概要・あらすじ
米国アメフトの花形プレイヤー茨木圭介は、謎のポルノフィルム制作組織G・P・Xにより、恋人と母親を殺され、自らも犯罪者に仕立て上げられる。そのショックで白髪と化した圭介は、ブラジルでみつけた秘宝を資金に、G・P・Xの正体を探りあて、命を懸けた復讐を遂げようとする。
登場人物・キャラクター
茨木 圭介 (いばらぎ けいすけ)
謎の組織G・P・Xに恋人と母を奪われ、無実の罪を被せられる。G・P・Xへの復讐を誓い、ブラジルへ渡り、金の採掘を続け、ポルトガル王朝の財宝を手にする。豊富な資金をバックに米国アメフトチームのオーナーとなり、社交界に現れ、G・P・Xの正体を探る。
小宮 夏子 (こみや なつこ)
茨木圭介の婚約者。スケバンとして圭介に因縁をつけたことがきっかけで強く惹かれ合う。圭介の手で胸に蜥蜴の刺青を入れてもらうことで互いの存在の深さを実感していた。謎の組織G・P・Xに、圭介とともに拉致されるが、圭介への愛を貫き自らの舌を噛み切る。
日下 夕湖 (くさか ゆうこ)
空手の有段者で人気TVキャスター。番組レポーターとして、ブラジルで金の採掘で成功した日本人、リオ・バラキ(=茨木圭介)と接触するなかで、次第に惹かれていき、キャスターの仕事を辞め、彼と行動を共にする。亡くなった恋人への思いを断ち切れなかった圭介と、ついには心を通わせ最愛の恋人となり、財宝を発見するも、マフィアの襲撃において銃弾に倒れる。
花館 環 (はなだて たまき)
著名人を密かに出演させたポルノフィルムを製作する闇の組織、G・P・Xの一員。アメフトの花形選手である茨木圭介をポルノフィルムに出演させようと、圭介を恋人の小宮夏子と共に拉致する。その強引で傲慢なやり方に耐えかねた、環の部下である次位弦大に殺害されてしまう。
次位 弦大 (つぎい げんだい)
著名人を密かに出演させるポルノフィルムを製作する組織G・P・Xに所属する花館環のボディガード。元柔道オリンピック選手の大男。スポーツマンとして茨木圭介に敬意を持っており、上司である環の男のロマンを見下す様子に強い憤りを持っている。
母 (はは)
茨木圭介の母親。夫は国文学の大家、茨木大造で、すでに他界。その著作物の印税で母子は生活している。息子圭介を信頼し、いきなり連れてきた小宮夏子もこだわらず受け入れている。圭介が麻薬を所持していたスキャンダルで自殺したとされるが、実はG・P・Xとその息のかかった警察が仕組んだことだった。
カラット
メキシコ奥地のジャングルの小屋で一人暮らしをしていたイギリスから来た医者。ガリンペイロ(金鉱発掘人)の病気を手当てなどをしており、茨木圭介も命を救われたことがあるが、久々にその小屋を訪ねると、すでにミイラと化していた。圭介と日下夕湖は、カラット先生の小屋で、寒波「アンデスおろし」をやり過ごす。
レモ
アマゾン奥地の首狩り族、ヒムロ族の酋長。茨木圭介の恋人日下夕湖に一目ぼれ、妾になることを要求する。部族内の抗争に手を貸した圭介への礼として、夕湖への要求をあきらめ、ポルトガル王朝の隠し財宝のありかを教えることになる。
女呪術師 (おんなじゅじゅつし)
アマゾン奥地の首狩り族、ヒムロ族の呪術師の老婆。前酋長に重用されるも、現酋長のレモから軽く扱われているのに不満を持ち、北の部族も巻き込んだ抗争を起こそうとする。息子のカツキが茨木圭介にあっけなく倒された上、北部族も追い払われてしまい、結局、レモと仲直りさせられる。
ブラック・スネーク
アマゾン奥地で出会ったガリンペイロ(金鉱発掘人)で、ニシキヘビを飼い慣らしている。元・八百長専門のレスラー。金鉱を4つ知っており、その権利を使って、マフィアと交渉、クルーザーヨットをつくって茨木圭介らと共にブラジル脱出を試みるが、アマゾン川を下る途中、マフィアの襲撃により、銃弾を受け死亡する。
