災禍の神は願わない

災禍の神は願わない

軍神のセトは、兄である豊穣の神、オシリスを暗殺した容疑で処刑された。過去へと時間を遡り、かつて教育係だったトートと協力しながら状況を改変していく中で、真犯人にせまるセトの姿を描く神話ファンタジー。「月刊コミックスZERO-SUM」2019年8月号から2020年8月号にかけて掲載された作品。

正式名称
災禍の神は願わない
ふりがな
さいかのかみはねがわない
作者
ジャンル
ファンタジー
 
神話・伝承
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世界観

本作『災禍の神は願わない』の世界観は、エジプト神話をもとにしている。だが、混沌の海からラーが現れて世界を創造した「ヘリオポリス創世神話」と、カエル頭とヘビ頭の夫婦神四組からなる八柱神(オグドアド)が、ラーやトートを創造した「ヘルモポリス創世神話」とが混在している。

あらすじ

軍神のセトは、オシリスが行っている戦争のない政治に不満を覚えながらも、その統治に協力していた。しかしある日、オシリスが暗殺され、その容疑者としてセトは処刑されてしまう。その直後、セトはオシリスが王に即位した5年前に戻っていた。セトはこの事態に混乱しながらも、やがてトートの協力を得て、オシリスを殺害した真犯人を突き止めるべく過去を改変していくことにする。そんな中、セトは野党に殺害されるはずだったネフティスを助け、イシスとの関係を改善させるものの、真犯人の目星をつけることができないでいた。すると、進展しない状況に苛立つセトにトートが、かつてセトが殺害したはずの神聖王家(エネアド)の敵、アポピスの仕業ではないかと助言する。

登場人物・キャラクター

セト

オシリスとイシスの弟で、軍神。太陽神ラーの曽孫で、神聖王家(エネアド)の王子でもある。腰まである赤い髪に、白い肌を持つ青年。オシリスが王であることに不満を覚えているが、兄として尊敬しており、大切に思っている。オシリスが暗殺された際に濡れ衣を着せられて処刑されたが、その直後にオシリスが即位した5年前にタイムスリップした。独善的で短気な性格で、他人のことをつねに見下していたが、5年前に時を遡ってからは自らが変わることも視野に入れ、少しずつ丸くなった。オシリスを殺害し、セト自身を陥れたのがアポピスである可能性に気づくと、アポピスを完全に殺害するためにトートに協力を仰ぐこととなる。

オシリス

セトの兄で、豊穣の神。太陽神ラーの曽孫で、神聖王家(エネアド)の現王でもある。腰まである緑の髪を三つ編みにして、黒い肌を持つ青年。戦によって広大な国土を得た前王のゲブに代わり、王座に就いた。戦の経験がなく、平和を尊び、戦なき統治を掲げた政治を行っている。セトを心から大切に思っており、彼が安心して生きられる環境を作ることを、なによりも優先しているため、即位と同時にセトを憎むゲブを王宮から追放する。アポピスからは「オッシー」と呼ばれている。

トート

医療と知恵と秩序の神で、王家の医師長を務める青年。かつてオシリスやセトの教育係も務めていた。オシリスが暗殺された刃傷(にんじょう)と、セトの証言が食い違っていることを指摘し、セトをオシリス暗殺の首謀者であると、処刑台に向かわせた人物。しかし、セトが5年前に遡ってからは未来の出来事を聞き、協力していく中で、セト自身が変わることで未来を変えなくてはならないと進言する。

イシス

オシリスの妹にして王妃で、妻。大魔女としても知られており、腰まである長い銀髪に黒い肌を持つ。セトを嫌ったネフティスが王宮から逃げ出した結果、夜党に殺されてからは、セトを恨んで口も聞かなかった。セトが5年前に遡ってからは、セトがネフティスを救出したことで良好な関係を築く。ネフティスを最愛の存在だと話しており、オシリスからの愛情には疑問を持っている様子が見られる。

ネフティス

オシリスを長兄とする四兄弟の末っ子で、セトの妻でもある。ウェーブがかった金髪に、白い肌を持つ。横暴で暴力的なセトに嫁ぐことを嫌い、婚儀を前にして王宮から逃げ出した結果、野党に犯され、殺害された。イシスに身も心も捧げたいと語るほど愛しているが、セトが5年前に遡ってからは野党に襲われているところをセトに救われ、それ以降セトに対して非常にツンデレな態度を見せるようになる。

アポピス

セトをはじめとする神聖王家(エネアド)の宿敵。ウェーブがかった銀の髪と、暗闇で光る目を持つ。世界の始まりから存在するといわれており、「混沌の海の落とし子」とも呼ばれる。ふだんは冥界に住んでいるが、太陽神ラーの時代から三代にわたって地上を襲い、神聖王家と戦ってきた。成神(せいじん)前のセトに首を落とされて殺害されたが、復活を果たしている。また、かつてオシリスを冥界に連れ去った際、オシリスに友好的に接されたことから、彼に好意を持っている。

ゲブ

神聖王家(エネアド)の前王で、オシリス、イシス、セト、ネフティスの父親。妻を亡くしており、その出来事にセトがかかわっていることから、セトが妻を殺害したと信じ、非常に憎んでいる。オシリスのことはかわいがっていたが、セトを憎む心を幼稚だと指摘され、セトが王座に就いたその日にバカウ山へと追放される。

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