概要・あらすじ
会社員の田中康一は、ふとしたことで、大将(ウィリアム・トーマス・ジェファーソン3世)と呼ばれる猫がオーナーで料理人の店「猫ラーメン」の常連になってしまう。大将は思いもよらぬ発想で、珍妙なラーメンや不可解なサービスを提供し(途中からカレーの店も開いてしまう)、人々や動物たちを困惑の渦に叩きこむのだった。
登場人物・キャラクター
ウィリアム・トーマス・ジェファーソン3世 (うぃりあむ・とーます・じぇふぁーそんさんせい)
人語を解し、ラーメン店を経営し、自らラーメンも作るオス猫。種類はアメリカン・ショートヘアー(ホワイトコート)という、珍しい真っ白な猫。いつも鉢巻を絞め、黒い前掛けを身に着けている。目は普段は閉じて、一本の線で描かれている。特注のコンタクトレンズを使っているらしい。体調60㎝、体重6㎏くらい。 本名は、ウィリアム・トーマス・ジェファーソン3世。12匹くらいの弟と、一匹の妹がいる。トップモデル猫の父から後継者となることを期待され、厳しい教育を受けるが、それに耐え切れず家出する。様々な職業を経験するが上手くいかず、 絶望して川に飛び込もうとしたとき、屋台のラーメン屋の親父さんから一杯のラーメンを差し出され、そのうまさにラーメン屋になることを決意する。 屋台から始めて努力の結果、「猫ラーメン」という店のオーナー兼調理人になる。大将が作るラーメンは、ぬるく伸びている上、猫の毛が入っているが、猫が作っているというだけで評価されている。 そして、大将は予想の斜め上を行くとんでもないラーメンを無数に創作し、不可解で理不尽なサービスを大量に実施して、常連の田中や人々をのたうち回らせる。 さらにカレー屋も始めてしまい、混乱にますます拍車をかけた。猫ということで特別扱いされることを好まない。また、可愛がられたりいじられることを、非常に嫌悪する。
田中 康一 (たなか こういち)
大手家電メーカーの営業マン。大将(ウィリアム・トーマス・ジェファーソン3世)の店猫ラーメンの常連。作品中で26歳になる、独身で、都内のワンルームマンションに一人暮らし。大将の動向が気になり、美味しくもない猫ラーメンの常連になってしまう。まりこやものすごく猫が好きな課長(上司)を店に連れてくる。 大将の思いつく新型ラーメンやサービスのせいで、いつもひどい目に会う。
ウィリアム・トーマス・ジェファーソン2世 (うぃりあむ・とーます・じぇふぁーそんにせい)
大将(ウィリアム・トーマス・ジェファーソン3世)の父親で、種類はアメリカン・ショートヘアー(回によって縞模様があったりなかったりする)。本名はウィリアム・トーマス・ジェファーソン2世。コンテストのチャンピオンで、血統書付き(父母はともに全米チャンピオン)。10社以上とスポンサー契約を交わす、スーパーキャットモデル。 オスだが、撮影の時はリボンを付ける。息子にも同じ道を歩ませようとスパルタ教育を行い、家出された。その後、息子とは和解。妻のマーガレット・ビクトリアン・ローズが作るカレーが大好物だが、猫が作るカレーなので、マタタビや猫草が入っている。妻もアメリカン・ショートヘアー(ホワイトコートで、毛並みは純白)。
2号店の人 (にごうてんのひと)
猫ラーメンの初めての人間男性バイト(それまでは猫がバイトだった)。名前はなく、バイトとかあいつなどと呼ばれていたが、そのうちいつの間にか出来た2号店の店長になる。デブ・メガネ・ヒゲでボソボソしゃべる。中盤以降に作られる「猫カレーランド」では、様々な着ぐるみで登場。27歳。 身長178㎝。
池沢 麻利子 (いけざわ まりこ)
事務職の若い美人の女性。田中康一が好意を抱いている相手。田中はまりこが好きなのだが、彼女は田中を友達としか思っていない。田中に連れられて猫ラーメンに行き大将(ウィリアム・トーマス・ジェファーソン3世)を面白がるが、ラーメンは嫌いだし犬派だし、と発言して大将を怒らせる。 大将を見るためだけに猫ラーメンに来るようになる。後にイケメンだがものすごい大食漢のあっくんと付き合った。家で、ミニチュアダックスフントのマリーを飼っている。英語とフランス語が堪能。先輩女性事務員のワッシーを猫ラーメンに連れてくる。
しげちゃん
猫ラーメンの二人目の人間男性バイト。長髪でヒゲが長く、浮浪者のような外見。レジの紙幣をポケットに入れたり、店のものを勝手に質屋に入れており、手癖が悪い。あんパンや菓子パンをやたらと食べる。大将(ウィリアム・トーマス・ジェファーソン3世)の12匹の弟を飼っていたことがある。一度はバイトをやめるが、また戻ってきた。 終盤に川に浮かぶイカダの上で開店した「幕末の猫ラーメン・黒船」のバイトをやるが、川に流されていってしまった。
