローン化したゼントラーディをしのぐほど。 また、成長が早く老化もしない反面、寿命が30歳から35歳前後と非常に短い。寿命が近づくと身体にヒビ入り、そのまま朽ちていくとされる。このため結婚適齢期も早く、10代半ばにもなると、既に行き遅れという認識を抱かれるようになる。なお、ロイド・ブレームは学生時代に、プロトカルチャーが滅亡寸前に創造した最後の人類こそがウィンダミア人であるという学説を発表しており、彼が大銀河文明の樹立を推し進めようとしているのも、この論文に基づくところが大きい。
ゼントラーディ
プロトカルチャーが戦争用に生み出した巨人族。身長は10メートルを超えており、身体能力面では圧倒的に人類を上回っている。西暦2009年に地球に襲来。戦争状態となり、地球を滅亡寸前まで陥れたが、文化に触れた事でその一部が地球人類と和解。技術を提供する事で、人類が宇宙に進出するきっかけを作りだした。なお、マイクローン装置と呼ばれる機械によって、人間と同じサイズになる事も可能。 ただし、多用しすぎると元に戻れなくなったり、幼児体型化してしまうといったリスクを伴う。また人類と婚姻を結ぶ事も可能で、2060年現在は、ケイオスのアーネスト・ジョンソンなど、ゼントラーディと地球人類の混血児も当たり前のように存在している。なお、マイクローン装置を使用したゼントラーディは、それでも地球人より強力な身体能力を誇るが、ウィンダミア人には及ばないとされている。
プロトカルチャー
銀河で最初の知的生命体とされる先史文明。高度な文明によって栄華を極めたものの、自らが生み出した戦闘種族であるゼントラーディやプロトデビルンによって滅ぼされてしまった。ブリージンガル球状星団には、プロトカルチャー最後の末裔が逃げ延びてきた痕跡が、遺跡としてあちこちに確認できる。また、ロイド・ブレームは、遺跡を調査、解析した結果、ウィンダミア人こそがプロトカルチャーの残した最後の人類であり、彼らが謳歌した文明を引き継ぐべきだと主張しているが、その真偽は明らかになっていない。
イプシロン財団 (いぷしろんざいだん)
銀河系全域で事業を展開している巨大財閥。その傘下にはさまざまな企業や団体が収められており、活動内容も兵器の研究開発や販売、農作物や医療品の貿易など多岐にわたる。ウィンダミア王国に対して援助を惜しまず、支援物資の中には最新鋭の可変戦闘機であるSv-262 ドラケンなども存在する。ただし、援助をしている理由はウィンダミア王国に対する義侠心などではなく、単純にギブ&テイクの関係に過ぎず、ウィンダミア王国と敵対しているケイオスやΔ小隊についても支援を行っているなど、死の商人としての側面も強い。 そのため、ウィンダミア王国からも信用はされていないが、少なくともその技術については利用価値を見出されているため、表立った腹の探り合いなどは今のところ行われていない。
ケイオス
銀河系全域で幅広く活動している星間複合企業体。一言で言えば「何でも屋」で、ワルキューレなどが所属している情報・芸能部門や、Δ小隊が所属している軍事プロバイダー部門、星間運輸部門や宇宙開発部門、兵器開発部門、観光部門など、その活動内容は幅広い。元は通信や情報、ならびに宇宙間航法などを取り扱うベンチャー企業として発足し、この10年ほどで規模を急速に拡大した。 現在においてもその成長は目覚ましく、次々に新部門が設立されている状況であるため、すべての部門の状況を正確に把握できる人物はほぼ存在しないとされている。さらに元から機密が非常に多く、ワルキューレやΔ小隊のメンバーも、ケイオスについての詳細な情報はほぼ知らされていない。
場所
ウィンダミア王国
ブリージンガル球状星団の惑星「ウィンダミアⅣ」を主星としている小国家。地球の中世ヨーロッパの王政に似た国家体制が維持されており、現在の国王はグラミア・ネーリッヒ・ウィンダミア。国民はすべてウィンダミア人で構成されている。寒冷な気候が特徴で、1年のほぼ大半が雪に覆われている。長らく異星からの干渉を受けずに独自の文化を保ってきたが、2027年に訪れた新統合政府と条約を結び、外宇宙の文化や技術などを取り入れ始めた。 しかし、結んだ条約が不平等であったうえに、長らく新統合政府の横暴な圧力にさらされてきたため、西暦2060年に、新統合政府からの独立を宣言。ウィンダミア第一次独立戦争が勃発する。この戦争はカーライルの黒い嵐が発生した事により、なし崩し的に停戦状態となったが、その後は新統合政府による経済封鎖が続いている。
