まじめな会社員

まじめな会社員

冬野梅子の代表作。契約社員の菊地あみ子が仕事や人間関係に悩みながらも、自分らしく生きるために奮闘する社会人ラブコメディ。協調を望みながらも妥協を許せずにストレスを溜め、周囲の目を意識しすぎて見栄を張ったり、自己肯定感が低いことから劣等感を抱いたりと、アラサー独身女性の生きづらさをコメディタッチに描いている。講談社「コミックDAYS」で2021年8月から2022年5月にかけて配信の作品。2022年に文藝春秋「第1回CREA 夜ふかしマンガ大賞」1位を獲得したほか、宝島社「このマンガがすごい!2023」オンナ編3位を獲得している。

正式名称
まじめな会社員
ふりがな
まじめなかいしゃいん
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
 
ラブコメ
レーベル
モーニング KC(講談社)
巻数
既刊4巻
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自意識拗らせアラサー女子の日常

本作は、地方出身者で東京の会社に転職したアラサー独身女性を主人公にしている。菊池あみ子は生真面目な性格で仕事もそつなくこなしているが、とにかく要領が悪く生活に潤いを持てずにいた。あみ子の中では、人に認められたいという承認欲求と、彼氏と楽しく過ごしたいという安心感への欲求が絶えず渦巻いており、その両方を満たすために勉強に励み、おしゃれにも気を遣っている。しかし自他共に認める面倒な性格と、それに伴って自己肯定感が低いことから、なかなかうまくいかずにいる。本作は世間や周囲の人々に翻弄されつつも、自分の幸せのために奔走するあみ子の姿が、コロナ禍の社会情勢に即して描かれている。

まじめな会社員が抱える苦悩

あみ子は、5年前に交際していた恋人と別れて以来、まったく浮いた話がないことに焦りを覚えていた。そのため、仕事をこなす傍らで思い切って1年前からマッチングアプリに登録するが、自らの望む恋愛にはまったくたどり着けずにいた。そんな中、あみ子は書評で知られるライター・今村直之と読書会で知り合う。もともと読書好きなあみ子は、直之と意気投合したことに充実感を得て、新たな恋の始まりを予感する。しかし、直之は既にあみ子の友人である小山綾と付き合っており、のちにそのことを知ったあみ子は複雑な思いを抱く。

コロナ禍による生活の変化

本作は2021年のコミックス発刊当時、猛威を振るっていた新型コロナウイルスに関する世論が反映されている。あみ子が勤務する会社も例外ではなく、リモート会議が一般化したり、出社する頻度が減ったりするなど、生活が大きく一変することになる。あみ子は、毎日通勤電車に揺られて出社しなくてもよくなったことに開放感を覚える一方で、仲のいい友達と遊びに行ったり飲みに行ったりする機会も減り、ショッピングやイベントに出かけることも少なくなったことを危惧していた。しかし、いざ緊急事態宣言が発令されても思ったほど生活は変わらない。そんな、コロナ禍にあっても結局生きづらさを抱えるアラサー独身女性の日常を、コメディタッチながら辛辣に描いている。

登場人物・キャラクター

菊池 あみ子 (きくち あみこ)

契約社員の女性。年齢は30歳。自分に素直な性格で向上心が強く、幸せになるためには努力を惜しまない。結婚せずに自由気ままに振る舞っているように見えるが、自意識こじらせ系で要領が悪く、コツコツ積み重ねてきた人間関係もコロナ禍で台無しになるなど、運も悪い。5年ものあいだ彼氏がいないことをひたむきに隠し、出会いを求めてひそかにマッチングアプリに登録したりと、見栄っ張りな一面がある。また寂しがり屋で、男女問わずに人と信頼関係を築きたいと願っている。ライターの今村直之がお気に入りで、なんとか彼と親しくなりたいと考えている。

今村 直之 (いまむら なおゆき)

ライターを生業とする青年。読書評論で活躍しており、書籍界隈ではそこそこ有名人で、今村直之の書評ブログは菊地あみ子からも読まれている。定期的に開催している読書会で、同僚の小山綾に勧められて参加したあみ子と出会い、さらに読書会終了後にインスタグラムの交換に応じた。しかし実は綾と交際しており、あみ子から好意を寄せられていることにも気づいていない。綾からは「なおくん」と呼ばれるほど仲がよかったが、のちに彼女にふられてしまう。

書誌情報

まじめな会社員 4巻 講談社〈モーニング KC〉

第1巻

(2021-12-08発行、 978-4065259283)

第2巻

(2022-01-12発行、 978-4065264485)

第3巻

(2022-04-13発行、 978-4065274460)

第4巻

(2022-07-13発行、 978-4065284599)

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