独りくん

独りくん

他人を拒絶する孤独な少年の独りくんが、人との出会いと別れを通して、次第に人間としての心を取り戻していく姿を描く。シリアスなテーマではあるが、随所にギャグ描写が挿入されているため、明るい雰囲気を醸し出している。コマ割りは4コマ漫画の体裁を採っているが、4コマ目でオチがつかない事が多く、ストーリー漫画のように話が進んでいく。物語の終盤、ジムが登場してからは通常のストーリー漫画のコマ割りになる。

正式名称
独りくん
ふりがな
しとりくん
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
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あらすじ

第1巻

独りくんは両親もおらず一人暮らしで、自分の殻に閉じこもり、他人と積極的にかかわろうとしなかった。周りの人間の事をくだらない存在と考えており、声をかけてくれるクラスメイトや先生、近所の人達を拒絶していた。しかし、自分が望んでいる一人になればなるほど、寂しさも覚えるようになる。そんな中、独りくんは同じ小学校に通う彼女に恋をする。そして彼女に恋をした事で、独りくんは周囲にも少しずつ心を開きはじめ、初めて猫のパンサを友達として受け入れる。しかし突然、彼女は父親の仕事の都合で遠くに引っ越してしまう。さらに唯一の肉親である叔父が急死して、巨額の遺産を手にした事で周囲は騒がしくなり、独りくんは再び自分の殻に閉じこもってしまう。

第2巻

独りくんパンサ以外と親しくする事もなく、再び周囲を拒絶するようになる。そんなある日、独りくんは通学路で美しい彼女と出会う。美しい彼女も独りくんを気に入り、二人は交際する事になる。美しい彼女の両親を紹介されたり、手編みのセーターをプレゼントされたりと、生まれて初めての恋愛に、独りくんは幸せを感じていた。しかし、美しい彼女の父親の会社が倒産した事で、突然別れを切り出される。独りくんは叔父の遺産の一部を使って美しい彼女を助けたものの、その後、彼女とは音信不通になってしまう。独りくんは裏切られたと絶望するが、それは勘違いであり、美しい彼女の方も独りくんと連絡が取れなくなって泣き暮らしていたのだ。しかも美しい彼女は、独りくんからの連絡を待つあいだに肺炎をこじらせ、亡くなってしまう。悲しみに暮れる独りくんは叔父が残した遺産の大半を手放し、パンサと共に放浪の旅に出る。その途中、独りくんのもとに宇宙からやって来たキツネのジムが現われる。ジムは独りくんと友達になるだけでなく、不思議な力により、死んだはずの両親に会わせてくれるのだった。

登場人物・キャラクター

独りくん (ひとりくん)

小学校に通う小柄な少年。両親は故人であり、現在はマンションで一人暮らしをしている。人生とは何かをつねに考えており、自分なりの哲学を持った生き方をしている。基本的に人間が嫌いで、いっさい人とはかかわろうとしない。人と群れない人生は美しいと感じつつ、その一方で言いようのない寂しさも覚えている。表情が乏しく皮肉屋で、気難しい性格の持ち主。 彼女に恋をしてからは少しずつ他者を受け入れるようになり、猫のパンサと友達になった。いたずら好きで、野良猫や野良犬、気に入らない近所の女性や先生に対してたびたび罠を仕掛けている。走り幅跳びでは記録を測れないほどの運動音痴で、スポーツが大の苦手。

パンサ

独りくんの住む街に住むオスの野良猫。独りくんからいたずらを受けるなど散々な目に遭っているが、なぜか彼に懐いている。最初は独りくんに拒絶されていたものの、次第に共に行動する事を許されるようになり、友達と認められた。そのあとは独りくんの家に住むようになる。

彼女 (かのじょ)

独りくんと同じ小学校に通う同じ学年の少女。穏やかで優しい性格の持ち主で、多数の男子生徒から好意を寄せられている。独りくんも密かに彼女に思いを寄せている。友達のいない独りくんを気にかけ、姿を見かけると積極的に声をかけている。

美しい彼女 (うつくしいかのじょ)

独りくんが彼女の次に恋をした少女。容姿端麗で、明るく社交的な性格をしている。すれ違いざまに自分を見つめている独りくんに気づき、交際がスタートさせた。独りくんを両親に紹介したり、手編みのセーターをプレゼントしたりと、愛を育んでいた。

自殺志望少年 (じさつしぼうしょうねん)

中学校に通う少年。雨の日に増水した川に飛び込もうとしたところを独りくんに説得され、自殺を思い留まった。自殺の理由は「人生の仕組みがなんとなく分ってしまったから」というぼんやりとしたもので、独りくんを呆れさせた。のちに独りくんが美しい彼女に裏切られたと勘違いした際には、あきらめずに生きるよう励ます。

コーハイ

小学校に通う少年で、独りくんよりも学年は下。つねに一人で行動している独りくんに興味を抱き、しつこく質問をするなどつきまとっているが、独りくんにはいっさい相手にされていない。

叔父 (おじ)

独りくんの叔父にあたる男性。仕事が忙しく、つねに飛行機に乗っていた事から、独りくんからは「ヒコーキ」と呼ばれていた。独りくんにとって唯一の血のつながりのある人物であり、幼い頃から独りくんに優しく接していたが、急にこの世を去ってしまう。独りくんに巨額の遺産を残した。

ジム

美しい彼女を亡くして、悲しみに暮れていた独りくんの前に現われたオスのキツネ。日本語をあやつり、思い描いた人物に変身できるほか、不思議な道具や力を持っている。実はジムの祖先が地球人に恩があり、それを返すため4億光年先の惑星からやって来た。ジム自身は地球に住みたいと願っており、独りくんの親友になる事で、地球人として生まれ変わる権利が手に入る。

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