あらすじ
第1巻
何事にも熱中した経験のない下平みちるは、30歳を間近に控え、とりあえず結婚につながる恋人がほしいと奮闘していた。そんな中、本社から青柴雄丞が異動して来る。整った見た目のうえに、仕事もできる青柴にアプローチを開始したみちるだったが、青柴からは拒否されるだけでなく、人員整理の対象に入っていると告げられてしまう。解雇されたくない思いからみちるは必死に努力し、これまで成し遂げた事のない目標を達成し、青柴から褒め称えられる。そんな青柴に対してみちるは増々好意を抱いていくが、これ以上好きにならないようにと、控えめに目立たないようにしていた。しかし、青柴はみちるが三宅から悪質な勧誘を受けていると知ると助けに入ったり、電車内で無防備な寝顔を見せたりと、みちるの心をかき乱していく。そんな中、青柴の元恋人と噂される名執亜矢子が、業務のサポート役としてみちるの支店にやって来る。目の前で親しそうな様子を見せる青柴と亜矢子に心を痛めつつも、みちるは目の前の仕事に集中していた。その努力が実り、みちるは初めて自分が出した企画を実現させ、仕事にやりがいを覚えていく。
第2巻
恋心を募らせた下平みちるは、再び青柴雄丞に告白をするが、拒絶される不安から答えを聞かずにはぐらかしてしまう。その後もみちるは積極的な行動を起こせず、青柴との距離は縮まらない日々が続く。そんな中、みちると青柴の共通の知り合いが結婚式を挙げる事になった。その三次会として、みちるは青柴の自宅で二人きりで酒を飲む事になる。そこでみちるは幸せを覚えつつも、やはり青柴の胸の中には名執亜矢子がいる事を実感してしまう。みちるは不本意ながらも青柴の幸せのためならばと奮起し、海外勤務のために出国する亜矢子のもとへ向かうよう、青柴の背中を押す。この一件以来、みちるは失恋が決定したと落ち込むが、そんな彼女のもとに、叔母が宇佐美基とのお見合い話を持ち込む。当初は青柴への気持ちを吹っ切るために、お見合いに応じたみちるだったが、宇佐美の温かな人柄に好感を抱き、このまま結婚すれば幸せになれるのではないかと考え始める。
登場人物・キャラクター
下平 みちる (しもひら みちる)
東京都内にある商社の支店で、契約社員として勤務する女性。独身で、30歳の誕生日を間近に控えている。これまでの人生の中で深く悩んだ事も挫折した事もなく、何となく流されるように日々を過ごして来た。しかし30歳を目前に、このままではいけないと考えを改め、まずは結婚へとつながる恋人作りをするために行動を起こす。支店に異動して来た青柴雄丞に好意を寄せるものの、最初はまったく相手にされないどころか、人員削減の候補だと言われて落ち込む。その後、青柴の意外な一面を知る毎に好意を抱くようになり、仕事にも真摯に打ち込むようになる。仕事面でのスキルは低いものの、周囲を明るく和ませる力があり、社内のムードメーカー的な役割を担っている。
青柴 雄丞 (あおしば ゆうすけ)
東京都内にある商社に勤務する男性。独身で、年齢は27歳。若いながらもスキルも実績もあるため、将来を有望視されている。その一方で周囲からのやっかみも多く、特に男性社員からは根も葉もない噂を流されるなど、嫌がらせを受けている。しかし、本人は仕事で実績を残すだけだと、まったく相手にしていない。これまで本社に勤務していたが、視察のために一時的に下平みちるが働く支店で働く事になった。異動の理由は支店の業務内容を把握するためと公言しているが、本当は無駄な人件費をカットするためのリサーチが目的だった。最初は適当に仕事をしていたみちるを、人員削減の候補者扱いし、冷たい態度で接していたが、必死に努力するみちるの姿を見ていくうちに、少しずつ考えを改めるようになる。5年前から名執亜矢子に片思いをしているが、気持ちを伝えられずにいる。
前原 エリ (まえはら えり)
東京都内にある商社の支店で働く独身女性。下平みちるの後輩。外国語が堪能なため、外国人への対応を任されている。そのほかにも実務に役立つ資格を多数取得しており、みちるをはじめ周囲から信頼を集めている。非常に堅実な性格で、将来のために資産運用もしている。ほかの会社に恋人がいる。
美花 (みか)
東京都内にある商社の支店で働く独身女性。下平みちるの後輩。みちるからは自分と同様に、何となく日々の業務をこなしているだけだと思われていた。しかし実際は英会話スクールに通っていたり、資格取得のために勉強したりと、スキルアップのために努力を重ねている。かわいらしい容姿で、つねに笑顔を絶やさない明るい性格の持ち主。みちるの事を慕っている。
名執 亜矢子 (なとり あやこ)
下平みちるが働く商社の本社に勤務している女性。年齢は34歳。非常に優秀なスキルの持ち主。青柴雄丞と親しく、会社内では青柴の元恋人だと勘違いされている。青柴に対しては好意を抱いており、名執亜矢子自身も青柴から好意を寄せられている事に気づいているが、自身がバツイチで子持ちな事から恋に踏み出す気はない。34歳に見えないほどの若々しさとかわいらしさを兼ね備えており、初対面のみちるから年下だと勘違いされた。現在は青柴のプロジェクトを手伝うため、みちると同じ支店に勤めている。3年ほど海外勤務をした事がきっかけで青柴と疎遠になっていたが、帰国したあとに再び親しい間柄になっていく。
キク
「丸の内北クリニック」に勤務している看護師の女性。下平みちるの学生時代からの友達。既婚者で子持ち。つねに感情を表に出さない、落ち着いた雰囲気のクールビューティー。クリニックではコラーゲン点滴も行っており、みちるも大切な用事がある前には必ず訪れている。みちるから非常に慕われている。
三宅 (みやけ)
下平みちると青柴雄丞が通っているジムのトレーナーを務める男性。年齢は23歳。整ったかわいらしい顔立ちをしたイケメン。みちるがジムに通う原動力でもあり、三宅もみちるに気がある様子を見せていた。しかし実際は、開運効果があるとされる高額なブレスレットを買わせるために接近していただけだった。
宇佐美 基 (うさみ はじめ)
下平みちるのお見合い相手の男性。実家はみちるの地元で大きな病院を経営しており、将来は医院長になる事が決まっている。仕事以外では天然気味で、やや頼りないところもあるが、いつも笑顔で周囲にいる人を和ませる優しい性格の持ち主。職場でも女性看護師から密かに人気を集めている。みちるを気に入り、できれば結婚したいとアプローチを開始する。