ブリージンガル球状星団 (ぶりーじんがるきゅうじょうせいだん)
銀河系サジタリウス渦状肢の先端近くに位置する球状星団。直径はおよそ1000光年ほどで、惑星ヴォルドールや惑星ウィンダミアⅣなど、人類が居住できる惑星も多数存在しており、それぞれの星には先住民が住んでいる。また、多くの星にはプロトカルチャーの遺跡が点在しており、ウィンダミア王国ではロイド・ブレームが、調査や解析を進めている。 また、ウィンダミア星系の周囲には、次元断層と呼ばれる特殊な断層が確認されており、これに阻まれて自由な行き来が難しいとされている。
ウィンダミア空中騎士学校 (うぃんだみあくうちゅうきしがっこう)
空中騎士団の候補を養成するための士官学校。ウィンダミア王国の王都、ダーウェントに存在する。生徒として、キース・エアロ・ウィンダミアやロイド・ブレーム、モリス・ハルバルト、ボーグ・コンファールトなどが、教官として、ヘルマン・クロースやマスター・シノなどが在籍していた。剣術や可変戦闘機の操縦技術はもちろん、騎士としての心構えを学ぶ場所でもあり、「兵営は自分の帰るべき家であり、そこにいる全員を家族と思え」と教えられる。 訓練終了後は基本的に自由に過ごす事ができ、外出なども可能となっている。ただし、可変戦闘機の私的な使用は禁止されており、それを破ると罰則を受ける事となる。ウィンダミア第一次独立戦争が発生してからは、一定の年齢を越えた学生が従騎士となり、正式な空中騎士団のサポートを任されている。
アラーデール村
ウィンダミア王国に存在する村。カシム・エーベルハルトやヨアンの出身地でもある。ウィンダミアアップルなどを育てている畑や、プロトカルチャーが残したとされる遺跡が存在するほか、さまざまな物流品が流れる市場は、ユッシラ商会の子息であるテオ・ユッシラやザオ・ユッシラが商売に訪れる事もあり、日々にぎわいを見せている。 新統合政府の要請によって空中騎士団のほぼ全軍が出撃したため、待機命令を下された事で暇を持て余していたキース・エアロ・ウィンダミアが、ロイド・ブレームの誘いに応じてアラーデール村に向かった事もある。しかしこの時、新統合軍の可変戦闘機が、誤爆によってウィンダミアアップルの畑を全滅させてしまったため、暴動が発生する事態となった。 この事が、キースがウィンダミア王国の現状に疑問を抱くきっかけの一つとなっている。
スパロゥヘード
ウィンダミア王国に存在する都市。ボーグ・コンファールトの出身地。ボーグの実家であるコンファールト家が財政の一部を支えており、そこに住んでいる家族からは、毎月ウィンダミア騎士学校に通っているボーグに手紙が送られていた。しかし、ウィンダミア第一次独立戦争が発生すると、騎士学校との流通が困難になる。さらに、前線でもなく、軍事基地も存在しないにもかかわらず、突如新統合軍によって焼き討ちされてしまい、ボーグの家族を含めた住人の大半が命を落としてしまう。 この事は、ボーグが新統合軍や新統合政府、ひいては地球人類に対して強い憎しみを抱かせる結果となった。
カーライル市 (かーらいるし)
ウィンダミア王国に存在する都市。プロトカルチャーが残したとされる遺跡が存在する。120万人ほどの住民がいるほか、新統合軍の兵士達が12万人ほど駐留していた。しかし、ウィンダミア第一次独立戦争末期に、突如投下された次元兵器の影響で、住民や新統合軍の兵士、そして、駆け付けた空中騎士団のメンバーなどがすべて消滅してしまう。 この事件は、次元兵器の爆心地に次元の断層が残されたため、カーライルの黒い嵐と呼ばれた。この事件の首謀者は不明だが、新統合軍はこれをきっかけにウィンダミア王国から撤退し、ウィンダミア第一次独立戦争は、事実上の停戦状態に陥っている。
惑星ヴォルドール (わくせいゔぉるどーる)
ブリージンガル球状星団に存在する惑星の一つ。猫の特徴を備えた人間達が先住民として暮らしている。ウィンダミア王国がある惑星ウィンダミアⅣ同様、プロトカルチャーが残したとされる遺跡が発見されている。ウィンダミア第二次独立戦争が発生する前、この惑星で密かに、ウィンダミア王国主導によるヴァール・シンドロームを意図的に罹患させる実験が行われていたが、ワルキューレとΔ小隊に阻止されている。 ウィンダミア第二次独立戦争発生後は、ロイド・ブレームから下された、遺跡の実験を防衛する任務を遂行するため、空中騎士団が出撃。居合わせていたワルキューレ、およびΔ小隊と激戦を繰り広げた。
イベント・出来事
カーライルの黒い嵐 (かーらいるのくろいあらし)
