概要・あらすじ
記憶喪失であるオンナスキーは、自分の父かつ宇宙人であると主張する支離滅裂な人物ファーザーと共に暮らしている。ファーザーが目指すのは神聖モテモテ王国の建国。その手始めとして、異性にモテるための珍作戦を繰り返すが、どちらも異性に縁がないため、さっぱり上手くいかない。そんな中、ファーザーを監視する、悪の秘密組織の面々も出没するようになり、平和な街はファーザーとオンナスキー親子、そして悪の秘密組織によって大騒ぎとなっていく。
登場人物・キャラクター
ファーザー
宇宙人であり、オンナスキーの父でもあると主張。オンナスキーのアパートに同居する。神聖モテモテ王国の建国を目指し、オンナスキーと共にナンパという名の珍作戦を展開する。モテるためのテクニックなどをどこからか仕入れてくるものの、異性に縁がないため、その作戦はピント外れのものばかり。 アニメや漫画のパロディが散りばめられた支離滅裂な言動を繰り返し、幻覚・幻聴も日常茶飯事で、麻薬中毒者と間違えられることもしばしば。ズボンを履くのをいやがり、耳の突起物をなでるだけで夢うつつになるなど、常人とかけ離れた行動が多い。犬に全身を噛まれたり、首に縄をかけられてぶら下げられても決して死なない。 カップルを別れさせてナオン(女性)を手に入れようとしたり、オンナスキーだけがモテた場合は殺害することも辞さないなど、性格は自己中心的。三国志の軍師・諸葛亮孔明が持つような羽扇を手に、何やら深い洞察に満ちたような台詞を呟く場合もあるが、行動は常に短絡的である。神聖モテモテ王国を建国するための熱意だけは本物で、何があっても諦めることがない。 行動を起こす度に、警察に捕まったり、やくざに絡まれたり、死亡したりと、異様なまでに運が悪い。悪の秘密組織と何らかの関係があるようで、彼らの調査によると、通常人とは逆の左に巻いたDNAを持ち、タンパク質も変わったアミノ酸で構成されているという。
オンナスキー
15歳の学生。深田一郎という本名があるが、ファーザーからはオンナスキーとしか呼ばれない。自分の父を自称する怪しげなファーザーをアパートに住まわせて生活の面倒を見るという、庇護者のような役割。刈り込んだ短髪に眼鏡をかけ、詰め襟の学生服を常時着用する。いつもファーザーにそそのかされて無謀なナンパに出かける。 ファーザーにそそのかされたとはいえ、異性への羞恥心を捨てるために奴隷のような格好で街へ出るなど、モテたいという願望は人一倍強い。常識外れの格好をしたファーザーをお笑い芸人であると説明するなど、機転がきく一面も。ファーザーと出会った時の記憶を失っている記憶喪失だが、徐々に記憶が戻りつつある。 ファーザーが実の父ではないことを知りながらも許容する。
アンゴルモア大王 (あんごるもあだいおう)
中年の男性。悪の秘密組織ことデビル教団の主。司祭のような黒いマントとカミラフカ(円柱状の帽子)を着用した姿から、オンナスキーより「変なメーテル(『銀河鉄道999』の登場人物)」と呼ばれる。両手を頭の横へ掲げ、かぎ爪状に指を曲げる「かっこいいポーズ」を誇りとしているという、エキセントリックな人物。 罠を開発するのが趣味で、何をしても死なないファーザーを実験台として重宝している。至る所に罠を仕掛け、ファーザーを妨害。オンナスキーやファーザーにからかわれただけで、彼らが住むアパートをミサイルで破壊しようとする、プライドの高い小心者。
キャプテン・トーマス (きゃぷてんとーます)
アンゴルモア大王の部下。自分を崇拝するヘビトカゲと共に行動する。爽やかな白人男性のような風貌を持ち、胸に「T」の文字が入った衣装を着用。地球や自然を憂う言動を繰り返すなど、一見スーパーヒーローのような善人に思える。しかしその実態は、言葉巧みにヘビトカゲを利用するばかりか、すきあらば周囲の人から金品をだまし取ろうとし、常習的に下着泥棒を行う卑劣漢。 女性をナンパしようとするが、相手を欲望のはけ口程度にしか思っておらず、ファーザーやオンナスキーと敵対する。
ヘビトカゲ
キャプテン・トーマスを崇拝し、行動を共にする肥満した大柄な男性。力が強く、無造作な一撃でファーザーやキャプテン・トーマスを吹っ飛ばすことも。純朴な青年で、キャプテン・トーマスの命令には疑問無く従う。
