あらすじ
第1巻
高校2年生の寒川鉄志は、もう11年もの長いあいだ、笑ったことがなかった。そんな鉄志は、クラスメートと共に修学旅行先であるグアムへ向かうが、その飛行機が太平洋上の無人島に墜落する。乗客乗員二〇〇人のうち、生き残ったのは約八〇人の生徒と四人の教師、数人の一般搭乗客だけだった。救助も期待できずに落ち込むクラスメートをなぐさめようと足立翔也は笑顔を見せるが、頭が爆発して死んでしまう。この島は笑うと頭が爆発して死んでしまう島だったのだ。極限状態の中、笑いを封じられた鉄志たちだったが、誰かがオナラをするなど、くだらないことでつい笑ってしまい、命を落としていく。そんな中、まったく笑わない点を評価されて、投票でリーダーに選ばれてしまった鉄志は、幼なじみの天知エミやクラスメートを守るために奮闘する。
登場人物・キャラクター
寒川 鉄志 (さむかわ てつし)
男子高校生。2年4組に在籍している。年齢は16歳。自らも「お笑い不感症」と考えるほど、まったく笑うことがなく、もう11年も笑っていない。整った顔立ちをしているが、笑うことがないため人気はなく、クラスメートからはハブられ、教室の隅で一人でいることが多い。しかし、幼なじみでクラスメートの天知エミや足立翔也とは仲がいい。エミからは「テッちゃん」、ほかのクラスメートからは「テッシ」というあだ名で呼ばれている。笑うと頭が爆発して死んでしまう島でのサバイバル生活においては、決して笑わない性格が評価されて、2年2組と2年4組をまとめるBグループのリーダーに選ばれた。寒川鉄志自身が笑わないだけでなく、他人を笑わせるセンスもゼロで、鉄志がギャグを披露しようとした際には、海の潮が引いていき、多数の鳥や魚が混乱して暴れ出すほどだった。そんな中、繰り出した渾身のギャグ「金剛力士像のモノマネ」は、誰一人笑わなかった。島では、愛するエミと仲間を救うためにリーダーとして奮闘している。身長175センチ、体重は62キロ。誕生日は1月20日。
天知 エミ (あまち えみ)
女子高校生。2年4組に在籍している。寒川鉄志の幼なじみで、明るい性格の巨乳の女の子。極度の笑い上戸で、鉄志のギャグを笑ってくれる唯一の存在。また、天知エミ自身が繰り出すギャグは絶望的に面白くなく、鉄志に頼まれてやった一発ギャグは、江戸時代の浮世絵師のモノマネで、当然鉄志は笑わなかった。
足立 翔也 (あだち しょうや)
男子高校生。2年4組に在籍している。年齢は17歳。寒川鉄志の幼なじみで、鉄志には直情熱血型バカと評されている。クラス一の盛り上げ隊長を自負し、99%勢い任せのギャグを繰り出す。相手より先に自分が大声で笑う「誘い笑い」を駆使して、場を明るくする雰囲気作りに長けているため、クラスの人気者。仲間思いの熱血漢で、絶望的な状況で落ち込むクラスメートを元気づけようと笑って見せたところ、頭が爆発して死亡する。島での最初の犠牲者となった。身長182センチ、体重は72キロ。誕生日は4月2日。好きな笑いはベタなネタと、下ネタ。嫌いな笑いはシュール系。
三上 雹一 (みかみ ひょういち)
男子高校生。2年4組に在籍している。年齢は16歳。誰ともつるまない一匹狼で、孤高の不良。喧嘩で相手を病院送りにしたり、再起不能にするなどは日常茶飯事だが、自分から喧嘩をふっかけることはしない。触らぬ神に祟りなし、ということで「凍れる爆弾」の異名を持つ。その端正な容姿とクールな言動が、ひそかに女子生徒のあいだで人気となっている。冷静で分析力に優れ、島での最初の笑い爆死の状況を見ただけで、笑った表情を作っても、心から笑っていなければ爆死することはないことを見抜いた。他人を寄せ付けないクールな雰囲気を漂わせているが、小沢加奈がついしてしまったオナラに笑いをこらえきれずに、最高の笑顔を見せて爆死した。身長180センチ、体重は68キロ。誕生日は2月14日。好きな笑いは風刺系。嫌いな笑いは知性のない笑い。
