概要・あらすじ
野崎修平は大手都市銀行・あおぞら銀行の地蔵通り支店の店長を務めていた。支店の統廃合によって地蔵通り支店は閉鎖が決定するが、出向を覚悟していた彼の元に届いた辞令は監査役への就任だった。形骸化した監査役だったが、野崎修平は銀行の理想を掲げ、徹底的な不正追及をしようとする。
そうした動きは取締役や行員達の反発を招き、予算も人員も充分に与えられない中で苦闘する。しかし、信念を曲げずに行動する彼に、まず運転手の石橋や秘書の吉野美保達が共感し、さらに共鳴する行員達が続く。 頭取・京極雅彦は、ある意図を持って野崎修平を監査役に起用した。さらに京極雅彦は、閑職にいた武田真吾を専務に、柳沢秋保を副頭取にと異例の抜擢を行う。
しかし京極雅彦の計算とは別に火花を散らし出す。野崎修平には様々な圧力がかかり、彼らからの懐柔もあるが、ひたすら監査役としての任務を全うすべく奮闘する。やがて銀行の大合併が始まり、主導権争いも熾烈になる。
登場人物・キャラクター
野崎 修平 (のざき しゅうへい)
初登場時48歳。あおぞら銀行の地蔵通り支店の店長を務めていたが、統廃合に伴う人事異動で監査役に抜擢される。監査役は形骸化していたが、就任後は銀行の理想を掲げ、徹底的な不正追及をしようとする。そうした動きは取締役や行員達の反発を招き、予算も人員も充分に与えられない中で苦闘する。 信念を曲げずに行動する彼に、まず運転手の石橋や秘書の吉野美保達が共感し、さらに共鳴する行員達が続く。一方、反発する行員達も数多く現れ、さらに総会屋の海藤義己達から危険な目に遭わされるが、決して信念を曲げない。不正追及の手は役員であっても容赦せず、自らを起用した頭取・京極雅彦にも向けられる。 武闘派の専務・武田真吾からは度々脅しとも取れる態度を取られる一方で懐柔の言葉もかけられ、厳しい態度で臨む一方経営者としての意識も教えられる。
石橋 (いしばし)
監査役となった野崎修平付きとなった運転手。人手が足りないと、野崎修平からスタッフとして仕事をするよう依頼される。当初は渋々働いていたが、徐々に野崎修平に感化され、吉野美保達と共に彼のために積極的に働き出す。
吉野 美保 (よしの みほ)
ショートヘアーの女性。監査役となった野崎修平の秘書。野崎修平の過去の噂を聞き、初めは警戒していたが、その仕事ぶりに感化され、運転手の石橋達と共に秘書の業務範囲を超えて働く。女を武器にする橘祥子を快く思っていない。
沖田 浩二 (おきた こうじ)
あおぞら銀行検査部の行員。父親は大手生命保険会社・大日本生命社長だが、「三流」「チンピラ」と蔑まれ、屈折した思いを抱いている。検査部員として入手した情報を買うよう野崎修平に持ち掛けるが拒否され、その後退職。あおぞら銀行の弱みを武器にコンサルタントを名乗り、野崎修平に取引を持ち掛ける。 後に副頭取となった柳沢秋保と契約する。
京極 雅彦 (きょうごく まさひこ)
あおぞら銀行の頭取。一見温和で鷹揚だが、意に適わないことには恐ろしい形相を見せる独裁者。手段を選ばない冷酷さと、深い洞察力を併せ持つ。先を見据えた観点から野崎修平を監査役に、武田真吾を専務に抜擢するが、自らの地位が危うくなると柳沢秋保を副頭取として呼び寄せた。 銀行大合併を迎え、尚も自らの権力を維持しようと腐心する。総理大臣・鷹山光司郎とは都立外山高校時代の同級生。
武田 真吾 (たけだ しんご)
髭を生やした男性。あおぞら銀行から飛ばされ、関連会社のあおぞら興産の社長となっていたところを頭取・京極雅彦によって専務として呼び戻される。武闘派でならし、強引な手法で経営刷新や総会屋・東都政策研究室の対応に臨む。野崎修平と度々ぶつかる一方で、彼の能力を買って懐柔も試みる。 後に副頭取となった柳沢秋保とは合併を巡って主導権争いとなる。京極雅彦の追い落としも画策している。橘祥子とは男女の仲だった。
阿部 龍平 (あべ りゅうへい)
あおぞら銀行行員。初登場時は支店統括第4部長。野崎修平が監査役に就任した同時期に、最年少役員として取締役総合企画部長に抜擢される。元々は野崎修平の部下だったが、ある融資を巡ってのトラブルの後、立場が逆転する。専務・林一郎の命令で野崎修平の動きを抑えようとする。
板垣 悟郎 (いたがき ごろう)
あおぞら銀行行員。初登場時は支店業務部長。行内では「ケンカ板垣」の異名を持つ猪突猛進な性格で、煙たがるものも少なくない。監査役・野崎修平の姿勢に共鳴する1人。森島博、橘祥子ら本店の部長クラスの有志で「あおぞら銀行をよくする会」という勉強会を立ち上げる。
和田 博和 (わだ ひろかず)
大きな身体の男性。初登場時はあおぞら銀行本店営業1部に勤務する。野崎修平に説得されて不正取引に関わる情報を教えるが、これが元で熊本に左遷される。しかし野崎修平の姿勢に感化され、労働組合の委員長に就任して協力する。
森島 博 (もりしま ひろし)
あおぞら銀行取締役人事部長。専務となった武田真吾の刷新策によって、取締役の任を解かれる。野崎修平の姿勢に共感し、形骸化していた労働組合の人事も和田博和の就任を認めた。後に、板垣悟郎と共にあおぞら銀行の再編に重要な役割を果たす。
西條 進 (さいじょう すすむ)
あおぞら銀行の業務推進部長として不良債権の管理業務を担当している。(実態はいわゆる飛ばし)を担当する後に野崎への対抗馬としてコンプライアンス統括室長となった。権力志向が強く、武田真吾ら実力者に取り入るなど機を見るに敏な性格。その後頭取・京極雅彦によってコンプライアンス室長となり、野崎修平に対抗する。
橘 祥子 (たちばな しょうこ)
あおぞら銀行行員。初登場時は東銀座支店長で、初の女性支店長。出世意欲が強く、女を武器にすることも辞さない。取締役・頭取の座を狙って野崎修平を利用しようとする他、頭取・京極雅彦、副頭取・柳沢秋保に取り入ろうとする。専務・武田真吾とは男女の仲だった。
坂本 正義 (さかもと まさよし)
あおぞら銀行行員。初登場時は26歳で業務推進部に勤務し、西條進の部下として働いていた。西條進の仕事に疑問を持ち、極秘情報を監査役の野崎修平に渡そうとするが失敗。しかしその後、地方勤務を経て野崎修平の部下となる。
柳沢 秋保 (やなぎさわ あきやす)
かつてあおぞら銀行の頭取・京極雅彦の懐刀と呼ばれた切れ者。閑職に追い込まれていたが、京極雅彦によって副頭取として復帰する。不良債権処理や合併を巡って専務・武田真吾、監査役・野崎修平らと対立する。
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- 原作