ブタッキー
ニキビ面にぼさぼさの髪、肥満した身体にトレーナーを着込み、ショルダーバッグをかけている。いわゆるオタクのような姿からファーザーがブタッキーと名付けた。女性たちからはマーくんと呼ばれる。モテる男性像とはかけ離れた体型・ファッションながら、学生から社会人まで幅広い層の女性を虜にしており、同時に二人を従えることも珍しくない。 ファーザーとオンナスキーがモテようとして二人で四苦八苦する姿を見て「楽しそう」と評するなど、男性の友情に飢えているらしい節がある。
知佳 (ちか)
オンナスキーの従姉で、彼のことを「いっちゃん」と呼ぶ。記憶喪失の身で一人暮らしをするオンナスキーを心配し、地元から出てきて何かと世話を焼く、善良な女性。怪しげなファーザーと関わるオンナスキーを心配するが、ファーザーのおかげでオンナスキーが明るくなったことも見抜いており、二人が喧嘩した際は仲直りさせようとする。
山下 (やました)
ブタッキーに夢中になっている女性の一人で、某広域暴力団の若頭の娘。ブタッキーにつきまとうファーザーにレンガを投げつけるなど気が強いが、ブタッキーへのプレゼントを素直に渡せない純情な一面もある。ファーザーからはレンガさんと呼ばれて恐れられる。やくざに連れ去られようとしたところをファーザーに助けられる。
使徒 (しと)
『神聖モテモテ王国』の登場人物で、デビル教団のメンバーたち。常に全員が黒覆面をしており、見分けがつかない。アンゴルモア大王を守ることを任務としており、風体の怪しい自分たちが地域社会から排除されないよう、様々な工作を行っている。
集団・組織
デビル教団 (でびるきょうだん)
『神聖モテモテ王国』に登場する組織。作中では悪の秘密組織と呼ばれることが多い。アンゴルモア大王がリーダー。東京を吹き飛ばせるだけの兵力や、アンゴルモア大王の命令通りに発射されるミサイルを所有している。また、テロリストとして逮捕されたアンゴルモア大王をすぐに釈放させるなど、国家中枢にはたらきかけるだけの権力もある。
場所
神聖モテモテ王国 (しんせいもてもておうこく)
『神聖モテモテ王国』に登場する架空の国家。ファーザーの目的はこの国を建国することにある。その実態は不明だが、「男なら誰もが夢見た愛と徳による絶対王制」「ナオンと彼らだけの蜜あふるる約束の地」というナレーションや、無数の女性にファーザーが取り巻かれている妄想から、国王ファーザーのハーレムを中心とした国家であるらしいことが窺える。 実体を一切持たないが、ファーザーは通貨を発行したり、独立宣言を行ったりと忙しい。
その他キーワード
ナオン
『神聖モテモテ王国』に登場する用語で、女性のこと。なぜかファーザーは女性のことをナオンと呼ぶ。1話当たり数人のナオンが登場することも珍しくないが、名前は不明のままであることがほとんど。これはファーザーとオンナスキーが名前を聞き出すところまで親しくなれないため。テレビの撮影と勘違いしたり、逃げ出したりと、二人のナンパに対する反応も様々。
ナンパ
『神聖モテモテ王国』で、主人公のファーザーとオンナスキーがナオン(女性)をモノにするために行う行為。モテるとされる人間になりきってナオンに声をかけるという、一般的なナンパというよりは、コスプレや演劇の要素が多分に含まれた行動である。スパイがモテると聞けばスパイになりきり、画家がモテるとなれば街角へ赴きナオンの前で絵を描いたりと、その活動は多岐に渡る。 しかし、モテる人のうわべだけを真似した付け焼き刃であるため、ほとんど上手くいかない。
書誌情報
神聖モテモテ王国 6巻 小学館〈少年サンデーコミックス〉
第1巻
(1997-01-18発行、 978-4091251718)
第2巻
(1997-07-18発行、 978-4091251725)
第3巻
(1998-02-18発行、 978-4091251732)
第4巻
(1998-06-18発行、 978-4091251749)
第5巻
(1999-05-18発行、 978-4091251756)
第6巻
(1999-11-18発行、 978-4091251763)