概要・あらすじ
日本経済が低迷を続け、先行きが見通せない時代。日本経済復活のために先進諸国は日本に圧力をかけ、公権力横領罪法を成立させた。これは公権力を乱用し私腹を肥やした者に対して、最低5年の懲役、さらに財産を没収できるという時限立法。中坊林太郎は、回収した資金の10分の1を報酬にするという契約で、超法規的権限を与えられた公権力横領取締室の捜査官となる。
林太郎は政治家たちの財布と化し、2兆円以上の不良債権を抱える東西銀行に銀行マンを装って潜入捜査を開始。林太郎は、豪快かつ尊大な性格をしており、仕事のやり方も非常に派手だった。政治的圧力により回収不可能と思われていた裏金や隠し財産を、警察機関、国家権力、爆弾、軍隊など、ありとあらゆる手法を使って強引に回収。
このことで追い詰められた銀行トップや政財界の重鎮たちは、林太郎を敵視し、金を巡る国家規模の闘争へと発展していく。
登場人物・キャラクター
中坊 林太郎 (なかぼう りんたろう)
汚職を取り締まる超法規的権限を与えれた公権力横領捜査室の捜査官。どのような権力者が相手でも尊大な態度をとる男らしい男。筋骨隆々の大男だが、武力よりも頭脳戦が得意で情報戦や策謀に長けている。彼の目的は、東西銀行に巣食う悪党どもの闇資金を回収し、1000億円を超える莫大な報酬を手にすること。 東西銀行では、林太郎(はやしたろう)という偽名を用い、髪型を変え眼鏡も変えて腰の低い男を演じている。
虹野 誠一 (にじの せいいち)
東西銀行の課長。覚えたことは忘れないという特殊な記憶力の持ち主。頭取たちの命令で、表に出せない裏帳簿を記憶させられていた。そのことが原因で横領の罪をなすりつけられてしまう。自分を裏切った東西銀行に強い怒りを抱き、中坊林太郎に協力するようになる。気が弱く社畜と言われるほど卑屈な性格だったが、林太郎と共に行動するうちに、尊大な彼の影響を受けて少しずつ肝の据わった人間に成長していった。
業田 竜彦 (ごうだ たつひこ)
ゴルフリゾートを手がける業田開発の二代目。武闘派として内外に恐れられており、暴力を使うことにためらいのない気性の激しい性格をしている。政財界のドン・松丸稲次郎の隠し子。中坊林太郎とは当初敵対していたが、隠し子発覚を恐れた松丸稲次郎の手下に命を狙われ、すんでの所を中坊林太郎に助けられてからは、彼と共に行動するようになる。
江戸川 仁 (えどがわ じん)
公権力横領取締室の室長。スーツを着込んだダンディーな初老の男。正義感が非常に強く、国家の陰で私服を肥やすものたちが許せない。以前は東京地検特捜部の検事をしており、もちまえの正義感に従い、さまざまな政治家の不正横領を追っていた。公権力横領捜査室が創設され初代室長となると、捜査官として中坊林太郎を招聘。 林太郎の手腕には期待を寄せており、公権力横領罪法の権限を最大限に利用して、この国の膿を出そうとしている。
木暮 泰造 (こぐれ たいぞう)
東西銀行の常務取締役。出世欲が非常に強く、銀行内で汚れ役を引き受けることで昇進を重ねてきた。ところが東西銀行が危機に陥ると、それまでの尽力にも関わらず、責任のすべてを押しつけられてしまう。そのことで目が醒め、銀行マンとしてのあるべき姿を思い出す。改心した彼は、中坊林太郎と共に、東西銀行のトップを追い詰めるのに重要な役割を担うように。 本来は素朴で平凡な男。
柳川 徹 (やながわ とおる)
東西銀行の前副頭取。落ち着いた物腰の包容力のある男性。カリスマ性が高く非常に人望が厚い。天下り組との派閥争いに敗れ、子会社社長という閑職に追いやられていた。中坊林太郎や木暮泰造の後押しを得て、東西銀行に戻ってくると、銀行を再生させるため、新しい頭取に就任。
沢田 幸四郎 (さわだ こうしろう)
民自党幹事長。何事にも動じないクールな大物政治家。データーを緻密に分析することに長け、人並み外れた強運にも恵まれている。非常に優秀な政治家。日本の未来のためには永田町の老害を排除するべきだと考えており、中坊林太郎とは利害が一致したため協力することになった。
集団・組織
公権力横領取締室 (こうけんりょくおうりょうとりしまりしつ)
『公権力横領捜査官 中坊林太郎』に登場する組織。内閣官房内に設置されている。裁判を経ずに刑罰権を行使し、被選挙権や公職就任権の剥奪、財産没収をできる権限を持つ。この権限は、日本のあらゆる公権力よりも優先される。
その他キーワード
公権力横領罪法 (こうけんりょくおうりょうざいほう)
『公権力横領捜査官 中坊林太郎』に登場する法律。政治家や官僚が私利私欲のために公権力を乱用することを公権力横領と呼び、それを厳しく取り締まる法律。違反した場合は最低5年の懲役が科され、さらに財産を没収される。執行猶予はない。ただし日本国憲法に違反している恐れがあるため、緊急事態解決のために設定されている時限立法となっている。