甕のぞきの色

甕のぞきの色

末期の癌をも治すといわれる不思議な水にまつわるエピソードを描いた不思議な物語。「別冊プリンセス」1991年11月25日号から1993年2月25日号にかけて掲載された作品。

正式名称
甕のぞきの色
ふりがな
かめのぞきのいろ
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
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概要・あらすじ

婚約者からしつこく勧められて人間ドックを受けた横田郁夫は、再検査の通知を受けても、さほど驚きはしなかった。まだ26歳だし、健康には自信があったからだ。しかし、再検査のために病院へ向かった郁夫は、医者が末期の癌でもう助からないと話しているのを聞いてしまう。癌を治す不思議な少女の噂を聞いた郁夫は、会社も辞め、藁にもすがる思いでその少女がいる泉深館(いずみかん)を訪れる。

そこで出会った鈴木比売子は、とても18歳には見えない中学生男子のような少女だった。治療法は、絶食しながら彼女から渡された水を飲むだけ。泉深館には、郁夫のほかにも末期癌患者が常時20人ほど滞在しているが、水のおかげなのか誰もが明るく助け合って暮らしていた。あれほど郁夫を苦しめていた痛みもウソのように消え、気持ちもおだやか。

しかし、泉深館で水を飲んだ女性がその場で急死するという事件が起こり、警察やマスコミが訪れる騒ぎへと発展してしまう。

登場人物・キャラクター

横田 郁夫 (よこた いくお)

科学情報誌の編集者で26歳の男性。長身で美形。末期の胃癌を患い、癌を治すという噂のある泉深館(いずみかん)を尋ねる。もともとは合理的な考えの持ち主なのだが、現代医学に見捨てられたと考えており、藁にもすがる思いで、怪しげな泉深館の扉をたたく。

美奈子 (みなこ)

横田郁夫の婚約者。郁夫との結婚式を3か月後に控えた美女。胃の調子が悪いという郁夫を心配して、しつこく人間ドックを進める。郁夫を深く愛していて行動力もあり、何も言わずに消えた郁夫を捜して、泉深館(いずみかん)までやってきた。泉深館の水については懐疑的。

鈴木 比売子 (すずき ひめこ)

癌を治すという噂のある少女。本名は「明美(あけみ)」という。18歳だが、黒い短髪にきりりとした鋭く大きな瞳、ブレザーに半ズボン姿で、中学生の少年にしか見えない。幼い頃に雑木林で見つけた不思議な水たまりを指で突いたところ、あっという間に水が沸き出したという体験を持つ。その時、突然、自身の額を風がスースーと通り抜けていくのを感じ、湧き出した水が何らかの力を持っていると確信する。 鈴木比売子の特別な能力と水に気づいた母は、泉深館(いずみかん)を作り、娘に「比売子」と名乗らせて教祖のように祀り上げ、全国から救いを求めてやってくる癌患者を受け入れている。

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