概要・あらすじ
全国の暴力団を纏め上げる崇和連合。この巨大組織を影から支配する村田京太郎は、その卓越した頭脳と暴力を武器に、政財界に食い込み、日本そのものを動かそうとしていた。共に生きることを捨てた実の娘・村田京子との再会も、その心を動かすことはできず、京太郎はひたすら野望実現への前進を続けていく。しかし、崇和連合傘下に収まったはずの神戸安済組の武闘派・若松勝蔵が出所したことから、東西に亀裂が走り、崇和連合そのものが大きく揺らぎ始めるのだった。
登場人物・キャラクター
村田 京子 (むらた きょうこ)
村田京太郎の娘で、高校までは祖父母・母と共に千葉・勝原の漁村で暮らしていた。祖父・京介の死をきっかけに上京し、父・京太郎と初めて対面したが、冷徹としか思えないその言動を理解することができなかった。その後、東大法学部に通いながら、西京銀行オーナーである松前史郎の愛人として過ごす。 なお、作品タイトルの「四代目」は彼女のことを指している。
村田 京太郎 (むらた きょうたろう)
前作である『新・男樹』の主人公であり、本作でもストーリーの中心となる、もうひとりの主人公である。表向きは堅気の人間として世界経済研究会という団体を率いるが、実は東西の主要な暴力団を束ねる崇和連合の支配者であり、その情報力・組織力・資金力を武器に日本の政財界を動かそうとしている。 前作では家族を顧みない父・京介を非難していたが、本作では父と同様に妻子の存在を無視するかのような言動を続ける。
村田 京介 (むらた きょうすけ)
京子の祖父であり、京太郎の父。日本のヤクザを統べる崇和連合初代総長であり、シリーズ第1作となる『男樹』では主人公を務めていた。本作では、すっかり気のいい老爺となっており、孫である京子の成長を見守りながら千葉の漁村で隠居生活を送っていた。物語の序盤で海難事故により死亡している。
大友 龍次 (おおとも りゅうじ)
ヤクザ。京太郎の意を受け、崇和連合を動かしている。その行動の全ては、京太郎を守り、その野望を実現させるためのものであり、そのためであればいかなる者であっても冷酷に排除しようとする。神戸安済組との抗争の中、兄弟分の杯を交わした若松勝成によって射殺される。
三島 鉄雄 (みしま てつお)
崇和連合に所属するヤクザ。京太郎にとっては、チンピラ時代からの生え抜きの舎弟であり、大友同様、京太郎のために人生の全てを捧げている。しかし、京太郎の意に反して京太郎を崇和連合総長の座に就けようと画策したため、大友の手によって謀殺される。
高梨 燎 (たかなし りょう)
京子の幼馴染であり、京太郎の舎弟であった故人・高梨正次の従兄弟に当たる少年。京子を一途に想い続けている。父親との再会や松前史郎に子ども扱いされたことで、捨て鉢なった京子の初体験の相手を務めたことから奮起し、彼女を守るために京太郎の下でヤクザとなることを決意する。
松前 史郎 (まつまえ しろう)
西京銀行オーナーを務める男性。まだ青年と言っても通じるほどの若さと確かな経営眼を持つ。恩師から京太郎を紹介され、彼が主導しようとする銀行大合併の計画に賛同する。その一方、京子が京太郎の娘であることを知らぬままに、愛人契約を交わし、東京での生活の面倒を見ていた。
若松 勝蔵 (わかまつ しょうぞう)
崇和連合の傘下に下った神戸安済組きっての武闘派として知られる男。長らく懲役刑を受けており、出所後に組の看板が失われていることに不満を抱く。その後の交渉も決裂したことで崇和連合を抜け、神戸安済組を再興、関西系の暴力団を纏め上げ、崇和連合との抗争を開始した。
若松 勝成 (わかまつ かつなり)
若松勝蔵の息子で、2m近い大男。大学卒業後に渡米し、SAS(傭兵訓練施設)で戦闘技術を学び、レバノン、コソボなどの紛争地帯を渡り歩いてきた。渡米前に大友と出会い、兄弟分の杯を交わしていたが、父の出所を機に帰国し、崇和連合に牙を剥いた。
集団・組織
崇和連合 (すうわれんごう)
『男樹 四代目』に登場する組織。東日本を中心とする暴力団の連合であり、西日本の暴力団も大半がその傘下にある。初代総長は村田京介だが、本作では基本的に執行部に名を連ねる有力組長たちによる合議制となっている。実質上のトップは、表向きヤクザではない村田京太郎であったが、ヤクザの領域を遥かに超える京太郎の野望は、多くの者に理解されず、組織の再編と神戸安済組との抗争の中、内部分裂を起こしていく。