ウィンダミア第一次独立戦争の末期に起きた事件。使用が禁止されているはずの次元兵器がウィンダミア王国のカーライル市に投下され、民間人や駐留していた新統合軍およびウィンダミア軍に甚大な被害を与えた。これによる死者は130万人にも上るとされており、この惨劇を機に、新統合軍はウィンダミアから撤退。独立戦争は事実上の停戦状態を迎えた。 なお、この事件のあと、爆心地の付近にて墜落した戦闘機が発見され、この機体とパイロットの解析が進められた結果、新統合軍の軍人であるライト・インメルマンである事が判明。これによってウィンダミア王国は、新統合軍が次元兵器を使用したと主張するが、逆に新統合軍側はウィンダミアが新統合軍を殲滅するために使ったと主張しており、その真実は明らかになっていない。
ウィンダミア第一次独立戦争 (うぃんだみあだいいちじどくりつせんそう)
ウィンダミア王国が新統合政府からの独立を求めて挙兵した事で、2060年に発生した戦争。空中騎士団をはじめとするウィンダミア王国軍と、主にウィンダミア王国に駐留していた新統合軍が、いたるところで銃火を構えた。ウィンダミア空中騎士学校の生徒達も従騎士としてこの戦いに参加しており、可変戦闘機であるSv-154 スヴァードが与えられた。 戦争は8か月間続けられたが、カーライル市に次元兵器が投下された事で発生したカーライルの黒い嵐をきっかけに、新統合軍はウィンダミア王国から撤退。なし崩し的に停戦状態に陥った。しかし、新統合政府はウィンダミア王国への経済封鎖を行い、ウィンダミア王国側も、新統合政府はもちろん、ほかの星と干渉を拒む鎖国状態に突入した。
ウィンダミア第二次独立戦争 (うぃんだみあだいにじどくりつせんそう)
ウィンダミア王国が新統合政府を相手に引き起こした戦争。ハインツ・ネーリッヒ・ウィンダミアが国王に即位した際に、ロイド・ブレームが唱えた大銀河文明樹立構想を実現するのが目的。ウィンダミア第一次独立戦争と異なり、新統合政府の干渉を撤廃させるのではなく、ウィンダミア王国を銀河の中心に据える事を目的としている。 物量において不利なウィンダミア王国軍だったが、ハインツが歌う「風の歌」を利用して、ヴァール・シンドロームを発症した人々をコントロールするという手段で物量を補っている。また、ロイドの指示によって、ブリージンガル球状星団のさまざまな星に存在する遺跡の利用なども行われた。
その他キーワード
次元兵器 (じげんへいき)
時空間を歪ませて破壊する、絶大な威力を持つ大量破壊兵器。使用の際には甚大な被害が予想されるため、統合政府により使用を禁止されていた。しかし、ウィンダミア第一次独立戦争の末期に何者かによって使用され、その地方は壊滅的な被害を受け、この事件はのちに、カーライルの黒い嵐と呼ばれるようになる。
ウィンダミアアップル
ウィンダミア王国特産の果実。地球におけるリンゴによく似ており、「銀河リンゴ」の異名を持つ。カリウム、カルシウム、ビタミンB群などを多く含み、味や食感も地球のものとほぼ変わらない。生で食べるのはもちろん、煮たり焼いたりしても美味な宇宙食として人気が高く、広く輸出されている。かつて農家だったカシム・エーベルハルトは、主にこのリンゴを育てていた。
可変戦闘機 (かへんせんとうき)
人型ロボットに変形可能な戦闘機の総称。「VF」、あるいは最初に開発された量産機である「VF-1 バルキリー」の名前を取り、「バルキリー」と呼ばれる事もある。地球統合軍が開発し、現在は銀河全域で戦闘やパトロールなど、さまざまな手段に用いられている。大気圏内外を自由に飛行できる戦闘機の形態を「ファイター」、人型ロボットの形態を「バトロイド」と呼称。 さらに、ファイターから両手足を伸ばした形態は、ファイターともバトロイドとも異なる運用ができる事がわかり、これがのちに「ガウォーク」と名付けられた。基本的な運用方法は、ファイター形態で制空権を確保し、ガウォークに変形して地面に着地。さらにバトロイドに変形して領土を制圧するという流れになるが、作戦目的や部隊における思想などにより、およそ無数の使い道が存在する。 新統合軍はもちろん、星間複合企業体ケイオスなどの民間企業や、ウィンダミア王国などでも用いられており、ウィンダミア第二次独立戦争の折には、Δ小隊が乗り込むVF-31 ジークフリードと、ウィンダミア王国の空中騎士団が乗り込むSv-262 ドラケンⅢが、最新鋭の機体として大いに活躍した。
Sv-154 スヴァード (えすぶいいちごおよんすゔぁーど)