小沢 加奈 (おざわ かな)
女子高校生。2年4組に在籍している。笑ったら死ぬという状況を理解していながら、ついオナラをしてしまい、不本意ながら三上雹一を死なせてしまった。その状況でさらにもう1回オナラをしたという疑いをかけられ、泣きながら2発目のオナラの犯人捜しを始める。
サホリン
女子高校生。2年4組に在籍している。小沢加奈の親友。ついオナラをしてしまった加奈のことを慰めていた。加奈のオナラが原因で三上雹一が死んでしまった状況下で、うっかりサホリン自身がオナラをしてしまい、加奈のせいにしようとした。
四ノ原 清吾 (しのはら せいご)
数学教師の男性。2年2組の担任を務める。墜落事故で生き残った四人の教師のうちの一人。眼鏡をかけた若いイケメン。笑ってはいけないこと以上に、他人を笑わせてはいけないことが、このサバイバルを生き抜くための鍵になると、寒川鉄志に忠告しようとした。眼鏡をクイッと持ち上げるのが癖。
佐田 雄輝
男子高校生。2年4組に在籍している。バレー部で主将を務めていた経験があるため、リーダーを選ぶ際に寒川鉄志は佐田雄輝に投票しようと考えていた。しかし、やや自己中心的なところがあるほか、口元が少しゆるく、うっかり笑ってしまう危険があるため、考えを改めた。愛称は「サットン」。
盛山 明美
女子高校生。2年4組に在籍している。寒川鉄志からは「モリモリ」の愛称で呼ばれ、一部の生徒からは「姉御」の愛称で親しまれている。面倒見のよい性格で、正義感が非常に強い。鉄志は盛山明美をリーダーとして投票しようかと考えていたが、丸々と太っており、不細工な顔も面白いため、笑ってしまう可能性を考慮して候補から外した。
御海 夕 (みうみ ゆう)
女子高校生。2年4組に在籍している。抜群のプロポーションで、眼鏡をかけた美人。入学以来、校内テストではすべて1位を取っている学園始まって以来の才女。全国模試でもつねに9位以内の順位を維持しており、某有名大学への推薦入学もすでに決まっている。しかし、超が付くほどの変人という噂もある。サバイバル能力が高く、島に不時着後はテントを作ったり、自分で捕らえた魚を焼いて食べている。なぜか関西弁で話す。
茂野 幸一 (しげの こういち)
会社員の男性。寒川鉄志たちと同じ飛行機事故の生き残りで、年齢は38歳。空手三段の黒帯で筋骨隆々な肉体を誇り、「極拳」という文字がプリントされたTシャツを着用している。サバイバル生活に協力しようとしない不良生徒に立ち向かうなど、正義感が非常に強い。
小山内 聡 (おさない さとし)
男子高校生。2年4組に在籍している。年齢は16歳。おかっぱ頭で、太った体型のいじめられっ子。おとなしくて温厚な性格だったが、人を笑わせることが人を殺す凶器になるという状況下で性格が変わり、「絶対に笑ってはいけない無人島」の王になることを宣言する。長年のいじめと小山内聡自身の修練によって磨き上げられた「腹踊り」を披露することで、いじめっ子たちを笑い殺した。身長162センチ、体重は90キロ。誕生日は11月29日。好きな笑いはしゃべくり漫才。嫌いな笑いはリズム芸。
エビス顔の男 (えびすがおのおとこ)
寒川鉄志がグアムへ向かう飛行機内で見かけたエビス顔の太った男性。アロハシャツを着て帽子をかぶり、エビス様のお面を張り付けたような顔をしている。天知エミは不気味な笑顔だと話していたが、笑うことのできない鉄志は、あんな顔に生まれたかった、理想の顔だとの感想を抱いた。いったいどんな人物なのか、墜落事故で生き残っていたのかなど、詳細は不明。
クレジット
- 原作
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井龍 一