親父さん (おやじ)
全てに絶望していた大将(ウィリアム・トーマス・ジェファーソン3世)に、ラーメンを教えた中年男。屋台のラーメン屋を営業していた。大将が、親父さんの納得がいくラーメンを作れるようになったとき、大将に自分の鉢巻と屋台を渡して去ってゆく。
田中の父 (たなかのちち)
田中 康一の父親。ラーメン屋がやりたくて、仕事をやめて猫ラーメンで修行する。妻(田中の母)がカレー屋をやりたいと言い出し、猫カレー]に行ったりするが、結局猫ラーメン3号店を始める。その後も「猫シーフードカレーランド」の手伝いなどで、拡大していく大将(ウィリアム・トーマス・ジェファーソン3世)の事業に参加する。 年齢・名前は夫婦ともに不明。
徳さん (とく)
猫ラーメンの三人目の人間男性バイト。老人で、毛髪がごく少ししか無い。当初は、時給は牛乳で支払われていた(1時間にコップ1杯)。気が短い双子の弟の「卓さん」(たく)も、そのうちバイトで働くようになる。この二人を「双子のイケメン執事」としたところ、店に大量の熟女が訪れた。
吉田さん (とく)
猫ラーメン初めての人間の女性バイト。名前と年齢不明。三角巾をかぶって割烹着を着た中年女性で「お袋の味」メニューを提案する。次第に店を仕切るようになり、そのうちにノウハウを吸収しきったと言って辞め、猫ラーメンの隣に「お袋の味ラーメン吉田さん」を開く。以後もいろいろ大将(ウィリアム・トーマス・ジェファーソン3世)に反発したり共闘したりする。
白金台 淳 (しろがねだい あつし)
イケメンの会社員だが、変食でものすごい大食漢。まりこの会社の新人で、まりこと付き合っていた。大将(ウィリアム・トーマス・ジェファーソン3世)の作るマカロンやフルーツの乗ったラーメンを、平気で完食する。彼が大食漢であることがわかると、大将は「大食いラーメンバトル」の企画(あっくんとフードバトルをやって勝ったら料金無料、負けたら二人が食べた分全部払う)を実行する。 あっくんは勝ち続け、大将は大儲けする。やがてあっくんは自分より大食いな少女みっちゃんを知り、そちらと付き合うようになる。みっちゃんは猫ラーメンで働くようになった。
雨宮 辰夫 (あめみや たつお)
猫ラーメン初めての新卒社員。パンチパーマにサングラスをかけ、口ヒゲを生やした、体格のいい男。幼い頃から老け顔で、子どもと思ってもらえず不満を感じていたが、ある日大将(ウィリアム・トーマス・ジェファーソン3世)に「ボウズ」と呼ばれ感激し、以後、尊敬するようになった。 留年を重ね、十年かかって高校を卒業し、猫ラーメン初の新卒社員となる。
鷲尾 みさ子 (わしお みさこ)
まりこの先輩女性事務社員。ものすごく猫好きで、まりこに猫ラーメンを紹介されてからは、やってきては大将(ウィリアム・トーマス・ジェファーソン3世)をものすごい勢いで撫で回している。大将はそれが非常に苦痛となっている。大将の妹猫のパトリシアを飼っている。 家は大富豪。父母、祖父母も猫好きで、それぞれ血統書付きの猫を飼っている。大将は、鷲尾一族五人から撫で回され続けたことがあった。
山川 鉄男 (やまかわ てつお)
トラック運転手で猫ラーメンの常連、かつ大将(ウィリアム・トーマス・ジェファーソン3世)のトランプゲーム仲間。むかしは、大将の屋台の近くの工事現場で働いていた。金をためてトラックを買って、日本中を回る運転手になった。「友達紹介サービス」で雇われたオタクの渡辺さん(渡辺さんの友だちになると、ラーメンが安くなるサービス)と知り合ってから、トランプに怪獣フィギュアを組み合わせたゲームも始める。
場所
猫ラーメン (ねこらーめん)
大将と呼ばれる猫が経営するラーメン屋(ウィリアム・トーマス・ジェファーソン3世)。基本はカウンター席のみ。大将が思いつく、得体のしれないラーメンやサービスを提供する。3号店まで展開している。2号店は、ラーメンだけでなく、ファンシー雑貨やレンタルビデオと、やたらと一緒に扱うものが変転する(ただし店長は、「2号店の人」)。 また大将はカレー屋「猫カレー」も開店。こちらは「猫カレーランド」に発展し、最終的には巨大ホテルも含む「猫カレーリゾート」となった。
その他キーワード
元祖・猫麺 (がんそ・ねこめん)
猫ラーメンで用いられる、かつを節と牛乳が練りこまれた特製の麺。店の入口にも大きくその名前が書いてある。昔、大将(ウィリアム・トーマス・ジェファーソン3世)が病気の猫を助けるため、猫でも美味しく食べられるよう工夫して作った麺。鈴木製麺所の鈴木さんに作ってもらっている。