概要・あらすじ
養護施設で孤児として育った中学生の工藤涯は、強盗殺人の濡れ衣を着せられ逃走していた。ずば抜けたパンチを武器に警察官8人を叩きのめした涯だったが、いよいよ路地に追いつめられる。無実を叫びあくまで戦う姿勢を崩さない涯に、安部警部は「本当に無実なら証明してみろ」と詰め寄る。その言葉に、涯は自分の無実を世に知らしめようと決意し、投降する。
約1ヶ月後、涯は矯正施設「人間学園」に送られることになった。しかしそこは、涯を嵌めた平田一族が創立した非人道的な監獄であった。
登場人物・キャラクター
工藤 涯 (くどう がい)
中学生。顔面の右側に火傷の痕がある。両親に捨てられ、施設で育った天涯孤独な少年。施設の庇護のもとに暮らしていることに我慢ができず、13歳のときに施設を出て自活する。格闘に天賦の才を持ち、独学で、人の反射神経を凌駕するストレートを習得する。平田に嵌められ、強盗殺人の罪で、矯正施設「人間学園」に送られる。 自分の無実を証明するために、その証拠となるビデオを手に入れ、「人間学園」から脱獄するために戦う。
安部 守宏 (あべ もりひろ)
飯田橋署の警部。離婚した妻への慰謝料や違法賭博での借金がかさみ、収賄を重ねるなど荒れた生活を送る。工藤涯を追い詰め、投降を説得した経験から、涯の無罪を確信。共闘して、涯を嵌めた平田から金を強請りとろうとする。
倉田 (くらた)
元暴走族の少年。「人間学園」からの迎えを待つ間、逃走防止の為、涯と腰縄で繋がれる。「人間学園」の主任教官に高圧的な態度を取っていたが、ゴム弾を装填したグレネードランチャーで左足を撃たれ、従順になる。
主任教官 (しゅにんきょうかん)
私立の矯正施設「人間学園」の主任教官。涯と倉田を迎えに来た、ハゲ頭にメガネの気弱そうな中年。涯たちに睡眠薬入りのお茶を飲ませ、「人間学園」に連行してからは態度が一転。冷血な鬼教官として涯たちに命令を下す。
澤井 (さわい)
私立の矯正施設「人間学園」の課長。施設の実権を握る人物。サディスティックな性格で、収容者たちをいたぶることに快感を覚える。また、蛇の猛毒を使った拷問も趣味。一方で権力に弱く、学園の創設者である平田を極度に恐れる。
石原 (いしはら)
「人間学園」に収容された少年。涯と同期。思いやりがあり、正義感の強い人物。「犬の部屋」から脱走し、涯と別れて山に逃げ込むが捕まってしまう。監禁され、澤井の毒物による拷問を受ける。
池田 貴行 (いけだ たかゆき)
施設を出た涯と偶然出会い、身元引受人になった男。競売物件に居座り、立ち退き料を取ることなどを生業とする不動産ゴロ。3万円の報酬で、涯に競売物件の占拠屋をやらせる。
平田 隆鳳 (ひらた りゅうほう)
財閥・鳳臨グループの会長。自宅の豪邸の2階で何者かに刺殺される。涯が平田家に招かれ、2階に上がった時にはすでに死亡していた。
平田 (ひらた)
鳳臨グループ会長の平田隆鳳の息子。「人間学園」を設立した人物。エリート意識が強い傲慢な性格。涯を罠に陥れ、父である平田隆鳳殺しの罪を着せた張本人。
小川 (おがわ)
「人間学園」に収容された少年。涯と同期。すぐに弱音を吐く泣き虫な人物。「犬の部屋」から解放された際、涯に同行を断られるが、涯の危機を救い、2人で力を合わせて脱走を目論むことになる。
栗田 (くりた)
飯田橋署捜査一課の刑事。平田隆鳳殺人事件を担当する。平田と通じており、涯が冤罪である証拠となるビデオを回収し、安部警部の調査を妨害をする。
場所
人間学園 (にんげんがくえん)
平田一族が創立した、少年の矯正施設。かつては軍の施設で、高い塀や監視塔があり、絶海の孤島に建てられているため、脱走は不可能とされる。収容されている少年たちを人間扱いせず、矯正と称して数々の拷問にかけることも厭わない非人道的な洗脳施設。冤罪の少年たちを収容し、本当の犯罪者を救済する目的で作られた。
犬の部屋 (いぬのへや)
『無頼伝 涯』に登場する拷問部屋。矯正施設「人間学園」内にある、天井が上下動可能な強化ガラスになっている部屋。ここに収容された少年たちは、丸裸にされ、低い天井のために四つん這いで生活させられる。収容者が改心したと澤井が納得するまで、無期限に犬の生活を強要され、中には骨や筋肉が固まって一生四つん這いの生活を余儀なくされた者たちもいるという。 天井の強化ガラスには丸い穴が空いており、食料が投げ入れられるほか、少年たちへの懲罰として電気棒を押し付けることができる。
- SHARE
-
-
- EC
-