ペギー
女船大工。マフィアの紹介で茨木圭介に雇われ、ポルトガル王国の隠し財宝を運んでアメリカへ渡る大型クルーザーを設計、建造する。渡米後は、謎の組織G・P・Xをおびき出すため、社交界の寵児となった圭介の妻として、またトップモデルとして圭介に尽くす。しかし、G・P・Xナンバー2のカルノ・ザンビーノとの戦いで圭介の盾となって死亡。
フリッチョフ・パリー
メキシコで財宝を得て、渡米した茨木圭介の執事として雇われた老人。元は著名な宝石鑑定士。癌で余命1年と宣告され、その余命をかけて、圭介が追っている秘密組織G・P・Xの正体の解明に尽力する。
ミス・ジジ
有名人出演させるポルノフィルムを制作する謎の組織G・P・Xの女性監督。アメフト花形選手であるジョー・ツルギこと茨木圭介とマギーをフィルムに出演させようと、脅迫まがいのスカウトをする。しかし、その撮影中、圭介に欲情、隙をついて陰部に麻薬0号を塗られてしまう。 その苦しみのあまり、愛人であり、G・P・Xナンバー2のカルロ・ザンビーノを圭介に引き合わせてしまう。
カルロ・ザンビーノ
有名人が出演するポルノフィルムを制作するG・P・Xのナンバー2。ただし、ナンバー1との直接の接触はなく、指示は、ミスティという少女の伝達のみだという。また、コーザ・ノストラの一員だが、それとG・P・Xはまったく無関係の組織だという。カルロのコーザ・ノストラのファミリーは、その後、茨木圭介が受け継ぐことになる。
左手キッド (さうすぽー・きっど)
茨木圭介の敵組織G・P・Xのナンバー2であるカルロ・ザンビーノの用心棒。圭介との格闘では、そのナイフさばきで圭介を窮地に落とし入れるものの、ペギーが自らの体を盾として差し出したことにより逆転。命を落とすことになる。
ミスティ
茨木圭介の敵組織G・P・Xから、圭介暗殺の命を受けた16歳の少女。格闘技に優れ、マグナムも自在に扱う。しかし、圭介暗殺に失敗したことでG・P・Xから刺客が送られる一方、圭介に介抱されたことで彼を愛するようになってしまい、自殺を図る。その後は、圭介に付き添うようになり、ホワイト大佐ら強敵が待つ最終決戦での圭介パートナーをも務めるようになる。
リッキー
コーザ・ノストラの下っ端の少年。コーザ・ノストラの幹部に裏切り者として処刑されるところだったが、茨木圭介により救われる。これ以降、圭介の部下として行動を共にする。
ニック・ゴレスキー
巨漢で、射撃にも長けた腕ききながら、血の気が多いために今一つ出世から遠のいているニューヨーク市警の警部。茨木圭介に大金で引き抜かれて、そのボディガードとなる。警察退職後も、協力的な仲間が多い。
ジョルジョ
自動車のテストドライバーで、高度な運転技術とメカニックの知識を持つ。茨木圭介にドライバーとして引き抜かれる。同性愛者で、女性の誘惑に乗ることがない。
ホワイト大佐 (ほわいとたいさ)
ニューヨーク市警本部長だが、血の気の多い退役軍人たちの集団、クラシック・アーミーを統率するゲリラ戦のエキスパートという顔も持つ。茨木圭介の敵組織G・P・Xが送り込んだ最後の刺客。副官として行動を共にするインディアン・ジョーは、ベトナム戦争時代からの部下。 クラシック・アーミーを率いた急襲のほか、インディアン・ジョーと組んで、幾度となく圭介を窮地に陥れる。
インディアン・ジョー
ホワイト大佐と共に茨木圭介の敵組織G・P・Xが送り込んだ最後の刺客。血の気の多い退役軍人の集団、クラシック・アーミーの副官。クラシック・アーミーによる圭介急襲に失敗した後も、ホワイト大佐とタッグを組んで、圭介の命を狙い続ける。
スズキ・ゴンベ