ウィンダミア第一次独立戦争において、ウィンダミア王国の空中騎士団が運用していた可変戦闘機。イプシロン財団が開発し、ウィンダミア王国に配備された。新統合軍が使用している可変戦闘機と比較すると細身だが、性能は高い。アルドリア卿などの空中騎士のほか、従騎士となったウィンダミア空中騎士学校の生徒にも支給されており、新統合軍との戦いにおける戦線を支え続けた。
Sv-262 ドラケンⅢ (えすぶいにいろくにどらけんすりー)
ウィンダミア第二次独立戦争においてウィンダミア王国の空中騎士団が運用している高性能の可変戦闘機。イプシロン財団が開発し、ウィンダミア王国に配備された。ウィンダミア第一次独立戦争で用いられていたSv-154 スヴァードを遥かに凌駕する機体スペックを誇っている。また、機体の色も大きく異なっており、Sv-154 スヴァードが白を基調にした機体色であったのに対し、Sv-262 ドラケンⅢは黒がメインとなっており、これは自分の手を汚してでもウィンダミアを守りたいというキース・エアロ・ウィンダミアの意図を反映したものとされている。 惑星ウィンダミアⅣで算出されるレアメタルである「フォールドクォーツ」を動力として用いる事で、かつての可変戦闘機とは比較にならない加速能力を獲得している。 また、両翼には「リル・ドラケン」と呼ばれる無人戦闘機を搭載しており、切り離す事で多方向から攻撃を仕掛けるといった戦法も実現できる。一般兵仕様の「Sv-262Ba ドラケンⅢ」や、指揮官仕様の「Sv-262Hs ドラケンⅢ」など、いくつかのバリエーションが存在する。
VF-31 ジークフリード (ぶいえふさんいちじーくふりーど)
Δ小隊が運用している高性能の可変戦闘機。「YF-30 クロノス」をベースとした新型の量産機である「VF-31 カイロス」をΔ小隊用にチューンした機体である。ほかの可変戦闘機と大きく異なる特徴として、「シグナス」と呼ばれるワルキューレの身を守るための自律機動装甲や、「サウンドプロジェクションユニット」と呼ばれる、彼女達の歌によるヴァール・シンドローム治療効果を上昇させる機能を備えている。 空中騎士団の搭乗するSv-262 ドラケンⅢと幾度となく死闘を繰り広げた。ハヤテ・インメルマンの搭乗する「VF-31J ジークフリード」や、隊長機仕様の「VF-31S ジークフリード」など、いくつかのバリエーションが存在する。
ダーウェントの白騎士 (だーうぇんとのしろきし)
空中騎士団におけるトップエースの証とされる称号。モリス・ハルバルトいわく、「騎士学校にいる奴ならだれでもあこがれる」ほどのネームバリューを誇る。キース・エアロ・ウィンダミアがウィンダミア空中騎士学校に通っていた頃は、アルドリア卿がダーウェントの白騎士の称号を保持していたが、彼の死後はキースにその称号が与えられた。
ルン
ウィンダミア人のみが持つ、触覚のような感覚器官。振動や気配などを感知する事ができ、彼らの高い身体能力を支えている。男女で本数や形状が異なっており、男性には先端がひし形や星型になったものが二つ、女性には先端がハートや水滴のような形をしたものが一つ、それぞれ存在している。脳波に同調しており、その先端部は、嬉しい時は桃色や青色、激高した時や羞恥心が高まった時には赤色に輝くなど、おおまかな感情に合わせた光を放つという特徴がある。 また、極めて敏感であるため、ウィンダミア人の女性はルンを凝視されると恥ずかしがる傾向にある。
ヴァール・シンドローム (ゔぁーるしんどろーむ)
人間が、突然自我を失って凶暴化するという奇病。発症すると筋肉が膨張し、身体能力が向上する。しかし、瞳が血走って理性を失い、周囲の人や物に対してほぼ無差別に攻撃を仕掛けるようになる。ただし、理性を失いながらも可変戦闘機の操縦には何の支障もなく、ヴァール・シンドロームにかかった人間同士は争い合わないなど、奇妙な特徴もいくつか存在する。 現在は銀河全域で発症が確認されており、対策が急がれている。そのメカニズムは完全には解明されていないが、ワルキューレの歌に含まれているとされるフォールド波で治療できる事が判明している。しかしこれも対処療法に過ぎず、根本的な治療法は確立されていない。また、風の歌い手であるハインツ・ネーリッヒ・ウィンダミアの歌は、ワルキューレのものとは逆に、ヴァール・シンドロームの活性化や、罹患した人の行動をある程度コントロールする効果があるとされており、ウィンダミア王国はこれを新統合軍との戦闘に利用している。
クレジット
- 監修