概要・あらすじ
帰宅中の小畑旭は、自宅の前で倒れている小さな男の子と若い男性に出会う。手助けしようと旭が子供を預かると、なんと男の子は旭の首筋に噛みつく。彼らの正体は吸血鬼で、血を求めて旭にすがったというのだ。吸血鬼に血を吸われ、仮親となってしまった旭の献血ライフが、こうして始まるのだった。
登場人物・キャラクター
小畑 旭 (おばた あさひ)
ヒカトの仮親として血を分け与えることになってしまった女子高生。はじめは人外の存在を恐れていたが、ヒカトのことを知るうちに考えを改め、彼らを知ろうと近づいていく。一度ヒカトの血を飲んで以来、感情が高ぶると吸血鬼化するようになってしまった。外にはねてしまう黒髪のくせっ毛が特徴。
ヒカト
小畑旭を仮親に選んだ吸血鬼。普段は幼い少年の姿をしているが、旭の心臓に近い位置に流れる血を得ることで大人の状態に戻ることができる。本来は人間をエサにする立場だが、血を与えてくれる人間に義理を感じ、「闇の一族」の攻撃から守っている。大人になると備わる戦闘用の別人格を持っており、成長した姿はまさに別人。旭はそのギャップに振り回されつつも、両方を愛するようになっていく。
夕里 (ゆうり)
ヒカトのしもべのコウモリ。本来は人間だったが、自らの意思でヒカトの眷属となることを決め、吸血鬼となった。人間時は慇懃な雰囲気の眼鏡の成人男性だが、変身すると小さなコウモリの姿になるため、旭には小動物扱いされている。
マリエル
吸血鬼の少女。ヒカト、特に大人の状態の彼に惚れ込んでおり、彼を心配して人間界へやってきた。ウェーヴのかかったロングヘアにロリータ風の服装をした幼い少女だが、プライドが高く攻撃的な性格。小畑旭に対しても「彼女が親切なのはヒカトの力が目当てである」と懐疑的に振る舞う。街に結界を張って人間を守るという、ヒカトのやりかたに反対している。
テンガ
月鬼族の少年。長い前髪と中華風の服装が特徴。マリエルの婚約者を自称しているが、マリエル本人は認めておらず、「ペットとしてなら」という条件付きでそばに置かれている。雷獣を使役することができ、実は高貴な身分の存在。ヒカトに頼りきりにならず、自分の住む土地を一緒に守ろうと努力する小畑旭を評価している。
樏 (るい)
ヒカトの元仮親の女性。貧しい村の生まれで、日照りの年に雨乞いの生贄にされそうになったところをヒカトに助けられ仮親となった。壮絶な過去から人間を強く憎んでおり、ヒカトの介助で吸血鬼として生きることを選んだが、長い時を生きるうちに暗い感情ばかりが募り、人間たちへの復讐を企てる。
金森 青流 (かなもり せいりゅう)
小畑旭たちが暮らす街にある神社の神主の息子。23歳。父や妹がヒカトを「鬼神(おにがみ)様」と慕う一方で、金森青流のみがヒカトに強い敵意を抱いている。かつてはヒカトとも兄弟のように過ごしてきたが、考えを翻すに至ったのは、留学していたルーマニアで吸血鬼と人間の関係について学んだためであった。
金森 瑞葉 (かなもり みずは)
金森青流の妹。兄と同様に最近までルーマニア留学しており、年齢は小畑旭と同じ16歳。兄とは真逆にヒカトを深く慕い片想いしているが、愛情表現が過剰気味で嫉妬深く、彼をよく困らせている。最初は旭をライバル視していたが、次第に彼女を認めるようになる。走るのが極端に遅い。
ハリボー
吸血鬼の女王であるレジーに仕える妖精。小柄な身体と大きな耳、長い髪が特徴。女王の命で旭たちのところへ贈り物を届けたり、闇の世界を案内したりする。本業は仕立て屋で、編み物が得意。小畑旭にも手製の羽織物をプレゼントした。
レジー
闇の世界に住む吸血鬼の女王。実務的かつ合理的な性格で、派手な服装や豪華な装飾を好まないさっぱりした雰囲気の人物。幼い頃は特異体質に苦しみ長生きできないと言われていたが、ヒカトの協力により一命を取り留め快復した。ヒカトのことを次期吸血鬼の王にしたいと考えている。
ライゼル・ストレイン (らいぜるすとれいん)
ヒカトの医者として派遣された吸血鬼の男性。真ん中で分けた肩までの長髪と八重歯、飄々とした態度が特徴。ヒカトのことを医学的に興味深く捉えており、彼の身体を徹底的に検査したがる。全身を液体化させる能力がある。
クロア
ライゼル・ストレインのお目付け役の少年。レジーの母方の遠縁にあたる「紅(こう)の者」だが、ヒカトとの血のつながりはない。ライゼルとは対称的に落ち着いた雰囲気だが、ヒカトが王位を継ぐことに反対しており、継承前に亡くなってしまえばいいと考えている。
アヤネ
ヒカトの最初の仮親を務めた女性で、金森家が仕える神社の創始者。夫と死別後、幼い娘2人を女手一つで育てた強い人物。ヒカトの「仮親」となり、血が必要なくなった後もヒカトと交流を続けていたが、それが原因で子供が妖鬼の標的となり殺害されてしまった過去を持つ。
星辰 (せいしん)
月鬼族の王を務める若い男性。闇の世界の最大勢力である月鬼族を束ねる存在で、その王妃は即位前から決まっており、その他にも多数の妻をめとることをならわしとしている。レジーのことは「レジ子さん」と呼ぶ仲で、気が合い、国政的にも良い関係を築けていると考えている。
場所
闇の世界 (やみのせかい)
人ならざる者が住まうもう1つの世界。元々は「ヨミ」と呼ばれており、「闇」という言葉とは対称的な広い青空と緑にあふれる美しい世界。現在はテンガの属する月鬼族を最大勢力とし、闇の世界に住む吸血鬼たちは彼らの協力のもと血を得ている。
その他キーワード
仮親 (かりおや)
理由あって傷ついた吸血鬼が元の力を取り戻すまで、定期的に血液を提供する人間のこと。誰でも務められるわけではなく、対象の吸血鬼と血の相性が良い人間が求められる。本来は非常手段として用いられる関係と方法だが、ヒカトはある事情により継続して仮親を必要としてきた。