ニューヨークの貧民街に住むホームレスの日本人。命をかけて追いかけたG・P・XがCIAの一機関であり、既に存在しないものと知って失意に暮れ、ホームレスの街にたたずむ茨木圭介を同郷の者として気に掛け、世話をしようとする。
集団・組織
G・P・X (じーぴ-えっくす)
『傷追い人』に登場する闇の組織。ハリウッドスターや一流スポーツ選手など著名人が出演するポルノフィルムを制作し、各国要人や政財界の大物たちに販売する。しかし、実態は、各国要人や政財界の大物たちをいつでも暗殺できるように管理、監視するCIAの一機関だった。
ニューヨークリベンジャーズ
『傷追い人』の組織。メキシコで得た財宝を元にアメリカ社交界に現れたジョー・ツルギこと茨木圭介がオーナーとなり、USFLのひとつとして発足させたアメフトチーム。選りすぐりプレイヤーを引き抜き、圭介自身がクォーターバックを務める。このチームの存在を誘い水として、秘密組織G・P・Xをおびき出そうというのが、圭介の計略だった。
退役軍人会 (くらしっく・あーみー)
『傷追い人』の組織。ベトナム戦争などの帰還兵の非合法組織。かつての修羅場の経験を懐かしがり、一たび駆り出されると戦場さながらの行動をとる危険な集団。これを統率するのは、ニューヨーク市警本部長でもあり、自らもゲリラ戦で活躍したホワイト大佐とその右腕インディアン・ジョーである。
場所
空母ホワイト・ヘアード・デビル (くうぼほわいと・へあー・でびる)
茨木圭介が第二次大戦時代の空母を買い取り、移動医療施設に改造したもの。ただし、空母本来の武装も備えている。ここにホワイト大佐とインディアン・ジョーを監禁・介護をするも、彼らは脱出、乗っ取りを繰り返す。最後は、空母内で、圭介・ミスティ、ホワイト大佐・インディアン・ジョーの4人の決闘がなされ、勝利した圭介は、G・P・Xの正体を聞き出すことに成功する。
その他キーワード
蜥蜴 (りざーど)
茨木圭介が、スケバン小宮夏子に頼まれ、その胸に彫った刺青。これを彫り込む作業により、2人は、互いを永遠の存在と確信するに至る。その後、夏子は、2人の愛のシンボルとして喜び、周囲に刺青をひけらかすように胸をはだけて見せることがあった。
鰐フット (わにふっと)
『傷追い人』のスポーツ・娯楽。茨木圭介が所有するガリンポ(金鉱)で、労働者が楽しんでいるリクリエーション。鰐の頭をボールに見立てて、アメフトをする。ガリンポ乗っ取りをもくろみ、マフィアともつながりのある労働者の一人パパカヨは、鰐の頭の中に時限爆弾を仕掛けて、圭介抹殺を試みるが、失敗。 自らの命を落とす。
タマリスク
『傷追い人』の乗り物。アマゾン奥地で発見したポルトガル王国の隠し財宝を運び出し、メキシコを脱出するために作ったクルーザー・ヨット。設計と建造は船大工ペギー。タマリスクという名は、広大な砂漠を渡る者にその終わりを告げるように繁る木の名から。船には、希望に向けて出港する茨木圭介、日下夕湖、ペギー、ブラック・スネークの手形がつけられている。
麻薬0号 (まやくぜろごう)
モルヒネを精製する過程できる麻薬で、粘膜質から体内に吸収されると、同じ場所から吸収されないと効果が得られないというもの。茨木圭介は、敵組織G・P・Xの女性監督ジジの陰部にそれを塗り付け、思うままにさせることに成功。G・P・Xのナンバー2であるカルロ・ザンビーノを呼びつけることに成功する。
カセットテープ
もし自分が勝負に負け、死んだら聞いてほしいと、ホワイト大佐が吹き込んだG・P・Xの正体を暴く音声を吹き込んだもの。それによると、G・P・Xは、CIAの機関の一つで、世界各国の要人を的確に暗殺する方法を研究し、コンピュータ解析に欠ける専任機関であることが述べられている。